ウェスタン•オブ•キヴォトス   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわです。
恐らくこれが初投稿前の書き溜めの最後となります。
ここからの投稿はいつできるか怪しいので気長にお待ちください。
というわけで本編をどうぞ


7.先生

「……で、聞きたいことってのはなんだ?」

 

シャーレビルに足を踏み入れてから十数分。

 

弁当の唐揚げを突きつつ、俺は目の前の男……シャーレの先生へと問いかけた。

 

現在、俺はコイツに加えてシャーレの当番というもので来ていたらしいミレニアムの生徒「早瀬ユウカ」と共に弁当を食っている。

 

まさか金を払ってまで飯を共に食わせようとする奴がいるとは思わなかったが……

 

まぁ、何かしら狙いがあると見たほうがいいだろう

 

「"んん?ムグムグング……じゃあ最初に聞きたいことなんだけど……"」

 

俺の質問に対し、シャーレの先生は急ぎ口のなかのものを飲み込んで口を開いた。

 

「"単刀直入に聞くんだけど、どこかの学園の所属する気は「無い」……即答!?"」

 

なんとなく想像はしていたが、まぁ最初の質問は論外だ。

 

「まず言っておくが、俺に学校なんぞに通う暇はない。

俺に必要なのは金……それ以外はどうにでもなる」

 

「"でも君、銀行口座とか携帯電話がないんでしょ?

不便だろうし、作るためもせめて身分証ぐらいは持とうよ"」

 

「銀行なんぞ信用ならんな。

昨日だけでも三軒、銀行に押し入られて金庫の中身を空にされているんだぞ?」

 

「"えっ、ちょっと待って…そんなに銀行襲撃されてるの!?"」

 

今更知ったかのように驚いているが……

 

ここじゃ珍しい話でもない

 

「……先生、彼の言ってることは事実です。

ここ最近、ヴァルキューレや連邦生徒会の影響力が下がった関係で銀行を襲撃する不良の数が増えてきています」

 

「"oh……なんてこったい"」

 

「おかげでこっちは商売繁盛だがな。

銀行の護衛依頼も相当金を積んでくるから中々稼げるぞ」

 

連中も必死こいて傭兵をかき集めてはいるがそのなかでも俺への依頼権はまるでオークションかのように値段が変動する。

 

信用できるところで高い額を提示してきたところを優先して受けているが、このフィーバータイムだけでもざっと六億ぐらいは稼げている。

 

おかげで幾らかは金塊や価格の落ちづらい宝石類にしてから隠し金庫にしまう状況だ。

 

俺みたいな傭兵にとっちゃ、今のキヴォトスの治安はまさに天国といえる。

 

「ですが、彼がどうかは別にしても傭兵はかなりリスクの大きい生業なのは確かです。

実力や連携能力もいまいちなことが多いので、一概に稼げるわけじゃありません」

 

「そこはまぁ実力と信用だな。

それに、キヴォトスの傭兵ってのは雇い主次第では安い額でこき使われることもある。

雇われる俺たちもある程度、自分たちの目利きで仕事を選ぶさ」

 

「"……キヴォトスの企業モラルとかって、もしかしてかなり低かったりする?"」

 

「詳しいことは言えんが……まぁ相当数の企業が裏でコソコソとやってるのは確かだな」

 

「"えぇ………"」

 

何を思ってか頭を抱えているお人好しを尻目に、俺は弁当の白飯を掻き込む。

 

この弁当を売っていた店も、どれぐらいか前に依頼の関係で関わった老舗の弁当屋だった。

 

依頼はシンプルなもので、店を襲撃されそうになっている為にしばらくの間護衛をして欲しいというものだった。

 

この弁当屋はかつて、大手の弁当チェーン店から買収の提案をされたところを断った事がある。

 

その際に不穏な気配を感じた店長が念のためにと護衛で雇ったのが俺だった。

 

この依頼はかなり条件も良く、報酬とは別にタダで弁当を毎食分渡されたのだ。

 

老舗の味というのは中々侮れないもので、廃棄寸前の弁当と言いながらも長く日持ちしないだけで味は普通に店で売っている弁当と何ら遜色のないものだった。

 

依頼中何回か襲撃はされたものの、やって来た奴らはどいつもこいつもそこら辺の傭兵よりもお粗末な装備のチンピラロボットばかりだった。

 

そいつらのうち何人かを絞り上げてある程度情報を吐かせた後、情報屋のツテで連中の手口やら何やらの証拠を確保。

 

丁度弁当を買いに来ていたヴァルキューレの公安局長に弁当を奢りつつ教えてやった結果、ものの見事に翌日にはニュースで連中の上層部が逮捕されたと取り沙汰された。

 

おかげで謝礼の追加報酬に加え、あの弁当屋の無期限20%OFFクーポンまで貰った。

 

今では俺が頻繁に利用していることもあるからなのか、あの店に対してちょっかいを出す輩は裏も表も含めてほぼいない。

 

偶にやらかしかけた不良が人知れず豚箱送りになっているらしいが、そこまでは詳しく知らん。

 

大方、巻き添えを恐れたほかの連中が勝手にやり合っているだけだろう。

 

話は戻るが、この弁当一つとっても何かしらの企業が良くない方向で関わってくる。

 

勿論、企業間でもそれなりにやり合っている為にそれに駆り出されることもあった。

 

ただ一つ言えることがあるとすれば………この世界の企業や「大人」として定義される連中は大概碌でも無い奴ばかりであると言うことだ。

 

一部の例外こそいるものの、それでも比率的にはクソ野郎共のほうが多い。

 

中には依頼料をケチろうとするカスまでいる為、その度に見せしめの吊るし上げをする羽目になる。

 

昔どこかで「人の振り見て我が振りなおせ」とかいう言葉をを聞いたことがあるが、まともな教育を受けていない俺以上に学習力のないバカがキヴォトスには多いらしいな。

 

「その辺はヴァルキューレあたりにでも聞いてみるといい。

俺が遠回しに教えてやった奴以外にもごまんと連中のところには証拠やらなんやらが集まっているだろうしな」

 

「"……君が教えてくれても良いんじゃないかな?"」

 

「アホ抜かせ。

誰が仕事にも関わる情報を無償で教えるものか」

 

そう返しつつ、俺は弁当を食い終えて持ち込んでいた緑茶に口をつける。

 

一応コイツらから茶を出そうかと聞かれたものの、よく知らん他人から渡された茶に口をつけるほど俺は間抜けじゃない。

 

毒とまではいかずとも睡眠薬やらなんやらを飲まされてしまえば、その時点で俺の詰みが決まる。

 

自由の代償ではあるのだが、正直俺としては大して気にするほどのことでもない。

 

「……で、聞きたいことってのはそのつまらん提案だけか?」 

 

「"あっ、いや実は他にも色々と聞きたいことがあってね……"」

 

その後、大体一時間ほどの時間をかけて俺たちは問答を続けた。

 

途中で早瀬ユウカも俺に質問してきたのだが……

 

「なんですって!?ちょっと、それ本当なの!?」

 

「事実だ。俺も幾らかそこで道具を仕入れていたからな」

 

「なんてこと……!まさか、あの子たちがブラックマーケットで……!」

 

幾つか俺が身につけていた道具とかについて聞かれたため、正直に教えてやったら目を剥いて驚いていた。

 

まぁコイツにとっても寝耳に水だっただろう

 

 

………ブラックマーケットに流れ着いた元ミレニアム生達が裏の技術屋として蔓延っているということなど。

 

 

中にはミレニアム製の処分されたガラクタが集まるジャンクヤードを漁るスカベンジャーもおり、そいつらが違法スレスレどころかガッツリアウトなものまでもを含む改造を施した裏のミレニアム製品がかなりの頻度で裏市場に出回っている。

 

俺もそれなりに使える道具を幾らか連中から買っており、特に愛用している物なんかは「エンジニア部」とかいう部活が作ったらしいジャンク品を魔改造して修復したものだったりする。

 

勿論、早瀬ユウカからは渡すように迫られはしたが……

 

「それなりの金か全く同じ機能の代替品を寄越せ」

 

と要求した結果、後日交換で代替品を用意するとのことで当日まで使用を控えるハメになった。

 

仕方はないが、どうせ壊れたら修理もできない代物だ。

 

この際修理が効くところから取り寄せるのもありだろう。

 

ともかく、この数時間のやりとりのなかでこちらが得られたのはそんなものだった。

 

金こそそれなりに入ったが……あまり慣れんことはするものじゃ無いな

 

「……ったく、ツキが剥がれちまったか?」

 

――ブオォォォォォォッ!ブォンッ!

 

「おっとスマンなトリガー。

……気を取り直して値札付き共を狩りに行くぞ!」

 

――ブルォォンッ!!ブルオオオォォォォッ!!

 

俺の宥める声に応えてか、相棒は獣の如き咆哮を轟かせて速度を上げた。

 

「Yeeeee Haaaaw!!」

 

気晴らしに丁度いい。

 

俺は幾つか事前情報を得ている不良たちの拠点を目指し、トリガーと共に摩天楼の中を駆け抜けていった




いかがでしたか?
因みにこの後しっかりと幾つかのヘルメット団の拠点などが襲撃&破壊され、命からがら逃げ切った奴を除いて大半の不良が彼の手により捕縛されています。
哀しいけど彼、血も涙もない賞金稼ぎなのよね
ということで、また次の話をお楽しみに
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