元凡人による悪への道のり~裏ボス枠になるために~   作:悪なれず

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最近食べ過ぎだから何日か断食でもしようかなと思っていたんですけど、落花生の飴を買ったらあまりにも美味しすぎて無理だなと悟りました。ついでにパインアメも買いました。明日から頑張ろう。チュッパチャップスってどこ行ったんですかね?




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 マンキー育成計画は概ね順調だ。

 

 ポケモンバトルを重ねた結果、得意不得意な相手もしっかりと理解できた。

 はっきり言うと、ゴーストは駄目。勝てない。諦める。あいつら何してもすり抜ける。

 ムウマのシャドボで吹っ飛ばされて負けたわ。その後すぐに立ち上がってたけど。君だいぶ頑丈だね。

 これはマンキーがよくやってる組み付きや近接戦が、ノーマル格闘の扱いを受けているからだろうか?

 

 戦力的にも種族的にも、まだヒスイゾロアも出せないため、その辺のあれこれは諦めるしかないだろう。

 マンキーが悪タイプの技でも覚えてくれればいいんだが。……はたきおとすとか覚えなかったっけ。この時代のはたきおとすって威力低いからゴミ技なんだよなぁ。

 

 そんなポケモンバトルに関係するクチバには、二週間に一回程度の頻度で足を運んでいる。目的は勿論賭博バトルで選手として参加すること。相方はマンキー。

 相手が格上かゴーストでなければ勝率は高い。戦闘回数も今だと一日で数回は行ける。その分報酬も貰える。

 

 件の売人が会うたびに保護者代わりにくっ付いて来てくれるので、まあそれなりに助かっている。その度にズダ袋を被せられる。

 

 売人は今の俺に合ったレベルに連れて行ってくれる。

 

 普段俺が案内される場所は、本当に裏初心者専用の場所だ。近所迷惑にならないようにこっそりポケモンバトルするみたいな印象が強い。

 ただ、他の場所はもっと過激で、その分裏の要素が強めとのこと。それこそポケモンがぽっくり逝くこともある。

 そう言う所こそ、子供の俺は身バレ防止をしておけと言われた。

 気が向いたら覆面でも買おうかな。しばらくはズダ袋で良いけど。痒いぜ。

 

 ちなみにいつぞやのかっぺ組は裏要素強めの場所に通ってた。どっちかというとタマムシメイン。建物の場所は知ってるけど、内容は又聞きだ。

 かけ金の幾らかは俺に渡してくれるから、賞金も合わさって結構な稼ぎだ。クチバを最初の場所に選んだのは正解だったな。機嫌がいいとおでんも奢ってくれる。

 

 クチバのおでん美味しいんだよね。

 はじめて食べた時は同席してたマンキーは勿論、持ち帰って拠点でヒスイゾロアにも食わせてみた。マンキーは知らんけどヒスイゾロアは喜んで食べてた。

 ポケモンに人間の食べ物を与えて良いのかって? 適量ならいいらしいよ。本に書いてあった。

 駄目なら公式でカレーとかサンドイッチ食わせないんじゃないかな。ポケモンフードの食いつきも変わってないし。売人もエモンガに餅巾着あげてるよ。

 

 ところで金額が目標値に届きつつあるって言う話する?

 

 主な収入源は下請け業務とポケモンバトル。

 ゴミ漁り? あれはちょっと控えてる。

 中々いい買取屋が見つからなくて……前二つの収入で賄えてるし、必要以上に汚れる理由はないかなって。心情的にも効率的にも。

 衣食住が足りてる状態でやってみ、ゴミ漁り。凄い惨めだから。もうあの頃には戻りたくない。

 

 けど、収入は増えたんだけどね、支出も増えた。

 服は着回せるけど、毎日の食費と、週に二回か三回程度の、定期的な銭湯代で金が出て行く。

 汚いままだとまた出禁くらったりするかもしれないから身嗜みはなるべく意識してる。全て必要経費として割り切ろう。物価が比較的安くて助かるよ本当に。

 

……そろそろ掻き集めた金を数えてにちゃつくのはやめよう。ヒスイゾロアが隅で震えている。

 今日はヤマブキに行く予定だ。身分証関連の進捗を進めようかと。金が溜まっても使いどころないと意味がない。

 そんな訳で。

 

 

「来たよ班長」

「おう」

 

 い つ も の。

 

 っぱ班長なんですわ。便利すぎる。序盤のお助けキャラ枠。

 いつか俺が金と地位と権力と諸々を手に入れたら、ロケット団から引っこ抜いて高賃金で雇用してあげよう。いつになるかわかんないけど。定年退職でスローライフ送ってそうだな。

 

「ヤマブキに身分証の伝手ない?」

「ねぇな」

 

 ぺっ。役立たずが。

 

「俺が関わるとどうしてもロケット団としての体になるからな。ばれるリスクが高いんだわ。お前も必要以上にロケット団と関わるのが嫌だから、ヤマブキのくそ高い身分証が欲しいんだろ?」

「もう遅いけどね」

 

 がっつり下請け業務を受けてしまっている。

 

「この程度なら弱味にはならねぇよ。その他大勢の括りだ。お上さんだって、仕事を終わらせられるなら、下が何しようがそこまで気にしない。だからお前に仕事くれてやったり駄弁る事も出来るんだ」

 

 ほーん。よくわからんけど俺のことを考えてくれている訳だ。

 

「普通に役所言って自己申告するってのがお勧めなんだがな。それも嫌なんだろ、お前」

「好みじゃないからね」

「好みの問題で片づけんのもおかしいんだけどな」

 

 好みの問題なんだよ。これ以上ガタガタ抜かすと毟るぞ。子供の前で煙草ふかしてるくせに妙に善人ぶるなこの人。

 

「一応……そうだな、シルフカンパニー、地下通路、ヤマブキのどっか……その辺が比較的信頼度が高いとこだな。口が堅い。逆に言えば、それ以外は少し怪しいだろうよ。どうしても自分で開拓したいなら、そこを念願に置いておけ」

 

 大企業の名前が出てきたんだが? あそこそんな悪い事してんの? スキャンダルじゃん。

 まあマスターボールとか作ってる場所が怪しくない訳ないか。ポリゴンも怪しいし。

 

 地下通路ってのは俺がよくお世話になってた場所だね。照明が少ない所為で真っ暗闇だから偶に無事なモンボとかが落ちてる。アイテム代浮くから助かってる。……地下通路で身分証の売人? どうやって? 無理じゃね?

 

 で、開拓ねぇ。やれたらやるか。……ヤマブキに行くつもりだったけど、地下通路行ってみようかな。

 

「ありがとう。ちょっと行ってくるよ」

「そうか、気をつけて行けよ」

 

 パパかな。誕生日ケーキとか買って欲しいわ。

 

 

 

 

 

――視認性が悪い。埃臭い。足音が響く。そこそこ広いのに圧迫感がある。

 

 以上が俺から地下通路に対するイメージだ。実際、ここを使う大半の人はそう思ってる。

 そもそも、殆どの人は普通にヤマブキ経由で移動するから、地下通路そんなに使わないんだけどね。人とすれ違っても気付かない事はあるし、気づいたら「あ、ども」みたいなちょっと気まずい空気になる。

 

……さて。

 

「よっこいしょ」

 

 リュックを背負ってのろのろと座り込んだのは階段横の空きスペース。俗に言うデッドスペースと言う奴だ。

 学校とか行くと使い道ないのに空いてる空間あるでしょ? あれ。いや、しばらくここで座ってぼんやりしてようかなって。怪しいやつとか、こういう場所で待ってれば見つけられるかもしれないし。

 班長は頼れないし他に伝手もないから地道に行動するしかないんだよね。

 

 この絶妙な狭さが落ち着く。いいよね。……眠くなるわ。

 中身は成人済みのおっさんだけど、体は子供だからね。静かにしてると眠くなってきた。ちょっと仮眠とろうかな。拠点出たのが午後だから、夕方になったらポケモンにご飯あげて、そんで……。

 

 

 

「――あなたが今回の取引相手?」

 

――がっつり寝ちゃった。体バキバキだわ。

 

 ところで起き抜けで唐突に声を掛けられた話でもする? なに取引相手って。目はしょぼしょぼするし暗くて良く見えないし。……ちょっと乗っとくか。

 

「……ぉそぃ……」

 

 どうよ。俯きながら頑張って低い声出したけど。ギリギリ聞こえるかどうかの声量だったら乗ってくれるかな。

 

「ごめんよ。ちょっとトラブってさ。えっと……ほら、例のやつ。これで合ってるよね?」

 

 危機感なさ過ぎじゃない? スッと手渡されたソレを反射的に手に取って目を凝らして眺める。……うーん、暗い。……え、これ身分証? 顔写真ついてるしそうだよね? 地下通路の裏取引? マジ?

 

「……ぃくら……?」

「配達料金は二十万……まって、本当に依頼先の人??」

 

 やべばれた。

 

「そんな金持ってないよ。取引って何?」

「――はっ!?」

 

 いっそ開き直って聞き返してみたら、想定外の事態に向こうから困惑の声が聞こえてきた。

 

「まって、取引相手じゃないの?」

「ノリで乗っかったけど人違いだと思うよ」

 

 のんびりとした返答に、いよいよ向こうの焦りの声が聞こえてくる。

 どんな見た目してんだろ。もうだいぶ暗闇にも慣れたし確認してみるかな。……うぉ、パンクな格好してる。スタッズ付きのチョーカーとか、厚底のブーツとか。ギャルって言うか地雷系って言うか。帽子被って顔は見えないけど、雰囲気は美人。付き合ったら重そう。あと終わりそう。

 

「流れ的に偽造した身分証?」

「静かにして、なんで子供がこんな時間にいるんだよ。どうしよう、わたしの積み上げてきた信頼が……。後で絶対怒られる。違約金……」

 

 めっちゃビビってるじゃん。受ける。

 

「俺もそれ欲しいんだけど伝手とかない?」

「……ねぇ、黙っててくれる? お遊びじゃないんだけど?」

「お遊びでこんなこと聞かないよ。で、伝手は?」

「……だから、遊びじゃないって――」

 

 女の声が途中で途切れた。

 

――地下通路を下りてくる足音がする。カツカツカツと。

 

 それはどんどん近づいてきて、途中でぴたりと止まった。丁度……そう、女の真後ろ。

 

「予定より早いですね。あなたが運び屋ですか?」

「――ッ。あぁ、うん、そう。……今回の取引相手?」

 

 男の声だった。丁寧な口調で低い声。一瞬だけ肩を跳ねさせた女がその声に振り向いて、少しだけ上ずった言葉で返答した。

 

「ええ、身分証をひとつ。最初に提示した金額で。どうぞ」

 

 すっと差し出したのは、恐らく現金の入った封筒だろう。震える手でそれを受け取った女が数えようとしている。……あれ落としそうだな。ちょっと手助けするか。

 

「貸して」

「え」

 

 のっそりと起き上がり、女の後ろから手を伸ばして引っ手繰る。二、四、六……あ。

 

「二枚多いよ」

「おや、それはそれは……ありがとうございます。お二人に差し上げましょう」

「ありがとう。はい、これ今回のやつ」

 

 やったぜ。運よく儲けた。さっき間違えて渡された身分証を、取引相手であろう男に手渡す。

 それから、封筒を女に返し、ついでに万札を一枚ポケットに捩じり込んでやる。もう一枚は俺のね。

 

「――ところで」

 

 身分証を眺めていた男がふと声を漏らした。

 

「話では一人のはずでしたが……」

「ッ、それは」

「ちょっとごたついた所為で連絡ミスがあったんだ。間違えたのは俺ね。混乱させてごめんね」

 

 こんな感じでええやろ。

 

「それはそれは……そうですか。ええ、ええ、大丈夫です。どうかお気になさらず。ああ、最後に一つ――合言葉は?」

 

 え、何それ知らない。うーん、しょうがない。おい女ぁっ! 合言葉伝えてこい!

 肘で突いて催促すると、女はちらちらと俺を見ながら男に近づいて耳元でコソコソ話を始めた。……これ俺のことチクられたら終わるな。マンキーの準備しとこ。最悪あの女を盾にしよう。

 

「……ええ、合っています。疑ってしまい申し訳ありません。また何かありましたらご依頼させていただきます」

「どうぞ御贔屓に」

 

 笑顔で返してやる。

 カツカツカツと。最初と同じように足音が響き、階段を上って行き、それが聞こえなくなった。

 

「……ねぇ、ちょっとここ出ない?」

 

 お、そうだな。暗いし埃っぽいし。なんか奢ってくれよ。

 

 

 

 

「――今回の取引は凄く大事なものだったんだ」

 

 深夜。ヤマブキ。自販機前。

 奢りで買って貰った温かいコンポタを啜っていると、帽子を脱いだ女が俺の真横にしゃがみ込む。

 自販機の明かりで、黒髪のストレートショートに混じった暗い榛色のメッシュが目を惹いた。

 メッシュと同じ色の、どんよりとした榛色の瞳が、どこか幸薄さと退廃的な雰囲気を醸し出していた。地下通路の時にも思ったけど、明るいのに暗い女。そんな印象だ。

 

「わたしはさ、フリーなんだよ。フリーの運び屋。二年位前からやってるんだけどさ」

「今幾つ?」

「茶々入れてこないでくれる?……十一」

 

 え、若い。

 若くない?

 若いよね?

 若いな!?

 

 女って言うより女の子とか少女の年齢じゃないのよ。今の俺より一つか二つ上か。自分の年齢知らないから予想になるけど。

 元々声質的に十代くらいだろうなとは思っていたけど、すらっとした背とかファッションの所為かもうちょい大人びて見えたわ。

 なるほど、そのパンク系ファッションは処世術か。まあ子供だと舐められるよね。わかるよ。ていうか二年前って九歳? ポケモン世界ヤバすぎんか。

 

「なのにいざ現場に行ったら本人じゃなくて全く関係ない子供って……あのままだと本当にまずかった……」

「大事な取引だったのに碌に確認もしなかったのな」

「……反省してる。あと助けてくれてありがと。相手に不機嫌な思いさせるなって伝えられてたの忘れてた」

 

 こいつマジ? 迂闊すぎないか? よく今まで無事に済んでたな。

 あと凄い語ってくるね。なんで? 年下が相手だから愚痴るのには丁度いいってこと?

 もっと個人情報大事にした方がいいよ。……いや、時代かなぁ。情報の管理に対する認識とか低そうだもんなぁ。回覧板に電話番号載ってそう。そのうちやらかした挙句どっかで死にそうだなこいつ。成仏してクレメンス。

 

「親は?」

「いない。蒸発。親戚たらい回しにされて、最終的にはヤマブキのマンションで一人暮らし。昔から世話になってる人はいるけど」

 

 は? マンションで一人暮らしとかブルジョアかお前? 俺なんて隙間風が入ってくるテント暮らしだぞ?

 

「そう言えばアンタ、身分証がどうこう言ってなかった?」

「欲しい。そんだけ」

 

 無戸籍だからなぁ、暫定。

 

「……国とか役所に頼ったら?」

「好みじゃない。散々見て見ぬふりしてた連中に頼るのってむかつかない?」

「うーん……まあ、わたしも今更親が顔出して一緒に暮らそうって言われたら腹立つかな。アンタがどういう環境にいたのか知らないけど」

 

 せやろ?

 

「で、どうよ、伝手。ないなら諦めるけど」

「……それっぽいのはある。今回ちゃんと仕事も成功したし、頼めば融通して貰えると思う。幾ら掛かるかは知らないけど。わたしが受け取ったのはあくまで荷物を運んだ料金だから。あの男の人がすごく高い値段で買ったくらいしか知らない」

「伝手だけでも繋げといて」

 

 金はなんとか作る。それより今は伝手の方が大事だ。

 

「……普通なら断るけど、半分そっちの所為とは言え借りも出来たし。いいよ、聞いてみる。……次いつ会う? わたしはしばらくこれで過ごせるから、基本的にいつでも空けて置けるけど」

「じゃあ来月の頭にここで。この時間帯にこの場所で直接会うって事で。頑張って稼いどく」

「……貸してくれとか言わないんだ? 携帯は?」

「言わない。携帯はない。じゃあね」

「……ん、また今度ね」

 

 自己紹介はしない。名前ないし。

 引き留められることなく、そのまま別れて帰路に就く。早く帰ろ。疲れた。

 

 

――拠点戻ったら飯やるの忘れてた事を思い出した。

 ボールから出したヒスイゾロアにめっちゃぐだぐだ鳴かれたわ。寝る前にちゃんと食事させた。

 悪かったから、食いながら叩くのやめろよ。マンキーを見習って静かに食べろ。……マンキーはガン見するのやめて。怖いから。






原作でも地下通路はやたらとアイテムが落ちてる程度には暗いから、まあ裏取引に使うのに丁度いいかなと思って出しました。

で、ヒロイン枠の登場です。ようやく綺麗どころを出せましたね。

あの子可愛いなぁって思って話してみたら意外とウマが合って、勇気を出して告白したらオッケー貰えて付き合えたんだけど、実際に付き合ってみるとどちゃくそ重たくて自分のために全てを差し出してくれる地雷系ダウナー女子。アリだと思います。ただし二次元に限る。そんなイメージで作りました。

みんなもっと自分の性癖に素直になっていいと思うんです。

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