元凡人による悪への道のり~裏ボス枠になるために~ 作:悪なれず
今回はやや短めのお話かもしれませんが、楽しんでいただければ幸いです。
本日の朝食はカップ麺。シンプルに塩味。美味しい。
パトロンから援助された資金はどうしたのかって?
あまり周囲と事を荒立てたくないとのことで、エノキさん本人が好き勝手出来る額はそこまでないそうだ。
友人に会うだとか、会費とか。そう言う名目で引き出せる金は、月に八十万くらいと教えられた。普通に大金だな。ちなみに俺の名義で作られた口座に送られる。
で、口八丁でイキった俺が何をするのか。
エメラルドって知ってる? ゲームの世代で言うと第三世代の……リメイク版? いや、完全版か? マイナーチェンジが近いか? まあ、第三世代のあれだ。
GBAと言うゲーム機で発売されたソフトなのだが、この世代には特別な施設が幾つか存在する。
その内のひとつ――バトルフロンティア。ファンの間では廃人フロンティアとも呼ばれている。
多分、ここからポケモンと言うゲームは、ある意味で黎明期を迎えたのではなかろうか。
具体的には種族値とか個体値とか努力値とか。めざパ厳選もここからか?
兎に角、この施設は、ポケモンと言うゲームに転機を与え、後の世代でも形を変えてコンテンツを支えた一つでもある。普段使わないポケモン借りられたの面白いよね。
エメラルドや別のシリーズでもそうだが、バトルフロンティアは基本的に殿堂入り後のエンドコンテンツなため、本編をクリアしなくてはいけないのだが、エメラルドでは本編クリア前でも似たような施設で遊べる。
その名もバトルテント。
内容は、バトルフロンティアの劣化版、或いは初心者向けのバトル施設。
これ結構好きだった。寄り道して周回するくらいには。
長々と説明するのもアレなため要約すると、カントー地方にも対戦施設を作ろうぜと言う発想である。
それを隠れ蓑に、地下では招待制の裏バトルをさせると言う妄想だ。悪っぽい。最初は小規模な施設だけで良い。
上手く行くかどうかはやってみないとわからないが、個人的には出来なくはないんじゃないかなと思っている。
他地方は知らないが、少なくともカントーの連中はバトル大好きだし、この地方にはまだそれらしいアミューズメント施設がない。
こういうポケモンに関連する施設を作るなら、協会だったりの許可がいる訳だが、あの辺って結構腐ってるから、その辺も何とかなると思う。理由? 俺の名前を違法に捩じ込めたから。
最初に賄賂で口利きして貰って、定期的に上納金を収めれば向こうの意志で勝手に守ってくれるだろう。金を実らせる木を伐りたい奴は早々いない。
別にやり過ぎない程度なら、金なんてくれてやるよ。骨の髄まで搾ろうとするなら、隠居して貰おう。
ちなみにエノキさんに「こんな感じなんだけど、どう?」みたく説明してみたら、凄い楽しそうな目をしてた。やはりオタク。生粋のオタク。
まあ、金の問題がある程度解決しても、他の問題もあるんだけどね。ちょっと現実的な話に戻るか。
場所は最悪どっかのテナントを借りる。内装や設備に回す資金。国や協会からの許可もいる。
タマムシでやるなら、ロケット団へのショバ代も必要だ。暴れられたら堪ったもんじゃない。あいつら別の街まで出張ってるし。班長に話だけ通しておくか。
ポケモンのレンタル制度……最初は難しそうだから、自前のポケモンでやってもらおう。代わりに道具を無償で貸す方向で。ゆくゆくはレンタルポケモンの調達もする。
ポケセンで使うような回復マシーンも欲しい。中古で買えるか? 金が溜まったら新品を調達するとして、各種アイテム、人件費、維持費……
一年もあれば、最低限の形だけにはなるか? 色々妥協して、諸々込みで一千万くらい? 知識照らし合わせた予想だからわからん。後で調べてみよう。
そこから増改築を繰り返せば、それっぽく仕上がると思う。かなり甘めに見てるけど。常連を作れば古参面してくれるだろう。迷惑客はいらないけど、固定客は欲しい。
……エノキさんみたいにパトロン増やすか? 多分それが手っ取り早い。
今って、非日常に片足を突っ込んでるハラハラ感があの人を動かしてるけども、刺激がなくなったら援助を打ち切られかねない状況なのよね。
なので、何人か別のパトロンを引き込んで秘密を共有させて、安易に足抜け出来ないようにするのが良いと思っている。
ここで重要なのは、仲の良い友人や知人で組ませてはいけないと言うことだ。
お前辞めるの? じゃあ俺もやめるわ。等と、連鎖的に足抜けされたら困る。非常に困る。
でも締め付けすぎると『圧制者ッ!』と爆発して謀反を起こされかねないから、出資者には特典も必要だろう。スタンプ押したら珍しいポケモンあげるよ! みたいな。この世界は資本主義なんだよ。
うーん、難しい。人を管理しようとするの大変だな。あんまりエノキさんに頼ると芋づる式にばれそうだから怖い。
他に俺が使えそうな伝手だと……ママさんとか班長? あ、班長から受けた下請け業務の客人なんかはイケそうか? 違法取引してまでポケモン欲しがるような連中だし。
☆☆☆
「――その年で情報を買いたいって言う子はじめてみたわねぇ……」
別日。
コンビニのプレミアお菓子を献上してハシバミ経由でママさんに会いに行ったら、しみじみとそんな事を言われた。
ちなみにハシバミは先程まで一緒にいたのだが、ママさんのお願いで買い出しに行かされた。
「いると思うんだよね。金を持て余してて口が堅い奴って。個人で投資してくれるやつ」
「基本、そういう人たちは受け身だから、スポンサーとしての利益がないと動いてくれないわよ」
利益かぁ……。将来性に期待してくれとしか言えない。幾らかのプランは組み立ててあるんだけどね。
「ママさん投資してよ」
「おバカ。何をするのかもわからないのに、お金なんてそうそう出せないわけないじゃない」
「言ってなかったっけ」
「ハッシーから『用事があるみたいだから』としか伝えられてないわねぇ」
そう言えばそうだ。なんならハシバミにも概要を伝えていない気がする。
「うーん、バトル施設を作りたいんだよね。名目上は……そうだなぁ……『若手育成と観光のアミューズメント施設』とかどう?」
「あら素敵。面白そうじゃないの」
「でしょ? 国とか街には地域活性化に繋がるとか言えばいいし、人間なんて基本的に頭空っぽで楽な方に流れるんだから、右向け右で納得するよ」
「こら。そんなこと言っちゃいけません」
人間なんて風見鶏ですよ。人類は愚か。歴史でも証明されてる。
「それで? 実際はどう言う理由なの?」
「ママさん、情報は大切なんだよ。聞きたいなら等価交換してくれないと」
「この子ったら……。じゃあ、私がちゃんと納得できる理由だったら、サービスで何人か候補者を見繕ってあげるわ。ついでにちょっとだけアドバイスもあげちゃう。どう?」
……まあ、無茶振りしてる自覚はあるし。そんだけ譲歩して貰えるんだからいいか。
「そろそろ背景から卒業したいなぁって。まずはモブ役ぐらいからはじめたいんだ。少しずつ知って貰うんだよ。表でも、裏でも、俺のことを。そうしないと、死んでも死にきれずに生き返っちゃうからね」
少しずつ。じっくりと。世間が何をどうしても、手遅れになるくらいに。世に俺という楔を打ち込み、浸透させるのだ。
将来目指すのは、フラグ回収した時に出てくるタイプの裏ボスor隠しボスだ。是非とも頑張ってフラグを回収してほしい。
――とは言え、放置されたら藪から勝手に飛び出してフラグを進行させるけど。
俺は自動追従するタイプの裏ボスなんだ。逃がさねぇぞ。認知して。
「……まったく。若いっていいわねぇ。眩しくて目が痛くなりそうよ」
「ハンカチいる?」
「大事にしまっておきなさいな。……まあ、満点は挙げられないけど、赤点の回避くらいはさせちゃうわ」
やったぜ。
「話は変わるけど、ハッシーが戻ってきたらそのままお昼にしようと思うの。オトギリちゃん、一緒にどう?」
「なんか手伝う?」
「あら、いいわよ別に。ゆっくりしてて。どうせ作り置きを温めるだけだから」
「レシピ何?」
「カレーよぉ」
やったぜ。
「……ね、オトギリちゃん。これからもあの子と友達でいてあげてね」
内心腕を振り上げて喜んでいると、ママさんがぽつりと漏らすようにそんな事を口にする。
まるで娘の友達を気にかける親のような言動だ。
「持ち帰って検討します」
「そこは嘘でも『はい』と言いなさいな。全く」
ママさんとハシバミ次第である。向こうが俺との縁を大切にしてくれるなら、こっちが縁を切る必要はない訳で。
「ママさん、ハッシーのこと凄く気に掛けるよね」
「そうねぇ……色々あるのよ、私にも」
しみじみと返される。……ハシバミのことを矢鱈と気にしてるなら、そこら辺を調べれば何かしら出てきそうだ。場合によってはこの人の手綱を握れるかもしれない。
まあ、追々だ、追々。今はメインイベントの消化を優先する。ママさん関連のサブイベントは後からでいいだろう。
何より、美味しい物食べさせてくれるし、色々教えてくれるし。あんまり敵に回してくないんだよね。
「――ママー。頼まれたもの買ってきたよー……あれ、まだいたんだ」
なんだぁ? てめぇ……。
この後カレーライスをご馳走になった。上に乗ったハンバーグが美味しかった。
ファクトリーが好きでした。あとドーム。今大会優勝候補第一位みたいな説明書きを見てニチャついてましたね。バトルタワーでNPCとコンビ組んで戦うのも地味に好きでした。
最新作で復活してくれると嬉しいんですけどねぇ。
次回のお話はまだ書き途中なので、気長にお待ちください。来週中には投稿すると思います。
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