元凡人による悪への道のり~裏ボス枠になるために~   作:悪なれず

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チャンピオンズで新しく内定したポケモン達が熱いですね。メガシンカが増えて嬉しい。
本命はまだ未内定だけど。
早く来てくれと思いつつ、他のソシャゲに浮気してます。魅惑のほっぺが私を誘惑するんだ。


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 イカレタメンバーを紹介するぜ!

 

 短パン、タンクトップ、リュック、麦わら帽子、サンダル! 極めつけに虫取り網とカゴ! あと体に虫よけスプレー!

 いつかビッグになってやる! 将来の夢は巨悪! しかし実際は孤児ホームレス!そろそろ賃貸を借りろ!

 ふざけた装備を携えて! トキワの森に挑むチャレンジャー――オトギリ! 入場!

 

……はい。

 

 イカレタメンバーとか言いつつ、実際は俺ひとりである。ハシバミも班長もエノキさんも、あとついでにサカキさんも、みんな何かしらの理由があって断られた。

 もしかしたら、参加条件に虫取り少年の格好をしてくるように言ったのが駄目だったのかもしれない。

 ハシバミは年頃の女の子だし、班長は既婚者のおっさんだし、サカキさんはロケット団のボスだし。

 

 でも、班長と同じく既婚者男性のエノキさんは乗り気だったんだけどなぁ。

 

 悔しそうな彼には、キクコさんから貰った達筆な直筆サインを渡して宥めておいた。

 ちゃんと『エノキくんへ』と名指しで書いて貰った品だ。すげぇ喜んでた。

 

 そんなこんなで現在、メンバーは俺と、手持ちにいるヒスイゾロアとオコリザルの二体である。こいつらにも俺と同じような麦わら帽子でおめかしさせた。

 ひとりだけ完全武装してるのバカみたいじゃん? せめて帽子だけでも要素を取り入れて連帯感を出しておこうかなと。ぴったしのが安く売っててよかった。

 

 さて。どうして、態々トキワの森なんて言うタマムシから離れた場所にいるのか。

 

 少し前、ポケモンリーグにてキクコさんから協力を取り付けることが出来た訳だが、その際、一瞬だけ『お前手持ちポケモン増やせや』といったニュアンスの話題が出た。

 

 この問題に関して、実は俺も薄々感じてはいた。

 レア度の高すぎるヒスイゾロアをカントー地方で迂闊に出せないため、我が家唯一の戦力はオコリザルに一任されている。

 そんで以って、こいつは強い。物凄く強い。どんな相手にも立ち向かえるし、何があっても次の日にはケロリとしている。頭も無駄に良いし。

 

 しかし悲しきかな、どんなに凄い奴にも弱点と言うモノはあり、こいつの場合、一体しかいないことだ。

 

 現実で一匹縛りは割としんどい。あとライバルとかボス枠が手持ち一匹って、正直格好がつかない。

 キクコさんが井戸端会議で噂を広めてくれている間は待機期間なため、暇になる今こそ手持ちを増やすチャンスかなと。手っ取り早く野生産を捕獲しに来た次第である。

 

 トキワの森に来たのは、とある筋から貰った情報に基づいた行動だ。

 相手はクチバシティ在住――そう、例の売人である。

 

 久しぶりに裏賭博で羽を伸ばそうとしたら、当然のように同伴してきた売人からそんな感じの話題がぽろっと漏れて、気になったので問い詰めてみた。

 

 どうも、少し前にニビシティまで密輸したポケモンを逃がしてしまったボンクラがいるらしく、場所的にトキワの森とオツキミ山の方面へと逃走したそうだ。

 商品を逃がすなんて管理がなっちゃいないと笑っていたが、イッシュからここに来るまでの間、事故で商品の殆どを死なせてロケット団からた詰められていた売人が言っていい台詞じゃない。今だに汚物と腐敗臭に塗れたあのコンテナ内の光景を思い出せるほどだ。

 まあ、あそこで誰にもばれずにヒスイゾロアをちょろまかす事が出来たから、あれこれ言うつもりはないけど。

 

 オツキミ山じゃなくてトキワの森を選んだ理由は、ディグダの穴から一番近いのがここだったからである。別にどっちでも良かったんだけどね。成果が悪くて時間が余ったら見に行こうかな、オツキミ山。化石が埋まってるかもしれない。

 

 今回は秘策も用意している。伊達に虫取り少年と化していない。完璧である。まあ今の格好と秘策はなんの関係もない訳だが。

 何が逃げ出したか知らないが、トキワの森に出てくるポケモンは調べてあるので、場違いな奴がいればすぐにでも見つけられるだろう。

 乱獲して余りはご近所さんにお裾分けしてやるぜ、ぐへへ。幾らで売れるかな。

 

 

 

――いねぇなぁ……。

 

 どれほど彷徨い歩いたか定かではないが、出てくるのは警戒心の薄いキャタピーやビードルばかり。偶に集団で移動しているスピアーをやり過ごす程度のイベント。いや、勝てるけどね? 一々相手してられないわ。

 

 考えてみたら、トキワの森とオツキミ山方面とは言われたけど、明確にそこにいるとは言われていない。

 

 ワンチャン無駄足か? いやだな、それは。

 げんなりしながら背の高い茂みを退かして木々の隙間を覗き込む。

 

「ぅぉ、マジか……」

 

 やや開けた場所に切り株がぽつんと置かれていて、周囲にポケモンが数匹。蟲ポケじゃない。

 

 茶色で、四足歩行で、ピンと尖っているけど垂れ気味の耳と、首回りと尻尾に触り心地の良さそうな白い毛がぶわっと生え揃っていて。

 

――イーブイ。

 

 カントー地方におけるイーブイの扱いは、原作同様レアポケモンだ。

 そもそもな個体数が少ないのもあるが、頻繁に移動を繰り返すため、明確な生息域が確立されておらず、当然、人前に姿を曝け出すなんて以ての外。

 大半のトレーナーは、育て屋等の施設で育てられた、人工的な養殖イーブイを手持ちに入れている事が殆どである。勿論、それすらも珍しい訳だが。……そんな感じのことが図書館の本には書いてあった。

 

 んー……何匹かには逃げられるかもしれないけど、取りあえず捕獲するか。

 

 ここで先述した秘策、もとい秘密兵器の出番だ。

 何を隠そう、それは我が家のヒスイゾロアである。

 

 いつから出来るようになったのかは知らないが、朝起きたら枕元に尻尾を生やした壺が置いてあったんだけど、どうもそれはヒスイゾロアが俺に悪戯のために変身した姿だったらしい。

 もともと自分を見えなくする幻は出来ていたから、何れはこういった変身能力も身につくんじゃないかなと思ってはいた。

 

 他のポケモン……コラッタやポッポに姿を変えさせてみたのだが、これがまあ見事の変身っぷりだった。

 

 欠点は何故か尻尾だけは変えられないことだろうか。

 コラッタの尻尾が赤と白のふさふさ。ポッポのケツから赤と白の尻尾。勿論、ポッポに変身しても自由に空は飛べない。

 飛べねぇポッポはただのカモだ。ポッポなのにカモとはこれ如何に。こんな甘い変身じゃ人前には出せない。

 

 とは言え、イーブイならまあワンチャン行けそうな気もする。色も形も違うけど、どちらもふさふさな事に変わりはない。

 試しにその場でイーブイに変身させてみる……お、行けたな。やはり尻尾はまだ上手く変えられないが、垂れ目の気弱そうなイーブイという外観は完璧だ。

 

 よし、じゃあ行け。あいつらの油断を誘って来い。その間に奇襲を仕掛けるから。

 それっぽいニュアンスを身振り手振りで指示を出すと、イーブイ状態のヒスイゾロアは、がさりがさりと茂みを揺らしながら野生のイーブイたちの前に姿を現した。

 

 一瞬警戒心を露わにしていたイーブイたちだが、自分たちの同種だと認識すると、やや警戒心を滲ませながらも、どこか嬉しそうに鳴き声を上げて会話を試みている。

 ヒスイゾロアが、ずんずんと高々に前足を進ませながらイーブイたちに歩み寄る。

 いいぞ、そこでコミュニケーションをとれ。話しかけろ。化け狐としての実力を見せてくれ。

 

『――ブヒヒヒヒッ! ブヒブヒブヒブヒっ!』

 

 お前ふざけんなよマジで。

 

 場の空気が凍り付いた次の瞬間、大半のイーブイが蜘蛛の子を散らすかの如く逃走を試みはじめた。それ以外には、戸惑いを見せていたり、もしくは果敢にもヒスイゾロアに威嚇をしている個体もいる。

 

 しかし、自陣の誰よりも早く状況を把握したらしいオコリザルが、素早い奇襲で果敢に立ち向かおうとするイーブイを流れるように鎮圧。

 決死の覚悟による足止めで殆どのイーブイには逃げられてしまったものの、それでも何匹は目を回して倒れているため、結果としては悪くない。どころか上々だろう。

 モンスターボールを当てて次々と捕獲する。

 

――よく見たら切り株の裏にタマゴあんじゃん。ゲーム画面でもお馴染みの、緑の斑が入った白いタマゴだ。ラッキー。

 逃げなかった個体はこれを気にしていたのかもしれない。いい奴から死んで行く。殺してないけど。もちろん回収。……見た目が哺乳類でも卵生なのね。

 

 なお、戦犯をかましたヒスイゾロアは、俺の足元に駆け寄って来たかと思えば、寝転がって腹を見せていた。

 

 なんだその誇らしげなどや顔は。何を期待している。褒めろってか?

 キツネの癖に豚になりやがって。どこの誰の何をどう参考にしてあんな演技をしたんだお前は。へそ天メス豚ギツネがよ。

 あとでおやつ買ってやるから大人しくしてろ。

 

……どうすっかな、このイーブイたち。

 

 いや、好きだよ。イーブイもその進化先も。種類も豊富で可能性を秘めてるし。

 けれども、いざ捕獲すると育てる気にならない。食指が動かない。

 

 例えばロケット団のボスがニンフィア使ってたら、ちょっと反応に困るだろ。……いや、これは例えが悪かった。普通にブラッキーとかにしとけばよかった。

 とにかく、好きだからと言って、必ずしも使いたい訳ではないのだ。

 だからと言って、折角捕まえたのに逃がすのは気に食わない。成果をどぶに捨てている気分だ。

 

「……貢ぐか」

 

 

――そんな感じで知り合いに上げて好感度アップを狙う事にした。

 貢物はギャルゲーの基本である。献上しましょう、そうしましょう。

 

 まずはオーキド博士。今まで色々と手を貸してくれたお礼という名目でプレゼント。

 交渉した結果、通常色のオスとメスとセットで譲渡。イーブイのメス個体は中々に珍しいようで、オーキド博士もあまり所持していないらしい。大変満足している様子。これを下地に色々と融通を利かせて貰えるようにしよう。WinWinである。

 

 次にロケット団。班長に話を持ち掛けると、多少色を付けて80万前後で買ってくれると言われた。俺にとっては高いけど、実際の相場がわからない。

 

 このあと、アジトに持ち帰って血統の純度とか健康状態だとかを検査するらしい。

 あとはカントー産、別地方原産か、野性化したものか、もしくは元々野性なのかを色々と調べて、それから改めて値段をつけるそうだ。

 条件が揃うと、場合によっては跳ね上がるとのこと。高いと幾ら?……え、そんなにするの? ドリームが広がる。

 ちなみにコレクター相手だと、原種かつ野生産の方が愛玩動物として売れるそうだ。天然と養殖の違いかな。

 

 これいっぱい孕ませて売ったらぼろ儲けじゃん。メタモン仕入れたらぽこじゃか産んでくれないだろうか。

 

 そう思ってたら、個人でやると目を付けられるし、なんなら殺されてもおかしくないので、やめておけと忠告された。ガチ勢の怖さが滲み出る。

 

 勿論、売り払った。

 間違いなく買い叩かれている自覚はあるが、じゃあこれに金出してくれる伝手があるのかよと言われると……エノキさんとか? でもあの人だと、ポケモンよりグッズの方が喜ぶタイプだから。

 

 ともあれ、金は幾らあっても足りないのである。どうか目先の欲に囚われたと愚か者と罵倒しないでくれ。繁殖させようにも、場所も設備も圧倒的に不足しているのだ。

 

 

――さて。

 

「こいつどうしようかな」

 

 数日後。タマムシ都内。拠点。孤児ホームレスである俺は今日もテント暮らし。

 いい感じに整えた布の上にぽんと鎮座するは、どこか見覚えのある、緑の斑が入ったポケモンの……多分、恐らく、きっと。イーブイのタマゴ。

 

 持ち歩く訳にも行かないため、拠点の片隅に放置していたら、半分ほど記憶から消えていた。

 今からでもオーキド博士に渡すか、もしくは班長に売って金にして貰おうかな。でもなんか後から売りに行くのって気まずいよね。なんなら妙な敗北感がある。

 

 正直、捕まえたら満足した感がふつふつと湧いてきて、当初の目的である手持ちの補強は若干どうでも良くなってきている。

 あれだ、ポケモン図鑑は完成してないけど、本編とその他コンテンツをクリアしたからもういいや。……そんな虚無感と満足感に似てる。

 

……あ、そうだ。

 

 

☆☆☆

 

 

「――タマゴに興味ない?」

「は?」

 

 即日行動。

 

 合鍵でハシバミの住んでいるマンションへアポなし訪問。

 

 薄暗い部屋の中、ラフな格好でリビングのソファーに寝転がっているハシバミに開口一番で用件を伝えると、あまりにも間の抜けた返答が戻ってきた。

 

「まあ聞いてよ。あ、これお土産。ドライフルーツ」

「……話くらいなら聞くけど」

 

 トロピウスの首から生えているアレで作ったドライフルーツ。タマムシデパートの別地方特産品エリアで売ってた。

 土産を受け取りつつ体を起こして場所を開けてくれたため、リュックを降ろしてから膝に乗せつつ、彼女のすぐ真横、同じソファーに座る。

 

「ちょっと色々あって手持ち増やせって言われたのよ。で、とある筋から情報を聞いて、トキワの森に行ったのね。そん時にポケモンを乱獲したんだけど、タマゴがあったみたいでさ。これなんだけど」

 

 リュックから、布に包まれていたタマゴを取り出す。

 巻き付けていた布を解いて、ハシバミに見せびらかすように卵を両手で持った。

 

「ハッシー、これ預かってよ。ちょっと家に置けなくてさ。孵化したら身を守る手段として傍に置いても良いから」

 

 イーブイなら年頃の小娘も喜んでくれるはず。進化した先の見た目も華やかだ。

 バグキャラ仲介者のママさんがいれば、孵化した時にレアポケイーブイでも情報規制で隠し通せるだろう。ポケモンリーグのデータベースにアクセスできる伝手があるくらいだし。

 是非ともお手並み拝見させていただきたい。ついでに弱みを握らせてくれ。

 

「この子の親は?」

「あー……引き取り手が見つかった」

 

 敢えて売ったとは言わない。

 親に捨てられたらしいハシバミに、その手の話題はNGだ。不仲になったらママさんにどう思われるか分かったもんじゃない。

 

「とりあえず持ってみなよ。母性が擽られるかもしれないから」

「え、ちょっと――」

 

 何かしら勘付かれる前に、子供の頭くらいはあるタマゴを、回答無用でハシバミに持たせる。

 強引にタマゴを押し付けられたハシバミは、最初こそ不満げな態度を示していたが、何か思う事でもあるのか、抱えたタマゴをじっと見つめていた。

 

「……あったかいね」

「生きてる証拠だよ」

「中から音がする」

「そのうち生まれるんじゃね」

「罅が入って来たんだけど」

「今から生まれるんじゃね」

 

……ん?

 

「え、このタイミングで生まれんの? 取りあえず床にタオル敷いて……ここ、ここおいて。早く」

 

 高い所から落ちたら大変だし、タマゴが割れて汚れるのも生理的に嫌悪がある。床に敷いたタオルの上で孵化させることにした。

 

 急いでタマゴを降ろさせる。

 小さな罅が、ぴしり、ぴしりと音を立てて大きく広がって行く。

 罅割れた亀裂の隙間から、どういう原理なのか、光が漏れ出している。

 

――そして、割れた。

 

 ぽろぽろと殻が崩れ落ちる。

 鈍い音を立ててタマゴから顔を出したミニチュアサイズの生命は、孵化したばかりだが、しかしその外見は間違いなくイーブイそのものだった。

 首と尻尾にふわっとした毛が生えていて、白っぽい体毛……。ちょっと待った。こいつ茶色じゃないぞ。

 

――色違いじゃねぇか!

 

 通常色でもレア個体なのに、色違いなんて現実になったら激レア激やば厄ネタ個体だぞ。

 こいつ忌み子だ!

 

「ちょっと今から売っぱらって来るわ」

「怒るよ」

 

 なんでや。……いや、そうだよな。ポケモンをよく知らない第三者からすると、俺の言動って屑そのものだよな。

 とりあえずこれがどれだけヤバいのかを説明しなくては。

 

 その前に、床の上でぽかんとこちらを見つめているイーブイを、布で包んで落とさないように持ち上げる。

 仰向けで膝に乗せる。股座を注視。指先確認ヨシ!

 

「……メス! 合わせて役満! ヨシ!」

「酷いこと言ってない?」

 

 俺みたく余計な知識がついてれば似たような反応になると思うよ。

 現段階においてこの場にいて欲しくない特級呪物が天文学レベルで生まれちまった。こんなところで運を使うんじゃないよ。

 

「ハッシー。これはイーブイ。凄く珍しい。

普通は茶色いけど、こいつは色違いって呼ばれる白。凄く珍しい。

で、今確認したらメスだった。イーブイのメスが生まれる確率は低い。凄く珍しい。

……ここまで言えばわかるね?

変な連中に目を付けられる前に手放そう。売ろう。その金で美味しい物食べよう。掃除機の調子が悪いって言ってたじゃん?」

「最低なこと言ってる自覚ある?」

 

 それの何が悪い。俺に教えてみろ。

 何かしら身を守る手段があるなら兎も角、ポケモンの事をよく知らない小娘一人がどうこうできる状況じゃないんだよね。

 あまりわがまま言わないで欲しい。

 

「生まれたばっかりなのに捨てられるのはかわいそうだよ……」

「捨てるんじゃなくて、手元に置くと面倒だから売るんだよ」

「……やだ。それならわたしが育てる。さっきボディーガードにしろって言ってたじゃん」

「わかった。じゃあ後で俺がなんかよさげなやつ見繕ってあげるから。ヨクバリスとか」

「どんなポケモンなのか知らないけど、なんかやだ」

 

 ヨクバリス舐めんなよ?

 序盤ポケモンなのに素晴らしい種族値配分をしてるんだぞ?

 しかもカントー地方にはいないからレア個体だぞ?

 何が不満なんだ。ヨクバリスがかわいそうだと思わないのか?

 

「……おねがい」

 

 あー、駄目だこれ。不良品の玩具に愛着が湧いてるか、もしくは里親が見つかった元野良を手放したくない心境になってる。

 普段は表情を動かさない癖に、こんな時だけ悲しそうな顔で俺を見るな。ちょっと興奮しちゃうから。顔が良いってズルいわ。

 

「取りあえず、しばらく俺を泊めて。買い出しとか俺がするから。そんで時間がある時ママさんに相談する。いいね? 絶対だよ? 俺ちょっとフレンドリィショップで餌買ってくるから」

「……ありがと」

 

 おら、俺の指から口を放せ、このミニ毛玉が。いつまでもちゅぱちゅぱすんな。

 せめて通常色で生まれてくれれば、めっちゃレアで珍しいポケモンとして押し通せるのによぉ。……イーブイが生まれるかもしれないタマゴをプレゼントした俺が悪いんですけどね。

 

 気前よく格好つけたかっただけなんです。色違いが生まれるとは思わないだろうが……っ!

 

 まずはママさんに話を持って行って、場合によっては界隈の重鎮であるオーキド博士と、金持ち華族のエノキさんに相談かな。

 あの人達なら無理にイーブイを取り上げるようなこともなければ、おかしな要求をする事もないだろう。

 最悪オーキド博士に預ける。オスメスセットでイーブイ上げたでしょ。俺に恩を返せ。

 

……なんか善人プレイになってきたな。

 

 俺は悪、誰が何と言おうが悪なんだ。俺を否定するな。我は汝、汝は我。いま何時。午後三時。

 

「……おやつ買っとこ」

 

 

☆☆☆

 

 

――ちなみに、これはちょっと先の未来。今回とは少し違う別の後日談なのだが。

 

 件の情報提供者である売人に、ボンクラと揶揄される人物の逃がした商品の傾向を聞いてみた。

 

「ん? ああ、むしタイプを扱ってるって聞いたな。コソクムシとかメラルバとか、その辺りを調達していたらしい。……イーブイ? いや、知らない。カタログにその項目はなかったはずだぞ。もしかして捕まえようとしたのか? そもそも、お前に話す前に、逃げ出した個体はもう全部捕まえて売約済みだったしな。流石に捜索中だったら話せねぇよ」

 

 こんなことを言われた。

 下手したら骨折り損のくたびれ儲けだったのね。

 そんで、ガチで運よくイーブイの群れがいて、運よく拾った卵からメスの色違い個体が生まれたと……。

 

 お祓い行こ。

 

 

 





こう、ギャグ回とか日常回って、書いてて楽しいんですよね。
あとで悪いことさせるときににちゃぁっ……てできるから。
ギャグとほのぼのとシリアスを求めている。曇らせも可。

次回の更新は未定です。気長にお待ちください。

読了ありがとうございました。

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