元凡人による悪への道のり~裏ボス枠になるために~ 作:悪なれず
そう言えばチャンピオンズがもうすぐきますね。やる、やらないは兎も角楽しみ。
気が狂うんじゃあ~。
配達先の社会不適合者共がヤバすぎる。
ポケモンに服着せるんじゃなくて自分の服着ろ。
ホルマリン漬けのポケモンと会話しながら取引しようとするな。
よくわかんないポケモンの鳴き真似しながら出てくるな。
ポテチは嬉しい。ありがとう。
仕事でメンタルをがりがりと削られているが、それに反比例して貯金の貯まり具合は悪くない。
例の班長が声を掛けた何人かが、本来自分達が行うはずだった配達業務を俺に任せるのだが、なんと1人の依頼をこなすにつき金を貰えるのだ。つまり時給や日給ではなく歩合制。
流石に班長ほどは貰えなかったけど。みんなそれ以下だ。しけてんな。下っ端だしそんなもんか。出世しろ。
ただ、貰っているのは金だけじゃない。現物支給で払ってもらう時もある。
衣類や下着。最近は寝袋を給料代わりに貰った。めっちゃ温かい。俺の見た目も現代社会に溶け込めてきた感があって、これで表を歩いても多少は誤魔化せる。
とはいえ、配送業だって毎日ある訳じゃない。
以前、小汚い格好をした連中がいる事を話したが、そいつらも俺と同じようにロケット団から仕事を受けているらしい。
つまりライバル。社会の底辺。なので、俺だけに仕事は回せないとのこと。
まあそうね。あっちの方が実績と言うか、付き合いは長いだろうし。その仕事すら受け入れられない奴はタマムシにはいられないんだろうな。
仕事がない日はどうするかって? そりゃ勿論、その日も仕事だ。ゴミ漁り。
デパートの廃棄予定の物品。ゴミ捨て場や草むらに落ちてるモンスターボールの残骸。
それを偶にヤマブキの買取屋に持って行って売ってる。凄いぼられる。
ポケモンなしで行くとか馬鹿じゃねぇーの? と言われそうだが、タマムシとヤマブキを繋ぐ関所のすぐ近くは意外と襲われないようだ。この体の元持ち主はそれを応用してヤマブキに入り込んでいたらしい。
賢い。バナナ上げる。最近少しずつ記憶が戻りつつあるお陰で、こういうマメ知識を活用できるようになってきた。
直接関所を通らなかったのは汚くて止められてたから。悲しいなぁ。
今はアレだ、とにかく金を集めてる。身分証が欲しいのよ。でも金がかかるのよ。
例の班長と会話してるときに、ぽろっと自分の事を話したら、曰く俺は『無戸籍』なんじゃないかと言われた。
つまり、生まれた時からいない存在だった訳だ。この子供の人生マジでハードモードだな。かわいそう。お前の不幸が物語を美しくする。
あと行政が無能すぎる。税金ばっかり搾り取ってないで仕事しろ。俺は収めてないけど。
それで、金が溜まったらどのルートで身分証を手に入れるのかも決めた方がいいらしい。大まかな選択肢は四つ。
まずロケット団。安牌。可もなく不可もなく。でもロケット団で作った事を弱味に揺すられるかもしれない。やるにしても気をつけろ。
次にヤマブキ。ビジネス街なだかあってタマムシよりも少しだけしっかりした身分証が手に入る可能性が高い。でも高い。あと売ってくれる裏のルートを自分で見つけなくちゃいけない。関所通れねぇから行くのも手間。
最後にクチバ。海外からくる胡散臭い連中がその手の物を売っている。が、そう言うパチモンは顔写真が違うからすぐにばれるとのこと。気に入らないから変えてくれは無理。でも一番安い。あとここも行くのがちょい大変。
で、最期の選択肢は行政に頼み込みに行くこと。つまり正規ルート。ただし時間はかかるし表社会からの監視の目が強くなる。代わりに保護施設に入れて貰えるかもしれない。
班長のおすすめはヤマブキルート。好き勝手やるならしっかりした身分証を作れ。その後、クチバで幾つか替えの利く身分を買って置け、と……。
この班長、場慣れしてんな。なんでロケット団なんてお間抜け集団やってんの? やめたら? もっといい場所あるよ多分。
え、正規ルート? 俺が光堕ちしそうだからなしで。後々の展開で『あいつは存在しない人間だ』みたいなシチュエーションに憧れる。
俺の中だとヤマブキルートが熱い。でも高い。マジで高い。聞いたら最低でも60万はくだらないって言われた。ロケット団は? 20万くらい? クチバは5万前後らしい。買わねぇだろそれ。というか、どこに行くにもヤマブキ経由なのしんどいな。関所使わせて貰えねぇんだよ俺はよ。
でもなー。悪役やるなら身分証欲しいよなー。
俺って欲張りだから、表でも裏でもどっちでも引っ掻き回したいんだよなぁ。
――表では偉大な功績を残した人物、裏ではカントーを支配するボス。
かっこよくない? まあ今の身分は社会の底辺なんですけどね。金渡すどころか落ちてる小銭を拾う毎日だ。神よ、この世に救いはないのか。
「班長お金貸して」
試しに班長と会った時に金をせびってみた。
「だめだ。妻と子供の仕送りに使うから」
嫁さんと子供おったんか。こんな裏稼業じゃなくて真っ当に働けよ。
「身分証か?」
「ポケセンくらい使えるようになりたい」
「世知辛いな」
ほんとだよ。
まあ愚痴ってもしょうがない。いまは底辺生活脱却のためにも頑張ろう。努力はいつか報われるはずだ。
――金とられたわ。
多分俺と同じで班長以外のロケット団から下請けしてる連中。二、三人固まってたかな。
給料袋を隠してこそこそ帰ろうとしたら因縁つけられて分捕られた。
奪い返そうとしたらボコボコに殴られたわ。
くそ痛い。今日の稼ぎがパーだ。金じゃなくて地面眺める羽目になったわ。
痛みが和らぐまでその場で蹲り、ふらふらと拠点に戻る。幸い人目はないから呼び止められることはない。
大丈夫だ、まだやれる。金は拠点内の色んな場所に隠してる。目標までの金額は遠のいたが、まだ終わっちゃいない。俺は賢い。
相変わらずぼろいテントに入る。口を漱いで給料から差っ引いて要求した痛み止めを流し込む。
――予定変更だ。身分証よりも先に武力を手に入れる必要が出てきた。
子供だから狙われないなんて考えは捨てる。いや、コラッタに殺された時に気付くべきだった。浮かれてた俺が悪い。今までの運が良かったんだ。
クソが。ふざけやがって。上手く行ってたのに、結局とられる側になっちまった。
仕返しはする。絶対にやる。でも今じゃない。今は何もできない。大人しく泣き寝入りしてやる。
――2回死んだ俺を舐めるなよ。死ぬほど嫌な思いをさせてやる。
相変わらず説明会みたいな書き方ばっかしてんなコイツ。
小説の書き方はもう全部忘れました。
ここまで来て主人公の手持ちがいないってマジ?
お読みいただきありがとうございました。
感想、評価、誤字報告お待ちしております。
あ、18時くらいに4話目を投稿します。