「……疲れた。連戦は聞いてない、ほんとに」
「私も車に自爆機能があるのは聞いてないよ」
"それのおかげでカイザーの不意を付けたけど、私も流石に驚いたよ"
「と言うかエルって自爆装置は否定派じゃなかったっけ」
「正確に言うなら自爆機構を組み込むリソースに否定だな。あの車はエンジニア部が作った奴だから自爆装置があるけども」
「速いとは思ったけど市販のやつじゃなかったんだね」
「なんかのアクション映画を見て勢いで作ったらしいけど、運転できなかったらしくてな」
「あの速度を運転できる方がおかしいと思うよ。……それより、帰りはどうする?」
「カイザーの車両使えそうなのあるかな………………」
"どれも壊れてるように見えるけど……"
「逃げられるのも面倒だからって全部やる必要は無かったね」
「けど逃げられたら援軍もすぐに来るだろうからな。一応連絡網は絶っておいたけどそこまで余裕があるわけでもないし」
「エルが担いで走ればいいんじゃない?」
「付近の制圧はできたみたいだし、そうするか」
「私は背中に掴まっておくから、エルは先生を抱えて」
「では、先生ちょっと失礼しますね」
"重たくはない? "
「重たいですよ……あっ」
「先生の目から光が消えたね」
「油断した。気が抜けてたな」
「取り敢えず戻ろうよ」
「そうだな」
"やっぱり運動の習慣つけないとかな…………"
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「なるほど、先生は自身の体重が気になっていると……」
"なんでヒマリが知ってるの!? "
「このキヴォトスのあらゆる情報を観測できるこの天才美少女ハッカーにはすべてお見通しです」
「そもそも通信切って無かったよね」
「ですが、先生の活動を考えれば適切な食事から心掛けるべきだと思いますよ」
"バランスとか考えて準備する時間がないんだよね"
「シャーレってかなりブラックじゃないですか?」
"私がやりたくてやってる事だから"
「……それをやりがい搾取って呼ぶんですよ。まぁシャーレの部員が少ないのも時間が解決してくれるでしょうから、今は壊れない程度で頑張ってください」
「それで部長の方はどう?」
「一度集めて頂いたデータを整理してみました。これで少しはデカグラマトンの仕組みを解析できるかもしれません」
「……エイミはそろそろ降りてくれない?」
「そうだね、私も腕が疲れてきた」
「まぁ砂漠での活動も今回くらいで終わりだろうし、効率よく行こうか」
「ごめんなさい」
「では早速…………あら?」
「……アラート!?」
「あらあら…………」
「部長、サーバーに誰か侵入してる」
「ミレニアムの特殊回線しか通っていない閉鎖空間であるこの場所に、入り込めた…………?」
「ちょ、ちょっと待ってください。これはもしかしてファイヤウォールが全て……!?」
「緊急事態。電源を壊すから下がって」
「先生こっちへ」
「……いえ、既に手遅れのようです」
「……!」
「……」
「……到達されましたね」
「これが……デカグラマトン」
「電源は落ちてるけど……」
「特殊な閉鎖空間、電源も供給されていない……それでも」
「……なるほど。まさに『特異現象』ですね」
「待って、何か聞こえる……スピーカー?」
「
『…………のだ…………ようやく』
『……』
『ようやく会えたな。先生よ』
「……!?」
"……誰? "
「……っ! ダメです。応答してはいけません!」
『私は私、ただ存在するもの。始まりであり終わり。汝が思うまさにそのもの……』
『私は私……これ以上に、私を説明する術はない』
『……私の存在証明には何も要らない。誰の許可も必要ない……私は私の許可の元、こうして存在する』
(簡単なシステム……ならどうしてここまで)
『私は
(…………釣り銭の計算用AI? これが?)
『私のヘイローこそが私を証明する……刮目せよ、私はついに私を証明してみせる』
「……何か、スキャンをしている?」
「先生、危ないからジッとしてて」
『……先生、私が知らないものを、持っているな。私には解析できないものを』
『福音を聞かせてやろう。そしてこの福音を宣で伝えよ!』
「……先生、そのタブレット! ハッキングされ──」
"(シッテムの箱を……!?)"
『……おおおおっ! …………おぉ……』
「シッテムの箱なら問題ありません」
『…………』
『ぐっ……! なぜ、なぜだ…………!』
「OSのレベルが違うんだろ」
『うっ、くぅっ…………あぁぁぁぁっ!!』
「……!?」
「消えた……?」
「接触範囲から外れた……」
「侵入ログを確認……消滅してる」
「部長、大丈夫?」
「はい、私は大丈夫です。先生にエルの方は?」
"うん、特に何とも"
「僕も問題はありませんでした」
「そうでしたか……」
「……先生のタブレット端末に接続しようとして、失敗した様ですがエルは何か知っているんですか?」
「そのタブレット……いえ、シッテムの箱ですね。それはオーパーツの一種で、キヴォトスの基本的なセキュリティなら一瞬で突破されるスペックを持ったOSが搭載されてます」
"どうしてエルがそこまで…………"
「そう言えば先生には話してなかったね。ほら、アビドス砂漠に向かった時のエルの運転技術はすごかったでしょ?」
"ジェットコースターに乗ってるみたいだったね"
「あれはエルが日頃から運転してるのもあるけど……」
「……一番は取扱説明書を僕だけが持ってるからですね」
"エルだけが取扱説明書を持ってる? "
「正確に言うなら僕は、触ったものの取り扱いが少しだけ分かります。内容が複雑であればあるほど時間は掛かりますけどね」
"……もしかしてテイルズ・サガ・クロニクルをノーデス攻略できたのってその体質があったから? "
「…………あれは初見の操作方法を知らない人に対しての、即死トラップが主ですからね」
「そう言えばテイルズ・サガ・クロニクル2は昨日二人でやったけど面白かったよ」
"ゲーム開発部のみんなにも伝えておくね"
"(そう言えばエルにシッテムの箱渡した事あったっけ?)"
「それにしても、あれが噂の『デカグラマトン』…………? 想像していたより何と言いますか……だいぶ誇大妄想に陥った存在、のようですね」
「エルは接触自体はできたんだよね?」
「中に入り込んでたが故にだけどな」
「しかし、少々分析しただけでこうなるとは…………やはり危険な存在であることは確かなようです。あのようなAIだとエルでも解読は難しいと思いますが、何かわかりましたか?」
「……自販機のお釣りを計算するAIが動いている、と言う感じですかね」
「……なるほど。お釣りを計算するAIですか……それがここまでの脅威となっている」
「であれば、もっとしっかりした場所を拵えてから、研究を進めた方が良いでしょう」
「そう言えばこの部室も取り敢えずの奴だったね」
「せっかくですしきちんと『特異現象捜査部』の部室を作るとしましょうか。もうこういったことにはならないよう、ちゃんとしたものを。お願いできますか?」
「分かった。必要なものは用意しておく」
「なら専用の搬入ルートをこっちで準備しようか」
「なんだか予想外のファーストコンタクトでしたが……次はこうは行きません。今度はこちらから。さぁ目にもの見せてやりましょう」
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「エル、ちょっと髪洗うの手伝って。砂が上手く落ちない」
「エイミは髪長いもんな」
「……エルって髪洗うの上手だよね」
「そうか? 比較相手がいないから何とも言えないけど」
「少なくとも私よりは上手いと思う。もう八割は終わってるし」
「まぁ慣れだとは思うけどな。はい、目瞑って〜」
「うん」
「…………これでどうかな?」
「髪のザラザラした感じが取れてる。うん、いい感じ」
「次いでにトリートメントとかやっとこうか?」
「せっかくだし、お願いしようかな」
「じゃあやってくな」
「……エルって触ってる物の使い方が分かるんだよね?」
「そうだけど、改めてどうしたんだ?」
「それって人の場合だとどうなんだろうと思って」
「…………あ〜、言われてみればそうだな。少なくとも試した事はないけど」
「せっかくだし私で試してみれば?」
「………………ダメだな。トリートメントとかの方は分かるけど人の事は全く。あと一回流すぞ」
「分かった」
「最後にリンスして終わりだな」
「後でエルの分は私がやろうか?」
「さっきエイミの髪洗う時に次いでに終わらせといた」
「全然気づかなかった…………」
「まぁショートヘアの方が速く洗えるからな」
「それもそっか」
「……流すよ」
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「そう言えばデカグラマトンは、自販機のお釣りを計算するAIだったんだよね?」
「僕が読んだ感じはだけどな」
「エルが解読したなら間違いではないと思うけど」
「ただ自販機のAIのスペックではなかったから、外部の誰かが改造を施したりした可能性が高いかな」
「……なら似たような物が他にも見つかるかもね」
「同じメーカーの自販機が各地に有るだろうからな。場合によってはキヴォトス全土を巡って自販機ハンターするかもな」
「そうなったとしても、エルが居るなら移動の面は心配しなくていいね」
「長期化してくるとエデン条約周りで動く必要が出てくるから、デカグラマトンの調査は任せることになるけどな」
「その時は私達で地道に調べるから心配しないで」
「まぁ取り敢えず明日から部室を作らないとだな」
「大体の資材はもう準備してあるけど、幾つか見当たらなかったからこのメモのやつをお願い」
「え~と……うん。いくつか解体して持っていく必要があるから明後日の夕方頃になるかな」
「なら今週中には準備できそうだね。あと、追加で毛布と適当なロープもお願い」
「……まぁ準備しとく。それと明日は寮で寝泊まりしてくれ」
「分かった。エルの方も気を付けて行ってきてね」
「分かってるよ」
色々な機能を使ってみたので、ちょっと表記が変な事になってるかもしれない