妹の通ってる学校が閉鎖されたって、マ?   作:冬風_ykn

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既知の欺瞞

「座標的に間違ってなさそうだな。ここがアリウス自治区か」

 

 

「……!? てk…………」

 

 

「……流石に反応が遅れてたな」

 

 

『おや、こんな場所に鼠が紛れ込んできてしまいましたか』

 

 

「…………!?」(この見た目で生徒な訳ないよな)

 

 

『差し詰め宵闇に潜み、寝首を掻こうと思っていたのでしょう。カタコンベを突破したのは見事でしたが所詮は子供。詰めが甘いですね』

 

 

「始めから黒幕が姿を現すのは、僕を返すつもりが無いと言う意思表明か?」

 

 

『俗に言う冥土の土産と言うやつですよ。子供にしてはよく頑張りました。しかし、所詮は大人に使い潰される消耗品。私がより良く活かしてみせましょう』

 

 

「……はぁ、多勢に無勢だな」

 

 

『大人しく投降する事ですね。せめて人を連れてくれば良かったものを…………いえ、どちらにせよアリウス区内では同じ結末を辿る事になりますか』

 

 

「……敵対者捕捉。制圧しろ」

 

 

「部隊を集める為の時間稼ぎか。……っ」

 

 

「…………東方向の通路から挟め。そのまま囲い込む」

 

 

「……」カチャ(全員相手する弾薬はないな)

 

 

「……煙幕か。熱線暗視装置を起動しろ」

 

 

『『『『了解』』』』

 

 

「……? そっちは見つかったか?」

 

 

『見当たらない。』

 

 

『こちらも反応無し。包囲網を抜けられた可能性が……』

 

 

「上方に熱源確認! 掃射しろ!」

 

 

『了解』

 

 

『撃ち落とした。気絶したようだ』

 

 

「私達が捕縛する。残りは待機」

「注意は引いた。これより威力偵察を開始する」

 

 

『『『『了解』』』』

 

 

 ─────────────────────────

 

 

 

「まだ早いですが昼食の準備を始めますね。…………先生は少し休んでて下さい。酷い顔ですよ」

 

 

 "私も心はガラスなんだよ? "

 

 

「容姿に関しては整ってるので問題ないです。隈が濃すぎて台無しですけど」

 

 

「? 私には隈があるようには見えないのですが……」

 

 

「……! いや、よく見たら何か塗ってある」

 

 

「もしかしてあの後、寝てなかったんですか!?」

 

 

「あらあら、先生は隈ができる程に夜な夜な頑張っていたんですね?」

 

 

「夜な夜ながんばる……!?」

 

 

 "どうしても、やらないといけない書類があってね"

 

 

「午前の授業は終わったんですからこっちに構わず、先生は睡眠を取っておいて下さい」

 

 

 "だけど……"

 

 

「手錠でも嵌めて転がしましょうか?」

 

 

 "ちゃんと休みます!! "

 

 

「よろしい。取り敢えず料理ができるまで時間あるので……いや誰か先生を監視してくれ」

 

 

「なら私が連れていきます」

 

 

「わ、私も変なことが起きないように見張っておく!」

 

 

「……ふふ、私も先生の寝顔を観察しましょうか。アズサちゃんはエルさんのお手伝いをしてあげてください」

 

 

「わかった」

 

 

「それじゃあ先生お部屋まで行きますよ」

 

 

 

 ───────────────────────────

 

 

 

「もしかしたらハナコは気付いてたかな?」

 

 

「私達の中で一番頭がいいからな。分かりやすく教えてくれて、私も助かってる」

 

 

「だろうな。僕もハナコの事についてはある程度知ってるから」

 

 

「エルはハナコとも関わりがあったのか」

 

 

「ちょっとだけな。……そ僕の顔に何か付いてるか?」

 

 

「ああ、先生と同じような物が付いてるぞ」

 

 

「……いい洞察力だな。日頃から鍛えてるだけある」

 

 

「ありがとう?」

 

 

「これで気付いたのは七人目だ、自信を持って良いぞ。……それでアズサは何を聞きたい?」

 

 

「……エルはアリウスに行ってきたのか?」

 

 

「一応言ってないはず何だけど、やっぱり硝煙の匂いは誤魔化せないかな?」

 

 

「火薬の匂いはしない……けど匂いを隠してるのは分かる。それに昨日カタコンベの方に行ってたから」

 

 

「やっぱ帰ってからシャワー浴びるべきだったな」

 

 

「……それでエルはなんの為にアリウスに行ったんだ?」

 

 

「軽い偵察だよ。それ以上の目的はない……強いて言うなら、飛んでくる火の粉を振り払った程度だな」

 

 

「…………」

 

 

「けどあの分なら幾らか希望を持ってもいい。アズサが求めるものは雲ほど遠くないし、夢ほど脆くもない。それに都合も傾いてきてる」

 

 

「エルはそれで良いのか?」

 

 

「僕はその場凌ぎっていうのが性に合わなくてね。やるなら本質の変革から、後の誰かに負債を任せるのは嫌だからな」

 

 

「そうか」

 

 

「今はただ日常として在れば良い。旅路の果てこそ楽園(エデン)を成すだろうから」

 

 

「なぁ、エルは何処を見てるんだ?」

 

 

「僕の理想の先()かな。先生のお陰で僕も希望が見出だせた。あとちょっと代わってくれ」

 

 

「焦げないように炒めれば良いんだな」

 

 

「こっちは色々と準備があるから十分くらい頼む」

 

 

「……ところでこれはどういう料理なんだ?」

 

 

「簡単に言うならパスタだな。ボロネーゼ、正式名称はラグー・アッラ・ボロニェーゼとかだったと思う」

 

 

「パスタ料理と言うことか。それならエル、絶対にスパゲッティは半分に折ったらダメだぞ」

 

 

「……理由を聞いてもいいか?」

 

 

「もし半分に折ったら、背後に現れるスパゲッティの神によって見るに堪えない酷い目に遭ってしまうらしいからな」

 

 

「心配は無用だよ。ボロネーゼで使うのはスパゲッティじゃなくてタリアテッレだから……と言うかここの鍋大きいから折らなくても入るし」

 

 

「なら良かった……その、たいあれって? と言うのはどんなパスタなんだ?」

 

 

「……タリアテッレはこれからのお楽しみにしといてくれ」

 

 

「分かった。たりあてっれ、楽しみにしてるぞ」

 

 

 

 ─────────────────────────

 

 

 

「これはボロネーゼですね!」

 

 

「あと、ブロッコリーのサラダもあるぞ!」

 

 

「とってもいい匂いですね」

 

 

「これホントに作ったの? お店とかで見るような奴だけど」

 

 

「間違いなく作ったぞ。私は一度も目を離してないから、すり替える隙も無かった」

 

 

「なるほど。アズサちゃんは目が離せなかったんですね」

 

 

「こう言うのって缶とかを使うと思ってた……」

 

 

「お家で作るなら普通は簡単に作りますしね」

 

 

 "ところでエルはどうしたの? "

 

 

「実はエルも先生みたいに寝てなかったんだ。だから今はあっちの部屋で寝てるぞ」

 

 

「エルさんも人の事を言える立場じゃ無かったんですね……」

 

 

「一体エルさんは夜な夜なナニをしてるんでしょうね」

 

 

 "取り敢えず冷めないうちに食べようか"

 

 

 ────────────────────────

 

 

 

「美味しかったですね」

 

 

 "そうだね。レストランで食べてるのかと思ったよ"

 

 

「これがタリアテッレなんだな。モチモチしててすごく食べ応えがあったぞ」

 

 

「とってもコシが強くてお腹も一杯になりました」

 

 

「……!? ……エッ……その、美味しかった」

 

 

 "後でエルに伝え…………"

 

 

ガタンッ

 

 

「!?」

 

 

「エルの方だ」

 

 

「何かあったんでしょうか?」

 

 

「少し心配ですね……」

 

 

 "見に行こうか"

 

 

「……? 扉が少し空いて」

 

 

「窓も開けたままだな」

 

 

「なんだ、ベッドから落ちただけなのね。……ほら上に戻らないと風邪……引く……わ…………」

 

 

「どうしたんですかコハルちゃん? 顔が青ざめてますよ」

 

 

……ね……ねぇ。これ……生きてな…………

 

 

「寝込みを襲われたのか……!?」

 

 

「ほ、ほんとに冷たい…………」

 

 

「……? いえ、エルさんは寝ているだけですね」

 

 

「こ、こんなに冷たいのに寝てる訳ないでしょ!」

 

 

「……いいや、確かに呼吸もあるし心臓も動いてる」

 

 

「今って夏場ですよね? どうしてこんなに冷たく?」

 

 

「セミナーの空井エルさんでしたね。キヴォトスで最も冷血な人物であると聞いています。……肉体的に冷たい人として」

 

 

「…………ん。そうだな。心が無いとかの冷血じゃなくて、体温の方の話……と言うかその前名を知ってる奴いたんだな」

 

 

「うっ、動いた……」

 

 

「いててて……ベッドから落ちてたか」

 

 

「……にしても久し振りに間違われたな」

 

 

 "前にも似たような事があったんだね? "

 

 

「二年生になってからは初めてですよ。……そもそも意識の無い状態で見つかることも早々ないので」

 

 

「…………! サーマルイメージャーで判別ができない!」

 

 

「……それってすごいの?」

 

 

「普通、生身では起きえない事ですね。体温が無いということは生命活動も本来は止まっている筈なので」

 

 

「それじゃあエルさんは…………」

 

 

「生きてるからな? 原理は分からないけど普通に動くからな?」

 

 

「あはは、そ、そうですよね」

 

 

「原理は分からないって、そんな適当でいいの!?」

 

 

「そもそも原理が分からない物は割とあるからな。それに、世の中には例外もあるし、既存の知識だけだと埋められない穴も多いからな」

 

 

「そして、足りない知識を埋めるのがミレニアムと」

 

 

「そんな感じかな。まぁ千年難題の解明にはまだまだ掛かりそうだけど……取り敢えず洗い物をしないとな」

 

 

「私も手伝うぞ」

 

 

「気遣いは嬉しいけどそっちは勉強しててくれ。飲み込みが良くても時間は足りなくなるからな」

 

 

「そうか。なら私は勉強に専念しよう」

 

 

 

 ──────────────────────────

 

 

 

「……それでどうだったんだ?」

 

 

『想定以上の成果だった。おおよその解読も終わったから近いうちにけりを付けれそうだな』

 

 

「なら良かった。これから私達はどうしたら良い?」

 

 

『いつも通りの生活を送ってればそれで良い。これ以上は隠しきれないからな』

 

 

「了解した。みんなにもそう伝えておく」

 

 

『あと、そっちに送った地図は破棄しといてくれ』

 

 

「やっぱり構造が変わってたのか」

 

 

『一定のスパンで変わるから随時解読する必要があったな。まぁ今回と同じ要領でも問題は無かったから、次もそれかな』

 

 

「なぁ、調印式の日はほんとにひとりで行くのか?」

 

 

『機器を入れてもどうせ壊れるからな。下手に人員を割いても救護者が増えるだけだろうし、ある程度理由付けがいるからな』

 

 

「なら私達がそのまま護衛としてつくのはどうだ?」

 

 

『…………まぁ行けなくはない。政治的に危ないけど』

 

 

「結局そこか」

 

 

『エデン条約の時点で大変だったからな。……それと比べたら比較的楽な部類にはなるだろうけどSRT周りはリスクがな』

 

 

「兄貴でもそこは気を遣うんだな」

 

 

『場合によっては矯正局もあり得るからなそれ。あ〜でもサキだけなら連れていけるか』

 

 

「身内だからか?」

 

 

『家族と一緒に参列するのは比較的通しやすいし、なんなら影武者をしても良い』

 

 

「いやもう無理だろ。身長はどうにかなるにしても流石に胸は誤魔化しきれないぞ」

 

 

『流石にムリか。…………その辺りはまた追々考えとく』

 

 

「それもそうだな。何も争いになると決まって……いやこれに関しては決まってるのか」

 

 

『変えられない確定事項だからな。……さて、時間だな。今度何かお礼として持っていくから欲しい物を聞いといてくれ』

 

 

「聞いておく。兄貴の方も気を付けろよ」

 

 

『そっちこそ隠蔽工作はしてたけど警戒は怠らないように』

 

 

「…………連絡は終わりましたか?」

 

 

「ちょうど終わった。今度何か買ってくるからリクエストを考えとけって」

 

 

「ならエデン条約の後にでもお願いしましょう。それと特に怪我をしたという訳でも無いようで良かったです」

 

 

「まぁ聞いた感じ寝不足みたいだけどな」

 

 




ちなみにエルが一番得意な分野は化学です。一番苦手なのは社会に分類される暗記系です。(当セミナー比)
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