「……お久し振りですね。条約内容については以前連絡した通り問題ありません。……それと、補習授業部の動向を追ってくださりありがとうございます」
「いえいえ、僕が望んだことですから。……トリニティに滞在する為の動機を作ってくださったお陰で会議もスムーズに進められましたし、先生の人物像も深められたので」
「……それで、間もなく補習授業部も廃部となりますがトリニティの裏切り者について何か分かりましたか?」
「何も分からなかったですね。みんな少し変わってる普通の生徒にしか見えません。……まぁこの際、どっちでも良いですけど」
「一理ありますね。エデン条約の締結まで行けば私達の勝ちと言えます。……条約を破棄する為に動くでしょうが、ゲヘナ側との協力も図れると考えれば対処も容易でしょう」
「……ところで、ミカさんはどちらに?」
「確か、改修中の古聖堂を見る為にと席を空けています。私としてもエルさんと2人きりで話した方が早いと思いましたので、ゆっくり視察してくるように伝えています」
「なるほど。……通功の古聖堂にですか」
「エルさんは昨日、視察なさってましたね。……第一回公会議の場である通功の古聖堂。トリニティが一つになった地で、今度はトリニティ総合学園とゲヘナ学園が一つになる。これはあなたの筋書きですか?」
「僕はそこまで気を回せるほど器用じゃ無いですよ。それこそ筋書きは、ある種セイアの専門でしたから」
「それは確かにそうですね。……ですがエルさんもセイアさんとは『同じ』であると聞いています。詳細な内容までは把握していませんので、ご説明を頂けると嬉しいのですが……?」
「誰から聞いたのか分かりませんが、それにはいくつか誤謬がありますね。大前提として僕に未来を視る力なんて無いですし、事前準備については統計学からの推測に過ぎない……」
「と、言いたいんですが何事にも例外はあります」
「やはり……」
「先にナギサさんが何処で聞いたのか教えて頂いても?」
「……これは別に誰かから聞いた訳ではありません。今までのエルさんの動きとセイアさんからの情報を併せた私の推察です。お気付きだとは思いますが、エルさんの行動を監視する者を何名か常に付けていました」
「……それで、何か成果は得られました?」
「殆ど無駄足と言って良いでしょう。……第二次特別学力試験の際にも見失い、結局あの別館にいる時くらいしか正義実現委員会のメンバーを使っても監視できなかった」
「ならば私達には認識できない何かがあるのではないかと、そう考えました。その中でセイアさんとの関係を踏まえた時に、何か繋がりがあるのでは無いかと」
「……強ち間違いではありませんね。僕も未来を視た事はありますから」
「やはり……ですが、正確には違うと?」
「はい。僕が未来を視る時、その内容はセイアと全く同じモノになります。イメージとしてはセイアの未来視と僕が同期していると思えば分かりやすいかと」
「つまり、エルさん自身には未来を視る力は無いと……」
「それに同期しているとは言いましたが……基本、一緒に寝た時くらいにしか起こりません」
「……では、当初の試験問題の内容をピンポイントで抑えて勉強をしていたのは単なる偶然という事でよろしいでしょうか?」
「ええ、偶然ですよ。……先生の山勘もですが、みんな飲み込みが速くて優秀だったので山は張っていたんでしょうね」
「先生の影響ですか。指揮が優秀なのは聞いていましたが、本来の先生の役目というのもお手の物でしたか」
「……ところで、トリニティの方は大丈夫ですか? エデン条約機構にミレニアムの生徒会が関わることに、否定的な生徒も多いとは思いますが」
「その件についてはご心配に及ばないかと。セイアさんが直接推薦した事もありますし、ゲヘナと正面から対立した時の事も考えてなのか、みなさん肯定的でしたよ」
「パテル派も納得しているのは、少し意外ですね。過激派な生徒も多いので何かと問題も多いと思いましたが……」
「他の分派と比べれば問題も発生しましたが、セイアさんが根回しを済ませておいたようで……やはり、エルさんも聞かされていませんでしたか」
「秘密主義とまでは行きませんが、何かと隠して抱えたがる人間ですから。……まぁトリニティでは一番普遍的な在り方なのでとやかく言うつもりもない……いえ、もう言えませんし」
「あと、時間も良いので戻りますが裏切り者は一人とは限らないのでこれからも警戒は怠らないように……」
「……もちろんです。例え誰が相手でも遅れは取りません」
「それなら良かったです。セイア亡き今、僕が頼れるのはあなたしかいませんから」
「……そうですね。明日の夜には結果も出ます。今は自分の身を案じる事にしましょう」
「では、お気をつけて」
「……エルさんもどうか、ご無事で」
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「……エル、しばらくはトリニティから離れた方がいい」
「……予定より早いな。戦力の大半を使う作戦をこのタイミングで仕掛けてくる理由がいまいち掴めないんだけど」
「私も詳しい事は分からない。……けど、このタイミングで来るって事は裏で何かあったはず」
「……スクワッドは動くか?」
「聞いた感じ表には出てこないらしい。前にアリウスに襲撃者が来たみたいで、防衛用の戦力として残る事になったって」
「……そっか。……それで、決行時刻は?」
「……明日の午前9時頃」
「試験の開始時刻と同じだな。…………へ!?」
「私は試験を受けられない。エデン条約の締結にはナギサが必要だから。それに、エルも居ないと調印式は成立させられない」
「出来ればエルにはナギサを連れて逃げて欲しい。……スクワッドが増援に来たとしてもエルなら数年はどうにかなる」
「それだとトリニティが先に崩壊する。……それに裏切り者は一人ではない。必ず何処かに潜んでる。或いは既に知っている誰かの可能性もある」
「……取り扱えず、皆に伝えてくる。エルの事は伏せるけど私の事は正直に話す。元々は裏切り者を切り捨てる為のものなら、裏切り者が見つかれば皆は退学せずに済むはずだなら」
「もう私はここに居られないけど、条約の締結さえ出来ればアリウスにも勝てる。ここさえ凌げばエルの目的も……」
「……分かった。先にいってくるといい」
「そうだな……言ってくる」
「行ってらっしゃい」
「……
「……言葉の本質は外野に伝わらず、文字は言葉の本質を示さず、価値観は主を以て語る。……はあ、客観で全てを為せたら楽なんだろうが……」
「否、翻訳とは平凡と歴史的な価値観を踏まえて、どの階級の者が遺したか。大切なのは言葉を紡ぐ人そのもの」
「
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「……なるほど。この間にエルさんは下準備を行っていると。しかし、エルさんもナギサさんと同じように標的になる可能性もありますね」
「ならエルを囮にすればいい。ナギサと違ってエルは戦闘もそれなりにこなせる」
「え、ええと……エルさんはそれで大丈夫でしょうか?」
『問題ない。最悪でも体が動く程度なら、調印式に出れるから諸共吹き飛ばしても構わない』
「いや、何言ってんの! 防衛目標を吹き飛ばすとかそんなの自爆じゃない!」
「……まさか、前衛を請け負うつもりですか!?」
『勿論。アズサ程じゃないにしても戦闘には慣れてる……先生なら僕が前衛でも問題ないって分かりますよね?』
"……エルなら被弾する事は無いだろうけど、自爆覚悟はダメ"
『あ〜、あんまり真剣に捉えなくて良いですよ。後衛が躊躇う必要なく撃てって言う意味です。当たりそうなら避けるので』
「味方から撃たれた銃弾って避けれるものでしょうか?」
「無理に決まってるでしょ!」
「……いえ、エルさんには前衛をお願いしましょう。敵もナギサさんがダメとなれば自然とエルさんを次の標的にする筈です」
「私が聞いた話だとエルが標的にならなかったのは、行動が読めないからと言うことらしい。だから狙えるならエルに切り替える可能性も十分にある」
「ひとまず、ナギサさんの居場所から突き止めましょうか」
「その間に今あるトラップを一通り仕掛けてくる」
「私も武器の準備を……」
『それじゃ、一旦切る。また後で』
戦闘描写について……
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今まで通り、会話と思考だけの描写
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身体の動きや銃撃の表現を入れた描写