「……では、ミカさんはこちらで連行します」
「はい、お願いします」
「エルさんも本当にお疲れ様でした。……後の処理はシスターフッドが請け負うので安心してお休みください。連絡は……以前交換したモモトークにお送りしますね」
「分かりました。……また、エデン条約の後にでも一緒に探してみましょう」
「そうですね。私も探索に向けて準備を進めておきますので、その時は案内人をお願いします。……エルさんのこれからに安寧があらんことを」
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「な、なんとか無事に終われましたね」
「何言ってるのヒフミ、ここからがスタートだ」
「……はい?」
「あー」
「そ、そうでした。試験が……」
「こんな事があったんだから……その、延期とかないの?」
「以前の事を考えれば難しいかと。それにティーパーティーも現在は動ける人がいませんし……」
「早く行かないと試験に遅刻しちゃいます!」
「……どうやら、お困りの様だね。良ければ乗っていくかい?」
「いいんですか!? お願いします!!」
「……!?」
「あら、ではお言葉に甘えて」
「あ、ありがとうございます……」
「アズサちゃんも早く!!」
「……そうだね。急ごう」
"……エル? "
「ちょっと車を持ってくるのに手間取ってしまいましてね」
「先生、急いで」
"ごめん、すぐ乗るね。……第19分館まで……最速でお願い"
「……その要望、確かに承りました」
「あっ! 確かにエルさんです。全然気が付きませんでした」
「いや、なんでティーパーティーの制服を着てるのよ!」
「やはりエルさんにも、そういったご趣味が……」
「ないない、流石にこれは動きにくすぎる。と言うかやはりってなんだよ」
「以前エルさんのお部屋を覗いた時に、化粧品や可愛らしいアクセサリーが置いてあったのでてっきりそうなのかな〜と」
「あ〜、あの時か」
「戸棚や机上に色々と置いたままにしてあったので……」
「タリアテッレの時だな」
"ボロネーゼ美味しかったよね"
「うん。すごく美味しかったから、また作ってほしい」
「また一段落付いたら作ろうか。……しばらくは、忙しくて時間も取れないから」
「それじゃあ、約束だね」
「指切りでもしたいところだけど、今は口約束で勘弁な」
"それでエルはどうしてティーパーティーの制服を……? "
「それ普通は忘れるところでしょう。はぁ……まあ良いですよ。車を取りに行くのにこの格好が必要だったんです」
「元々この車はセイアのなんですよね。今は譲り受けたので、僕の名義でもあるんですが……」
「暗殺騒ぎによって、トリニティの車庫に置かれたままだったんですね」
「そう、前にゲヘナ行くのに使った車は廃車になったから手元になくてね。……取り扱えるこの辺りで良いか」
「もう着いたんですか!?」
「あそこが第19分館です。……僕は会議があるので後は先生にお任せしますね」
"
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「……!?」
「……ああ、すみません。空井エルです」
「あ、エルさんでしたか。てっきりティーパーティーの方々に見つかったのかと……」
「驚かせてすみません。……取り扱えず、日用品は一通り買ってきたので冷蔵庫に入れておきますね。……他に、何か必要な物はありますか?」
「いえ、問題ありません。ここには様々な種類の物資が備蓄されていましたので……特に、医療器具に関してはD.U.の病院と遜色ない水準で管理されてました」
「以前は聞けませんでしたが、どうしてここまでの設備を?」
「……元々、ここは倉庫なんです。今はあまり使ってませんが、中等部の頃に集めた物は幾つかの場所に保管してあります」
「つまり、ここは医療器具の倉庫という事ですね。……幾つか見慣れない薬剤もありましたが、こちらはエルさんが調合したものでしょうか?」
「自分用の物であれば調合してますが、ここにあるのは山海経の方から仕入れた物です。錬丹術研究会で作られた薬品は何かと類を見ないものが多いので……」
「ついつい集めてしまうんですね。……私も色々な医療品を集めているので、その気持ちよく分かります。最近は状況も落ち着いてこの施設を見て回っていたんですが、自然と……心が躍ってしまいます」
「楽しんで貰えてる様で良かったです。……気になるものがあれば好きにつかってください。元より使う予定もなく仕舞われていた物ですから」
「……では、ご厚意に甘えさせて頂きます。……ところで、エルさんはどの様な薬剤を調合しているんですか?」
「本当に自分用のものですよ。……こうすれば分かりますか?」
「……およそ人の温もりとは言えませんね。……本来なら生命活動も停止している体温ですが……エルさんは今までに熱が出たことはありますか?」
「記憶にある限りでは無いですね。昔から風邪をひくことも無かったので……念の為に薬剤の調合はしているんですけどね。……もちろん専門家の同伴ですよ?」
「それなら安心です。……ですが、この様な症例はやはり聞いた事がありませんね。また、お時間がある時で構わないのでエルさんの状態について聞かせてください」
「今後は救護騎士団で治療を受ける事も考えられますし、今回のような事が起きないとも言い切れません」
「でしたら……確か、この辺りに…………」
「地下室……ですね?」
「倉庫みたいなものですよ。……え〜と、……あった。これは僕の体質や薬品との反応をまとめたデータです。主要なものはまとめてあるので、活用してください」
「後で確認させて頂きます。……それとセイア様の容体についてですが、現在は比較的落ち着いています。……しかし、昏睡状態から戻らないのは問題ですね」
「……昏睡については暫くすれば起きますよ。時期的にはエデン条約の調印式が終わった後くらいでしょうか」
「……一体、調印式とセイア様の昏睡にどのような関係が?」
「セイアの昏睡は要するに不貞寝ですよ。……もちろん、ここまで長いのは初めてですけど偶にありましたから」
「心身の不安による現実逃避……そして現状もっとも大きな不安要素が、エデン条約の締結であると。その理屈なら確かに、セイア様が目覚めるのはエデン条約の調印式が終わった後と考えられますね」
「なので、一旦はそこを目安にお願いします。……まあ、こちらから何かできる訳ではないので、起きるまで待つしか無いんですけどね」
「今はその仮説を元に、私の方でも準備を進めておきます。現状のティーパーティーでは、トリニティをまとめる事は難しいでしょうから」
「賢明な判断だと思います。ある程度なら支援できるので、何か困った事があれば伝えてください。特にトリニティの存続に関わる物であれば僕にも責任がありますから」
「……先の事を考えるのも大切ですが、エルさんはまず、エデン条約の調印式を無事に終えてください。救護騎士団が政治に関わってこなかったとは言っても、トリニティでの在り方は理解しています」
「少し杞憂な話でしたね。……時間も頃合いですし僕は一度、トリニティに戻ります。いつまでになるのか分かりませんが、セイアの事はお願いします」
「はい、お任せください。……エルさんもお怪我のないようにお気をつけて」
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「……空井エル、以前調べた際にはこの様な戦闘が出来ると言う情報は存在しなかった。それに、武装にSRTの校章が刻まれた物も散見できた事を考えると連邦生徒会長との繋がりも一概には否定できません」
「空崎ヒナや剣先ツルギほどとは行かないまでも、相応の戦力をぶつけるように……。また、スナイパーではなくサブマシンガンの様な武装で盤面を制圧してください。飽和攻撃で無ければ恐らくは弾薬の無駄になるだけでしょう」
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「リーダー、一人に対して飽和攻撃ってホントなの?」
「実際に出向いた部隊の話だが、弾道が見えている様に回避行動を取ってくるらしい。狙撃に関してはそもそも射線に姿を見せないことからSRTの兵士という可能性もある」
「また、めんどくさい相手が増えたね。……まあ、やるしか無いけど」
「狙撃地点がバレているのは怖いですね。もしかしたら先に罠を仕掛けられてるかもしれませんよね?」
「その可能性もある。ビル一棟を容易に吹き飛ばした情報もあるんだ。注意は怠るなよ」
【エデン条約編2章】これにて閉幕
次回、掲示板回
戦闘描写について……
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今まで通り、会話と思考だけの描写
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身体の動きや銃撃の表現を入れた描写