「……これ来なくても別によかったな」
辺りを見回すと蹴散らされた不良生徒の山があった。そしてサンクトゥムタワーへと入っていく大人の姿に戦闘を終えたばかりであろう4人の生徒の姿を見つける
「ユウカ~大丈夫そうか?」
「エル!? いや支援は頼んだけど早かったわね」
「それはいいんだよ…………ああ、各自地区の治安維持組織の方々が集ってたんですね」
「お久し振りです、エルさん。最近は治安の悪化の影響で閃光弾を使う頻度が増えたので助かっています」
「いいですよ、以前は色々と手伝って貰いましたから。それと自己紹介を。セミナーの空井エルです」
「私は正義実現委員会所属の羽川ハスミです。スズミさんから話は伺っております」
「エルさんはセミナーの人だったんですね。セナ部長と話していることが多かったのでてっきりゲヘナの方なのかと」
「チナツは僕のどこにゲヘナの混沌を感じたんだよ。別にセナとは事故で道端に倒れてたとこ拾われて、そこから交流が盛んになっただけだから」
「そこからセナ部長と車体を傾けるような運転をするようになってたんですか!?」
「あれくらいの運転なら、トリニティでもやってる奴いるから」
「いえ、トリニティで危険運転を行う生徒などいるはずがありません。仮に居るのであれば我々で取り締まっているはずです」
「……証拠がないうちは証明もムリだしな……忘れてくれ」
「エルの乗り物って安全性の面より性能を取り敢えずで乗せてから考えてたわよね?」
「公道走らせるのは安全だし、安全機能が不足してるのは基本的に自分で試してるから…………」
「…………まぁ、いいです。私はシャーレの事について問いただしたりと……連邦生徒会と話すことが残ってるから遅くなるわ……ノアも聞いてたでしょ?」
『分かりました。それと今日のお仕事は終わらせてありますので、エルさんはゆっくりお休みください。折角D.U.にいるんですし、SRTの妹さんに会いに行かれては?』
「そうだね……助かるよノア。それじゃあ二人ともまた今度」
「エルも気を付けて」
そうして言葉を交わせばバイクへと乗り込み、サンクトゥムタワーを後にする
(SRTに関しては下見も要らないし、先生の動向追うことにしようか。指揮能力からして普通に厄介な変数足りえるだろうし)
───────────────────────
「……そうですか。サキのお兄さんが手伝ってくれるんですね」
「ああ、明日の3:00くらいにはここに着くらしい」
「それなら、テントの準備をして拠点作成に取り掛かりましょうか」
「くひひっ、いよいよ始まるんだね……」
テントを張り地雷を埋め、子ウサギ公園を拠点へと作り替えていくRabbit小隊が準備を終える頃には日が回り深夜帯となっていた
「お疲れさまでした。取り敢えずこれだけ準備すれば問題はないでしょう」
「それじゃあ私は寝させて貰うね~」
「はい、ミユも今の間に睡眠を取ってください」
「…………わかりました」
「それではサキ、今夜は私たちが見張ります。不審な人物が居た場合の対処は覚えていますね」
「覚えているとも。それに侵入者がいても誰一人通さない罠を…………………………」
「……? どうかしましたか、サキ」
「なぁ、ミヤコ。誰一人通さないんだよな」
「そうですね。サキもそう言ってたじゃないですか」
「つまりさ、私たち以外は罠に掛かるよな」
「なにか問題が…………あ、」
「兄貴が来るってこと忘れてたよな……」
「サキのお兄さんは特殊部隊の人だったりしますかね?」
「運動神経は良いけど、ミレニアムのセミナー……生徒会の役員だな」
「……いつ頃来られると仰ってましたっけ。まだ2:00ですから急げばどうにか」
「3:00頃…………いや『思ったより警備薄かったから2:30過ぎには着くと思う』って」
「急いで子ウサギ公園の外で待つように連絡を」
「そうだな、兄貴に待っておくように伝えて……」
「待っといた方がよかったかな? サキ」
「そうだな、兄貴は罠に掛かるだろうから子ウサギ公園の外で待っていて欲しい」
「…………あの、サキ。あなたは誰に話しかけてますか?」
「そりゃ、兄貴……に………………!?」
「二人ともこれから夜の見張りでしょ?」
「いや、そうだけど。なんで兄貴がここに居るんだ?」
「SRTの警備薄かったから、予定より一時間くらい短縮できてね」
「そうではなくて、トラップをかなりの数用意してあったのに一つも掛かった様子がないので……」
「地雷は土を掘り返した跡を避けながら来たから特に問題はなかったよ」
「確かに埋めたばかりでは少々分かりやすいですね。ですが地雷を避けた先にワイヤートラップも準備してありましたよね?」
「なぁ、もしかして兄貴ってあのワイヤー認識できるのか?」
「普通にワイヤーが張ってあるから罠かなって思って避けてきたけど」
「……取り敢えずサキのお兄さんが罠に掛かることもなかったので、よかったと言うことにしておきましょうか」
「そうだな。それで装備は回収できたのか?」
「兵器庫から弾薬とかの消耗品を集めてきた。他には医療器具と工具箱を一式」
「兵器庫から持ち出してくるとは…………ですがあそこは鍵が掛かってませんでしたか?」
「ミレニアムが電子ロックが程度で止まるかと言うとね……」
「なら普通の鍵の方はどうしたんだ?」
「ピッキングしただけだよ。昔から目が良くてね、鍵穴を見れば鍵の形状が大体は把握できるんだよね」
「まるで怪盗ですね……」
「やってることは怪盗と一緒だろ。それこそ兄貴が"慈愛の怪盗"だったりしてな」
「それはないな~、慈愛の怪盗は芸術への造詣が深かったからねぇ」
「……なぁ、これはどっちだ」
「荷物の配送したら慈愛の怪盗が居ただけ……」
「…………サキ、ほんとに大丈夫な方なんですか」
「兄貴はなんやかんやで、完全に黒なやつはやらないから大丈夫なはずだ」
「取り敢えず設備の案内をお願いできるかな、ミヤコ小隊長」
「そうでしたね、太陽光パネルと配線はこちらのテントにあるこの機器の…………
そうして機器のあるテントへと案内されれば、太陽光パネルやバッテリー、専用のコードを繋げていく
「…………大体こんなもんでいいかな。二人が手伝ってくれたから想定の半分くらいで終われたよ」
「いえ、エルさんの指示が的確だったからですよ」
「そう言えば、兄貴が配線とか組んでるの久しぶりに見たな」
「最近まではセミナーの仕事が忙しくて、基本的に外注する感じだったからな」
「あとニュースで先生って言う大人がシャーレってところに就任してたけど、ほんとだったんだな」
「そうだな、調べて分かったんだけど先生に与えられてる権限はちょっとまずいかも知れないかな」
「確か超法規的機関でしたよね。文字通りに受け取るなら一人の人物に与えていい権限の域を越えています」
「ただ先生本人を見たことがあるんだけど、ヘイローが無い大人だった」
「ヘイローがない、ですか」
「まぁ、何かしらの対策はあるだろうけど肉体に銃弾でも撃ち込めば死ぬだろうね」
「つまり兄貴は何が言いたいんだ?」
「権力者が暴走しても、止めるのは簡単ってこと」
「だからこそ、今は様子を伺うと言うことですね」
「権限を考えれば、SRTの復興を目指せる可能性もあるだろうけど、先生の人間性次第かな」
「…………あれ? この人がサキの兄さん?」
「そうですよ。それに先ほど発電機の準備も終わったので、電気周りの設備も本日から通常通り行えるはずです」
「いいね~、あと見張り交代の時間だからあとは任せてよ」
「そうだったな、もう交代の時間か」
「そうですね、私達も睡眠を取りましょう」
「あとこれから後の支援は僕が直接やると、ミレニアムとの政治問題とかになり得るから余り手伝えないから、ごめんね」
「これだけの装備があれば充分ですよ。不安要素の電力も賄えてますから。ここまで舞台を整えて頂けたんですから、SRTの名に懸けて必ず学園を復興させて見せます」
「良い報告が聞けるのを待ってるよ、ミヤコ小隊長。それにサキも週一くらいで連絡はしてよ?」
「分かってる。でも、これ以上兄貴に迷惑を掛けるのは嫌だからあとは自分達でどうにかする」
「ならこれを渡しとこうか、太陽光パネルのマニュアルみたいなものだよ。内部構造から一通りの修理方法もあるから、メンテナンスも簡単に出きると思うよ」
「ありがとうございます。エルさんも何か困ったことがあればRabbit小隊にご連絡ください、できるだけお手伝い致します」
「それじゃあ、四人とも頑張ってね」
「エルさんもお気をつけて」
そうして公園から去るエルを見送りながらテントへと戻り、影に潜むウサギと破滅願望者は周囲の索敵を始めた
書いてる途中にくしゃみをした回数は17回でした。3年前から引きずってる症状ですが今年は過去一ですね