「……? エルさんでしょうか」
「はい、少し急ぎの用件がありまして……」
「……アリウス分校の事ですね」
「伝わっていましたか。それなら早速本題に入りましょう」
「この場所はあまり機密性には優れていないのですが、大丈夫でしょうか?」
「問題ありませんよ。こんな夜中にトリニティを徘徊している人なんて居ませんから。……それに聞かれても大した問題ではありませんしね」
「それでしたら、伺いましょうか。用件をお願いします」
「単刀直入に伝えると、アリウス分校の制圧に向かいます」
「……確かに、攻め込むならあちらも疲弊しているこの時期が最適ではありますね。私の方からもティーパーティーに進言しましょうか?」
「ぜひ、明日の朝にでもお願いします。……あと、少し泊めて頂いても良いですか?」
「あ、以前から使われていたホテルが襲撃で壊れたんでしたね」
「爆破解体の様な状態ですからね。普段は一部屋を常に空けて貰ってたので、その時の癖で予約を忘れていたんです」
「日頃の経験ですから。トリニティに泊まられる時はいつも使われていましたもんね」
「……そうですね。誰にも話した事はありませんが、結構気に入っていましたから」
「…………今の事は忘れて頂けると助かります」
「情報は大切ですからね。……今日の宿代としてお願いします」
「私の部屋で構いませんか?」
「問題ありません。……明日の朝も早いですし、早速向かいましょうか」
「……案内する必要も無さそうですね」
「情報は大切ですから。……それと細かい用件は部屋に着いてからにしましょうか」
「……! そうですね」
「……少し手をお借りしても?」
「それは構いませんが……明かりならここに……」
「いえ、近道をしようかと。……少しだけ目を閉じて、身を預けてください」
「……ええと、このまま進めば良いんでしょうか?」
「信じて歩みを進めていただければ、直ぐに着きますよ。目を開けてください」
「……!?」
「近道だったでしょう? ……さて、ここから先は家主にお任せします」
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「……ナギサさんもいらっしゃったんですね。てっきり待機しているものかと」
「本来ならツルギさんやハスミさんに全て任せますが、今回は事態が事態ですからね。組織の長が出なければ示しが付きません」
「なるほど。……ミカさんはナギサさんの護衛ですか?」
「大体そんなところかな? ナギちゃんがどうしても行きたいって言って聞かないから、私が来たの」
「正義実現委員会への指揮権も一部は譲渡していますが、場合によってはミカさんをお連れしても問題ありません。カタコンベの通路からして少数精鋭での攻略が求められるでしょうから」
「それにエルくんが今回の攻略の要だからね。たしか……なんだっけ? 空気の流れからアリウス分校まで行くんでしょ?」
「まぁ……それも一つではありますね。正確にはキヴォトス全域からカタコンベ周囲の座標と近辺の不確定領域を照らし合わせておいたので、これから歩測しながら進むんです」
「ミレニアムの子って歩測なんて使うんだ。てっきり最新鋭の計測器とかそういう感じの持ってきてると思ってた」
「論文や資料作りをするなら使いますけど、今回は僕が使うだけの度量衡ですから。……それに、次にカタコンベを移動するなら正確な地図もあるでしょうしね」
「……ところで、ここに来てから結構待ってる気がするんだけど何時になったら出発するの?」
「役者が揃ったら……あ、ちょうど来ましたね」
"みんな早かったね。まだ集合時間の30分前だよ? "
「ああ、それは先生だけです。下手したら1時間前から来かねないので30分ズラして連絡しました」
「おはようございます、先生。改めて本日はアリウス攻略戦への協力ありがとうございます」
「昨日の今日ではありましたが、あまり時間を取らせるつもりはないので業務についてはご安心ください」
"時間については気にしなくても大丈夫だよ。私が頑張ればいいだけだからね"
「どちらにせよ、決着はすぐに付けます。目指すはアリウスの生徒会長、ベアトリーチェの制圧です」
"……私はどうすれば良いかな? "
「ここで待機……いえ、一緒に来て貰いましょうか。悪い大人の相手は大人に任せるべきでしょう?」
"私に任せて! "
「では、ミカさんに護衛をお願いしましょうか」
「え、私?」
「僕は先導しないとですし、元々の人員は制圧にあたる陣形で準備してましたから。シールドなら僕の物を使ってください」
"よろしくね、ミカ"
「え、ええと、うん! 私に任せてよね!」
「それでは私は指揮に戻ります。……よろしくお願いしますね」
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"迷路みたいって聞いてたけど……あれが出口? "
「……そこに見えてるのが多分、アリウス分校の正面入口」
"あれが……"
「……では、ツルギ委員長。ここからはお願いします」
「出入り口の占領、及び敵の陣形の破壊で良いですね?」
「はい、制圧次第僕が拠点を作り後続を呼び込みます」
「……敵は目の前だ!」
「続けー」
「行くぞー」
「……さて、僕は後続を呼び込んで来るので少し離脱します」
"気を付けてね"
「では、指揮はお願いします」
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「直通の道案内を始めようか。後ろで正義実現委員会が動いてるから時間はある」
「そうか。準備してくれてたんだな」
「復讐は何も生まないって言うけど、負の連鎖には何処かで杭を打たないといけないからな。この通路はその為に作っておいた」
「いよいよなんですね……」
「一つ聞きたいんだけど、アツコを連れてきて良かったのか?」
「私が行きたいって言ったから。……こうなったらマダムに引導を渡すのが今の私にできること」
「いい心構えだな。次期生徒会長としての器が伺える」
「……わざわざ抗議文まで作る必要あったの?」
「クーデターは相手が要求を飲まなかった時に使う強硬手段だからな。それに、クーデターの方が後始末も楽になるしな」
「……ここから先の案内は不要だな?」
「ああ、十分だ。すべて終わったら、必ずこの恩は返そう」
「……取り敢えず、僕は後続部隊を連れて制圧する。終わったら信号を送ってくれ」
「了解」
「アズサにもよろしく伝えてね」
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「……よっと、これくらいで良いかな?」
「はい、救護テントの設営を手伝ってくださりありがとうございます」
「本当は前線に出向きたかったんだけど、同期に止められてるからな。まぁその分、できるだけの事はやらせて貰うけど……」
「お気持ちは有難いですが、エルさんは作戦の開始からずっと動かれていることですし少し休まれては如何ですか?」
「……そうだな、しばらく席を外させてもらう。占領区域の土地について調べるだけだから、何かあったら呼んでくれ」
「皆さんには私から伝えておきますね」
「よろしく頼むよ」
「はい、後の事は救護騎士団に任せてください」
「……ミレニアムの方が研究熱心というお話しは本当なんですね。……?」(さきほど校舎の方で上がったのは信号弾でしょうか?)
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「終わったみたいだな。……それじゃ、改めて問おう」
「アリウス分校新生徒会長、秤アツコ。……エデン条約機構との戦闘行為をこれにて、取りやめとするか?」
「……これで終わりにする。縛られるモノは増えるかもだけど、みんなが苦しまないでこれからも行けるだろうから」
「そうか。……それじゃあ、事態を閉幕に持っていこう。少しだけ待っててくれ」
「私たちが付かなくても大丈夫なのか?」
「問題ない、地の利も練度も情報も……全部僕が上回ってる。それに陣形を崩せば正義実現委員会が一瞬で片付けてくれるからな」
「……あ、それとクーデターは当事者だけで行うことが一般的だから自分達で考えたって証言してくれ。次は会談の時にでも会うことになるだろうけど、記憶は消しておけよ」
「了解だ。次に会った時は初対面として応対しよう」
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「増援の到着を確認。このまま押し切りましょう」
『了解。……先遣部隊はこのまま陣形に穴を開ける!!』
"ツルギが壊した陣形を組み直されないように、集中攻撃。その間に残りは展開して逃走を防いで!! "
「少し休んでいる間に、大きく盤面に変化が起きているみたいですね」
「さっき信号弾が上がったんだけど、それから急に陣形が崩れ始めたんだよね〜」
「信号弾ですか。……何かの合図でしょうかね? まぁこのまま押し切って制圧完了ですし、今のうちにアリウス自治区の復興支援について考えておきましょうか」
「ミレニアムみたいに特別な機械とかないけど、こんな状態からどうにかなるの?」
「まぁ学園生活を送れる程度になら数日で行けますよ。……ツルギ委員長次第の面もありますが、校舎も修繕という形でどうにかはできるかと……」
「……エルくんがそこまでするメリットってなにかあるの?」
「それ聞いちゃいますか……」
「あんまり政治について詳しい訳じゃないけど……他の学園のことにここまで付き合うのなら、それなりに理由がないとおかしい事くらい分かってるよ。ナギちゃんは前の事もあって疑うことも少なくなったし、それなら私が聞いておこうと思ってね」
「政治に詳しくないと言うなら、もうちょっと気付かないでほしかったですね。まぁ、良いですよ。そこまで秘匿性が高いものでもありませんから」
「……僕ははっきり言って、自分にとって有益なら基本的は何でも使うタイプの人間です。それを悪と定義づけられたとしても、利用する事に躊躇いのない……立ち止まれない人間です」
「アリウス自治区には何かが眠ってるように感じました。理論的ではない神聖な雰囲気です。それを知るにはデータを観測するだけでは足りない。
「つまり、アリウス自治区の研究をしたいってこと?」
「短絡的に言うならそうです。それに、技術の発展には実際の経験も必要ですから。自治区の復興技術もここで蓄えようと言うことです」
「何だか普通だね。もっと悪い事でも考えてると思ってた」
「別に外道ではありませんからね。……そろそろ最前線が校舎に着くみたいです」
「先生も行くみたいだし、私も行ってくるね」
「お気をつけて」
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『ん〜〜〜、うへぁ〜。……疲れた。…………サクラコさんも態々お疲れさまでした』
「エルさんの方こそ、お手伝い頂きありがとうございます。これでカタコンベの形式をこちらから調整できるんですね?」
『はい、サクラコさんでも大体の調整は可能なはずです。マニュアルはお渡ししておくので、他になにか困った事があれば連絡してください』
「……では、次に合うときは付き添いをお願いします」
『ええ、探索に行きましょうか』
戦闘描写について……
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今まで通り、会話と思考だけの描写
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身体の動きや銃撃の表現を入れた描写