「警報装置の破壊が目的かな。一旦隠れるよ」
「ほらハルカもこっち」
「は、はい」
「停電は復旧したな、……あの制服は」
「……アビドス!?」
「…………トリニティ!?」
「……理由は分からないけどトリニティがアビドスに協力してる感じかな」
「…………てかあの大人は誰だ。銀行強盗を止めるでもなく共謀してるの社会的にダメだろ」
「多分……先生だね。連邦捜査部シャーレに就任した大人」
「……もうキヴォトスはダメかもなぁ」
「でもカイザーみたいな悪い大人ってよりかは、正義感が強そうな大人に見えるかな」
「銀行強盗やってる時点で擁護できねぇよ。……手慣れてんな」
「あれってライトくんの持ってきたカバンじゃない?」
「そう言えばカバンを返して貰うの忘れてたな」
「と言うかアルちゃんの目がキラッキラだよ!」
「まだ五分しか経ってないのに、金を持ち出して撤退した行動の的確さはやっぱり先生の手腕かな?」
「……アル様が追い掛けて行っちゃいました!?」
「見失う前に追い掛けないと。行くよ!」
「覆面水着団はこれブラックマーケット抜けようとしてるな」
「よく分かるね。気付かないうちに発信器とか付けてた?」
「カバンの方に元から付いてる。あとマーケットガードが構えだしてる、迂回していこう」
「それもそうだね、先導をお願い」
「任された。……上から行こうか、今の警備の展開なら屋根を乗り継いだ方が安全だな」
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「屋根の上を走るなんて面白~い。しかも道みたいだよ!」
「ここは僕の専用通路だからな。……そこは飛び越えてくれ。あれならこっちで受け止める」
「それじゃあ行くよ~…………ジャ~ンプ!」
「っ……、思いっきり突っ込んできたな。ほら二人も」
「い、行きます!」
「おっと、大丈夫か?」
「はい、ありがとうございます」
「ムツキ……そっちも行けてるな」
「うん、引き続き案内をお願い」
「あとは道なりに……ブラックマーケット抜けた辺りで止まってるみたいだな」
「急ぐよ、社長を一人にしたら何が起こるか分からない」
「あと、こっちは用事があるから出来たらカバンは回収しておいてくれ」
「分かった。カバンはどうにか回収しておく、あとは任せて」
「ライトくんここまでありがとね~」
「ありがとうございます」
3人はアルの元へと駆けていった。そして覆面水着団が持っていた現金の入ったカバンを手に入れた
「これ、一億くらい入ってるよ」
「…………へ?」
「すごいねアルちゃん!」
「流石ですアル様!」
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「うぅ、さっむ」
「あれ? エ……じゃなくて、ライトじゃん。久し振りだね」
「シグレか。丁度よかったよ」
「もしかして左党?」
「赤が6、白が4、蒸しが3、あとは1」
「豊作だね~。次の保管場所はこっちだよ」
「今日は吹雪いてなくて良かったよ」
「そう言えばライトがこの時間帯に来るのは珍しいね。何かあった?」
「条約の根回しってところかな。あと、銀行強盗が起きたってのもあるか」
「大忙しって訳だ。運び屋が儲かってるみたいで嬉しいよ」
「万が一廃業なんてなったらここにあるのはオークションにでも流さないとな」
「改めて聞いてもよく思い付いたよね。レッドウィンターの雪の下で保管しておいて、希少価値を上げるなんて」
「シグレが居たからこそだけどな。こうやって一部の奴を渡しす代わりにこの辺りの専門家の力を借りれるんだから」
「場所はここでいいかな。それじゃあ埋めるよ」
「ここからは専門家に任せるよ」
「りょうか~い。そう言えばライトの見積もりだと一つどのくらいの予定なの?」
「少なくても30は行けるかな。前にゲヘナの方にも卸してたもんね」
「美食研究会だな。ワイン煮込みハンバーグを食べたいとかで始めに来たかな? 今でもちょこちょこ買って貰ってるよ」
「それはよかった。ライトが儲かれば私達も生活しやすくなるからね」
「この極寒の地で物資不足は生命に関わるところだからな」
「いやぁ、一時はどうなるかと思ったけどライトが手伝ってくれるお陰で思いの外、快適に過ごせてるからね」
「ほい、これで最後」
「あとは軽く雪を掛けて目印も立てたから、戻ろうか」
「そうだな。日用品類も買ってきて置いたからから、着いたら確認しててくれ」
「うん、ありがと。……それと今夜から明日の朝に掛けて吹雪きそうだからうちの校舎で泊まっていかない?」
「そこまで言うってことは結構強い感じかな?」
「私一人ならどうにかってくらいかな」
「ならお言葉に甘えさせて貰おうかな。シグレがそこまで言うなら相当だろうし」
「よかった。それじゃあ吹雪く前に案内するね」
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山よ雪道を進むにつれ陽が落ち足元に闇が差す。少し先を見やればそこには旧校舎が建っていた
「とうちゃ~く。いやぁ、間に合ってよかったよ」
「もうちょい厚着しとけば良かったな……」
「シグレちゃんにエルさんもいらっしゃったんですか!?」
「久し振りだな。連邦生徒会長が失踪して、治安悪化して事務処理に忙殺されてたよ」
「それは大変でしたね」
「あと、夕飯はまだだよな?」
「これから作る予定です。……もしかしてエルさんの料理が食べられるんですか!?」
「察しがいいな。それで、何か食べたいものはあるか? 手元の食材で出きるものなら作るよ」
「…………いきなりそう言われると出てきませんね~」
「そうだ、来る時に言ってたハンバーグのワイン煮込みとか食べてみたいなぁ」
「ハンバーグですか、いいですね!」
「なら早速作るか。…………え~と、前に置いてったまな板と包丁と鍋ってあるか?」
「それなら確かここに~、はい、これだね」
「じゃあ調理はこっちでしとくから、持ってきた日用品の確認をしててくれ」
「こんなに沢山……いつも、ありがとうございます」
「それじゃあ料理はお願いね~」
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「うぉぉ……高そうなものが……」
「……プリンだね。しかもトリニティの高そうな奴」
「これ、しかも六つもありますよ!」
「こんなに出てくるとはびっくりだなぁ」
「うぇへへ、六つもあるなら皆で二つずつ食べれちゃいます」
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空は暗く都市部のような明かりがなく、ミレニアムでは見ることの少ない星空を見上げながら食事を始める
「…………エルさんの料理はおいしいですねぇ」
「ワインで煮込むとこんな味になるんだね。いやぁ、高級店にでも行かないと食べれない料理が食べられて幸せだね~」
「そう言って貰えて良かったよ。ワイン煮込みなんて実際に作るのは始めてだったからな」
「始めてでこれなら、エルは料理人にもなれそうだね~」
さ
「別にレシピ通りに作っただけではあるんだけどな」
「いやぁ、始めての料理でレシピ作るだけでこんなにおいしいのは魔法でも掛かってるみたいだね」
「……そう言えば高級そうなプリンが六つもありましたが、あれもエルさんが買ってくださったんですか?」
「まぁ、そうだね。半分は賄賂用だけど」
「これ食べたらさ、皆で食べない?」
「そうだね、デザートとして食べようか」
「いやぁ、やっぱり寒い日に食べる温かい料理は普段の数倍増しにおいしく感じるよ」
「あっ、そうそう。今回の奴はあんまり人には話さないようにお願いね?」
「なにか不都合がありましたか?」
「ワイン煮込みなんて作れる人は限られてるから、身バレ防止ってくらいに思ってくれればいいよ」
「そう言えば以前、料理人の人を誘拐する方々が居ると聞いたことがあります。それへの対策なんですね」
「それもあるかな」
「まぁ、明日からまた忙しくなるんでしょ?」
「エデン条約締結に向けて準備することが山積みではあるから、次ここにこれるのもその後になるかな」
「だから多めに持ってきてたんだ……律儀だねぇ」
「ここでの生活は色々と心配になるからな。それにこう言う場所は普段よりも体の力が抜けてリラックス? できるとでも言えばいいのかな?」
「でしたら、また何時でもいらしてくださいね。準備できるのはそこまでありませんが、エルさんなら大歓迎ですよ!」
「そうそう、今度また避暑地としてでも来て欲しいな」
「まぁ、エデン条約締結して安定化したら直ぐ来るよ」
「あ、そうそう。モロトフはいる?」
「あるなら、欲しいかな。4つあれば助かるんだけど」
「それくらいなら準備してあるよ。また明日帰る時に渡すよ」
「助かるよ」
そんな会話を交わしてから、また雑談をして、3人はプリンを2つも食べて今日を終えた
エル=ライトを知ってる人は大抵、何かしら碌でもない関わりを持っている事が多いです。ちなみに人攫いは基本的にやってないので、運び屋がフウカを捕獲することはありません