「ここまで来れば大丈夫かな?」
「道も整備されてるからな。……停学解除されたらお祝いの品でも持ってくるからその時は連絡してくれ」
「りょ~か~い。それじゃ、エルも頑張ってね~」
雪山から降りれば辺りから聞こえるデモの声。今日もレッドウィンターは活動家たちは主張をしていた。すべては権力への闘争のために
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「ここに来るのも二日ぶりかな? 連絡した通り、エデン条約に一枚噛むことになったから」
「ミレニアム……けど基本的にエルの管轄になるから、こう言うのもあれだけど。ミレニアムはエデン条約機構の中立的な代表として動くのよね?」
「う~ん。ゲヘナとトリニティそれぞれの方で主な活動をするのは変わらないけど、意見が割れたりした時の仲裁者とかの方が近いかもな」
「けど、立場の扱い的にエルが事実上のトップみたいに動くんでしょ?」
「建前でそうしてあるって面が強いかな。一応言っておくと基本的にミレニアムは介入はしないから。ゲヘナとトリニティで仲違いして騒動に発展する案件だったり、意見が纏まらない場合に決着をつけるための特殊機関くらいの感じだよ」
「…………よくその意向が通りましたね?」
「根回しはしておいたからな。トリニティの生徒会長に、ゲヘナの書記やアイドルと人脈があって良かったって思うよ」
「トリニティとゲヘナの生徒会にコネがあるのは大きいわね」
「うまく行ったみたいで良かったです。あと帰って早速で申し訳ないのですが…………」
「……書類だな。うん、なんとなく分かってたから」
「エルがエデン条約に注力できるように明日から私達でできる限りの業務をするから、今日はこの交通機関周りの書類をお願いするわ」
「そっか。これで一通り交通の便に関するのが終わりだから二人でも業務を片付けれるのか」
「はい、去年から設計や運用計画を建てていたモノレールなどの交通機関が無事に完成できたので、エルくんが受け持っていた業務が一時的にではありますが完了しました」
「一年掛かったかぁ」
「普段から爆発事故も多く、工事が延期することもよくある中でここまで出来たなら十分だと思いますよ」
「ハイランダーやセイント・ネフティスとかも巻き込んでやったから、予算を一時期圧迫させてしまったのはあるけどね」
「確かに予算が圧迫してたのは事実だけど……エルが殆ど補填してくれてたし、今後のミレニアムの事を考えたら協力できる企業も出来て良い成果だったと思うわ」
「色々とありましたが、これからエルくんはエデン条約の方に集中してください」
「二人ともありがとう。…………けど、ミレニアムプライスくらいは手伝わせてよ?」
「それは流石に私達だけだと手が足りないから、エルの力も貸して貰うわね…………」
「そう言えばエルくんは、今年のミレニアムプライスに出展するものは準備してあるんですか?」
「大体できてるから細かい調整をしたら完成かな。一応向こうにもミレニアムプライスがあるのは伝わってるから、準備とかの手伝いは問題なくできるよ」
「まだ一ヶ月以上はありますし、エデン条約の件も現状の業務は少しの会談程度になるでしょうからそれまではゆっくり休んではいかがですか?」
「…………いいのか?」
「これは私とノアの二人で話し合って決めたことなの。それに、今回の件でエルの事が有名になったらゆっくり旅もできないだろうし」
「……そうだね、これから一週間くらいキヴォトスをまた巡ってみようかな。先生のお陰でD.U.辺りの治安はかなりよくなったらしいからね」
「明日からは大仕事の前の息抜きを楽しんで来てくださいね」
「ムリにお土産とか意識しなくて大丈夫だからね?」
「分かってるよ。……ほんとに、ありがとう」
作業を終え、休暇届をノアへと託し少し長い自由時間を満喫し始める
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「サキ、元気にしてたか?」
「兄貴の方こそ大丈夫なのか? 前の話してた感じ忙しくなりそうだったけど」
「大仕事の前の長期休暇みたいなもんだよ。今までやってた仕事も一区切り付いたしな。旅行にでも行ってこようかな」
「久し振りに聞いたな。兄貴が一人で旅行に行くなんて……いつ以来だ?」
「……色んな学園に行くことはあっても仕事関係だし、基本的にサキと一緒に行ってたもんな」
「元々はひとり旅が好きとか言ってただろ?」
「サキがいてもそれはそれで楽しいけど……まぁ、一人の方がしょうにあってる」
「けど実際に旅行する日数は半分とかなんだろ?」
「まぁそうだね。けど、三泊四日くらいは旅行出来そうだから二人には感謝だね」
「……確認だけど、作戦は明後日の夜中だったよな」
「だから、明日から仕込みをする。別に逃走経路を作るだけなんだけどな」
「兄貴が経路の準備をするなんてやっぱり相当なんだな」
「特殊部隊とかの類いを相手取るだろうし、謂わば第三陣営みたいなもんだから支援も貰えないしな」
「じゃあその荷物は、今までの事の口封じの意味で持ってきた物ってことだな?」
「そう言うこと。一応缶詰とかも揃えといたから足しにして貰えると嬉しいかな」
「どれどれ、兄貴が買ってくるような奴だから変なのはないと思うけど…………なっ!?」
「変なの買わないようにしといたんだけど驚くのあったか?」
「いや……驚くだろ」
「どうかしましたかサキ?」
「ああ、ミヤコか。兄貴が缶詰とか長期保存の効く食料買ってきてくれたんだけど…………」
「缶詰は飽きないように、店にあった奴を何種類か買ってきておいたからある程度は持つと思うよ」
「……確かに魚介やお肉、フルーツなんかもありますね」
「それでサキが見てたのはなんの奴だ?」
「これだよ、このいかにも高そうな奴」
「…………カニ缶ですね…………!? よくこんなもの手に入りましたね?」
「カニ缶もあったか、適当にバランスよく買ったつもりだったから内容覚えて無いんだよな。と言うかなんで驚くような反応してんだ?」
「値段を見ろよ! 一缶で十万とか始めて聞いたぞ」
「………………やけに値が張ったと思ったらそう言うことか。確か二缶ずつ買うようにしてたからもうひとつ出てくると思うよ」
「なぁ、兄貴の金銭感覚ってそんなに壊れてたか?」
「壊れないように気を付けてはいるんだよ。…………ただ使える額が増えるとどうしてもな」
「…………もしかして旅行の予定建てながら買い物してたか?」
「よく分かったな?」
「いや、兄貴って旅行の時は節約とかそう言うの全部投げ捨てるだろ。あと旅行の前に高いものを買うのも多かったからな」
「旅行で金銭を気にするのなんかつまらないと言うか……ね。ほんとに性分の問題だな」
「なるほど。それでお財布の紐が緩み、こんな高いものも買っていたのですね」
「う~ん、クレカで支払ってると使った感覚薄れるからかもなぁ。…………領収書貰って家計簿でも付けるようにするか?」
「少なくとも今は良いんじゃないか? どうせ旅行に行ってからも仕事で忙しくて、家計簿を付ける時間も無くなるかもしれないんだしな」
「まぁ、仕事を片付けてから考えるか。今日で訓練も最後だからな」
「そうですね。そろそろ始めましょうか?」
「そうだな。最後だし実弾での撃ち合いを頼めるか?」
「分かりました。Rabbit小隊、準備はいいですね?」
「ああ、今日こそは倒してみせる!」
「一回ぐらい負ける姿、拝みたいよね」
「…………頑張ります」
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「…………ひどい目にあった。搦め手への対応ができるようになってきたと思ったら、格闘技術で磨り潰された…………」
「ワイヤーに捕まることは無くなりましたが、エルさんが加速装置として運用してくるのは想定できていませんでしたね……」
「あと閃光弾の扱いすごかったねぇ。ほぼ自爆みたいな使い方しといてこっちしか被害受けてないもん」
「怖かった……ミヤコちゃんを掴んで盾にするところ……」
「盾にするのは……うん。壁にするものが他に無くてね……」
「と言うか兄貴って被弾したか?」
「してないな。最後はちょっと危なかったけど」
「やっば、人間業じゃないでしょ」
「ミレニアムにはフレーム単位で生きてるのもいるからな」
「……そう言えば時間は大丈夫なのか?」
「…………あぁ、そうだな。そろそろ向かおうか。それと近いうちに尾行とか監視とかをされる可能性が高いから、しばらくはRabbit小隊の支援はできない」
「SRTと手を組んでいると思われれば、問題になるのは確かですね」
「だからサキ、これを」
「…………金のクレジットカードか。………………金の!?」
「これは色んな意味で渡しちゃダメなものですよね!?」
「心配はないよ。多少荒く使っても一年は持つから」
「破滅の道に一直線な贈り物だね~」
「ホントにいいのか? 兄貴のカードだろ?」
「良いから渡してんだよ。こっちは別の口座持っててな、そっちのカード使うから遠慮無く活用してくれ」
「……いくら入ってるんだ?」
「う~ん、そうだね。サキ耳を」
「ああ、わかった」
「3000万円くらいかな」
「……そんなにあったら、確かに感覚狂うな」
「一応そのカードは家族カードにしてあってね。僕が持ってるこれと違って、サキが使う分には問題ないから」
「…………それと、連絡も取らない方がいいよな?」
「そうだな、今年のうちは控えて欲しい。まぁ、普段から連絡取り合ってた訳じゃないしからいつも通りで頼むよ」
「わかった。それじゃあ気を付けろよ」
「サキも気を付けてな。Rabbit小隊も頑張れよ」
「はい、必ずSRTを復興させてみせます」
「合法的にあんな兵器を使えるところ早々無いから、全力でやってみせるよ」
「私も……前みたいに出来るよう……頑張ります」
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「あはは、えっとそのホテルの場所だと……確かそこを右に行って少ししたところだったと思います」
「ありがとう、助かったよ
「えっ、どこでそれを…………。あれ、さっきまでそこに居た筈なのに何処へ消えたんでしょうか」
先生はエルが休みの間にレトロチック・ロマンを行うことになるんですね!(まだ先生との対面には遠いよ!)