第十一話「宇宙戦争」
人類は宇宙に進出した。
銀河連邦と出会った。
外交は失敗した。
戦争になった。
最終兵器が完成した。
これで勝てるらしい。
爆発は美しかった。
扉は真空でも出る。
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漆黒の宇宙。
恒星の残光が遠く瞬き、無数の戦艦が静かに布陣している。
地球連合艦隊。
旗艦《アルテミス》を中心に、数百の艦艇が整然と並ぶ。
対するは銀河連邦第七方面軍。
生体金属で構成された有機的な艦群が、光学迷彩を解除し、ゆらりと姿を現す。
「全艦、主砲照準!」
司令官の声が量子通信を駆け抜ける。
レーザー砲が収束し、プラズマ粒子が帯電し、重力制御フィールドが展開される。
宇宙は静かだ。
だが、光は騒がしい。
「撃て!」
無数の光条が交差する。
連邦艦が裂け、地球艦が爆ぜる。
真空に花が咲く。
爆発は美しい。
それは破壊であり、芸術でもある。
「最終兵器、起動開始!」
旗艦中央区画。
人工ブラックホール生成装置が唸る。
空間が歪み、星屑が引き裂かれ、重力井戸が形成される。
「発射まで三秒!」
三。
二。
一。
そのとき。
ガラララ。
旗艦ブリッジ中央、何もない空間に木製の引戸が出現する。
重力制御下。真空下。
ありえない。
「……は?」
誰も動けない。
( ゚∋゚)「クックル」
ヘルメット越しに鳴き声が届く。
真空なのに。
「未知生命体!?」
「撃て!」
レーザーが放たれる。
光は一直線に進む。
ドゥ。
光が弾かれる。
「弾かれた!?」
ドゥ。
人工ブラックホール生成装置が圧縮される。
金属も重力も関係ない。
「重力制御が――!」
ドゥ。
旗艦が横転する。
(#゚∋゚)「クックルクックル」
宇宙空間で溜める。
溜めている。
「待て、待て、待て!」
ドゥドゥドゥドゥ!!
地球艦隊が砕ける。
ドゥ。
連邦艦も裂ける。
ドゥ。
中立観測衛星が爆散する。
爆発。
閃光。
破片が銀河に散る。
爆発は美しい。
芸術的だ。
連邦旗艦内部。
「対象は我々を識別していない!」
「敵味方の区別がない!」
「撤退――!」
だが。
ガラララ。
その艦橋にも扉。
( ゚∋゚)「クックル」
「宇宙条約違反だぞ!」
ドゥ。
評議官が壁にめり込む。
ドゥ。
超光速エンジン停止。
「文明保護規約第七条を――」
ドゥ。
言葉が折れる。
宇宙は再び静寂に戻る。
戦艦は残骸となり、星間塵と共に漂う。
人工ブラックホールは生まれなかった。
戦争も終わった。
勝者はいない。
敗者もいない。
( ゚∋゚)「クックル」
ゆっくりと鳴く。
背後の扉が閉じる。
ガラララ。
消える。
星々の間に漂う残骸。
遠くで。
ドゥ。
と小さく音がした気がした。