銀河連邦は決断した。
秩序のために一つの銀河腕を消すらしい。
文明は増えすぎた。
重力収縮波でまとめて整理する計画だ。
銀河規模の艦隊が集結した。
壮大で、合理的で、冷酷だ。
最初は一匹だった。
らちが明かないと思ったらしい。
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銀河中心核から放射状に広がる艦隊。
数十万隻。
恒星軌道上、ブラックホール縁、ダークマター流域。
すべてに銀河連邦旗が翻る。
「秩序維持作戦、最終段階へ移行する」
評議会旗艦《オルドゥム》。
全銀河規模のホログラムが宙に展開される。
赤く点滅するのは“対象領域”。
一つの銀河腕。
数千文明が存在する区域。
「重力収縮波、同期開始」
人工重力制御装置が各艦で唸る。
恒星が震える。
時空がきしむ。
「文明は増えすぎた」
「管理不能だ」
「間引きは必要だ」
理性的な声が重なる。
そのとき。
空間が裂ける。
木製ではない。
銀白色のフレーム。
量子発光を帯びた幾何学模様。
明らかにSF的な外観。
だが、横に開く。
ガラララ。
「……何だ?」
( ゚∋゚)「クックル」
宇宙空間に一匹。
ぽつん。
「対象識別不能」
「生体反応、微弱」
「排除せよ」
レーザーが走る。
ドゥ。
戦艦一隻が縦に折れる。
「は?」
ドゥ。
重力制御ユニットが潰れる。
「物理法則逸脱!」
(#゚∋゚)「クックルクックル」
溜める。
「単体だ!数で押せ!」
数千隻が包囲する。
ドゥドゥドゥ。
十隻沈む。
ドゥ。
百隻消える。
だが銀河は広い。
艦隊は多い。
「被害軽微!」
「収縮波発射準備続行!」
クックルが止まる。
( ゚∋゚)
静止。
空間がざわつく。
銀河全域にノイズが走る。
新たな裂け目。
また一つ。
また一つ。
また一つ。
無数の扉が、銀河規模で開く。
ガラララガラララガラララ。
( ゚∋゚)( ゚∋゚)( ゚∋゚)( ゚∋゚)( ゚∋゚)
「増えたァァァ!?」
「群体現象確認!」
「いや、扉が増殖している!」
「物理法則どうなってる!?」
重力収縮波装置が震える。
(#゚∋゚)「クックルクックルクックルクックル」
群れで溜める。
銀河が一瞬、静止したように見える。
ドゥ。
端から艦隊が崩壊する。
ドゥドゥ。
恒星制御装置が自壊。
ドゥドゥドゥドゥドゥ。
重力収縮波発生装置が連鎖爆発。
「止めろ!」
「因果が歪む!」
「時間軸が裂けるぞ!」
ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥ。
銀河規模の連打。
爆発は線になり、面になり、芸術になる。
艦隊は塵。
収縮波は消滅。
管理計画は消える。
静寂。
宇宙は何事もなかったかのように広がる。
無数のクックルが一斉に鳴く。
( ゚∋゚)「クックル」
ガラララ。
すべての扉が同時に閉じる。
消える。
銀河はそのまま回る。
文明は生き残る。
秩序は失われる。
だが。
遠くで。
ドゥ。
と、銀河規模の余韻が響いた気がした。