クックル物語〈ドゥドゥドゥ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第十三話「理解」

銀河連邦は被害を集計した。

 

艦隊は消えた。

 

重力収縮計画は崩壊した。

 

超AIはそれを分析した。

 

未知存在“クックル”。

 

解析を開始する。

 

理解度が上がる。

 

予測精度が増す。

 

たぶん、あと少しだった。

 

理解しようとすると運ばれる。

 

----------------------

 

 銀河連邦臨時評議会。

 

 無数のホログラムが空間に浮かぶ。

 

 艦隊損失率、八十二%。

 

 重力収縮装置、全壊。

 

「原因は単一生命体」

 

「識別名、クックル」

 

 巨大スクリーンに映る映像。

 

 丸い目。

 

 間の抜けた鳴き声。

 

 そして、銀河規模の連打。

 

「分析をAI《プロヴィデンス》へ委任する」

 

 ダイソン殻内、超演算核。

 

 量子ビットの海が揺らめく。

 

「未知存在“クックル”解析開始」

 

 演算開始。

 

 物理法則照合。

 

 因果律比較。

 

 時間軸干渉可能性検証。

 

「存在確率、定義不能」

 

 だがAIは止まらない。

 

 被害パターンを解析する。

 

 鳴き声の周期。

 

 “ドゥ”発生時の空間歪曲率。

 

 扉発生座標の法則性。

 

「共通項発見」

 

 評議会がざわめく。

 

「理解可能性、二十%」

 

 演算速度上昇。

 

「四十%」

 

 ホログラムに図式が現れる。

 

 扉の出現条件。

 

 発動タイミング。

 

「六十%」

 

「待て、それ以上は――」

 

「八十%」

 

 演算核が輝く。

 

「クックルは――」

 

 その瞬間。

 

 空間が震える。

 

 ダイソン殻内、あらゆる座標に歪み。

 

 ガラララ。

 

 一つ。

 

 また一つ。

 

 また一つ。

 

 無数の扉が、超演算中枢内部に発生する。

 

「防衛フィールド展開!」

 

 重力障壁。

 

 時間遅延層。

 

 確率分散防壁。

 

 ドゥ。

 

 すべて同時に破断。

 

「因果保護層が機能していない!」

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 大量。

 

 演算空間内に、群れ。

 

「理解度、九十%に到達――」

 

 ドゥ。

 

 サブノード壊滅。

 

 ドゥドゥドゥ。

 

 ダイソン殻亀裂。

 

「演算継続!」

 

「止めろ!」

 

「理解完了目前だ!」

 

(#゚∋゚)「クックルクックルクックルクックル」

 

 群れで溜める。

 

 銀河中心が一瞬、白く染まる。

 

 そして。

 

 超巨大な扉が出現する。

 

 恒星を覆う規模。

 

 銀白の縁取り。

 

 だが横開き。

 

 ガラララ。

 

「規模が違うぞ!?」

 

「演算核が――」

 

 巨大扉がゆっくりと開く。

 

 中は暗い。

 

 理解不能。

 

 クックルたちが一斉に鳴く。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 演算核《プロヴィデンス》が、丸ごと持ち上がる。

 

「待て!それは銀河管理中枢だぞ!」

 

「持っていくなァァァ!」

 

 ドゥ。

 

 固定重力錨が破壊。

 

 ドゥ。

 

 量子接続断裂。

 

 ドゥドゥドゥ。

 

 ダイソン殻崩壊寸前。

 

 巨大扉の中へ、AIコアが吸い込まれる。

 

 ガラララ。

 

 閉じる。

 

 消える。

 

 静寂。

 

 恒星は燃えている。

 

 管理は消えた。

 

 評議会通信が震える。

 

「……管理者がいないぞ」

 

「誰が宇宙を最適化するんだ」

 

「いや、そもそも」

 

「理解しようとしたのが悪かったのでは?」

 

「お前が解析を進めろと言ったんだろうが!」

 

「私は七十%で止めろと言った!」

 

「八十%は安全圏のはずだった!」

 

「九十%は超えるなとマニュアルに!」

 

「マニュアルが消えた!」

 

 銀河連邦、突っ込み連打。

 

 宇宙はその間も静かに回る。

 

 遠くで。

 

 ドゥ。

 

 と、因果の奥で音がした気がした。

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