時間は流れるものらしい。
だが管理されているらしい。
銀河連邦には時間管理局がある。
危険な時空は剪定する。
分岐は整理する。
この宇宙は危険と判断された。
処理対象に指定。
扉が先に出た。
破壊できなかった。
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時間管理局《クロノス・アーカイブ》。
銀河中心とは別位相。
過去・現在・未来が層になって重なっている。
無数の時間線が光の糸のように漂う空間。
「報告」
「クックル現象、三度発生」
「艦隊壊滅、AI回収確認」
「因果安定率、急低下」
巨大な時間水晶に映るのは、銀河規模の破壊記録。
「この時空は危険だ」
「剪定対象に指定する」
局長が告げる。
「時間線Δ-4452、消去準備」
巨大な時空断裁装置が起動する。
未来が震える。
過去が揺れる。
現在が細くなる。
そのとき。
背後。
ガラララ。
局長の真後ろに木製引戸。
「即時破壊!」
時間停止フィールド展開。
因果遮断層展開。
歴史改変砲、照準。
撃つ。
ドゥ。
時間停止が割れる。
「停止できない!?」
ドゥ。
因果遮断層が崩れる。
「破壊不能オブジェクト確認!」
扉は勝手に開き始める。
ガラララ。
「閉じろ!」
「時間逆行!」
時間を巻き戻す。
扉が閉じる前の瞬間へ。
だが。
扉は既に開いている。
「過去にもあるだと!?」
「未来にもある!」
「同時存在だ!」
局員たちが混乱する。
「来るぞ!」
全員が構える。
だが。
扉から何も出ない。
「……出てこない?」
「罠か?」
「虚像か?」
そのとき。
時間水晶の真上。
何もない空間から。
( ゚∋゚)「クックル」
「後ろじゃなかったァァァ!?」
「座標が違う!」
「扉はブラフか!」
(#゚∋゚)「クックルクックル」
溜める。
「全時間線展開!」
局員が未来へ跳ぶ。
過去へ跳ぶ。
分岐へ逃げる。
ドゥ。
未来線が折れる。
ドゥ。
過去線が砕ける。
「時間が裂ける!」
ドゥドゥドゥ。
分岐が消える。
「この存在は時空外だ!」
「因果に属していない!」
「歴史を書き換えられない!」
局長が叫ぶ。
「我々は時間そのものだぞ!」
ドゥ。
局長が水晶にめり込む。
ドゥ。
断裁装置が潰れる。
ドゥドゥドゥドゥ。
時間層が崩壊する。
過去と未来が混ざる。
「撤退!」
「撤退できない!」
「どの時間にも扉がある!」
確かに。
無数の時間層に、無数の扉。
ガラララガラララガラララ。
( ゚∋゚)「クックル」
最後に一鳴き。
全時間管理機構、停止。
剪定処理、失敗。
時空は解放される。
未来は再び未確定。
過去は固定されない。
現在は揺らぐ。
扉が静かに閉じる。
ガラララ。
消える。
宇宙はそのまま回る。
時間も、そのまま流れる。
遠くで。
ドゥ。
と、因果の奥で音がした気がした。