クックル物語〈ドゥドゥドゥ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第十四話「剪定」

時間は流れるものらしい。

 

だが管理されているらしい。

 

銀河連邦には時間管理局がある。

 

危険な時空は剪定する。

 

分岐は整理する。

 

この宇宙は危険と判断された。

 

処理対象に指定。

 

扉が先に出た。

 

破壊できなかった。

 

----------------------

 

 時間管理局《クロノス・アーカイブ》。

 

 銀河中心とは別位相。

 

 過去・現在・未来が層になって重なっている。

 

 無数の時間線が光の糸のように漂う空間。

 

「報告」

 

「クックル現象、三度発生」

 

「艦隊壊滅、AI回収確認」

 

「因果安定率、急低下」

 

 巨大な時間水晶に映るのは、銀河規模の破壊記録。

 

「この時空は危険だ」

 

「剪定対象に指定する」

 

 局長が告げる。

 

「時間線Δ-4452、消去準備」

 

 巨大な時空断裁装置が起動する。

 

 未来が震える。

 

 過去が揺れる。

 

 現在が細くなる。

 

 そのとき。

 

 背後。

 

 ガラララ。

 

 局長の真後ろに木製引戸。

 

「即時破壊!」

 

 時間停止フィールド展開。

 

 因果遮断層展開。

 

 歴史改変砲、照準。

 

 撃つ。

 

 ドゥ。

 

 時間停止が割れる。

 

「停止できない!?」

 

 ドゥ。

 

 因果遮断層が崩れる。

 

「破壊不能オブジェクト確認!」

 

 扉は勝手に開き始める。

 

 ガラララ。

 

「閉じろ!」

 

「時間逆行!」

 

 時間を巻き戻す。

 

 扉が閉じる前の瞬間へ。

 

 だが。

 

 扉は既に開いている。

 

「過去にもあるだと!?」

 

「未来にもある!」

 

「同時存在だ!」

 

 局員たちが混乱する。

 

「来るぞ!」

 

 全員が構える。

 

 だが。

 

 扉から何も出ない。

 

「……出てこない?」

 

「罠か?」

 

「虚像か?」

 

 そのとき。

 

 時間水晶の真上。

 

 何もない空間から。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

「後ろじゃなかったァァァ!?」

 

「座標が違う!」

 

「扉はブラフか!」

 

(#゚∋゚)「クックルクックル」

 

 溜める。

 

「全時間線展開!」

 

 局員が未来へ跳ぶ。

 

 過去へ跳ぶ。

 

 分岐へ逃げる。

 

 ドゥ。

 

 未来線が折れる。

 

 ドゥ。

 

 過去線が砕ける。

 

「時間が裂ける!」

 

 ドゥドゥドゥ。

 

 分岐が消える。

 

「この存在は時空外だ!」

 

「因果に属していない!」

 

「歴史を書き換えられない!」

 

 局長が叫ぶ。

 

「我々は時間そのものだぞ!」

 

 ドゥ。

 

 局長が水晶にめり込む。

 

 ドゥ。

 

 断裁装置が潰れる。

 

 ドゥドゥドゥドゥ。

 

 時間層が崩壊する。

 

 過去と未来が混ざる。

 

「撤退!」

 

「撤退できない!」

 

「どの時間にも扉がある!」

 

 確かに。

 

 無数の時間層に、無数の扉。

 

 ガラララガラララガラララ。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 最後に一鳴き。

 

 全時間管理機構、停止。

 

 剪定処理、失敗。

 

 時空は解放される。

 

 未来は再び未確定。

 

 過去は固定されない。

 

 現在は揺らぐ。

 

 扉が静かに閉じる。

 

 ガラララ。

 

 消える。

 

 宇宙はそのまま回る。

 

 時間も、そのまま流れる。

 

 遠くで。

 

 ドゥ。

 

 と、因果の奥で音がした気がした。

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