第十六話「+激しく忍者+」
忍者は静かである。
気配を消す。
影を走る。
闇に紛れる。
そして暗殺する。
そのはずだった。
相手が悪かった。
ベンチが存在する理由は誰も知らない。
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どこでもない場所に、ベンチがある。
いや待て。
なぜベンチがある。
宇宙でも森でも城でもない場所だぞ。
説明はない。
だがベンチはある。
そこにクックルがいる。
ベンチに寄りかかり、睡眠中。
( -∋-)
寝ている。
完全に寝ている。
警戒心という概念が存在しない顔だ。
そのとき。
空間の端がわずかに歪む。
影。
音もなく現れる。
+激しく忍者+
忍者である。
いや本当に忍者である。
説明はない。
だが忍者だ。
忍者は状況を確認する。
標的。
睡眠中。
暗殺好機。
忍者は頷く。
+激しく暗殺+
まずは距離を取る。
静かに構える。
+激しく吹き矢+
シュッ。
矢が飛ぶ。
一直線。
完璧な軌道。
そして。
羽毛に止まる。
……いや止まるな。
吹き矢だぞ。
毒矢だぞ。
羽毛にふわっと刺さって止まるな。
クックルは寝ている。
( -∋-)
起きない。
忍者、沈黙。
+激しく手裏剣+
シュシュシュシュ。
四枚。
完璧な回転。
致命角度。
だが。
寝たまま。
クックルの翼がふわり。
カン。
カン。
カン。
カン。
全部弾く。
いや寝てるぞ。
完全に寝てるぞ。
無意識防御やめろ。
忍者、沈黙。
そして。
+激しく憤慨+
忍者、怒る。
忍者刀を抜く。
+激しく斬撃+
振り下ろす。
その瞬間。
( ゚∋゚)
クックル、起きる。
そして片手。
パシッ。
止める。
いや止めるな。
忍者刀だぞそれ。
素手だぞお前。
忍者、目を見開く。
沈黙。
次の瞬間。
+激しく脱兎+
逃げた。
全力で逃げた。
忍者の判断は正しい。
非常に正しい。
だが。
(#゚∋゚)「クックル」
クックル、立つ。
追う。
速い。
速すぎる。
忍者が走る。
クックルが追う。
距離が縮む。
忍者が振り向く。
+激しくまきびし+
ばら撒く。
完璧。
逃走用。
だが。
クックルの脚。
そのまま踏む。
バリ。
バリ。
バリ。
全部砕く。
まきびしの存在意義が崩壊した。
忍者、絶望。
そして追いつかれる。
クックルが飛びかかる。
押し倒す。
忍者、地面。
クックル、上。
跨る。
通称。
山。
いや名前つけるな。
そして。
拳を構える。
空気が鳴る。
フォン。
フォン。
フォン。
通称。
暴打フォン。
いやだから名前つけるな。
そして。
振り下ろす。
暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打
暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打
暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打
忍者、沈黙。
世界、沈黙。
ベンチはそのまま。
クックルは立ち上がる。
( ゚∋゚)「クックル」
そしてまたベンチに戻る。
寄りかかる。
目を閉じる。
( -∋-)
再び睡眠。
……。
いやだから。
なぜここにベンチがある。