忍者は静かである。
影に潜む。
機を待つ。
そして一撃で仕留める。
そのはずである。
だが世界には例外がある。
だいたい殴る鳥である。
なお自販機がここにある理由は誰も知らない。
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どこでもない場所に自販機がある。
いや待て。
なぜ自販機がある。
森でもない。
街でもない。
宇宙でもない。
だが赤い自販機が立っている。
説明はない。
だが存在している。
その前にクックルがいる。
( ゚∋゚)
じっと見ている。
自販機を。
ものすごく真剣に見ている。
ボタン。
価格表示。
商品の並び。
全てを凝視している。
いやそんなに深く考える装置ではない。
ただの自販機だ。
そのとき。
空間の端がわずかに歪む。
影。
音もなく現れる。
+激しく忍者+
忍者である。
説明不要の忍者である。
忍者は状況を確認する。
標的。
完全に無防備。
自販機を見ている。
しかも背後。
これは好機。
忍者、頷く。
+激しく登場+
音もなく背後に立つ。
標的は気づかない。
なぜなら自販機を見ている。
いやそんなに真剣に見るな。
忍者は距離を詰める。
+激しく接近+
足音なし。
気配なし。
完璧。
忍者は構える。
そして。
+激しくジャンプ+
空中へ。
そのまま。
+激しく頭部確保+
クックルの頭を掴む。
そして。
+激しく回転+
首を捻る。
頸椎破壊。
完璧な暗殺術。
そのはずだった。
クックルの首。
回る。
ぐるり。
そのまま。
360度。
いや止まれ。
止まれそれ。
普通止まるだろ。
首だぞ。
クックルの首は回る。
回りきる。
元に戻る。
( ゚∋゚)
何事もない。
忍者、沈黙。
空中で固まる。
理解が追いつかない。
クックルは振り向く。
片手を伸ばす。
ガシッ。
+激しく忍者+の顔面を掴む。
アイアンクロー。
そのまま持ち上げる。
吊るす。
いや簡単に吊るすな。
忍者の体重を考えろ。
だが吊るされている。
そして。
腹部に拳。
フォン。
フォン。
フォン。
暴打。
暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打
暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打
暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打
忍者、沈黙。
空気、震える。
地面、震える。
自販機はなぜか無事。
いやそこ壊れろよ。
忍者は落ちる。
静かに。
完全に動かない。
クックルはしばらく見る。
( ゚∋゚)「クックル」
そして。
忍者の懐に手を入れる。
財布。
取り出す。
いや待て。
何してる。
忍者の財布を確認。
硬貨。
紙幣。
クックルは硬貨を取る。
自販機に向く。
チャリン。
投入。
ボタン。
ポチ。
ガコン。
ジュース落下。
いや普通に買うな。
盗んだ金だぞそれ。
クックルは缶を取る。
プシュ。
開ける。
ぐびり。
飲む。
( ゚∋゚)「クックル」
満足そうだ。
いや満足するな。
忍者は倒れている。
財布は空。
自販機は稼働中。
そして誰も疑問を解決していない。
なぜここに自販機がある。
なぜ忍者は財布を持っている。
なぜクックルはジュースを買う。
そして。
なぜこの世界はこれを許している。
答えはない。
ただ一つ確かなことがある。
忍者も。
だいたい殴られる。