クックル物語〈ドゥドゥドゥ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第十七話「+激しく自販機+」

 

 

忍者は静かである。

 

影に潜む。

 

機を待つ。

 

そして一撃で仕留める。

 

そのはずである。

 

だが世界には例外がある。

 

だいたい殴る鳥である。

 

なお自販機がここにある理由は誰も知らない。

 

----------------------

 

 どこでもない場所に自販機がある。

 

 いや待て。

 

 なぜ自販機がある。

 

 森でもない。

 街でもない。

 宇宙でもない。

 

 だが赤い自販機が立っている。

 

 説明はない。

 

 だが存在している。

 

 その前にクックルがいる。

 

( ゚∋゚)

 

 じっと見ている。

 

 自販機を。

 

 ものすごく真剣に見ている。

 

 ボタン。

 

 価格表示。

 

 商品の並び。

 

 全てを凝視している。

 

 いやそんなに深く考える装置ではない。

 

 ただの自販機だ。

 

 そのとき。

 

 空間の端がわずかに歪む。

 

 影。

 

 音もなく現れる。

 

 +激しく忍者+

 

 忍者である。

 

 説明不要の忍者である。

 

 忍者は状況を確認する。

 

 標的。

 

 完全に無防備。

 

 自販機を見ている。

 

 しかも背後。

 

 これは好機。

 

 忍者、頷く。

 

 +激しく登場+

 

 音もなく背後に立つ。

 

 標的は気づかない。

 

 なぜなら自販機を見ている。

 

 いやそんなに真剣に見るな。

 

 忍者は距離を詰める。

 

 +激しく接近+

 

 足音なし。

 

 気配なし。

 

 完璧。

 

 忍者は構える。

 

 そして。

 

 +激しくジャンプ+

 

 空中へ。

 

 そのまま。

 

 +激しく頭部確保+

 

 クックルの頭を掴む。

 

 そして。

 

 +激しく回転+

 

 首を捻る。

 

 頸椎破壊。

 

 完璧な暗殺術。

 

 そのはずだった。

 

 クックルの首。

 

 回る。

 

 ぐるり。

 

 そのまま。

 

 360度。

 

 いや止まれ。

 

 止まれそれ。

 

 普通止まるだろ。

 

 首だぞ。

 

 クックルの首は回る。

 

 回りきる。

 

 元に戻る。

 

( ゚∋゚)

 

 何事もない。

 

 忍者、沈黙。

 

 空中で固まる。

 

 理解が追いつかない。

 

 クックルは振り向く。

 

 片手を伸ばす。

 

 ガシッ。

 

 +激しく忍者+の顔面を掴む。

 

 アイアンクロー。

 

 そのまま持ち上げる。

 

 吊るす。

 

 いや簡単に吊るすな。

 

 忍者の体重を考えろ。

 

 だが吊るされている。

 

 そして。

 

 腹部に拳。

 

 フォン。

 

 フォン。

 

 フォン。

 

 暴打。

 

 暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打

 暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打

 暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打暴打

 

 忍者、沈黙。

 

 空気、震える。

 

 地面、震える。

 

 自販機はなぜか無事。

 

 いやそこ壊れろよ。

 

 忍者は落ちる。

 

 静かに。

 

 完全に動かない。

 

 クックルはしばらく見る。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 そして。

 

 忍者の懐に手を入れる。

 

 財布。

 

 取り出す。

 

 いや待て。

 

 何してる。

 

 忍者の財布を確認。

 

 硬貨。

 

 紙幣。

 

 クックルは硬貨を取る。

 

 自販機に向く。

 

 チャリン。

 

 投入。

 

 ボタン。

 

 ポチ。

 

 ガコン。

 

 ジュース落下。

 

 いや普通に買うな。

 

 盗んだ金だぞそれ。

 

 クックルは缶を取る。

 

 プシュ。

 

 開ける。

 

 ぐびり。

 

 飲む。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 満足そうだ。

 

 いや満足するな。

 

 忍者は倒れている。

 

 財布は空。

 

 自販機は稼働中。

 

 そして誰も疑問を解決していない。

 

 なぜここに自販機がある。

 

 なぜ忍者は財布を持っている。

 

 なぜクックルはジュースを買う。

 

 そして。

 

 なぜこの世界はこれを許している。

 

 答えはない。

 

 ただ一つ確かなことがある。

 

 忍者も。

 

 だいたい殴られる。

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