クックル物語〈ドゥドゥドゥ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第十九話「+激しく休日+」

忍者にも休日はある。

 

忍者にも生活はある。

 

忍者だって人間である。

 

たまには任務を忘れる。

 

だが平穏は長く続かない。

 

なぜならクックルがいるからだ。

 

なお今回はベンチは出ない。

 

代わりに炬燵が出る。

 

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 静かな住宅地。

 

 どこにでもありそうな家。

 

 木造二階建て。

 

 庭には小さな松。

 

 風鈴が揺れる。

 

 非常に平和である。

 

 その一室。

 

 和室。

 

 畳。

 

 壁に掛け軸。

 

 押し入れ。

 

 そして炬燵。

 

 完璧である。

 

 炬燵の中には足。

 

 人間の足。

 

 そして上半身。

 

 +激しく忍者+

 

 忍者である。

 

 忍者は炬燵に入っている。

 

 いや入るな。

 

 忍者は任務を忘れている。

 

 完全に休日モード。

 

 テーブルの上。

 

 みかん。

 

 せんべい。

 

 湯呑み。

 

 テレビ。

 

 昼の情報番組。

 

 忍者はみかんを取る。

 

 皮を剥く。

 

 食べる。

 

 うまい。

 

 忍者は満足。

 

 +激しく休日+

 

 いや忍者の休日を強調するな。

 

 せんべいをかじる。

 

 パリッ。

 

 お茶を飲む。

 

 ズズッ。

 

 完全に普通の生活。

 

 忍者の定義が崩壊している。

 

 だが忍者は幸せ。

 

 非常に幸せ。

 

 今日は誰も殺さない。

 

 今日は誰も追わない。

 

 今日は誰にも追われない。

 

 平和。

 

 完全な平和。

 

 そして。

 

 ガラララ。

 

 和室の壁。

 

 木製の引戸。

 

 いや出るな。

 

 忍者、停止。

 

 みかんを持ったまま固まる。

 

 振り向く。

 

 扉が開く。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 来た。

 

 来てしまった。

 

 忍者、理解。

 

 休日終了。

 

 忍者の心。

 

 +激しく忍者+

 

 +激しく驚愕+

 

 炬燵を蹴る。

 

 立ち上がる。

 

 構える。

 

 だが遅い。

 

 非常に遅い。

 

 クックルは近い。

 

 とても近い。

 

 クックルの手。

 

 忍者の頭。

 

 掴む。

 

 アイアンクロー。

 

 いや待て。

 

 忍者の頭を掴むな。

 

 忍者、持ち上がる。

 

 空中。

 

 完全に空中。

 

 忍者の体重は関係ない。

 

 忍者は軽い。

 

 クックルは投げる。

 

 ポイ。

 

 忍者、空中回転。

 

 そして再び掴む。

 

 いや掴み直すな。

 

 ジャーマンスープレックス。

 

 ドォン。

 

 畳が沈む。

 

 掛け軸が揺れる。

 

 炬燵が傾く。

 

 みかん転がる。

 

 忍者の魂も転がる。

 

 だが終わらない。

 

 クックル、ジャンプ。

 

 ボディプレス。

 

 ドォン。

 

 忍者、潰れる。

 

 呼吸停止。

 

 いや止めるな。

 

 さらに肘。

 

 エルボードロップ。

 

 ドン。

 

 忍者、畳に埋まる。

 

 そして。

 

 クックル立つ。

 

 腕を振る。

 

 助走。

 

 アックスボンバー。

 

 ドォォン。

 

 和室、揺れる。

 

 忍者、完全停止。

 

 沈黙。

 

 非常に静か。

 

 戦闘終了。

 

 いや一方的だ。

 

 クックル、周囲を見る。

 

 みかん。

 

 せんべい。

 

 炬燵。

 

 テレビ。

 

 理想的な環境。

 

( ゚∋゚)

 

 クックルは座る。

 

 炬燵に入る。

 

 いや入るな。

 

 完全に入る。

 

 足を伸ばす。

 

 暖かい。

 

 満足。

 

 みかんを取る。

 

 食べる。

 

 うまい。

 

 せんべいを取る。

 

 パリッ。

 

 お茶を飲む。

 

 ズズッ。

 

 テレビを見る。

 

 昼のニュース。

 

 キャスターが言う。

 

「今日も全国的に平和です」

 

 クックル。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 満足そうに鳴く。

 

 忍者は畳に埋まっている。

 

 動かない。

 

 だが死んではいない。

 

 忍者は強い。

 

 ただ今日は。

 

 休日ではなかった。

 

 炬燵の中。

 

 クックルがくつろぐ。

 

 完全にくつろぐ。

 

 テレビを見る。

 

 みかんを食べる。

 

 せんべいを食べる。

 

 ここはもう。

 

 忍者の家ではない。

 

 クックルの家である。

 

 忍者は理解する。

 

 薄れゆく意識の中で。

 

 ただ一つ。

 

 確かな事実。

 

 忍者も。

 

 だいたい殴られる。

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