クックル物語〈ドゥドゥドゥ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第二十話「+激しく遁術+」

忍者には術がある。

 

火遁。

水遁。

土遁。

木遁。

金遁。

 

ただし本来は逃げるための術である。

 

だが忍者は戦う。

 

なぜなら目の前にクックルがいるからだ。

 

この判断はたぶん間違っている。

 

----------------------

 

 草原。

 

 風が吹く。

 

 非常に平和である。

 

 広い。

 

 空が青い。

 

 雲が流れる。

 

 鳥が飛ぶ。

 

 だがその鳥は関係ない。

 

 重要なのは別の鳥である。

 

 草原の中央。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 立っている。

 

 非常に落ち着いている。

 

 というより何も考えていない顔である。

 

 その前方。

 

 黒装束。

 

 +激しく忍者+

 

 静かに構える。

 

 風が止む。

 

 沈黙。

 

 草が揺れる。

 

 忍者、動く。

 

 +激しく忍者+

 

 印を結ぶ。

 

 いや忍者が本気だ。

 

 完全に本気だ。

 

 忍者、叫ぶ。

 

 +激しく火遁+

 

 口から炎。

 

 いや完全に火炎放射器である。

 

 轟。

 

 炎の奔流。

 

 草原が燃える。

 

 地面が焦げる。

 

 温度が上がる。

 

 火柱。

 

 炎がクックルを包む。

 

 忍者、確信。

 

 だが。

 

 炎の中。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 普通に立っている。

 

 燃えていない。

 

 焦げてもいない。

 

 むしろ暖を取っている顔である。

 

 忍者、停止。

 

 本文、言う。

 

 それは火遁ではない。

 

 そして効いていない。

 

 忍者、歯を食いしばる。

 

 印を結ぶ。

 

 +激しく土遁+

 

 地面が揺れる。

 

 ドゴン。

 

 石柱が突き上がる。

 

 巨大。

 

 複数。

 

 槍のように突き出る。

 

 地形が変わる。

 

 草原が石の森になる。

 

 クックルを見る。

 

 石柱。

 

 手。

 

 ドゥ。

 

 砕ける。

 

 ドゥ。

 

 また砕ける。

 

 ドゥ。

 

 石柱、粉。

 

 本文、言う。

 

 それ土遁じゃなくて建築事故である。

 

 忍者、動揺。

 

 だが止まらない。

 

 印。

 

 +激しく水遁+

 

 地面が割れる。

 

 地下水脈。

 

 噴き出す。

 

 水柱。

 

 草原が一瞬で沼。

 

 濁流。

 

 奔流。

 

 水圧。

 

 クックルを見る。

 

 ジャンプ。

 

 普通に回避。

 

 いや軽い。

 

 軽すぎる。

 

 忍者、困惑。

 

 本文、言う。

 

 だからそれは水遁ではない。

 

 本来の水遁は逃げるための術だ。

 

 こんな噴水大会ではない。

 

 忍者、焦る。

 

 懐から何か出す。

 

 黒い袋。

 

 中身。

 

 種。

 

 ばら撒く。

 

 +激しく木遁+

 

 地面が裂ける。

 

 芽。

 

 伸びる。

 

 枝。

 

 ツタ。

 

 巨大植物。

 

 草原が森になる。

 

 ツタがクックルを捕まえる。

 

 絡む。

 

 締め付ける。

 

 植物の牙。

 

 噛みつく。

 

 クックルを見る。

 

 爪。

 

 シャッ。

 

 切断。

 

 シャッ。

 

 また切断。

 

 植物、全滅。

 

 本文、言う。

 

 それも木遁ではない。

 

 忍者園芸である。

 

 忍者、完全に焦る。

 

 最後の印。

 

 深く息。

 

 +激しく金遁+

 

 空が暗くなる。

 

 上空。

 

 影。

 

 無数。

 

 刀。

 

 槍。

 

 鎖鎌。

 

 苦無。

 

 剣。

 

 槍。

 

 刃。

 

 大量。

 

 降る。

 

 雨のように。

 

 刃の雨。

 

 空から武器庫が落ちてくる。

 

 クックルを見る。

 

 動く。

 

 横。

 

 前。

 

 後ろ。

 

 ジャンプ。

 

 回転。

 

 全部避ける。

 

 全部。

 

 紙一重。

 

 槍、地面に刺さる。

 

 刀、草原に突き立つ。

 

 クックル無傷。

 

( ゚∋゚)「クックル?」

 

 首をかしげる。

 

 忍者、静止。

 

 沈黙。

 

 本文、言う。

 

 全部違う。

 

 それ遁術ではない。

 

 本来の遁術は逃げる術である。

 

 つまり。

 

 忍者はようやく理解する。

 

 印。

 

 +激しく忍者+

 

 +激しく煙幕+

 

 ボン。

 

 煙。

 

 白煙。

 

 視界ゼロ。

 

 草原が霧。

 

 クックル、止まる。

 

 煙が流れる。

 

 風が吹く。

 

 煙が晴れる。

 

 そこには。

 

 誰もいない。

 

 +激しく忍者+

 

 消えた。

 

 完全撤退。

 

 本文、言う。

 

 それでいい。

 

 それが正しい。

 

 それが本来の忍者である。

 

 クックルは草原に立つ。

 

 武器が刺さる草原。

 

 石柱の残骸。

 

 水溜まり。

 

 切られた植物。

 

 完全に環境破壊。

 

( ゚∋゚)「クックルー…」

 

 少し呆れた声。

 

 風が吹く。

 

 草が揺れる。

 

 そして遠く。

 

 森の影。

 

 +激しく忍者+

 

 逃走成功。

 

 今回。

 

 忍者は殴られていない。

 

 これは奇跡である。

 

 ただし。

 

 草原は死んだ。

 

 遠くで。

 

 ドゥ。

 

 と音がした気がした。

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