クックル物語〈ドゥドゥドゥ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第二十二話 「足軽」

戦国の戦場では、雑兵だけが戦うわけではない。

 

雑兵の後ろには、訓練された兵がいる。

足軽。

 

槍を持ち、陣形を組み、弓や鉄砲を扱う。

戦場の主力と言ってよい兵だ。

 

彼らは雑兵とは違う。

少なくとも本人たちはそう思っている。

 

だが今日の戦場には、

まだ理解されていない敵がいた。

 

----------------------

 

 戦場の中央。

 

 倒れている雑兵。

 転がる槍。

 呻く声。

 

 そしてその真ん中に。

 

( ゚∋゚)

 

 クックルが立っていた。

 

 周囲には誰も近づかない。

 

 いや、近づけない。

 

 雑兵の後ろでそれを見ていた足軽たちは、顔を見合わせた。

 

「……雑兵がやられた」

 

「殴り飛ばされたぞ」

 

「鳥だろ、あれ」

 

 足軽大将が低く言う。

 

「落ち着け」

 

 鎧の音が鳴る。

 

「雑兵とは違う。俺たちは足軽だ」

 

 周囲の兵がうなずく。

 

 確かに雑兵とは違う。

 

 彼らは訓練されている。

 

 戦場の動きも知っている。

 

 そして。

 

 陣形を組むことができる。

 

「弓隊、前へ」

 

 十数人の弓足軽が前に出る。

 

 弓を構える。

 

 クックルを見る。

 

( ゚∋゚)「クックル?」

 

 首を傾げている。

 

 弓隊長が叫ぶ。

 

「放て!」

 

 弦が鳴る。

 

 ヒュン。

 

 ヒュン。

 

 ヒュン。

 

 矢が飛ぶ。

 

 空を裂き、クックルへ降り注ぐ。

 

 ドゥ。

 

 矢が弾かれる。

 

 ドゥ。

 

 矢が折れる。

 

 ドゥ。

 

 矢が地面に落ちる。

 

 足軽たちが固まる。

 

「……効いてない」

 

「一本も刺さらんぞ」

 

 足軽大将が叫ぶ。

 

「鉄砲隊!」

 

 後ろから火縄銃部隊が前に出る。

 

 火皿に火が灯る。

 

 銃口が並ぶ。

 

 クックルへ向く。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 パン。

 

 パン。

 

 パン。

 

 斉射。

 

 煙が広がる。

 

 戦場が白くなる。

 

 足軽大将が言う。

 

「槍隊、突撃!」

 

 煙の中から槍足軽が走る。

 

 槍が並ぶ。

 

 叫び声。

 

「突けぇぇぇ!」

 

 煙が晴れる。

 

 そこにいたのは。

 

( ゚∋゚)

 

 クックルだった。

 

 無事だった。

 

 槍足軽たちが一瞬止まる。

 

「……無傷?」

 

 次の瞬間。

 

 ドゥ。

 

 一人飛ぶ。

 

 ドゥ。

 

 二人飛ぶ。

 

 ドゥドゥドゥ。

 

 槍が宙に舞う。

 

 槍足軽が転がる。

 

「何だこれぇぇぇ!」

 

 槍隊は一瞬で崩壊した。

 

 足軽大将が歯を食いしばる。

 

「まだだ!」

 

「長巻隊、前へ!」

 

 長巻。

 

 長い柄に大きな刃を付けた武器だ。

 

 斬撃力は強い。

 

 重装兵を倒すための武器でもある。

 

 長巻足軽たちが前に出る。

 

「囲め!」

 

 半円を描く。

 

 長巻が振り上がる。

 

 斬る。

 

 ドゥ。

 

 兵が転ぶ。

 

 ドゥ。

 

 また転ぶ。

 

 ドゥドゥドゥ。

 

 長巻が地面に落ちる。

 

「無理だぁ!」

 

 長巻隊も崩れた。

 

 足軽大将の顔が引きつる。

 

「……力自慢を出せ」

 

 後ろから大柄な足軽たちが前に出る。

 

 手に持つのは。

 

 金砕棒。

 

 大太刀。

 

 豪腕の兵だ。

 

「やれぇ!」

 

 金砕棒が振り下ろされる。

 

 ドゥ。

 

 振った足軽が倒れる。

 

 大太刀が振られる。

 

 ドゥ。

 

 大太刀ごと吹き飛ぶ。

 

 ドゥドゥドゥドゥ。

 

 豪腕兵たちが次々転がる。

 

 戦場が静かになった。

 

 弓隊。

 

 鉄砲隊。

 

 槍隊。

 

 長巻隊。

 

 豪腕兵。

 

 全部倒れている。

 

 立っているのは。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 一羽だけだった。

 

 足軽大将は呆然とそれを見た。

 

「……何なんだ」

 

 戦場に風が吹く。

 

 旗が揺れる。

 

 倒れた兵の間で。

 

 クックルが静かに立っていた。

 

 そして。

 

 遠くで太鼓が鳴る。

 

 ドン。

 

 ドン。

 

 ドン。

 

 次の部隊が動き始めていた。

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