クックル物語〈ドゥドゥドゥ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第二十四話 「大名」

戦場は終わらなかった。

だが決着もつかなかった。

 

雑兵は倒れ、

足軽は倒れ、

陪臣までもが倒れた。

 

戦は止まり、双方の軍は引いた。

 

残ったのは、説明のつかない出来事だけである。

 

ゆえに話し合うしかない。

 

内政、外交、財政。

戦だけでは国は治まらない。

 

大名と家臣たちは、頭を抱えていた。

 

----------------------

 

 城の評定の間。

 

 畳が並び、屏風が立つ。

 家紋の旗が静かに揺れていた。

 

 その中央に、大名が座っている。

 

 左右には家臣たち。

 

 武将。

 奉行。

 側近。

 

 戦場から戻ったばかりの顔だ。

 

 重い沈黙が流れていた。

 

 やがて一人の家臣が口を開く。

 

「……足軽三十、陪臣四名がやられております」

 

 別の家臣が言う。

 

「敵の軍勢ではありませぬ」

 

 大名が眉を寄せた。

 

「では何だ」

 

 家臣が答える。

 

「鳥でございます」

 

 沈黙。

 

 もう一度言う。

 

「鳥でございます」

 

 大名がゆっくり言った。

 

「……鳥が足軽を殴ったと?」

 

「はい」

 

「陪臣も?」

 

「はい」

 

 大名が天井を見上げた。

 

「妖怪か」

 

 別の家臣が頷く。

 

「妖怪変化の類と考えるのが妥当かと」

 

 別の者が言う。

 

「弓も鉄砲も効かぬとのこと」

 

 さらに別の家臣。

 

「槍も通じませぬ」

 

 大名が腕を組んだ。

 

 戦だけならば話は早い。

 

 だがこれは違う。

 

 国を治める者は、戦だけでは動けない。

 

 もし妖怪ならば。

 

 寺か。

 陰陽師か。

 あるいは他国の策か。

 

 外交問題になる可能性もある。

 

 財政も動く。

 

 家臣の一人が言う。

 

「放置するのは危険かと」

 

 別の家臣。

 

「だが敵意があるとは限りませぬ」

 

「戦場に立っていた」

 

「殴っただけです」

 

「十分敵意ではないか」

 

 議論が続く。

 

 大名がふと眉をひそめた。

 

「……あれは何だ」

 

 家臣たちが振り向く。

 

 評定の間の隅。

 

 そこに。

 

 引き戸があった。

 

 見慣れない戸だ。

 

 城の作りにはない。

 

 家臣が言う。

 

「……いつから」

 

「先ほどは無かったはず」

 

 大名が腰の刀に手を置いた。

 

「誰が置いた」

 

 誰も答えない。

 

 沈黙。

 

 そのとき。

 

 ガラララ。

 

 引き戸が勝手に開いた。

 

 家臣たちが一斉に刀を握る。

 

「構えろ!」

 

 だが。

 

 戸の向こうには何もいない。

 

 ただ暗い空間だけ。

 

 家臣の一人が言う。

 

「……何も」

 

 その瞬間。

 

 反対側の襖が開いた。

 

 スッ。

 

 全員が振り向く。

 

 そこにいた。

 

( ゚∋゚)

 

 クックルだった。

 

 静かに立っている。

 

 評定の間のど真ん中に。

 

 家臣が叫ぶ。

 

「妖怪!」

 

 刀が抜かれる。

 

 斬る。

 

 ドゥ。

 

 一人吹き飛ぶ。

 

 ドゥ。

 

 二人転がる。

 

 ドゥドゥ。

 

 刀が宙を舞う。

 

 家臣が倒れる。

 

「殿を守れ!」

 

 武将たちが突っ込む。

 

 ドゥ。

 

 ドゥ。

 

 ドゥドゥドゥ。

 

 次々と転がる。

 

 畳が乱れる。

 

 屏風が倒れる。

 

 評定の間が一瞬で壊滅した。

 

 大名だけが残る。

 

 座ったまま。

 

 刀を握る。

 

 クックルを見る。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 そのとき。

 

 天井梁の上から。

 

 影が落ちた。

 

 音もなく。

 

 畳の上に降り立つ。

 

 黒装束。

 

 顔を覆う布。

 

 そして。

 

+激しく忍者+

 

 クックルの前に立つ。

 

 しばし沈黙。

 

 空気が張り詰める。

 

 大名が呟く。

 

「……誰だ」

 

 家臣が息を切らしながら言う。

 

「殿……あの忍び……」

 

 大名が聞く。

 

「誰が雇った」

 

 家臣たちが顔を見合わせる。

 

「……存じませぬ」

 

「我らではありませぬ」

 

「城の忍びでもない」

 

 大名が目を細めた。

 

「では誰だ」

 

 答える者はいない。

 

 その間にも。

 

 畳の中央で。

 

 クックルと忍者が向かい合っていた。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

+激しく忍者+

 

 次の瞬間。

 

 動いた。

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