クックル物語〈ドゥドゥドゥ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

25 / 40
第二十五話「剣豪」

戦国の世は終わらない。

だが戦が終わることはある。

 

主家が滅びる。

城が落ちる。

あるいは首を切られる。

 

そうして行き場を失った武士が生まれる。

 

浪人。

 

だがその中には、剣だけを極めた者もいた。

仕える主はなくとも、侍として生きる者。

 

剣豪。

 

そして戦場の噂は、そういう者の耳に必ず届く。

 

----------------------

 

 夕暮れの野原。

 

 戦場だった場所は、すでに静まり返っていた。

 

 折れた槍。

 転がる旗。

 風に揺れる草。

 

 そしてその中央。

 

( ゚∋゚)

 

 クックルが立っている。

 

 動かない。

 ただ立っている。

 

 その前に、一人の男が歩いてきた。

 

 浪人である。

 

 鎧はない。

 旅装束。

 

 だが腰には二本の刀。

 

 長年鍛えた体。

 無駄のない歩き方。

 

 剣の達人であることは、見る者には分かる。

 

 男が立ち止まる。

 

「……お前が例の鳥か」

 

( ゚∋゚)「クックル?」

 

 首を傾げる。

 

 浪人は刀の柄に手を置いた。

 

「妖怪か、神か、ただの鳥か」

 

 少し笑う。

 

「どちらでもよい」

 

 ゆっくりと言った。

 

「斬れば分かる」

 

 そのとき。

 

 後ろから影が降りた。

 

 音もなく。

 

 草の上に着地。

 

 黒装束。

 

+激しく忍者+

 

 浪人が振り向く。

 

「……忍びか」

 

+激しく忍者+

 

 両手を振る。

 

+激しくやめとけ+

 

 浪人が眉をひそめた。

 

「何だその仕草」

 

+激しくやめとけ+

 

「いや言葉で言え」

 

+激しくやめとけ+

 

「いやだから分からん」

 

 浪人は頭をかいた。

 

「お前、止めてるのか?」

 

+激しく頷く+

 

「理由は?」

 

+激しくクックル指差す+

 

 浪人がクックルを見る。

 

( ゚∋゚)

 

 静かに立っている。

 

 浪人が言った。

 

「……鳥だろ」

 

+激しく否定+

 

「いやどう見ても鳥だ」

 

+激しく首振る+

 

「いやだから何なんだ」

 

+激しくやめとけ+

 

 浪人がため息をついた。

 

「解せん」

 

 刀を抜く。

 

 カチリと音がする。

 

「だが」

 

 クックルを見る。

 

「剣豪として名を上げる機会だ」

 

 構える。

 

「妖怪ならば斬る」

 

 クックルが首を傾げた。

 

( ゚∋゚)「クックル?」

 

 浪人が踏み込む。

 

 速い。

 

 剣が閃く。

 

 ヒュッ。

 

 ドゥ。

 

 浪人が転がった。

 

「え?」

 

 地面に顔から落ちる。

 

 起き上がる。

 

「……殴った?」

 

 クックルを見る。

 

( ゚∋゚)

 

「殴ったな」

 

 もう一度構える。

 

「今のは油断だ」

 

 踏み込む。

 

 斬撃。

 

 鋭い。

 

 普通の兵なら一刀両断。

 

 ドゥ。

 

 浪人がまた飛んだ。

 

「何でだ!」

 

 起き上がる。

 

「剣を合わせろ!」

 

 突っ込む。

 

 斬る。

 

 突く。

 

 連撃。

 

 ドゥ。

 

 ドゥ。

 

 ドゥドゥ。

 

 全部殴られる。

 

 浪人が転がる。

 

「何だこの戦い!」

 

 立ち上がる。

 

「剣術が通じぬ!」

 

 クックルを見る。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 浪人が叫ぶ。

 

「殴るな!」

 

 ドゥ。

 

 また飛ぶ。

 

 草むらに落ちる。

 

 その横を、黒い影が通り過ぎた。

 

+激しく忍者+

 

 クックルへ突っ込む。

 

 クックルが振り向く。

 

( ゚∋゚)

 

 次の瞬間。

 

 拳が動く。

 

 ドゥ。

 

 忍者が避ける。

 

 ドゥ。

 

 忍者が跳ぶ。

 

 ドゥドゥ。

 

 忍者が回る。

 

 空中で。

 

+激しく回転+

 

 蹴り。

 

 クックルが殴る。

 

 ドゥ。

 

 忍者が消える。

 

「待て待て待て!」

 

 草の中から浪人が叫ぶ。

 

「何だその動き!」

 

+激しく背後出現+

 

 クックルを殴る。

 

 ドゥ。

 

 クックルが少し動く。

 

「当たった!?」

 

 次の瞬間。

 

 ドゥドゥ。

 

 忍者が殴られる。

 

 だが倒れない。

 

+激しく反撃+

 

 殴る。

 

 蹴る。

 

 投げる。

 

 クックルが殴る。

 

 忍者が避ける。

 

 物理が怪しくなってきた。

 

 空中にいる。

 

 何もないのに跳ぶ。

 

 地面を蹴っていない。

 

「待て待て待て!」

 

 浪人が叫ぶ。

 

「今空中二段跳びしたぞ!」

 

 忍者が回る。

 

+激しく空中蹴り+

 

 クックルが殴る。

 

 ドゥ。

 

 忍者が地面に刺さる。

 

 だがすぐ出てくる。

 

+激しく復帰+

 

「もういい!」

 

 浪人が頭を抱える。

 

「何だこの戦い!」

 

 忍者とクックルが殴り合う。

 

 ドゥ。

 

 ドゥ。

 

 ドゥドゥドゥ。

 

 拳が風を切る。

 

 草が揺れる。

 

 空気が震える。

 

 忍者が回る。

 

+激しく回転蹴り+

 

 クックルが殴る。

 

 ドゥ。

 

 忍者が飛ぶ。

 

 空中で回る。

 

+激しく着地+

 

「物理が壊れてる!」

 

 浪人が叫ぶ。

 

「誰か説明しろ!」

 

 誰も説明しない。

 

 殴り合いは続く。

 

 ドゥ。

 

 ドゥドゥ。

 

 ドゥドゥドゥ。

 

 夕暮れの野原で。

 

 妖怪と忍者が殴り合い。

 

 それを。

 

 剣豪が全力で突っ込みながら見ていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。