クックル物語〈ドゥドゥドゥ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第六章「騎士もだいたい殴る」
第二十六話「従者」


騎士の世界。

 

ここでは騎士という存在がある。

 

彼らは名誉のために戦い、

領主のために槍を掲げ、

神のために剣を振るう。

 

だが騎士は、

いきなり騎士になるわけではない。

 

幼い頃は小姓。

城で礼儀と武を学び。

 

やがて従者となり、

騎士に付き従い、

戦場と人生を学ぶ。

 

そんな未来の騎士の前に、

今日も問題が現れた。

 

クックルである。

 

--------------------

 

 春の草原だった。

 

 風が吹き、草が揺れる。

 

 平和な昼下がり。

 

 その中を、

 一騎の騎馬が進んでいた。

 

 鎧を着た騎士。

 

 その横を歩く若者。

 

 従者だった。

 

「よいか」

 

 騎士が言う。

 

「はい、騎士殿」

 

 若者は真剣にうなずく。

 

 彼は幼い頃から城に仕えていた。

 

 小姓として。

 

 皿を運び、

 鎧を磨き、

 武具を整え。

 

 騎士の生活を間近で見て育った。

 

 そして成長し。

 

 今は従者。

 

 騎士の付き人であり、

 騎士見習い。

 

 槍を運び、

 剣を整え、

 戦場では予備武器を渡す。

 

 騎士としての行動を学ぶ立場である。

 

 つまり。

 

 未来の騎士。

 

 希望に満ちた若者。

 

 その教育を行うのが。

 

 隣にいる騎士殿であった。

 

「騎士とはな」

 

 騎士が言う。

 

「勇気である」

 

「はい」

 

「騎士とは」

 

「はい」

 

「名誉である」

 

「はい!」

 

「そして」

 

 騎士は遠くを見た。

 

「恐れぬ心だ」

 

 かっこいい。

 

 とてもかっこいい。

 

 完全に騎士である。

 

 だが。

 

 問題がある。

 

 彼らがここに来た理由である。

 

「騎士殿」

 

「うむ」

 

「村の者が言っていた」

 

「うむ」

 

「変わった鳥が出ると」

 

「そうだ」

 

 騎士は頷く。

 

「民を守るのも騎士の務め」

 

「はい!」

 

「どのような魔物であろうと」

 

「はい!」

 

「恐れてはならぬ」

 

 そのとき。

 

 草が揺れた。

 

 風ではない。

 

 何かがいる。

 

 従者が目を凝らす。

 

 そこに。

 

( ゚∋゚)

 

 いた。

 

 鳥。

 

 いや。

 

 鳥?

 

 なんだあれ。

 

 立っている。

 

 草原の真ん中に。

 

 普通に。

 

( ゚∋゚)

 

 なんだあれ。

 

 従者が言う。

 

「騎士殿」

 

「うむ」

 

「あれは」

 

「うむ」

 

「鳥でしょうか」

 

「わからん」

 

 騎士は正直だった。

 

 だが。

 

 騎士は騎士である。

 

 堂々と言う。

 

「だが恐れるな」

 

「はい!」

 

「騎士とは」

 

「はい!」

 

「恐れぬ者だ」

 

 騎士は槍を構えた。

 

 騎馬突撃の姿勢。

 

「見ておけ」

 

「はい!」

 

「これが」

 

 騎士が言う。

 

「騎士の戦いだ!」

 

 馬が走る。

 

 ドドドドドド。

 

 草原を駆ける。

 

 槍が構えられる。

 

 完全な騎馬突撃。

 

 かっこいい。

 

 すごくかっこいい。

 

 騎士である。

 

 だが。

 

( ゚∋゚)

 

 クックルは動かない。

 

「食らえ!」

 

 騎士が叫ぶ。

 

 その瞬間。

 

 ドゥ。

 

 騎士が飛んだ。

 

「えっ」

 

 従者が言う。

 

「えっ?」

 

 ドゥ。

 

 騎士が空を飛ぶ。

 

 きれいに。

 

 すごくきれいに。

 

 完全に。

 

 飛んだ。

 

 馬も止まる。

 

 従者が固まる。

 

「殴った?」

 

 今。

 

 鳥が。

 

 騎士を。

 

 殴った?

 

 騎士が地面に落ちる。

 

 ドサッ。

 

 沈黙。

 

 従者が叫ぶ。

 

「騎士殿!!」

 

 騎士は起きた。

 

「ぐっ……」

 

 生きている。

 

 騎士は立ち上がる。

 

 剣を抜く。

 

「よいか」

 

 騎士が言う。

 

「はい!」

 

「騎士とは」

 

「はい!」

 

「諦めぬ者だ!」

 

 徒歩突撃である。

 

 さっき吹き飛ばされたのに。

 

 徒歩突撃である。

 

 勇気なのか。

 

 無謀なのか。

 

 たぶん両方である。

 

 騎士が斬りかかる。

 

「はあああ!」

 

 その瞬間。

 

 ドゥ。

 

 騎士が飛ぶ。

 

「また!?」

 

 ドゥ。

 

 もう一発。

 

 ドゥ。

 

 もう一発。

 

 ドゥドゥドゥ!!

 

 完全連撃。

 

 騎士が転がる。

 

 草原を。

 

 転がる。

 

 騎士殿が。

 

 転がる。

 

 従者が震える。

 

「騎士殿……」

 

 怒りが湧く。

 

 従者は弓を取る。

 

「騎士殿の敵!」

 

 弓を引く。

 

 ビシッ。

 

 矢が飛ぶ。

 

 一直線。

 

 完璧な射撃。

 

 だが。

 

 パシッ。

 

 弾かれた。

 

「えっ」

 

 矢を。

 

 弾いた?

 

 鳥が?

 

 何で?

 

 その瞬間。

 

( ゚∋゚)

 

 クックルが近づく。

 

 早い。

 

 すごく早い。

 

 次の瞬間。

 

 ドゥ。

 

 従者が飛んだ。

 

「うわあああ!!」

 

 未来の騎士が空を飛ぶ。

 

 そして落ちる。

 

 ドサッ。

 

 沈黙。

 

 そこへ。

 

「ぐ……」

 

 騎士が来る。

 

 まだ生きている。

 

 騎士は従者を持ち上げる。

 

「立て」

 

「騎士殿……」

 

「退く」

 

「え?」

 

「退くぞ!」

 

 騎士は馬に乗る。

 

 従者を引き上げる。

 

「しっかり掴まれ!」

 

「はい!」

 

 馬が走る。

 

 全力で。

 

 全力で逃げる。

 

 草原を。

 

 全力で。

 

 逃げる。

 

 後ろには。

 

( ゚∋゚)

 

 静かに立っていた。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 春の草原。

 

 風が吹く。

 

 静かだった。

 

 少なくとも。

 

 あそこには。

 

 二度と近づかないと。

 

 騎士と従者は。

 

 固く誓った。

 

 たぶん。

 

 あれは魔物だった。

 

 たぶん。

 

 いや。

 

 もういい。

 

 考えるのはやめよう。

 

 エリア55が怖いからである。

 

 だいたい殴る。

 

 それが。

 

 クックルである。

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