騎士の城。
ここでは騎士団という組織がある。
騎士個人ではなく、
城と民を守るための軍事組織。
弓兵、弩兵、歩兵、騎士。
城壁という要塞を使い、
数多の敵を退けてきた歴戦の守護者たちである。
そんな騎士団の前に、
数日前の出来事が再び現れた。
クックルである。
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二十七話の出来事から。
数日が経った。
城では。
とても静かに。
誰もその話をしなかった。
いや。
しようとすると。
なんか嫌な予感がするからである。
礼拝堂では司祭がまだ湿布を貼っている。
城門前では騎士が転がった跡がまだ残っている。
騎士殿と。
新騎士は。
その城門を見ながら言った。
「来ないよな」
「来ないですよね」
そのとき。
見張り塔から声。
「報告!」
嫌な予感しかしない。
「城門前に!」
「鳥の魔物確認!!」
やっぱり来た。
城門前。
そこに。
( ゚∋゚)
いた。
立っている。
身長。
二メートル。
いや。
三メートル。
ムキムキである。
完全にムキムキである。
二足歩行。
人間体型。
でも鳥。
いや。
鳥?
騎士殿が言う。
「……でかくないか」
新騎士が言う。
「でかいですね」
「前こんなだったか」
「いや」
「こんなでした」
城の鐘が鳴る。
カーン!
カーン!
カーン!
騎士団集合である。
城壁の上。
兵士。
弓兵。
弩兵。
騎士。
団長が出てくる。
「状況」
兵士が言う。
「鳥の魔物です」
団長。
城門前を見る。
( ゚∋゚)
ムキムキ。
団長。
「……鳥か?」
騎士殿と新騎士。
「殴ります」
「殴ります」
団長。
「鳥だろ?」
二人。
「殴ります」
団長。
「わかった」
「城壁戦だ」
城門閉鎖。
落とし格子。
横木。
完全防御。
中世城塞防衛である。
城壁の上。
弓兵が並ぶ。
団長が言う。
「弓兵」
「射て!」
矢の雨。
弓は城塞防衛の基本兵器。
高所から撃つことで射程と威力が増す。
敵兵を削るのに最適。
だが。
パシパシ。
弾く。
クックル。
矢。
弾く。
城壁。
「え?」
団長。
「弩兵」
クロスボウ。
重い矢。
鎧を貫く威力。
中世戦争の主力武器。
「撃て!」
ドン!
矢。
クックル直撃。
煙。
煙が晴れる。
( ゚∋゚)
普通。
城壁。
「え?」
団長。
「石だ!」
城壁防衛の基本。
石落とし。
重力兵器。
巨石。
ゴロゴロ。
落ちる。
直撃。
その瞬間。
ドゥ。
石砕ける。
城壁。
「え?」
団長。
「熱湯!」
城塞戦の有名な戦術。
油や熱湯。
攻城兵器や兵士を焼く。
上から。
ドバー。
湯気。
煙。
煙晴れる。
( ゚∋゚)
普通。
兵士。
「鳥ゆでにならない」
団長。
「石灰!」
粉。
目潰し。
石灰粉。
上から。
バサッ。
クックル。
普通。
兵士。
「効いてない」
団長。
「弩砲!」
大型クロスボウ。
城塞兵器。
巨大矢。
ドン!!
クックル。
ドゥ。
矢折れる。
兵士。
「鳥だよな?」
団長。
「投石機!」
トレビュシェット。
巨大石。
ゴォン!!
石飛ぶ。
クックル。
ドゥ。
石粉砕。
騎士殿。
「石を殴った」
新騎士。
「石を殴りました」
団長。
「火矢!」
弓兵。
炎。
矢。
刺さる。
燃える。
煙。
煙晴れる。
( ゚∋゚)
普通。
兵士。
「焼き鳥にならない」
そのとき。
クックル。
城門へ歩く。
ズシン。
ズシン。
ムキムキ鳥。
城門前。
止まる。
団長。
「盾兵!」
城門防衛ライン。
盾兵。
槍兵。
完全防御。
その瞬間。
ドゥ。
盾兵飛ぶ。
ドゥ。
槍兵飛ぶ。
ドゥドゥドゥ。
ライン壊滅。
城壁。
「え?」
団長。
「騎士団突撃!」
城門開く。
騎士団。
騎馬突撃。
ランス。
完全な重騎兵戦術。
その瞬間。
ドゥ。
ドゥ。
ドゥドゥドゥドゥ!!
騎士団。
全部飛ぶ。
騎士殿。
「だから言った」
新騎士。
「言いました」
城壁の上。
沈黙。
団長が言う。
「なんだあれ」
そのとき。
ガラララ。
見知らぬ引き戸。
城壁の上。
看板。
エリア55。
団長。
「なんだこれ」
クックル。
城壁を見上げる。
そして。
ジャンプ。
掴む。
団長。
「え?」
引きずる。
ガラララ。
扉閉まる。
団長消える。
城壁。
沈黙。
誰かが言った。
「……鳥だよな?」
騎士殿。
「殴ります」
新騎士。
「殴ります」
城門前。
( ゚∋゚)
( ゚∋゚)「クックル」
静かに鳴いた。
だいたい殴る。
それが。
クックルである。