第三十一話「首狩りウサギ」
伝説の世界。
ここでは人ならざる怪物が語られる。
巨大な竜。
恐ろしい蛇。
魔の力を持つ獣。
そして。
とても小さく、
とても白く、
とてもかわいい。
だが近づいた者の首を狩る。
首狩りウサギである。
そんな伝説の怪物の前に、
またしても現れた問題は。
クックルである。
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荒野。
騎士団が集まっていた。
盾。
剣。
槍。
旗。
完全武装である。
その理由。
目の前。
小さな白い影。
ぴょこん。
ぴょこん。
かわいい。
とてもかわいい。
完全にウサギ。
騎士の一人が言った。
「……これか?」
別の騎士。
「そうらしい」
団長。
「伝説の怪物だ」
騎士。
「ウサギですよ?」
団長。
「首を狩る」
騎士。
「ウサギですよ?」
その瞬間。
ぴょん。
白い影。
超高速。
騎士。
首。
ゴロン。
騎士団。
「うわああああああ!!」
団長。
「言っただろうが!!」
騎士団。
完全に距離を取る。
「なんだあれ!!」
「速すぎる!!」
「ウサギだぞ!!」
団長。
「伝説の怪物だ!!」
騎士。
「ウサギですよ!!」
団長。
「黙れ!!」
団長は叫んだ。
「聖なる手りゅう弾を持て!!」
騎士たち。
ざわつく。
聖なる手りゅう弾。
神殿の秘宝。
強力な聖遺物。
団長。
「よいか!」
「聖典に書かれている!」
騎士団。
真顔。
団長。
「三つ数えろ!」
「三だ!!」
「四ではない!」
「二でもない!」
「五は論外だ!!」
騎士。
「はい!!」
団長。
「三まで数えたら投げろ!!」
騎士。
構える。
首狩りウサギ。
ぴょこん。
かわいい。
でも危険。
騎士。
「一!」
「二!」
「三!!」
投げる!!
ドゴォォォォン!!
爆発。
煙。
土煙。
騎士団。
静寂。
煙が晴れる。
そこに。
白い毛。
ウサギ。
動かない。
団長。
「……」
騎士。
「……」
団長。
「やったか?」
騎士。
「やりましたね」
団長。
「勝った!!」
騎士団。
「うおおおおお!!」
大歓声。
そのとき。
草むら。
ぴょこん。
ぴょこん。
ぴょこん。
ぴょこん。
ぴょこん。
騎士団。
「…………」
団長。
「……増えた」
騎士。
「増えました」
団長。
「いっぱい」
騎士。
「いっぱい」
首狩りウサギ。
多数。
ぴょこん。
ぴょこん。
ぴょこん。
騎士団。
「うわあああああ!!」
パニック。
「弾足りねえ!!」
「もう無い!!」
「聖典に複数戦の記述がない!!」
そのとき。
草原。
向こうから。
ズシン。
ズシン。
ズシン。
現れる。
( ゚∋゚)
クックル。
ムキムキ。
二足歩行。
騎士団。
「なんだあれ!!」
団長。
「鳥だ!!」
騎士。
「鳥だ!!」
首狩りウサギ。
ぴょん!!
高速突撃。
狙う。
クックル。
首。
ドスッ。
クックル。
首。
飛ぶ。
騎士団。
「うわああああ!!」
「やられた!!」
「鳥の首飛んだ!!」
クックル。
体。
立っている。
首。
転がる。
騎士団。
「終わった!!」
だが。
クックル。
首。
拾う。
頭に。
押し付ける。
ぐいぐい。
ぐいぐい。
ぐいぐい。
騎士団。
「なにしてる!!」
「くっつけてる!!」
「そんな雑な修理ある!?」
ぐい。
ぐい。
ぐい。
ぴた。
くっついた。
騎士団。
「くっついた!!」
団長。
「くっつくのかよ!!」
クックル。
怒る。
( ゚∋゚)
「クックル」
次の瞬間。
ドゥ。
ウサギ飛ぶ。
ドゥ。
ウサギ飛ぶ。
ドゥドゥ。
ウサギ飛ぶ。
ドゥドゥドゥドゥ!!
完全乱打。
白い毛。
飛び散る。
騎士団。
「殴ったあああ!!」
「全部殴った!!」
静寂。
荒野。
立っているのは。
( ゚∋゚)
( ゚∋゚)「クックル」
だけだった。
騎士。
「……」
団長。
「……」
騎士。
「ウサギより」
団長。
「鳥のほうが怖い」
だいたい殴る。
それが。
クックルである。