古くから語られる怪物がいる。
沼の底。
毒の霧。
そして無数の首。
その名はヒドラ。
首を斬れば増える。
毒は大地を腐らせる。
ギリシャの古い神話では、
それは人間のどうしようもないものを象徴していた。
欲望。
混乱。
終わらない問題。
一つ切っても、また増える。
そんな怪物の前に現れるのは。
( ゚∋゚)
クックルである。
しかも今回は。
グリフォンの羽を首飾りにし、
それをユニコーンの鬣で結ぶという、
神獣への冒涜ファッションである。
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王国南部。
湿地帯。
広大な沼地。
水は濁り。
木々は枯れ。
空気は重い。
村人が震えている。
「あれはヒドラだ!」
騎士団が沼の縁に並ぶ。
若い騎士が言う。
「ヒドラって何ですか」
老兵が答える。
「首が多い怪物だ」
「そして」
「首を斬ると増える」
若い騎士。
「え?」
老兵。
「増える」
若い騎士。
「いや待ってください」
「それどうやって倒すんですか」
老兵。
「昔は燃やした」
若い騎士。
「先に言ってください!」
沼の奥。
水面が揺れる。
ズズズ……。
巨大な影。
ゆっくりと姿を現す。
蛇のような体。
巨大。
そして。
首。
一つ。
二つ。
三つ。
五つ。
十。
若い騎士。
「多い!!」
老兵。
「ヒドラだからな」
若い騎士。
「説明が雑!」
老兵が続ける。
「神話ではな」
「ヒドラは象徴なんだ」
若い騎士。
「象徴?」
「何の?」
老兵。
「人間の問題だ」
「欲望」
「争い」
「混乱」
「一つ解決しても」
「また増える」
若い騎士。
「嫌な象徴ですね!」
老兵。
「非常に嫌だ」
ヒドラ。
沼から這い出る。
首。
揺れる。
毒の息。
騎士団長。
「討伐する!」
騎士たち。
「おお!」
突撃。
剣。
振る。
ズバッ。
首一本。
落ちる。
若い騎士。
「やった!」
次の瞬間。
ボコッ。
ボコッ。
ボコッ。
二本生える。
若い騎士。
「増えた!!」
老兵。
「言った」
若い騎士。
「もっと強く言ってください!」
騎士。
もう一度。
ズバッ。
ズバッ。
首落ちる。
ボコボコボコ。
四本。
若い騎士。
「増えすぎ!!」
騎士団長。
「撤退準備!」
そのとき。
木の上。
影。
風もなく。
現れる。
+激しく忍者+
枝の上。
+激しく観察+
ヒドラを見る。
首。
増殖。
毒。
忍者。
+激しく記録+
「対象」
「ヒドラ」
「特徴」
「首増殖」
騎士たち。
「何あれ」
老兵。
「忍者だ」
若い騎士。
「忍者!?」
忍者。
+激しく観察+
「象徴」
「問題」
「非常に増える」
若い騎士。
「分析してる!」
そのとき。
沼の向こう。
ズシン。
ズシン。
ズシン。
地面が揺れる。
騎士たち振り向く。
そこにいた。
( ゚∋゚)
クックル。
白い羽。
ムキムキ。
頭。
王冠。
ルビー粉コーティングの鳥冠。
首。
グリフォン羽のネックレス。
だが。
それを繋いでいるのは。
ユニコーンの鬣。
白い毛。
きらきら。
神獣素材。
若い騎士。
「……」
老兵。
「……」
若い騎士。
「神獣の残骸」
老兵。
「装備にしてる」
若い騎士。
「冒涜では?」
老兵。
「非常に冒涜」
忍者。
+激しく観察+
「鳥」
クックル。
ヒドラを見る。
( ゚∋゚)
「クックル」
ヒドラ。
首。
二十本。
怒り。
突撃。
毒。
騎士たち。
「来るぞ!」
クックル。
腕を上げる。
ドゥ。
首一本。
飛ぶ。
次の瞬間。
ボコッ。
二本生える。
若い騎士。
「増える!!」
クックル。
ドゥ。
ドゥ。
ドゥ。
首飛ぶ。
増える。
飛ぶ。
増える。
若い騎士。
「殴るな!!」
「増える!!」
老兵。
「問題の象徴だからな」
若い騎士。
「問題増えてる!」
クックル。
止まらない。
ドゥ。
ドゥ。
ドゥドゥドゥドゥ!!
ヒドラ。
首。
三十。
四十。
沼が揺れる。
忍者。
+激しく観察+
+激しく記録+
「鳥」
「非常に殴る」
最後。
クックル。
大きく振りかぶる。
( ゚∋゚)
「クックル」
ドゥドゥドゥドゥドゥ!!
ヒドラ。
全部飛ぶ。
沼。
静寂。
騎士たち。
「……」
老兵。
「問題」
若い騎士。
「殴って解決」
忍者。
+激しく記録+
「観測記録」
「鳥」
「非常に殴る」
沼の真ん中。
立っている。
王冠。
ルビー。
神獣素材アクセサリー。
( ゚∋゚)
( ゚∋゚)「クックル」
問題は。
だいたい殴る。