クックル物語〈ドゥドゥドゥ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第三十八話「ヒドラ」

 

古くから語られる怪物がいる。

 

沼の底。

 

毒の霧。

 

そして無数の首。

 

その名はヒドラ。

 

首を斬れば増える。

 

毒は大地を腐らせる。

 

ギリシャの古い神話では、

それは人間のどうしようもないものを象徴していた。

 

欲望。

混乱。

終わらない問題。

 

一つ切っても、また増える。

 

そんな怪物の前に現れるのは。

 

( ゚∋゚)

 

クックルである。

 

しかも今回は。

 

グリフォンの羽を首飾りにし、

それをユニコーンの鬣で結ぶという、

 

神獣への冒涜ファッションである。

 

--------------------

 

 王国南部。

 

 湿地帯。

 

 広大な沼地。

 

 水は濁り。

 

 木々は枯れ。

 

 空気は重い。

 

 村人が震えている。

 

「あれはヒドラだ!」

 

 騎士団が沼の縁に並ぶ。

 

 若い騎士が言う。

 

「ヒドラって何ですか」

 

 老兵が答える。

 

「首が多い怪物だ」

 

「そして」

 

「首を斬ると増える」

 

 若い騎士。

 

「え?」

 

 老兵。

 

「増える」

 

 若い騎士。

 

「いや待ってください」

 

「それどうやって倒すんですか」

 

 老兵。

 

「昔は燃やした」

 

 若い騎士。

 

「先に言ってください!」

 

 沼の奥。

 

 水面が揺れる。

 

 ズズズ……。

 

 巨大な影。

 

 ゆっくりと姿を現す。

 

 蛇のような体。

 

 巨大。

 

 そして。

 

 首。

 

 一つ。

 

 二つ。

 

 三つ。

 

 五つ。

 

 十。

 

 若い騎士。

 

「多い!!」

 

 老兵。

 

「ヒドラだからな」

 

 若い騎士。

 

「説明が雑!」

 

 老兵が続ける。

 

「神話ではな」

 

「ヒドラは象徴なんだ」

 

 若い騎士。

 

「象徴?」

 

「何の?」

 

 老兵。

 

「人間の問題だ」

 

「欲望」

 

「争い」

 

「混乱」

 

「一つ解決しても」

 

「また増える」

 

 若い騎士。

 

「嫌な象徴ですね!」

 

 老兵。

 

「非常に嫌だ」

 

 ヒドラ。

 

 沼から這い出る。

 

 首。

 

 揺れる。

 

 毒の息。

 

 騎士団長。

 

「討伐する!」

 

 騎士たち。

 

「おお!」

 

 突撃。

 

 剣。

 

 振る。

 

 ズバッ。

 

 首一本。

 

 落ちる。

 

 若い騎士。

 

「やった!」

 

 次の瞬間。

 

 ボコッ。

 

 ボコッ。

 

 ボコッ。

 

 二本生える。

 

 若い騎士。

 

「増えた!!」

 

 老兵。

 

「言った」

 

 若い騎士。

 

「もっと強く言ってください!」

 

 騎士。

 

 もう一度。

 

 ズバッ。

 

 ズバッ。

 

 首落ちる。

 

 ボコボコボコ。

 

 四本。

 

 若い騎士。

 

「増えすぎ!!」

 

 騎士団長。

 

「撤退準備!」

 

 そのとき。

 

 木の上。

 

 影。

 

 風もなく。

 

 現れる。

 

+激しく忍者+

 

 枝の上。

 

+激しく観察+

 

 ヒドラを見る。

 

 首。

 

 増殖。

 

 毒。

 

 忍者。

 

+激しく記録+

 

「対象」

 

「ヒドラ」

 

「特徴」

 

「首増殖」

 

 騎士たち。

 

「何あれ」

 

 老兵。

 

「忍者だ」

 

 若い騎士。

 

「忍者!?」

 

 忍者。

 

+激しく観察+

 

「象徴」

 

「問題」

 

「非常に増える」

 

 若い騎士。

 

「分析してる!」

 

 そのとき。

 

 沼の向こう。

 

 ズシン。

 

 ズシン。

 

 ズシン。

 

 地面が揺れる。

 

 騎士たち振り向く。

 

 そこにいた。

 

( ゚∋゚)

 

 クックル。

 

 白い羽。

 

 ムキムキ。

 

 頭。

 

 王冠。

 

 ルビー粉コーティングの鳥冠。

 

 首。

 

 グリフォン羽のネックレス。

 

 だが。

 

 それを繋いでいるのは。

 

 ユニコーンの鬣。

 

 白い毛。

 

 きらきら。

 

 神獣素材。

 

 若い騎士。

 

「……」

 

 老兵。

 

「……」

 

 若い騎士。

 

「神獣の残骸」

 

 老兵。

 

「装備にしてる」

 

 若い騎士。

 

「冒涜では?」

 

 老兵。

 

「非常に冒涜」

 

 忍者。

 

+激しく観察+

 

「鳥」

 

 クックル。

 

 ヒドラを見る。

 

( ゚∋゚)

 

「クックル」

 

 ヒドラ。

 

 首。

 

 二十本。

 

 怒り。

 

 突撃。

 

 毒。

 

 騎士たち。

 

「来るぞ!」

 

 クックル。

 

 腕を上げる。

 

 ドゥ。

 

 首一本。

 

 飛ぶ。

 

 次の瞬間。

 

 ボコッ。

 

 二本生える。

 

 若い騎士。

 

「増える!!」

 

 クックル。

 

 ドゥ。

 

 ドゥ。

 

 ドゥ。

 

 首飛ぶ。

 

 増える。

 

 飛ぶ。

 

 増える。

 

 若い騎士。

 

「殴るな!!」

 

「増える!!」

 

 老兵。

 

「問題の象徴だからな」

 

 若い騎士。

 

「問題増えてる!」

 

 クックル。

 

 止まらない。

 

 ドゥ。

 

 ドゥ。

 

 ドゥドゥドゥドゥ!!

 

 ヒドラ。

 

 首。

 

 三十。

 

 四十。

 

 沼が揺れる。

 

 忍者。

 

+激しく観察+

 

+激しく記録+

 

「鳥」

 

「非常に殴る」

 

 最後。

 

 クックル。

 

 大きく振りかぶる。

 

( ゚∋゚)

 

「クックル」

 

 ドゥドゥドゥドゥドゥ!!

 

 ヒドラ。

 

 全部飛ぶ。

 

 沼。

 

 静寂。

 

 騎士たち。

 

「……」

 

 老兵。

 

「問題」

 

 若い騎士。

 

「殴って解決」

 

 忍者。

 

+激しく記録+

 

「観測記録」

 

「鳥」

 

「非常に殴る」

 

 沼の真ん中。

 

 立っている。

 

 王冠。

 

 ルビー。

 

 神獣素材アクセサリー。

 

( ゚∋゚)

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 問題は。

 

 だいたい殴る。

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