クックル物語〈ドゥドゥドゥ!!〉   作:ヒツジ(ラム肉

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第七話「国家はやらせではない」

ニュースになった。

 

やらせではなかった。

 

警察も現場を確認した。

 

証拠も押収した。

 

配信者は病院で目覚めた。

 

国家は対策本部を設置した。

 

制御できるかもしれないと誰かが言った。

 

国家はやらせではない。

 

扉は会議中でも出る。

 

----------------------

 

 午前九時。

 

 ワイドショーの特番が始まる。

 

『謎の生物による暴行事件か!?』

 

 スタジオではコメンテーターが真顔で頷いている。

 

「やらせではない、ということですね?」

 

 映像が流れる。

 

 森の中。

 

 カメラが揺れ、

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 そして。

 

 ドゥ。

 

 スタジオが一瞬静まる。

 

「CGでは?」

 

「現場からは第三者の痕跡は見つかっていません」

 

「新種の動物の可能性も――」

 

 テロップが踊る。

 

《政府、対策本部設置へ》

 

 都内病院。

 

 包帯だらけの配信者ヨシオが目を覚ます。

 

「……ここは」

 

 ベッドの横には警察官。

 

「おはようございます。事情をお聞きします」

 

「やらせじゃないんです」

 

「その話はもう全国が知っています」

 

 ヨシオが震える。

 

「あれは……鳥みたいで……でも……」

 

「鳴き声は?」

 

「クックル」

 

 警察官がメモを止める。

 

「……クックル?」

 

「はい。あと……ドゥ」

 

「ドゥ?」

 

 沈黙。

 

 内閣府地下会議室。

 

 モニターに森の映像が映る。

 

 自衛隊幹部、警察庁長官、科学顧問。

 

「物理的接触の痕跡は?」

 

「被害者の骨折は通常の打撃と一致します」

 

「正体は未確認」

 

 科学顧問が指を組む。

 

「極めて興味深い存在です」

 

 別の幹部が低く言う。

 

「利用できる可能性は?」

 

 部屋の空気が変わる。

 

「制御できれば、抑止力になる」

 

「対象は単独。捕獲を前提に――」

 

 そのとき。

 

 ガラララ。

 

 会議室の背後で、木製の引戸が静かに現れる。

 

 全員が凍る。

 

「警備は何をしている!」

 

 SPが銃を抜く。

 

 だが、扉は勝手に開く。

 

「押さえろ!」

 

 数名が扉に飛びつく。

 

 しかし。

 

 正面の自動ドアが開いた。

 

 静かに。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

「そっちか!!」

 

 SPが即座に拳銃を向ける。

 

「動くな!」

 

 発砲。

 

 乾いた銃声。

 

 弾丸が飛ぶ。

 

 ドゥ。

 

 弾丸が床に転がる。

 

「は?」

 

 次の瞬間。

 

 ドゥ。

 

 SPが壁に叩きつけられる。

 

「うわぁっ!」

 

(#゚∋゚)「クックルクックル」

 

 科学顧問が叫ぶ。

 

「溜め動作です!」

 

「報告書にあったのか!?」

 

「ありました!」

 

 ドゥ。

 

 幹部が机ごと吹き飛ぶ。

 

 ドゥ。

 

 警察庁長官が椅子ごと転倒。

 

「国家だぞ我々は!」

 

( ゚∋゚)「クックル?」

 

「疑問形で見るな!!」

 

 ドゥドゥドゥドゥ!!

 

 会議室が半壊する。

 

 資料が舞う。

 

 モニターが割れる。

 

 科学顧問が最後に叫ぶ。

 

「制御は――」

 

 ドゥ。

 

 沈黙。

 

 机の下に転がるスマートフォン。

 

 監視カメラが全てを映している。

 

 クックルがゆっくりと近づく。

 

 レンズを覗き込む。

 

 どアップ。

 

( ゚∋゚)「クックル」

 

 画面が乱れ、ブラックアウト。

 

 地下会議室には、壊れた机と静寂だけが残った。

 

 遠くで。

 

 ドゥ。

 

 と音がした気がした。

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