一般流浪人がスタレのキャラに狙われる話   作:しいたvol.3

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我、流浪のものである18

我、流浪の身である。

つい先ほど特殊な銃を使用して「天空」を討伐した。

それによってヒアンシーは火種を返還できる。

 

これにより、未だ返還されていないのは「世負い」のみ。

今はそれを持って逃げているサフェル殿を信じるしかない…か。

 

現状の問題は…この墜ちている足場をどう対処するか、であるか。

さすがにこの高さからの落下では彼らは死んでしまう。

 

__二人とも!捕まれ!このままオクヘイマへと直行する!

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ…!黎明のミハニが…!」

 

彼ら…ファイノンとヒアンシーは目を見開いてオクヘイマへと視線を向けている。

我もつられてそちらを見渡すと、ある光景が目に入った。

 

黎明のミハニが、墜ちている…!

 

なんともまぁ急な展開である。

しかし、黎明のミハニが墜ちたとなればオクヘイマの永遠の昼はもはや存在しない。

それはつまり、オクヘイマがいよいよ暗黒の潮の被害をダイレクトに受けてしまう。

 

今、オクヘイマにはアグライア殿とトリビー殿がいるはず

彼女たちなら少しは耐えられる。今は信じるしかない…か。

 

__尚更止まっている暇は無くなったぞ!ファイノン!ヒアンシー!早く我に捕まっていろ!

 

「手を取れって…まさか飛び降りるつもりですか!?」

 

「だ、ダメです!ヨロイたんが死んじゃいますよ!」

 

ヒアンシーが必至な形相でこちらへと訴えてくる。

しかし、ここで死ぬつもりもない。正直今は一刻を争う状況なのだ。

 

__君の約束を破った身でこんなこと言うのは変かもしれぬが…信じてくれ。今はそれが最速だ。

 

二人は逡巡の後、それぞれ言葉を紡いだ。

 

「…僕は信じよう。君の誠実さは、たとえ過ごしたのが短い時間だったとしても命を懸けるに足るものだったからね」

 

「…信じますからね!あなたに会えなかったキャスたんの分まで、私はあなたを守らなきゃいけないんです!」

 

__ありがとう。さぁ行こう、君たちの再創生への道は我が整える。

英雄たちの凱旋を邪魔するものは例え神であろうと叩き潰してくれる!

 

そうして我らは飛び降りる準備をした。

我が担ぐのは二人なのでいわゆる「俵担ぎ」という体制である。

傍から見れば鎧の大男が大柄の青年と少女を両肩に担いでいるとんでもない光景であるが、今はこれが一番安全である。

 

「…ごめんなさい。こういう時に言うべきじゃないんですが、もう少し何かないんでしょうか…」

 

「仕方ないよ、ヒアンシー。僕もこんな風に担がれるのは子供の時以来だ」

 

「ちょっと複雑です…」

 

__降りるぞ。叫んでもよいが、舌は噛まぬよう気を付けることを推奨するのである。

 

ふっ…っと足を空へと投げ出す。

とんでもない圧が体へと掛かっていくのを感じる。重力というのは馬鹿にできない威力であるなぁ。

 

相当な速度が出ているが、少し地面まではかかりそうというところでファイノンが口を開いた。

 

「そういえば、このまま落下するわけじゃないだろ?どんな算段なんだい?」

 

「そ、そうですよ!まさかまた何か不思議な道具を持ってたり…」

 

__む?そのまま落下するだけであるぞ。安心しろ、衝撃はすべて我が受けるのである。

 

「「…え」」

 

 

 

ドガァァァン!!!

 

 

直後、すさまじい速度で我が地面へと着地する。

…やはり、少し無理があっただろうか。先ほどより脚が痛むな。

 

__大事ないか?二人とも。

 

「それはこっちのセリフだよ、まったく…」

 

「ヨロイたんこそ、足が折れてたりしないんですか?いや、折れるどころか普通死んじゃうと思うんですけど…」

 

__折れてはいない、少し痛むが動けはする。それより、早く火種を納めに行くのである。

 

「せめて少しだけ治療させてください。簡易的な処置ですけど…そうでもしないと、私は嫌ですから」

 

真剣な眼差しでこちらを見つめてくる彼女に根負けし、少し足を治療してもらうことにした。

なんと優しいことか。彼女が「天空」を継げば、きっと温かい日差しを皆に与えられるだろう。

 

彼女は処置の後、ゆっくりと立ち上がった。

 

「軽く見ただけですが、本当にあまりダメージはないみたいです。でも、あまり酷使するようなことは避けてくださいね」

 

__善処する。

 

そうして我らは創世の渦心への道を歩み始めた。

その場にいた誰もが確固たる決意をその身に秘めながら。

 

 

 

「はあッ!はあッ!」

 

__走れファイノン!ヒアンシー!

 

「ファイちゃん!ヒアンシーちゃん!早く「百界門」に!」

 

あの後、何とか我らは造物を切り抜け霊水の盆へとたどり着いた。

しかし、霊水はすでに枯れ果てていた。

 

加えて、フレイムスティーラーの襲来。

半神と成ったキャストリスとモーディスが足止めをしてくれていたものの、先ほどまた現れた。

何とかギリギリ逃げおおせた先で、トリビー殿が残りの力で百界門を開いた、というところである。

 

しかし、このままではすぐに追いつかれてしまう。

火種を持つ彼らを殺されるわけにはいかぬ。

 

そろそろ、我が彼を止めるときであろうな。

 

__貴殿らは先に行け!必ず明日を灯してこい!

 

「…クソっ!」

 

ファイノンとヒアンシーは少しだけこちらを振り返って、本当に悲しそうに百界門へと走りだしていった。

 

この場に残ったのは、我と黒衣の剣士のみ。トリビー殿はすでに門をくぐった。

 

「…火種…再創生は…成される…」

 

__我。強さを求める者なり。半神すら沈めるその力、銀河でも稀に見る強者であろう。

…一手、御指南お願い申す。

 

未来のため、散っていった仲間のため…そして、目の前の強者に対する、強さを求める者として。

我は今、黒衣の剣士との戦いへと臨んだ。

 

黒衣の剣士との戦いは苛烈だった。

数多くの分身、圧倒的な力、洗練された太刀筋…

 

いくつもの剣戟を重ね、少しずつ見えてきているが、このままでは我が死ぬ方が早いか。

 

それに対して目の前の男は大した消耗の気配もない。

あれだけ激しく斬りあったというのに我が与えたダメージは胴に一閃入れたくらいだ。

 

__成程、面白い!速いし重い、加えて分身で手数も多いか!

 

笑いが止まらぬ。我より強きものが再び我の前に立ちはだかることがあまりにも嬉しいのだ。

だが、いずれすべてを超えて見せる。ここで折れるだと?笑止!

 

ここまで戦えれば時間稼ぎは十分。

後は我個人で楽しませてもらうとしよう。

 

__来い!そう容易く我を殺せると思うなよ!

 

そうして我は再び切っ先を向けた。

斬撃を繰り出し、斬り合って、斬り合って…

 

 

やがて、我の心臓へとその剣が届くに至った。

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

「ルアン、ここにお菓子を置いておくのである。そろそろ休憩を挟んだ方が良いぞ」

 

「ありがとうございます。ちょうど区切りがよいのでいただきますね」

 

「珍しい。この半年そんなこと数回しかなかったのだがな」

 

「失礼ですね…あなたこそ、私がご飯の時間だといっても鍛錬を辞めない時があるでしょう」

 

「…確かに。」

 

「そ、それよりも!今は何を研究していたのであるか?」

 

「…誤魔化したことは食後のハグで不問とします。それにしても、今の研究ですか?」

 

「そうですね…あえて言うとしたら、カートリッジに疑似的な運命の属性を入れ込むことをしています」

 

「それは…そのカートリッジに「壊滅」とか、「貪慾」のような運命の特性を組み込む、ということか?」

 

「合っています。とはいえ、今できることは疑似的な特徴を組み込むことだけですが」

 

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