一般流浪人がスタレのキャラに狙われる話 作:しいたvol.3
我は流浪の身である。
旅に必要なのは何より金である。次の旅への貯蓄を増やすためにも、仕事をせねばならない。
少し前までグラフィエ学園で警備員の仕事をしていたが、あまりに青春を感じすぎて我には厳しいものがあった。
そんなわけで、ここ数日我は仕事を探して街をうろついている。
長く旅をしてきた故、それなりに貯蓄はあるが心配なモノは心配である。
「あれ、ヨロイさん?おーい」
む?どうやら我は呼ばれているようだ。
背後から声が聞こえたため詳細はわからぬが、
声のトーン的に女性のようである。
「やっぱりヨロイさんだ!ピノコニーであったぶりだね」
後ろを振り向くと、そこには灰色の髪をした美少女がいた。
星穹列車の乗員、ナナシビトの星である。
かつて訪れた様々な星で、開拓の精神をその身に宿した彼らとは知り合う機会があった。
直近の出来事では宴の星ピノコニーでその夢境の真相を共に辿った。
__久しぶりであるな。星、息災であったか?
「うん、ヨロイさんと別れた後もいろんな星で開拓してきたんだ」
__うむ、それは素晴らしいことであるな。
我も貴殿らの活躍をいつも応援しているぞ。
「あっ、ヨロイさん。このあと列車のみんなと集合なんだけど一緒に来ない?なのもきっと喜ぶよ」
実に魅力的な提案である。
特にナビゲーターの姫子さんは我の好みど真ん中のお姉さんである。
またあの美貌を拝みたいと常々思っていたところだ。
快く了承しようとした刹那、我の頭に一つの言葉がよぎった
『私以外の女の子には気を付けてね?』
そうであった!爻光殿の話によれば女性と関わることは我にとって凶兆!
一見甘美な誘いに見えるこれは我を破滅に導く悪魔の誘いである。
「もちろん来るよね?ヨロイさんと遊ぶの楽しみだな~」
星には申し訳ないがここは断るとしよう
__すまぬ。星、事情がある故その誘いには乗れない。
「…えっ?」
星の目が驚きと悲しみに染まる。
我としても非常に心苦しいのであるが、命には代えられぬのだ…
「そ、そっか…その、どうしてもダメ?」
__どうしてもなのだ。本当に申し訳ない。
「うん…ごめんね。私、何か嫌われるようなことしちゃったかな」
その目に涙を湛え、震える声で我にそういう星。
お、おかしい。我の予想では
『そっか、じゃあまた誘うね。バイバイヨロイさん』
みたいに軽く受け止めてくれると思っていたのだ。
おっと、そんなことを考えている場合ではない
__我が貴殿を嫌いになることなどあるものか。
今回は致し方ない事情故できぬが、次の機会では何よりも優先しよう。
「本当に?何があっても?」
__無論だとも、もし我がポッカリ逝ってしまっても、貴殿の前に現れよう
「…わかった。もう集合の時間だから行くね、ヨロイさん」
そういって星は少々危なげな足取りでどこかへと向かっていった。
いかに我の身が危ないとはいえ、少々強引な断り方をしてしまっただろうか。
うむ、反省であるな。
それにしても、親しい女性と関わらないというのは非常に難しい。
今、この地には幻月遊戯の影響で友人が多くいる。
我の故郷の星にはある事情で男しかいない地域が存在する
ちょうど仕事もない。
金も帰る分くらいはあるであろう
__いっそのこと、故郷に帰るべきか。
そう決めてからの行動は早かった。
一年住んでいたとはいえ、もともと荷物は少ない。
相棒のピストルとナイフ、残りは友人たちからの贈り物くらいである。
カンパニーの宇宙船を明日に手配し、地元の友人たちへの連絡も済ませておく。
最初は騒がしすぎると思っていたこの地も、明日には離れていると分かれば惜しいと思うものである。
それに、星や爻光殿の様子も少しおかしいような気がした。
我が近くにいたことによる心労の様なモノだろう。
離れた方が彼女たちのためというものだ。
彼女たちへの連絡はしないことにした。
爻光殿は公務で、星は開拓で我を気にしている場合ではないであろう。
翌日、我はカンパニーの宇宙船乗り場に立っていた。
さらば!二相楽園よ。
久方ぶりの故郷へ思いをはせつつ、我は宇宙船へと乗り込んだ。
いや、乗り込もうとしたのだ。
「悲しいわね。また黙って私の元から離れようとしたんだ?」
肩に手が置かれた。
それなりの大柄で重さもある我の体が止まってしまったのである。
「ねぇ、甲冑さん?なんでそういうことしちゃうのかな?」
周りの空気が急速に冷え切っていくのが、
甲冑越しにも鮮明に感じられた。
甲冑さん(ヨロイさん)
・2m。体重は秘密。ボケ。
星(開拓者)
・優しい鎧のおじさんだ!すき!
・ピノコニ―で別れるときはなのかとギャン泣きして駄々をこねた。
爻光
・多分怒っている