一般流浪人がスタレのキャラに狙われる話   作:しいたvol.3

2 / 33
我、流浪のものである2

我は流浪の身である。

旅に必要なのは何より金である。次の旅への貯蓄を増やすためにも、仕事をせねばならない。

少し前までグラフィエ学園で警備員の仕事をしていたが、あまりに青春を感じすぎて我には厳しいものがあった。

 

そんなわけで、ここ数日我は仕事を探して街をうろついている。

長く旅をしてきた故、それなりに貯蓄はあるが心配なモノは心配である。

 

 

「あれ、ヨロイさん?おーい」

 

む?どうやら我は呼ばれているようだ。

背後から声が聞こえたため詳細はわからぬが、

声のトーン的に女性のようである。

 

「やっぱりヨロイさんだ!ピノコニーであったぶりだね」

 

後ろを振り向くと、そこには灰色の髪をした美少女がいた。

星穹列車の乗員、ナナシビトの星である。

 

かつて訪れた様々な星で、開拓の精神をその身に宿した彼らとは知り合う機会があった。

直近の出来事では宴の星ピノコニーでその夢境の真相を共に辿った。

 

 

__久しぶりであるな。星、息災であったか?

 

「うん、ヨロイさんと別れた後もいろんな星で開拓してきたんだ」

 

 

__うむ、それは素晴らしいことであるな。

我も貴殿らの活躍をいつも応援しているぞ。

 

 

「あっ、ヨロイさん。このあと列車のみんなと集合なんだけど一緒に来ない?なのもきっと喜ぶよ」

 

実に魅力的な提案である。

特にナビゲーターの姫子さんは我の好みど真ん中のお姉さんである。

またあの美貌を拝みたいと常々思っていたところだ。

 

快く了承しようとした刹那、我の頭に一つの言葉がよぎった

 

『私以外の女の子には気を付けてね?』

 

そうであった!爻光殿の話によれば女性と関わることは我にとって凶兆!

一見甘美な誘いに見えるこれは我を破滅に導く悪魔の誘いである。

 

「もちろん来るよね?ヨロイさんと遊ぶの楽しみだな~」

 

星には申し訳ないがここは断るとしよう

 

 

__すまぬ。星、事情がある故その誘いには乗れない。

 

 

「…えっ?」

 

星の目が驚きと悲しみに染まる。

我としても非常に心苦しいのであるが、命には代えられぬのだ…

 

「そ、そっか…その、どうしてもダメ?」

 

__どうしてもなのだ。本当に申し訳ない。

 

「うん…ごめんね。私、何か嫌われるようなことしちゃったかな」

 

その目に涙を湛え、震える声で我にそういう星。

お、おかしい。我の予想では

 

『そっか、じゃあまた誘うね。バイバイヨロイさん』

 

みたいに軽く受け止めてくれると思っていたのだ。

おっと、そんなことを考えている場合ではない

 

__我が貴殿を嫌いになることなどあるものか。

今回は致し方ない事情故できぬが、次の機会では何よりも優先しよう。

 

「本当に?何があっても?」

 

__無論だとも、もし我がポッカリ逝ってしまっても、貴殿の前に現れよう

 

「…わかった。もう集合の時間だから行くね、ヨロイさん」

 

そういって星は少々危なげな足取りでどこかへと向かっていった。

 

いかに我の身が危ないとはいえ、少々強引な断り方をしてしまっただろうか。

うむ、反省であるな。

 

それにしても、親しい女性と関わらないというのは非常に難しい。

今、この地には幻月遊戯の影響で友人が多くいる。

 

我の故郷の星にはある事情で男しかいない地域が存在する

ちょうど仕事もない。

金も帰る分くらいはあるであろう

 

__いっそのこと、故郷に帰るべきか。

 

 

 

 

 

そう決めてからの行動は早かった。

一年住んでいたとはいえ、もともと荷物は少ない。

相棒のピストルとナイフ、残りは友人たちからの贈り物くらいである。

 

カンパニーの宇宙船を明日に手配し、地元の友人たちへの連絡も済ませておく。

最初は騒がしすぎると思っていたこの地も、明日には離れていると分かれば惜しいと思うものである。

 

それに、星や爻光殿の様子も少しおかしいような気がした。

我が近くにいたことによる心労の様なモノだろう。

離れた方が彼女たちのためというものだ。

 

彼女たちへの連絡はしないことにした。

爻光殿は公務で、星は開拓で我を気にしている場合ではないであろう。

 

翌日、我はカンパニーの宇宙船乗り場に立っていた。

さらば!二相楽園よ。

久方ぶりの故郷へ思いをはせつつ、我は宇宙船へと乗り込んだ。

 

 

いや、乗り込もうとしたのだ。

 

 

「悲しいわね。また黙って私の元から離れようとしたんだ?」

 

肩に手が置かれた。

それなりの大柄で重さもある我の体が止まってしまったのである。

 

「ねぇ、甲冑さん?なんでそういうことしちゃうのかな?」

 

周りの空気が急速に冷え切っていくのが、

甲冑越しにも鮮明に感じられた。




甲冑さん(ヨロイさん)
・2m。体重は秘密。ボケ。

星(開拓者)
・優しい鎧のおじさんだ!すき!
・ピノコニ―で別れるときはなのかとギャン泣きして駄々をこねた。

爻光
・多分怒っている
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。