一般流浪人がスタレのキャラに狙われる話   作:しいたvol.3

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我、流浪のものである30

「待ってくれヨロイさん。確かに言い出したのは僕だ。でも、さすがにそれは違うじゃないか!」

 

__黙れファイノン。我はこうでもしてやらんと気が済まんのだ。

 

「いや…その手に持っているエンドモからして嫌な予感しかしないよ!」

 

__気にするな。鼻に突っ込むだけである。

 

「だけって何!?普通に嫌だよ!」

 

我、流浪の身である。

現在永遠の一ページにて、ファイノンに引導を渡すために鼻にエンドモを突っ込もうとしているところである。

 

「…おや、珍しい客が居るな」

 

「せ、セイレンスさん…!」

 

ファイノンとそのようなことをしていると、セイレンスがどこからともなく現れた。

彼はセイレンスがきたことに気づくと、背後に隠れるようにして縋り付いた。

 

「どういう状況だ?ヨロイ」

 

__ファイノンが唆したことによって我の顔面にピラヴロスが数百発撃ち込まれた。

今はその報いとして鼻にエンドモを突っ込んでやろうということだ。

 

セイレンスは不思議そうに我とファイノンを交互に見てから、顎に手を当てて悩み始めた。

 

「なるほど…よし、サンフィッシュ。おとなしく罰を受けるといい」

 

セイレンスは素早くファイノンの背後へ回り込み、動けないよう拘束した。

 

「え、ちょっ…!セイレンスさん!嘘だ!」

 

__助かったセイレンス。往生際が悪いぞ、男ならおとなしく耐えるのである。

 

みるみる拘束されるファイノンの顔は青くなる。

我の手に持っている生きのいいエンドモは目の前の鼻に興味津々といった様子。

 

ファイノンは暴れるが、セイレンスのパワーによって抜け出せないようだ。

 

「う…」

 

「うわあああああああああああ!!!!」

 

その日、永遠の一ページにはある英雄の叫び声が響いたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファイノンを懲らしめた後、我はセイレンスと話すことになった。

ファイノンはどこに行ったかって?ヒアンシーの所に連れて行った。一応ケガ人であるからな。

 

「キミは相変わらずみたいだな。ヨロイ」

 

__そちらこそ。こっちでの生活は楽しんでいるか?

 

「毎日が宴というわけにはいかないが、それなりには楽しめている」

 

__そうかそうか。カイザーはどうだ?

 

「相変わらずだな。キミの顔を見たらきっと喜ぶだろう」

 

正直、我とカイザー、セイレンスは戦争中に一緒にいることが多かったため、戦友と言った方が近い。

なんだかんだ、我がループしているときにかなり長く時間を過ごしたのもこの二人である。

 

「ワタシの剣も必要なくなってしまったな。キミは…まだ、強さの果てを求めるのか?」

 

__無論だ。この世にはまだまだ強者がいるからな。

 

セイレンスはふっ、と笑うと我の手を握ってきた。

 

「…いい、戦士の手だ。きっと数えきれないほど剣と向き合ってきたのだろう」

 

「しかし、キミが傷ついて悲しむ人間も多くいるんだ。少しでいいから考えてやってくれ」

 

__珍しい。いつになく真剣だな。

 

「今日はメーレを飲んでいないからな。宴で酔っぱらっているワタシを平素と思うな」

 

「それにしても、へレクトラとは呼んでくれないのだな」

 

へレクトラ。それはセイレンスの真名である。

我は初めてあった時にセイレンスと呼んでいたのと、なんだか堅苦しくてそう呼ばないようにしている。

 

__そちらの方が良いか?確かに、教えられてもあまり呼んだことはないが

 

「そうだな。キミがへレクトラと呼ぶときは大抵、真剣なときに限る」

 

「…忘れていないからな。老いたキミの介錯をワタシに押し付けたことを」

 

__その件に関しては謝るしかないな。寿命との兼ね合いであのようになってしまった。

 

「傷心中のワタシによくもまぁ戦友を殺させたものだ。あのとき、発狂して死んでしまった」

 

__戻った後居ないと思ったらそうであったか…つらい思いをさせた。本当に申し訳ない。

 

「いずれ死は来るものだ。こうしてまた再会できただけ、恵まれているさ」

 

__そういってもらえると助かるのだがな。

 

「キミはまだ旅をするのか?」

 

__少しの間滞在はするが、その後はまた旅をしようと思っている。まだ、我は強さに納得していないからな。

 

「そうか。寂しいな…。しかし永遠の別れというわけでもない。また今度来るときは灰色の小魚も連れてきてくれ」

 

__ああ、その時はまた宴にしよう。セイレンスの歌は何度でも聞きたいからな。

 

__さて、今度はカイザーに挨拶しに行くとしよう。会うやいなや何か我儘をを言われそうで怖いが。

 

「ほぉ。それはどんな我儘だというんだ?」

 

__そうだな。たとえば…うん?

 

我は隣にいるセイレンスと会話していたはずである。

それなのに声は後ろから聞こえてきた。しかも別の声である。

 

横を見れば、セイレンスが愉快そうに後ろを見ていた。

恐る恐る我も後ろへ振り返ると、随分下の方にある人物がいた。

 

「ヨロイ。また僕に処刑されたいようだな」

 

__これはこれはカイザー様。本日も大変麗しく在られますね。その体躯も随分と可愛らしく。

 

「…」

 

__冗談である。それにしても、身長はそのままであったのだな。

 

目の前の不満そうなカイザーは少女の姿である。

彼女は火種を受け継いだ代償として、永遠に少女の姿となっていた。

 

しかし、逆を言えば火種を受け継いでいない時の彼女は成長した姿をしていたのである。

我はケリュドラの前にしゃがみこみ、目線を合わせて話すことにした。

 

「…舐めているのか?おそらく記憶のほとんどがこの姿で記憶されているから、僕は少女の姿のままなのだろう」

 

__成程。確かにその姿以外で見るのは珍しいからな。それにしても、相変わらずそうで安心した。

 

「フン。王たる僕が乱心すれば民はついてこない。そう易々と変わってたまるか」

 

(カイザーは君が来たとアグライアから聞いてからずっとそわそわしていたぞ。)

 

横のセイレンスがこそこそと耳打ちしてくる。

それを見つめるカイザーは内容を察したのか、さらに不機嫌そうな顔になる。

 

「ヨロイ。滞在中できる限り僕に天外のことを教えろ」

 

__む、銀河に新しい帝国でも作るつもりか?別に構わんが

 

「いつかオンパロスが銀河に進出した時に後れを取っていては恥だろう。開拓者と共に手を貸してもらう」

 

__承知した。微力ながらカイザーに力添えを。

 

「それと、今夜宴を開く。英雄の凱旋には必要だろう」

 

「ヨロイ。さっさと宴の準備をするぞ。メーレを用意しろ」

 

宴のことを聞いた瞬間セイレンスの眼の色が変わる。

こいつ宴のことになると周りのことが見えないようである。

 

セイレンスに無理やり手を引っ張られながら、我は渋々巨大なメーレの樽を何個も運ぶことになるのであった。

 




来月から投稿ペースがちょっと落ちると思います。
週1、2回を目標にちょい長めに書くことになりますね。

そろそろオンパロスが終わると思うので、そこからはゼンゼロとかも書きたいなぁと思っています。

以上、作者からのどうでもいいお知らせでした。
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