一般流浪人がスタレのキャラに狙われる話   作:しいたvol.3

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我、流浪のものである32

「なるほど、やっぱりヨロイさんはヨロイさんだったわけだね」

 

目が覚めたあと、我はすぐに星へと連絡し「紡がれた物語」を返却することにした。

ただ返すだけというのもなんだか忍びなかったため、彼女に本の中で起こった出来事を話すことにしたのである。

 

「うわ~。ホントに全部経験してきたんだね…。ウチだったら絶対に無理だよ!」

 

__そうか?案外飽きぬものであるぞ。強さも磨けたしな。

 

「そういえば、長夜月には会った?あの子、ウチの事を守ろうとしてくれてたから…」

 

__ああ、彼女とは一度だけ会ったことはあるのである。が、相当嫌われていた。

 

それを聞いた星となのかは案の定といった顔をして見つめ合っていた。

 

長夜月。いつもの彼女らしい明るい雰囲気は消え失せ、ミステリアスな雰囲気を纏う謎の少女。

一度ページ間を移動する際に変な空間に迷いこみ、そこで会ったことがあった。

 

『アンタ…なんでここに存在できてるの?本来居ないはずだけど』

 

『一応、この物語の読者的なものであるからな。知らないのも無理はない』

 

『別にいいけど。邪魔はしないでよ?正直、アンタのことは嫌いだから』

 

『アンタはなのかのお気に入りだから許してあげる。でも、二度と近づかないで。不愉快』

 

初対面のはずなのであるが、随分と我は嫌悪されているらしい。

まぁ、特段彼女に干渉しようというつもりも皆無だったために、我はすぐにその場を去ったのである。

 

 

「もう、長夜月ったら…今度ちゃんと言っておかなくっちゃ」

 

暫く彼女たちとの会話に花を咲かせていると、ふと我の鎧の中の札が震えていた。

 

この札はかつて爻光殿が残していったもの、長くあちらにいたせいで記憶が薄いが、前にもこんなことがあったような…

鎧から札を取り出してみると、札が光りながら震えていた。

 

「なにそれ。爻光が使う札に似てるね?」

 

__ああ、実際本人から貰い受けたものである。しかし、こういうことはあまりないのであるが…

 

不思議そうに見つめていると、発される光が一際強くなった。

一瞬部屋全体を光が包み込み、その場の全員の視界を奪ったのである。

 

「うわっ__!」

 

「きゃあ!」

 

光はすぐに止み、視界は戻ってきた。

まだ目が回復しない。随分と強い光だったようだ。

 

「あら、ちょっと光が強すぎたかしら?」

 

うっすら回復してきた目を開けると、目の前には札の持ち主である爻光殿が立っていた。

 

「お邪魔するわね。ちょっとこの人に用があったの♪」

 

__何か用であろうか。爻光殿?

 

「爻光とヨロイさんって友達だったんだね。ちょっと意外かも」

 

「え、この状況に適応してないのウチだけ!?なんで急に札から人が出てくるの!?」

 

__なのかのことは置いておいて、要件をお聞かせ願いたい。

 

我がそう言うと、神妙な面持ちで爻光殿が話した。

 

「あなたのことを占っていたら、ここ数週間随分と不安定でね。ちょっとお話を聞きに来たの」

 

「不安定?爻光の占いでも見えない事ってあるんだ」

 

「この人の場合は結構あるんだけどね。それにしても、歪み方がおかしいというか…同時に数千本も可能性が出てきて、まるで見れたものじゃなかったの」

 

恐らく、我がオンパロス内に滞在していたことによって、彼女の占いがブレたのであろう。

しかし、爻光殿はなぜ我のことを占っていたのであろうか。

 

そんな疑問はさておき、我は爻光殿にオンパロスのことについて、星の許可を得た上で話すことにした。

ふむふむと暫く我の話を聞いていた爻光殿は、話終わったあとに一つため息を吐いた。

 

「なんだ、そういう事だったのね…。安心したわ」

 

納得してくれたかとほっと胸をなでおろした。

しかし、次の瞬間にはその空気は凍り付くことになる。

 

「それにしても、随分とあっちでは女の子と仲良くしてたのね?」

 

そうである。

我は彼女から「女性からのアプローチは避けろ」との助言をもらっていたのだ。

 

__いいえ。誓って仲良くなどしていません。

 

ここでアグライアやキャストリスのことを話せば、確実に面倒なことになる。

非常に心が痛いが、彼女には嘘を吐くことにした。

 

奥にいる星となのかにも必死で目で訴えかけ、協力を要請した。

我の視線を受け取った彼女たちは、顔を見合わせたあと親指をぐっと立てた。

 

(任せて!)(ウチたちもサポートするよ!)

 

…勝った!いくら聡明な爻光殿と言えども、この二人からの助言さえあれば疑えないはずである。

心の中で勝利を確信し、爻光殿へと説明する。

 

「私も保証する。ヨロイさんから聞いた話じゃ絶対にそんなことない」

 

「むしろ近づこうとして殺されたって言ってたもんね。ウチもさすがにドン引きかも…」

 

「…へぇ。本当にそうなんだ」

 

未だ疑い半分という表情ではあるが、おそらくこのまま押し切れる。

そう思っていると、爻光殿の目線が我の腰に差している剣へと伸びた。

 

「あら?剣を変えたの?」

 

__え、ええ。あちらで一度壊れてしまいまして…友人に修理してもらいました。

 

「ふーん…見せてもらえる?」

 

__…どうぞ。

 

鞘から剣を抜き、彼女に手渡した。

いや、何も問題はない。たしかにこの刃の模様はアグライアとキャストリスが関与していたらしいが、何も問題は…

 

「…ねぇ。甲冑さん?」

 

__なんでしょうか。爻光殿。

 

「この剣からすっごく嫌な女の匂いがするのだけれど」

 

__え?

 

 

 

 

 

 

 

「にしたって、あの剣は凄いよ。しかもヨロイさん自身がちっとも気づいていない」

 

「見るものが見ればすぐに分かるだろう。あの模様はほかの者を牽制するようにできている」

 

「しかも元の材料はアグライア達の「血」だろ?さすがに知った時は驚きを隠せなかったな」

 

「フン。そこだけは共感する」

 

「きっと彼、あの剣のせいで痛い目を見るだろうね。なにせあの剣をみせるだけで『私は女性から好意を寄せられています』とひけらかしているようなものだ」

 

「…まったく。つくづく罪な男だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__ちょ、ちょっと待つのである。違う!違うのだ!

 

「へぇ…私に嘘とか吐いちゃったんだ。甲冑さん」

 

我は目の前のどす黒い覇気を纏う爻光殿にどんどんと壁へ追いつめられる。

じりじり後ろへと下がり、やがてゴツンと壁へたどり着いた。

 

「…悪い子にはお仕置き、よね♪」

 

__誤解です爻光殿!…グハァッ!

 

 

薄れゆく視界の中、我が見たのは爻光殿の不気味な笑顔と、怯えきった星となのかの姿だけだった。

 

 

 

………

 

この旅が、いつか群星に辿り着かんことを…

 

 




・以下、作者の要らないあとがきコーナーです。
お前の話とかいらねぇよって人はここでブラウザバック推奨します。












さて、ここまで読んでいただきありがとうございました。
見切り発車とはいえ、なんとか一区切りつけることができて非常に安心しています。

とはいえ、オンパロス組と爻光、ルアンくらいしか掘り下げができていないところは素直に反省ですね。

このままで行けば、おそらく二章は過去に戻ってピノコニ―や仙舟あたりになるかな、といった感じです。
ホタルを曇らせられなかったのが唯一の心残りです。本当に。

エーグルを倒したヨロイさんの銃についてお話しできなかったので、代わりにヨロイさんについて裏話的なものを一つ。


作者はいつもち〇かわを見ながら作業しているのですが、実はヨロイさんの名前はそこからだったり…
不思議なことに、ち〇かわを見ているとなぜか天から曇らせのイメージが降ってきます。(?)

作者の書きたい欲がゼンゼロの方に向いているため、二章を書くのがいつになるのか不明ですが、いずれ必ず書く予定です。

これにて一章は完結ですが、閑話やリクエストなどで書く機会は多いと思います。
皆さまのスタレライフが少しでも豊かになったのなら、作者にとって至上の喜びです。


そして、ここまで読んでくださった読者様のために、一つ作者からご質問をさせていただきたく。








ルアンとアグライア、どっちが好きですか?

(回答は本話の感想かアンケートで!)






それではまたの機会に!

どっちが好きだった?

  • ルアン・メェイ
  • アグライア
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