一般流浪人がスタレのキャラに狙われる話 作:しいたvol.3
我、流浪の身である。
銀狼とゲームの約束をした後、我は新たにとった宿で体を休めていた。
ここ数日、様々な事が置きすぎていったん整理しなければならんのである。
爻光殿や星、銀狼と再会し、パール殿とも顔を合わせた。
もう故郷へと帰ろうとしていたところに急に物事が起こりだしたのである。
それに、爻光殿の反応を見るに我はしばらく二相楽園の外へと出られなさそうである。
星の次の誘いは断れないことにもなっているし、いよいよ雁字搦め状態では?
…ふむ。困ったものである。
『なんか困ってそうだね。なんかあったの?』
頭を悩ませていると、宿の机の上に置いておいた端末から声が聞こえてくる。
__銀狼、さすがに許可なく通話をつなぐのは辞めるのだ。
我にもプライベートというものがあるのである。
『えー、でも待ちきれないんだもん。しかもなんか悩んでるっぽいし』
__まぁ、そうであるが。銀狼、少し我の話を聞いてくれるか?
『いーよー。後でヨロイが持ってるレアアイテム頂戴ね』
__仕方がない。その条件を飲もう。
そして、我は銀狼に自身の悩みについて話すことにした。
__実は、我はそろそろ故郷へと帰ろうとしているのだ。
ある友人から女性と関わるなと言われてしまってな。
『…はぁ?二相楽園を出るって事?』
__ああ、そうだ。しかしながら最近この地で銀狼のように多くの友人と会ってな。
さっきの話をした友人や星にも会った。
『それは知ってるけど…それで離れたくないってわけ?』
__いや、ここを出ていこうとしたら少々強引に止められてしまってな。
『ああそういうこと…ちょっと待って。ホタルから連絡が…
あーもしもし、今何してるって?私ヨロイとゲームするために話してる…ッ!うるさっ』
なにやらあちら側で揉めているようである。
ホタルからの連絡か…我の端末にはホタルの連絡先は登録されていない。
というか、ピノコニーでの別れ方が互いに急すぎてその暇がなかったというのが正しいのであるが。
『あーはいはい…わかったわかった。ねぇヨロイ、ホタルも通話に入りたいっていうんだけど繋げていい?』
__多分我に拒否権はないのであろう?
『そりゃあね。じゃあ繋ぐよ』
そう銀狼が言うとホタルのホログラムが部屋に出てきた。
毎回思うのだが銀狼の技術は素晴らしいものである。
我は徒歩以外の自力での移動手段を持たぬ故、かなり羨ましい能力である。
『も、もしもし!ヨロイさん聞こえてる?』
__聞こえているのである。ピノコニーぶりであるな。ホタル。
見ないうちに少し大人びたか?
『そ、そうかな?あたし、可愛くなった?えへへ…』
そうして照れくさそうに微笑むホタル。
彼女はもともと超が付くほどの美少女であるのだが、
前と比べるとやはり纏う雰囲気が変わっている気がする。
星との出会いが彼女に何か影響を与えたのであろうな。
『おーい、私を置いて楽しそうにしないでよね。ホタルも、今からゲームするんだから』
『…ってか、三人でやるゲームってあんまりないな。星でも呼んで四人でパーティーゲームでもする?』
『あ、それいいね!あたしから星に連絡してみるよ』
あっという間に星も呼ぶ流れとなってしまった。
あれ?我のお悩み相談は?
甚だ疑問であるがここで口に出すほど我は野暮ではない。
今はゲームを楽しむことに集中するのである。
『もしもし?ホタルに呼ばれたから来たよ。ってあれ?ヨロイさんいるじゃん!』
数分後、ピロンという音と共に星の声が聞こえてきた。
誘われてすぐ来るあたり、彼女が多くの人々から好かれるのも納得であろう。
『ヨロイさんとゲームするのも久しぶりだね。絶対負けないよ!』
__うむ、望むところである。
そうして長いゲーム大会が始まったのであった。
『そういえばさ、開拓者はオンパロスでの開拓はどうだった?』
ゲームの途中で銀狼が不意に話を振った。
オンパロス。
記憶に包まれた天体でありながら、かの鉄墓が完成寸前まで演算を繰り返した知恵と壊滅の混じった地でもある。
そこで彼女はどんな旅をしたのであろうか?
オンパロスについての概要は聞いたことがあるが、星たちナナシビトがどのように鉄墓の完成を阻止したのか。
我としても非常に気になる案件である。
__我としても気になるのである。なにせあの絶滅大君が完成寸前まで迫ったのであるからな。
『う~ん。話すと長くなるけど…いいの?』
『いーよ、まだまだゲーム終わんないしね。』
そうして星はオンパロスでの開拓を語りだした。
幾度も再創生を繰り返し、黄金の英傑たちと共に歩んだ旅路を。
『…まぁ、そんなわけで、私たちは鉄墓の誕生を阻止したってわけ』
__くっ!実にいい話であった!みな希望へと向かって戦い続ける黄金裔たち…超かっこいいのである!
『あはは、ヨロイさんもオンパロスにあの時いたらなぁ。きっと皆もヨロイさんと仲良くなれると思うよ。』
これほどまでピノコニーで彼らと別れたことを後悔することになろうとは…
一度彼らと会ってみたいものである。
__そういえば、その「紡がれた物語」は星の手元にあるのであるか?
『私の自室にあるよ。今度遊ぶとき見せてあげる』
__本当であるか!
『うん、今度は絶対会って遊ぼうね。…ぜったい、絶対だからね。』
『うーん、私にオンパロスは息苦しそうに思うけどね。はい私の勝ちー』
『ずるいよ銀狼!あたしのアイテム盗んだでしょ!』
『戦略って言ってほしいね。勝てばいいんだし。ふふん。』
『ヨロイさん!あたしと協力して銀狼を倒そ?』
__いいアイデアであるな。じゃあ我はホタルと挟み撃ちするとしよう。
『えっ、ちょっと?それは避けられないって!あー!』
『あはは!因果応報だね!』
『後で絶対やり返してやる』
混沌としているゲーム会はまだまだ続いていた。
『銀狼も星も寝ちゃったね、ヨロイさん』
__どうやらそのようであるな。これからどうしようか。
あの後数システム時間に及んで続いたゲームも星と銀狼の体力切れという結果で幕を下ろした。
『あ、あたしは!もうちょっとだけヨロイさんとお話ししたいな』
__む、そうであるか?ならもう少し話すとしようか。
何でも聞いてほしいのである。
『なんでも?本当に何でも聞いていいの?』
__ああ、なんでもである。
『じゃ、じゃあさ…ヨロイさんってあたしのこと、す…』
__す?
『す、素敵な女性だと思ってる?』
__もちろんである。ホタルのように優しくてかわいい子はそういないのである。
『そ、そっか!えへへ…はぁ』
そういうホタルの表情はなんだか嬉しさと悲しさが混ざったような顔をしていた。
正直我のような全身鎧の不審者に可愛いとか言われてもキモいとか思われてないか心配である。
『あ、あともう一個だけ聞いてもいいかな?』
_む?大丈夫であるよ。どんと来いである!
『そ、それじゃあね…えっと、よ、ヨロイさんとね?』
そういってホタルの顔が少し赤くなり、もじもじしている。
我の何を聞く気なのか分からぬが、非常にかわいらしいのである。
『よ、ヨロイさんと…』
『ヨロイさんと仲良くしてるっていう仙舟の将軍さんとは、どういう関係なのかな?教えて』
…うん?なんか不穏な流れである。