一般流浪人がスタレのキャラに狙われる話 作:しいたvol.3
A.永遠の一ページってあくまでページだし、他のページ開いたら繰り返されている輪廻の間に入れるかも…という淡い希望です。
『はぁ?『紡がれた物語』を開いたらなぜか過去のオンパロスに飛ばされた?』
しばらくの後、連絡の取れたヘルタ殿に先ほど起こったことを説明した。
しかしながら、通話の先の彼女も「意味わからない」という風な声色である。
『ちょっと待って、スクリューガムに連絡取るから…ルアンにはバレたくないんでしょ?』
__うむ。個人的な理由で申し訳ない。我としても彼女の知恵を借りたいところではあるのだが…
『彼女があなたが居ることを知ったら私たちも面倒を被るでしょ。オンパロスのことは私も興味があるし、特別に付き合ってあげる』
なんだかんだヘルタ殿は優しいのだ。
実験においても人命を優先するし、ルアンと我の間に入って仲裁したことも一度や二度ではない。
『オッケー、じゃあヨロイはもう一回ページを開いて。さっき開いたのは最初のページ?』
__いや、パラパラとページを素早くめくった感じである。
『最後の開いたページは覚えてる?』
「あ、ヨロイさんが止まってた時に覗いてたから私覚えてるよ」
『じゃあそのページね。ヨロイ、前渡した識刻アンカーはまだ持ってるでしょ?』
__ああ、持っている。
以前宇宙ステーションヘルタに滞在していた時、「ルアンに捕まったらこれを使って私に伝えなさい」と言って我にこのアンカーをくれた。
あの後まだルアンに捕まっていなかったため、我はまだ持ち続けているというわけである。
『あっちに着いたら人目につかないところでそれを起動して、後は私とスクリューガムが解析するから』
__分かったのである。では行ってくる
「今度はすぐ死なないように気を付けてね~」
三分くらいで死んだ我が言うことではないが、まぁまぁ辛辣である。
あの少女が例外だっただけで我はそうそう死ぬことはない…ハズである。多分。
我は最後に開いていたページを再び開いた。
やはりというべきか、我の視界は白に染まり、意識も遠のいていくのであった。
気づいたときには、我は前回の時と同じところに立っていた。
あたりを見渡してもあの少女はいないようだ。
それどころか、人っ子一人もいない。ここはオクヘイマの端のようだ。
ふむ…どうやらあの時と時間が少しズレているようである。
丁度良い、ここで識刻アンカーを展開するのである。
確か鎧のこの辺に…ああ、あったあった。
我の鎧は結構大きめのものまで収納できるカバンの役割まで果たしている。
割といわくつきの代物であるが…便利だから結果オーライなのだ。
取り出した識刻アンカーを地面に置き、そういえば起動の仕方を聞いていなかったなと思っていると、勝手に起動した。
そのままくるくると回りだし、暫くすると光りだした。
『信号強度…92%。会話可能時間約2時間。結論:私たちと会話するには十分過ぎるほどです。ヨロイさん』
その言葉と共にヘルタ殿とスクリューガム殿のホログラムが現れた。
『ちゃんとつながったみたいだね。しかも通信が安定してる…お子ちゃまの時とは結構状況が違うみたい』
『そちらの状況はどうでしょうか?』
__特に変わりない。ただ、前回会ったキャストリス殿もここにはいないようである。
『私たちはこの空間の解析を続けておくから、ヨロイは黄金裔たちに会って情報を集めてきて』
__うむ、分かったのである。
そうして我はヘルタ殿たちと別れ、オクヘイマの中心部へと向かっていった。
内部は活気あふれる都市といった感じで、状況はあまり逼迫しているとは思えなかった。
ふむ…と言うことは、ここは星達が初めてやってきたくらいの時間軸なのであろうか?
ぶらぶらとオクヘイマ内を彷徨っていると、なにやら浴場的な場所へと辿り着いた。
入っていいのかと周りの人々へ尋ねてみれば、ここはバルネアといい、公衆浴場の様なものらしい。
早速風呂へと入ろうと思ったが、この鎧姿で入っているのを見られて不審に思われないだろうか。
そう思いとどまった我は、鎧を脱いでから高温ピュエロスとやらに入って見ることにした。
久方ぶりに鎧を脱いだおかげか、身体が軽いのなんの。
これで風呂にでも入ろうものなら日々の疲れも一気に取り去られると言うものよ。
…しかし、この風呂超熱いのである。
これ、オンパロスの市民達は大丈夫なのであるか?
普通の人が入ろうものなら瞬く間にのぼせてしまうであろう。
どれくらい入るのが適当なのであろうか。
あたりをキョロキョロ見渡していると、少し離れた所に腕を組みながらじっと入っている金髪のデカいムキムキ男がいた。
すんごいガタイが良いのである。なんか体にタトゥーみたいなのあるし。
筋肉すごいなぁと彼の方を見ていると、ふと彼と目が合った。
そのまますぐに目を逸らしたが、彼はまだ上がる気はなさそうである。
この湯に入ってから15分ほど経過しているため、我はのぼせる前に上がらせてもら…
「…フン」
彼がこちらを見ていた。
まるで「お前はその程度だったのか。雑魚め」と失望する様な目である。
こ、コイツ!
我の闘争心が目覚める音がした。
これは先に上がったほうが負けという漢の勝負であるな!?
いいだろう。受けて立つ!
男は再び高温の湯へと浸かる我の方を見て、少し口角を上げていた。
互いに気持ちは理解っている!漢と漢の勝負が今、幕を開けたのである!
目が覚めると、我は見慣れない天井を見上げていた。
かなり意識が朦朧としている。
まだ視覚と聴覚のみ鈍く働いているのが良い証拠である。
恐らく我はあと勝負の後、気絶したのであろう。
負けたか…くっ!なんと屈強な戦士よ!
少しずつ意識もはっきりして来た。
しかもどうやら、近くに誰かいる様である。
治療代とか請求されたらどうしようと思っていると、段々自分の置かれている状況が分かってきた。
ふむふむ…どうやら我は何かに縛られている様であるな。全く身動きが取れない。
輝く金色の糸である。
見た目の細さに反して相当堅いと見える。
…ん?我、何故拘束されているのだ?
・ヨロイさん
金髪のムキムキ大男がいて熱い闘いを繰り広げた。
お前も大概大きい。
・ヘルタ
ルアンに定期的に束縛されてて普通に可哀想。
それはそれとして面白いとは思っている。