L社の技術を持っただけの擬態型一般人Aがキヴォトスで生き残るためにできること。   作:D-T45-45-1919JP

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設定とか見てると面白くて書いてしまったの巻き。


都市じゃないだけマシだって? それはそう。

 

 

 

 

「……A! 何してんだAェェェ!!! お前、お前が生みの親としての責任取らないせいでローランの奥さん死んでるんだが!? いやそんな些細な犠牲はどうでもいい、というか何も感じないように鈍感なフリをしているだけなんだろうけど、お前も傷ついているんだろうけどもッ! もうちょいなんかあったろ馬鹿!」

 

 でも面白れぇぇぇえ!!! なんでこんな面白いものこれまで見てなかったんだろうなぁ俺。

 

 パソコンの画面から目を逸らし、のんびりと伸びをする。最近プロムン系列のゲームが面白くて仕方がなかった。

 

 それにしても魂の病を治すなんて、カルメンは随分と高潔な理想を掲げるもんだな。都市の中でもとびきり安全な巣で育ってそんな思想になるんだったら、もうあの世界で生まれた時点でこうなることは確定したと言ってもいいんじゃないか? 業が深いんだよね……全体的に。

 

「……はぁ、おもしろ。二次創作でも見るか、それともリンバスカンパニーとやらに手を出してみるか。どうしようかなぁ。おっと、そういえば今日はブルアカの日課が終わってないな。どれどれ」

 

 カチカチとスマホを動かし、頬杖を突いて――

 

 突如全てが掻き消え、支えを失った俺は何の抵抗もできずに硬い地面に倒れることしかできなかった。

 

 え、?

 は?

 

 

 冷たい空気。開けた視界。近未来的なデザインをした建造物の数々。腰を打った痛みなんてどうでもよくなるほど、俺の状況は一変していた。

 

「――っぉえ、なんだ、なんなんだ一体。クソ痛ェ……は、吐き気が、ぉぇええッ」

 

 頭に洪水のような何かが流れ込んでいた。頭痛と吐き気が止まらず、しかし吐いても吐いても先ほどまで食べていたはずのポテチが出てくることもなく、ただひたすら胃液が零れるだけ。

 

「ぉえ、ぉええええ……」

 

 意味がわからない。辛い。キツイ。苦しい。

 

 肉も骨も細胞も神経も頭も脳も心臓も全てが痛む。何かが失われ、そして代わりにとてつもない何かが流れ込み続けている。見える。視える。観える。

 

 一際強く見えたのは、あの太陽のような熱を持った赤い瞳――――

 

 ……。

 

「……ぉえ、マジで気分悪」

 

 数十分ほどぶっ倒れ続けていると、ようやくその洪水は収まった。途中からなんとなく理解できてしまっていたが、マジで本当にやめてほしいマジで。

 

「……でき、ちゃうのか。俺。マジで本当にできてしまうのか俺!」

 

 ちょーっとやる気を出して、入口を造ろうとしてみる。

 

 にょき。

 

 地面から扉が生えた。……マジかぁ。

 

 扉に手を掛け、中に入ってみれば――

 

 そこには管理人室が広がっていた。妙に見覚えのあるその部屋。幸いというべきか、蒼い髪のAIは居ないようだ

 

「これが、俺のE.G.Oだって……? いや、いやいや。ありえないって普通に。そんなんできるキチガイじみた精神持ってるのAくらいだって……! しかも原作だって自分の精神を何度も何度も繰り返し抽出してようやく作ったんだろ? なんでそれを俺が、しかも最悪なことにE.G.Oとして出せるんだよ……!!! 意味わからんだろ!」

 

 最悪だ。本当に。

 

 ぽっきりと心が折れ、俺はさっさと扉を消して近未来的な風景を持つその場にゴロンとぶっ倒れた。

 

 理解してしまった。なぜこんな状況になったのかはこれっぽっちもわからないが、少なくとも何が起こったのかだけは明確に理解した。

 

 俺はロボトミーコーポレーションが保有する技術及びそれに関連する技術を、完全に叩き込まれ、そしてこの世界にぶち落とされたのだ。

 

 御先真っ暗、どうしようもない。都市にこんな近未来的な場所があったとは知らなかったが、どうせどこかの翼の特異点実験とかに巻き込まれたんじゃないかな……。

 

 絶対そうだと思う。

 

 なぜなら俺がL社の持つ特異点の詳細を理解させられているからだ。カルメンたちの研究の積み重ねが生んだ犠牲や成果、それに伴う技術革新、日々更新される理論。なるほど、確かにこの理論たちがあれば特異点を実現させるに足りうるだろう。

 

 そして、俺にそれができるのなら、というより……俺に埋め込まれた知識たちが本物だったとしたら、俺をこうして生み出すことができる技術もまた本物だと言える。

 

 この後、どうなるんだろうな。どうせ都市の世界じゃ俺は生きていけない。甘ったれた日本人がそのまんま生きていけるほど、都市は甘くないのだ。

 

 俺の手元には都市の闇を凝縮したようなL社の技術全般と、精神を摩耗させる装置の塊であるE.G.Oとしての管理施設。

 

 ……マジで笑えない冗談だ。

 

 チュートリアルもなしに、いきなりラスボスの兵器を渡された気分だよ。いや、ラスボスというよりは主人公の力なんだけどさ。やってることがね……。

 

 手足に力が入らない。動こうにも、なんだか疲れてしまった。

 

 いいよ、もう。こんな誰も居ない、機械しかいない場所なんて翼の実験場に決まってるんだから。

 

 Aが経験した無力感、だろうか。具体的なことは何も思い出せず、代わりにとんでもない虚脱感と無力感が遺されていた。きっとこの感情はアレだな、カーリーがやられてAとBしか生き残らなかったときのやつだ。

 

 ……この現象にも心辺りがある。本来AのE.G.Oであるロボトミーコーポレーションを俺が使っているせいだろう。その割には侵食もないことが不穏だが。

 

 

「……侵入者さん。あなたはどうやってエリドゥに入ってこれたのですか?」

 

 

 透き通った声が、上から降ってきた。

 重い瞼を無理やり持ち上げると、そこにメイド服を着た金髪の少女が、銃を向けて語り掛けてきていた。

 

「……は?」

 

 え、トキ? え、トキだよな?

 

「答える気はありますか?」

「あ、あ、えー、っと。わからない、としか言えない……」

「そうですか。……嘘をついているようには見えませんが、侵入者は全て捕縛せよと命令が下されています。神妙にお縄についてもらいます」

「……こ、ここは都市じゃ、ないのか?」

 

 どこからともなく、縄を取り出したトキのように見える少女に尋ねる。

 

「いいえ、都市です。ここは城塞都市です。もしや、このロマンあふれる場所に心惹かれて入ってきてしまった……そういうことでしょうか? エリドゥの合理によって為された統一的機能美は確かに頷けますが」

 

 城塞都市、エリドゥ。トキの頭上も見れば、ヘイローも観測できる。そして近未来的な風景はここが調月リオがセミナーの金を横領して作り上げた城塞都市だったからか。

 

「うっ、うぅ……よがった……!」

「……困りました」

 

 よがっだぁぁぁぁ……!!!!!!! 俺、死ななくて、済むんだ――

 

 

 そう、死ななくて、死な……いや死ぬんじゃね?

 

 

 ……え、キヴォトスですよね? 都市レベルとは言わないまでも、流れ弾ひとつで余裕で死ねる環境である、あのキヴォトス様ですよね? ちょっとルートミスっただけで世界滅亡RTAで何だったらアロナがいないだけで最終章抜けられるかも怪しいキヴォトス様ですよね?

 

 死んだ? 死んだか? 死ぬしかないか? 本編時空であることを願うしかないのか?

 

 今度は別の意味で泣いてると、少しだけ縄を締める力を弱くしてくれた。やはりトキはここでも優しい子のようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









ストックなんてものはないので常に打ち切りですね。そもそも需要も皆無なんですけど!
ガハハ!

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  • ブルアカは知っているがロボトミは知らない
  • ロボトミは知っているがブルアカは知らない
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