L社の技術を持っただけの擬態型一般人Aがキヴォトスで生き残るためにできること。   作:D-T45-45-1919JP

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こいつ何してんだろ。





デートwith怖い人

 

 

 

 

 砂に埋もれた無人の駅。錆びついたベンチに腰を下ろすと、鉄の匂いと乾いた風が鼻腔を抜ける。

 

 再生した脚の感覚はまだ微かに鈍いようだった。

 

 隣に立ったホシノはショットガンを肩に担ぎ直し、薄く目を開けて俺を横目で捉えた。

 

「さて、話してくれるかな〜? 君の正体と、あの部隊について」

 

 俺は一息つき、何を言うべきか精査した。

 

 ホシノに話せることはそう多くない。アリウスの目的をそのままホシノに話してしまえば味方にはなってくれるだろうが、その代わりに原作が死亡する。

 

 原作が死亡すればベアトリーチェの行動が読めなくなり、その結果色彩が完全顕現する可能性もある。

 

 それにエデン条約のことをホシノが知れば、それを出汁にティーパーティに何らかのアクションを起こす可能性も否定できない。

 

 ……まぁ、アビドス生徒会うんぬん喋っちゃったから原作なんて死んでるんだけどさ!

 

 でもアビドス対策委員会編なら多少変化しても大丈夫でしょう!!! だって先生が居るんだもの!!!

 

 エデン条約編は先生すら死にかねん上にキヴォトスのテクスチャごと破壊しかねない色彩の存在もある。

 

 アビドス対策委員会編かエデン条約編、どちらを取るかと言われれば俺はエデン条約編を取るね!!!

 

「……まずは礼を言おう。おかげで命拾いをした、小鳥遊ホシノ。俺は先日アビドス自治区に登記した『Logos Company』の代表をしている。事業内容は非定型エネルギーの精製……端的に言えば、新しい燃料の開発と販売だ」

「ふ〜ん、エネルギー企業の社長さんね。確かにそれっぽいかも。それにしても、随分物騒な連中に狙われてるみたいだけど?」

「俺の技術を狙っているんだろう。俺が開発した技術は今のキヴォトスのエネルギー需要を容易に満たすことが可能だからな」

「こりゃまた、大きく出たね〜。キヴォトスなんて大きな単位を出して大丈夫なの?」

「問題ない。それどころかお釣りが来る。俺は以前、ゲヘナで設立された研究室に所属していた。と言っても俺のワンマンチームだったがな」

 

 アリウスの名は出さない。彼女たちの目的を技術強奪を狙う過激派という、キヴォトスではよくある利権争いの構図にすり替える。

 

「あの子たち、かなり訓練されてたみたいだったけど……どこかの学園の武装組織?」

「違う。アレはゲヘナの企業の手先……大人の掌で転がされている哀れな子供たちだ。各学園の自治権の強さは君もよく知っているだろう? 君がそこに居るだけで、彼女たちは手出しができなくなったわけだ。ましてやゲヘナにはあの風紀委員長も居るわけだからな」

 

 ホシノは納得したような、していないような顔で砂漠の地平線を見つめる。そして、核心に触れてきた。

 

「なるほどねぇ。じゃあ次の質問、対策委員会が生徒会としての役割を持っていないって、どういうことなのかな」

「……情報収集の結果だ。俺はアビドスに拠点を置く際、この土地の過去と現在を徹底的に洗った。かつて隆盛を誇ったアビドス生徒会が、今や実質的に解体され、君たち『対策委員会』だけが孤軍奮闘していることも。……ビジネスを始める以上、土地の権利関係を調べるのは当然だろう」

 

 ……どうだ、答えているようで答えていない話術! でもこの場は乗り切れても多分、黒服の提案の時気付いちゃいそうだな……

 

 まぁ仕方ない。

 

「うへ〜、随分と律儀な社長さんだねぇ。でもまぁ、何となくわかったかな〜? うちとしても自治区の経済を促進してくれる優良な企業は歓迎だからね〜」

「小鳥遊ホシノ。今日は本当に助かった。護衛の対価を払おう」

 

 俺は立ち上がり、遠くから近づいてくる列車の音を聞いた。懐から黒服から受け取った綺麗な金——クレジットのチップを取り出し、ベンチに置く。

 

 便利屋相手だと現金を使うことが多かったが、まさかこういうところでも役に立つとは。流石アルちゃんだ。

 

「これから数日はトリニティで身を隠すことになるからな。先に払っておきたい」

「え、ちょっと……えぇ? こんな大金、受け取れないよ〜」

「受け取れ。君たちがこの土地を守っているおかげで、俺はここでビジネスができているのだから」

「……うぅん、背に腹はかえられないしね〜。頂いちゃおうかな〜? ロゴス、だっけ? 覚えておくよ」

 

 列車が轟音と共にホームに滑り込んできた。

 

 ドアが開き、冷房の冷気が砂漠の熱を押し返す。

 

「ああ。今度はこちらから出向かせてもらう。土産でも持ってな」

 

 俺は振り返らずに列車に乗り込んだ。

 

 アインの仏頂面を崩さないまま、窓越しにホームに立つ小さな少女の姿を見る。ピンクの髪色は風にたなびき、見えなくなるまでこちらに鋭い視線を送っていた。

 

 ……怖ぁ。

 

 高速で流れるアビドス自治区の光景を眺め、束の間の休息を味わう。

 

 そして、背後から冷たい何かを突き付けられた。

 

 

「騒げば殺す」

 

 

 ……怖ぁぁぁぁぁあ!!!!!!

 

 

「理解している。どうせこの密室では逃げられん」

「……詰んでいるのは貴様の方だったな。A」

 

 

 アリウススクワッド、リーダー。

 

 錠前サオリ。

 

 ……原作崩壊を恐れないのなら、俺はアビドスで大人しく対策委員会に助けを乞うべきだった。例えそれがアリウスの生徒たちを見捨てる選択肢であろうと、命には替えられないのだと。

 

 でもなぁ、廃墟でキノコ生えた弁当食ったり、雑誌集めで一喜一憂して、先生に欲しいもの買わせているヒヨリとか、ドレスを着たり、DJになってみたり、楽しくやってるアリウスを俺は知ってるんだよ。

 

 悪い大人からDVされて、借り物の憎悪を与えられた子供を見捨てるとか、普通に有り得ん。

 

 アビドスは知っての通り砂で大半が沈んでいる。だからこそ移動手段は列車などの砂害耐性があるものに限られている。

 

 それはアリウスであっても例外じゃない。

 

 ワンチャン奇跡的にすれ違って、問題なくトリニティ行けるかもしれないと思ったが、やはり無理か。

 

「そう焦るな。時間はある」

「口応えできる立場とでも思っているのか?」

「騒げないのはお前も同じだろう。錠前サオリ」

「……口の減らない奴め」

「俺は君と話がしたかった。他の誰でもない、アリウススクワッドのリーダーである君と。だからこの時間を選んだ」

「……っ、何を」

 

 ……何を、だって? なんも考えてねェよ!!!

 

 だがここが、他のどこでもないキヴォトスである以上、俺に勝ち目はある。

 

 サオリは子供で、俺は大人だからな。子供は悪い大人に騙されるんだぜ。

 

 ペラ回しの時間と行こうじゃないの。

 

 

 

 

 

 





A「やばくねーよ、別に、やばくねーよ」

――ヤバいよ。普通にヤバいよ。


行き当たりばったりすぎるだろA!!! 勇気IIIが悪さしてるんじゃないのかA!!!

何とか言ってみたらどうなんだ! 28箇所の刺し傷だぞ!? 必ず殺したかったんだろう!!!

でもテクスチャさんが居るから大丈夫か。だってテクスチャさんだもんな。あのテクスチャさんだぜ? テクスチャさんがあるんなら心配いらないに決まってる。


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