L社の技術を持っただけの擬態型一般人Aがキヴォトスで生き残るためにできること。   作:D-T45-45-1919JP

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しれっと怖いこと言ってる黒服さん概念。





デートin夜with黒服

 

 

 

「……腹が立つほど運転が上手いな、黒服」

 

 トリニティの夜景が、防弾ガラス越しに滑らかに流れていく。

 

 運転席の黒服は実に慣れた手付きでハンドルを回していた。燃え上がる漆黒の焔がバックミラーに映り込み、俺の頭から生えた角と奇妙な対比を見せている。

 マエストロとの会談を終え、ホテルまでの短いドライブデートの最中。黒服は機嫌良さそうに口を開いた。

 

「クックック……光栄です。マエストロもすっかり貴方を気に入ったようですね。あそこまで饒舌な彼を見るのは、私としても初めてのことです」

「芸術家の独白に付き合うのは嫌いじゃない。……だが、今日の本題はそれだけではないんだろう?」

 

 俺が投げかけると、黒服は少しだけ速度を落とし、静かに頷いた。

 

「お見通しのようですね。……A、単刀直入に申し上げましょう。私はかねてから、アビドス高等学校の小鳥遊ホシノ――キヴォトス最高の神秘を持つ彼女に深い関心を寄せています」

「……だろうな。あの子は特別だ」

「ご存じのようですね。マエストロの『複製』によって、私たちは『神秘』の裏側……すなわち『恐怖』の観測に成功しました。しかし、あれはあくまで『恐怖』単体で成立している。命を持たない観念を解釈した、云わば影絵や蜃気楼のようなものです」

 

 シミュラクラの概念を支持するマエストロとは真逆の捉え方だな。あくまで『複製』はコピーであり、いかに本物に近かろうと偽物だと、そう言いたいわけだ。

 

 しかし、世界を解釈する方法は違えど、マエストロも黒服のような事実に基づく科学者の解釈も認めているのだろうな。

 

 とことん大人な奴らだ。

 

 黒服の指がハンドルをトントンと規則正しく叩く。

 

「そこで疑問が生まれたのです。命を持つ生徒という器に、この『恐怖』を直接適用することは可能なのか? 『神秘』を『恐怖』へと反転させるための条件。そして、反転した後の個体が維持できる安定性……。私はそれを見極めたいのです」

「……反転実験、か」

「ええ。ですが、これには大きなリスクが伴うことでしょう。未だ成しえない『神秘』の反転の際に、被験者の精神と肉体にかかる負荷は未知数です。貴重なサンプルでもある彼女を無駄に使い潰すわけにもいきません。……そこで貴方に、共同研究の提案をしたいのです」

 

 黒服がミラー越しに、俺の金色の――Aの瞳をじっと見つめてくる。

 

「貴方の持つ精神汚染中和技術、そして肉体を再生させる技術。これらがあれば、どれほど過酷な実験であっても、被験者を維持し続けることができるでしょう。……どうです? 協力していただけるなら、得られた検証結果や我々の持つ全てのリソースを共有しましょう」

 

 ……なるほど。

 

 つまり、ホシノを実験台にして、死なないように維持しろと言っているわけだ。

 

 効率的で極めて合理的。リスクを最大限ケアするそれは実に科学者的な思考である黒服らしい提案だ。

 

 だが――

 

「断る」

 

 俺は即座に、冷たく言い放った。

 

「おや……。即答ですか。理由を伺っても?」

「理由は二つある。一つは、前にも言ったはずだ。俺は自分の存在に妙なテクストを付けられるのを好まない。実験に加担し、『子供を弄ぶ悪い大人』という配役を配られるのは御免だ」

「……ふむ。メタ視点による危機管理ですか。解釈に理解のある貴方らしい」

「もう一つは――」

 

 俺は窓の外、平穏に眠るトリニティの街並みに視線を移した。

 

「……気分が良くない。それだけだ」

「気分、ですか? クックック……。貴方のその冷徹な仮面の下に、そのような感傷的な心が残っていたとは。クク……気を悪くしないで頂きたいのですが、本当に驚いているのですよ」

「どう捉えてもらっても構わない。生徒を犠牲にする以外の研究ならば大歓迎だ。例えばヘイローに干渉し、生徒の耐久力を回復、または向上させる薬品の研究とかな」

「……それもまた興味深いテーマですね。あなたの精神力を回復させる薬品を作り出す技術と『神名結晶』の存在を考えれば、『神秘』を象徴するヘイローに直接作用する薬品も作り出すことが可能かもしれません。しかし、それはあなた単独でも為し得るのでは?」

「俺は『神秘』や『恐怖』と言った概念に疎い。『神名結晶』はあくまでも俺の持つ技術の副産物として生まれたものであり、専門性で言えば黒服、あなたの方が長けているだろう」

「ふむ。……実利があり、応用性に長け、そして金になる。いいでしょう。共同研究のテーマはヘイローに作用する薬品の生成……ということで構いませんね?」

「ああ」

「興味深い結果が得られそうですね。具体的なことは後日、またゆっくりと時間が取れるようになってからお伝えしましょう」

 

 車がホテルの前に静かに停まった。

 黒服は無理に引き止める様子もなく、優雅に後部座席のドアを開ける。

 

「……しかし私の実験に同意を得られず残念です。ですが、その一線こそが、貴方を貴方たらしめているのかもしれませんね。……小鳥遊ホシノの件は、私なりに進めさせてもらうことにしましょう」

「好きにするといい」

 

 どうせ先生が来て成敗されるのだから!!! なんならついでに俺もぶち飛ばされるかもしれないのだから!!!

 

「ええ、重々承知しております。良き夜を、A」

 

 走り去る黒塗りの車を見送りながら、俺は大きくため息をついた。

 

 なんか思いつきを適当喋って話逸らしてたら、ヘイローに作用する薬品について研究することになってて草。

 

 ……まぁできなくもなさそうだな。エンケファリンと振舞いが酷似しているアレなら、数か月も経たずに濃度の調整や性質の変性くらいに手が届くだろう。

 

 あー、疲れた。

 

 

 

 

 

 

 







黒服っていつからキヴォトスに居るんでしょうね。原作開始のアビドス対策委員会第一章時点では、ホシノ相手にキヴォトスにはまだ慣れてないという旨を話していたので、おそらく結構新参なんじゃないかと思うんですが……

それにしてはデカグラマトンや旧ゲマトリアについて結構知ってるんですよね。

寝てたんですかね? 地下生活者と同じで。

あとアビドス対策委員会第三章ちゃんと見始めました。

……ユメ先輩カリスマありすぎじゃない??? もうこれ特定の人種に特化したジェネリックカルメンだろ。ハピエン厨かつ二次創作なのでぶち生かしたいところですが……既に算段は付いています。

しかしその場面に辿り着くまで一体どれだけ掛かるのか? その前に力尽きる可能性もあります。

なぜならプロットもなければ書き溜めもないから!!!!!


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