L社の技術を持っただけの擬態型一般人Aがキヴォトスで生き残るためにできること。 作:D-T45-45-1919JP
学名:トリニティマジョカタリ。
姫科に属しているがよくマジョに擬態しようとする。特定の人からお姫様扱いされると喜ぶ。
あと強い。
現行のトリニティミカゴリラという学名は可愛くないしミカが知ったら悲しみそうなので独断で変更します。異論は認めません。
なお人の心。
修正失敗してたので一度上げ直しました。えへ!!
トリニティの空気は、アビドスの砂混じりの風とは対極にあった。
甘い花の香りと、手入れされた芝生の匂い。
Aの学習能力で完璧に仕上げたマナーがなければ赤っ恥をかくところだったぜ。あとトリニティ生徒からひそひそと注目を浴びていて辛いぜ。
あとトリニティマジョカタリとの遭遇が一番怖いぜ。
なんだかんだ言いつつ、俺は大人しくセイアの招待に応じ、茶会に参加していた。
正面に座るのは、百合園セイア。俺の入室を確認すると、その大きな獣耳をピコッと立ちあがっていた。
もう既に可愛すぎる。は?
「やあ。君の存在を待ち侘びていたとも。私は百合園セイア。ここ、トリニティ総合学園を取り仕切るティーパーティーの1人であり――君に招待状を送ったものだ」
「自己紹介は要るか? どうせ調べているんだろう」
「是非ともお願いしたいところだ。君が自身のことをどう語るのかとても興味がある」
と言ってもね……何とか生き延びようとしてるだけの一般人なわけですよね……。
まぁやらかしまくってるせいで己の首を絞めている感じが凄いしているのですけど!!
「……先日立ち上げた零細企業Logos Companyの社長だ。取るに足らないアビドスの企業に、ティーパーティーが何の用だ」
「何の用……か。なにか大層な理由を求めていたのなら申し訳ないが……私は非常に幼稚な、論理の一片もない衝動に駆られて君を探していたのだよ。君の問いに対しては、用などない。というのが答えになるだろうね」
セイアは優雅にカップを口に運んだ。だが、その指先が僅かに震えていた。
「正直に言ったらどうだ。『予知夢』で俺を見たんだろう」
「……驚いたな。君はどうやら、背に尾ひれが付いた私の噂を真実と知っているようだ。そうだね……ああ、私はきっと、君のことを見たのだろう。だからこうして、君と対面している」
「ハッキリしない物言いだな。覗いた未来で、一体俺は何をしていたんだ?」
答え合わせと行こうじゃないの。
何が起こった? 原作はやはり崩壊するのか? 百合園セイアの予知夢が見る未来は制御不能で、それも遠い未来を予知することは難しいことは知っている。そのせいで、百合園セイアは決まりきったバッドエンドを何度も見続け、未来は変わらないと諦めを抱くようになった。
ハッピーエンドを諦めていた彼女が動き出すハメになるような未来。
聞きたくねェ……でも聞かないと対策できないしさ?
しかし、セイアが返した言葉は、俺の想定を根底から覆すものだった。
「――私は、『予知夢』で得た記憶を失っている。こんなことが起きたのは初めてだったよ。唯一、瞳の褪せた黄金の色だけを覚えていた」
「…………なん、だと……?」
思考が止まる。
記憶を失っている? 予知の内容を、本人が覚えていないのか?
「……君を見た瞬間、確信したよ。その褪せた黄金の色。私は覚えていなくとも、私のヘイローが覚えていたのだろう、底知れぬ恐怖と……そして、奇妙な安堵で包み込んだその色を。だが、それ以外が何一つ思い出せない。目が覚めた時は全身が震え、吐き気と何か耐え難い衝動に襲われて――動くこともままならなかった」
全身の震え、吐き気、衝動。
典型的なパニック症状だ。未来を垣間見ただけでパニック症状に陥るだと?
セクシーセイアさんの予知は断片的に、未来の光景、人物の心情を読み取る。彼女は数々のバッドエンドを見続けていたため、悲劇に対してある種の耐性ともいうべき諦観に満ちていたはずだ。
そんなセイアさんが、ちょっと見ただけでパニック症状に陥る未来だと……?
衝撃を受ける光景だとか、悲劇だとか、そういう認知の領域ではない。
精神への直接的な干渉ーーつまりWhiteダメージを受けていたということ。
……絶対、100%原因俺でしかなくね……? え? マジ未来の俺何してんの??? キヴォトスにアブノーマリティでも放牧してたの??? バカかよ! つかどうやって生み出した!? 都市の人間を材料に『抽出』したならわかるが、あいにくここはキヴォトスだぞ!
俺をアブノーマリティにしたとしても、精々一体生まれるか、もしくは出来損ないの化け物になってお仕舞だろうし。そもそも未来で俺の目を見たらしいから、少なくとも俺は生きているんだろ。
マエストロの『複製』を使ったのか? しかし『複製』をどうやって使えばそんなことができる? マエストロの『複製』はあくまで無から有を生み出すものじゃない。
シロ&クロなら遊園地に残っていた歓喜の残滓を『複製』した結果だし、
ヒエロニムスならトリニティの地下にある教義を『複製』した結果だし、
戒律の守護者、ユスティナ聖徒会もエデン条約を『複製』した結果だし。
あくまで『原本』が、『複製』の元となる何かが必要なんだ。
可能性的には、都市の悲劇や苦痛、感情を『複製』することで、アブノーマリティの『複製』か、それに類似する存在を作り出すことは可能かもしれない。だが、ここはキヴォトス。
元となる材料が存在しない以上、『複製』は機能しない。
もしかして、生徒を材料に『抽出』したとか? それでキヴォトス固有のアブノーマリティが生まれた……?
俺がそんなことするのかぁ!?
そんなことするのAくらいでしょw。
…………何かを切っ掛けに、俺はそうなるかもしれないと? 怖すぎて草ぁぁぁ!!!
セイアは伏せ目がちに、自分の手のひらを見つめた。
「君は何者だ? 私の未来に、何をした。あるいは……これから何をするつもりだ」
「……悪いが、まるで心当たりがない。動機があまりに欠けている」
沈黙が流れる。
俺は未来視の内容を聞きに来た。
彼女は俺の正体を聞きに来た。
お互いに、相手の手元に解答があると思い込み、しかしそこにあるのは空っぽの箱だけだった。
……笑えない冗談だ。預言者が預言を忘れ、罪人が己の罪を知ることができないとは。
しかし、なぜセイアの記憶は消えたんだ? Whiteダメージが強すぎて、記憶ごと損傷したとかかな。『たった一つの罪と何百もの善』さんに罪の告白で嘘ついたら記憶消されるらしいし……セイアちゃんもしかして未来で懺悔でもしたの?
「……皮肉だな。俺もまた、君が何を見たのかを知りたくてここに来た。……君が忘れたというのなら、ここで話は終わりか」
「そう急ぐことでもないだろう。数々の悲劇を視た私が、あそこまで追い込まれていたのは私としても驚嘆なのだよ。全てが既知であり、決まりきったレールに沿う世界で、私は初めて知らない私に出会った。私は兼ねてよりそれを望んでいた気もするが……あまり良い変化とは言えないな。だが変化は変化だ。その切っ掛けになった君にとても興味がある」
セイアは再び顔を上げ、不敵に……しかしどこか縋るような笑みを浮かべた。
「君さえ良ければ……対話を続けようか。私は君を、より深く知る必要があるのだから」
んんぅぅぅ!!!!
セクシーセイアさんマジでセクシーすぎる。可愛い。普通に。
でもなんか、なんか雰囲気違くない? 気のせいか? 俺がニワカなだけか??? なんか湿度が高いような気がしなくもないのだが流石に自意識過剰か?
そいつはマジでやめておいた方がいいんじゃないかとワイトは思うのですが……。
目を覚ませ、目を覚ますんだジョー!!! セクシーセイアにはそのうち運命の先生が来るのだから!!!
というか普通に本人すらも自覚がない自作自演だから!!! 過去と未来の奇跡のタッグマッチでドキドキ(心臓発作)させられてるだけなんだから!!!
次回、一般人A、死す! デュエルスタンバイ!
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