L社の技術を持っただけの擬態型一般人Aがキヴォトスで生き残るためにできること。 作:D-T45-45-1919JP
コハルちゃんでも良かったんですが、正義実現委員会は今ハチャメチャに忙しいのでレイサちゃんになりました。
見なよ、俺のレイサを……(未所持)
「やめたまえっ、ミカ!」
セイアが椅子を蹴り、俺の前にその華奢な身体を投げ出した。小鳥のようなその背中が、今は随分と頼もしく見える。
「もし本当に私の前で彼を害するつもりなら、私は君を軽蔑することになる。……私に、そんな思いをさせないでくれ」
冷え切った、それでいて願うような声。
「どいてよ、セイアちゃん。身体弱いんだから、もしかしたら倒れちゃうかもしれないし!」
「……ミカ」
数秒、いや数分にも感じられる沈黙。俺の精神力は底を突きかけ、パニック寸前の警告音が脳内で鳴り響く。しかしやはりというべきか、Aの顔面はコンクリ製なので一ミリも変化しない。
「なーんてうそうそ、冗談冗談☆ あれ、もしかして本気にしちゃった? セイアちゃんのお客さんにそんなことしないよ!」
「失礼しちゃうよね。私だってそこまで礼儀知らずじゃないし! ティーパーティのホストが呼んだお客さんなんだしさー? あ、そうそうこれ、すっごく美味しいから絶対食べてねセイアちゃん。じゃ、失礼しました~」
ミカはケラケラと無邪気に笑い、持ってきたケーキをサイドテーブルに置くと、歓迎されていない雰囲気を感じ取ったのか退室していった。嵐が去った後のような静寂が、部屋を支配する。
……あぶね。まさか本当に撃つのかと思っちゃったよ。ミカは俺の推しではあるが、やるときはやるし、やらなくてもいい場面でもやる。
「……済まない。彼女はその……情熱的であり、直情的であり、つまるところ、そうだな……そう、有り体に言えば思慮に欠けているのだ。今日はここまでにしようか。またいつ戻ってくるかも彼女の気分次第であるからね」
「……ああ。丁重なもてなしに感謝する、百合園セイア。俺としても楽しいものだったよ」
「そう、言ってくれるのならば……光栄だね。ふふ」
茶会がお開きになり、俺は何とかトリニティマジョカタリからの襲撃を凌ぐことができた。
……い、生き残ったぁぁぁぁ!!!! ワンチャン死ぬんじゃないかと思った……。
あまり推しを悪く言いたくはないが、聖園ミカには身体の弱い幼馴染相手に口で勝てないから襲撃を仕掛けさせる脳筋なところ――げふんげふん、“凄み”があるからな……。何とかなって良かったよほんと。
大人しくホテルへの帰路につく。チェックアウトもまだだからな。
太陽が光が通らない薄暗いトリニティの路地裏。白色の残光が建物の隙間から差し込み、長い影を地面に描いている。平和を絵に描いたようなその景色を前に、俺は小さく感動する。
トリニティはやっぱり建物の造形が綺麗なものばかりだな……。アズサの見ていた世界も、こんな感じだったんだろうか?
そういえばこっちだったか? マエストロの居た廃墟って。黒服は賃貸契約というか、そういうビルとか持ってそうな雰囲気があるけど、マエストロとかゴルコンダはどうしてるんだろう。まさかずっと廃墟に居るのかな。
ま、余所見するのもやめてホテルに帰るか――
「――か、はっ……!?」
衝撃。熱。そして、遅れてやってくる暴力的なまでの激痛。
背中を焼くような感覚に、俺の身体はなす術もなく前方へ崩れ落ちた。膝が硬い石畳を打ち、視界がチカチカと火花を散らす。
何、が……?
「ちょーっと待ってもらおうかな☆」
軽やかな声が背後から響いた。
振り返ると、そこには銃口をこちらに向け、ピンクの髪に夕焼けを反射させた聖園ミカの姿があった。
――撃たれたのか!?
「ねぇ、角を生やしたあなたはこの大変な時期に、セイアちゃんと一体何を話していたのかな☆ あは、誤魔化されるだろうし先に言っておこっか。長話したいわけでもないし☆ どうせあの和平のことだよね? 知ってる☆」
「違う……!」
俺は絞り出すような声で否定したが、あまり意味はなさそうだった。胸の辺りからじんわりと血液が吹き出していく。生暖かい温度がスーツに染み渡っていく。
ミカの口調こそ軽やかだったが、その瞳は笑っていない。
「あはは☆ 別に喋んなくていいよ、聞いてないし☆ セイアちゃんもナギちゃんもさー? いつもは賢いくせに変なところで夢見がちというか、おバカさんなところがあるからほんと困っちゃうよね☆ 日常的にテロとか起こして、戦ってばーっかりの野蛮なゲヘナと手を組むなんて到底無理ってことが何でわかんないかなー……?」
……不味い。これは、本当に不味い。あかん場所を撃たれた気がする……。
肺の空気が足りない。心臓が早鐘を打ち、全身から急速に力が抜けていくのがわかる。
……一発、入った。それも、最悪な場所に。
ミ、ミカちゃーん……気付いてくれー……激痛と撃たれた場所のせいで息するのも結構辛かったりするんだぞー……。
「で、そうそう! こっちの話なんだけど☆ もう二度とセイアちゃんに……というより、トリニティに近づかないで欲しいんだよね☆ 変なことされても困るしさ☆」
意識が遠のく。視界の端が黒く染まり始める中、俺は震える手で懐の拳銃に手を伸ばした。あの子から作り出したE.G.Oの拳銃……これには一応装填して持ってきた回復弾が入っている。
これさえ、撃てれば、まだ……!
「え、なになに? 戦うつもり? やめといた方がいいと思うけどな☆ 見るからに弱そうだし☆ えっと、こういうのは牙を折っておかないとダメなんだよね、確か」
閃光。
俺が引き金を引くよりも早く、ミカの弾丸は拳銃を弾き飛ばし、ついでに太ももに穴を開けていく。
数発だけ……キヴォトスの生徒や住人相手ならば、ちょっと痛いくらいなんだろうが……。
激痛に視界が歪む。勇気のお陰で何とか意識は保てているけれど、
――ああ、不味いな……。
「……ゲヘナって銃までダサいんだ☆ 美的感覚っていうの? やっぱり理解できないなー……どうしてゲヘナなんかと……。まぁいいや。後ろから撃たれても気分悪いし、このダサいの持ってくね〜☆ じゃ、そういうことだから☆」
「――待、て……」
伸ばそうとした手は空を切り、ミカは俺の唯一の希望である拳銃を奪ったまま、裏路地を去っていく。
静寂が戻る。
残されたのは血の匂いと、冷え始めた自分の肉体。
……詰んだか、これ。
俺がトリニティで仕立てたこの黒い高級なスーツは皮肉なことにあまりにも高品質すぎた。吸水性に優れ、肌触りが良く、そして――溢れ出す血液をその内側に完璧に閉じ込め、外には一滴も漏らさなかった。
スーツ選びミスったなぁこれ……! マナーとか勉強したけど、実際ちゃんと出来るか不安だったから、飲み物零しても絶対見た目からはバレない奴にしたのが間違いだった……。
だから、ミカは気づかなかった。
自分が撃った相手が、自分たちと同じ頑丈な生徒ではなく、弾丸一発で死に至るただの人間であることに。血が出て、そしてわかりやすく顔に出るような人間だったら、きっとミカは血相を変えて後悔しながら心配してくれただろうに……。
Aボディであることをここで後悔することになるとはな……。
ハ、ハハ……皮肉なもんだな。身だしなみを整えたせいで、殺されるなんて……。
心臓の鼓動の音が聞こえる。徐々に弱まっていく、心臓の音が。
スーツが重い。鉄の匂いを含んだ温かい液体が、ズボンの裾まで浸透していく。寒気がする。震えが止まらない。意識の輪郭が溶け、俺は石畳に這いつくばり、路地裏の壁に背を預け、ただ虚空を仰いだ。
……まさか推しキャラに殺されることになるのか、俺……。その咎を、ただでさえ心が推し潰れそうになっていた原作のミカに背負わせることになってしまったら、きっとあの子は――――
死ねない。少なくとも、ここでは死ぬ訳には……!
E.G.Oの扉を生み出す。……が、どうしても身体が動かない。血液を流しすぎたのか、それとも足を貫通した弾丸の当たり所が悪かったのか……。
……誰か、居ないか? 誰でもいい、俺を、あの場所へ――
そこに、ゲームで何度か聞いた覚えのある溌剌で元気な声が響いた。
「銃声はここですね! 私、自警団の期待の新星である宇沢レイサが来たからには、もう安心ですよー!!! スズミ先輩が居なくとも! 街の平和は私が守ります!!!」
――宇沢、レイサ!
その名前を聞いた瞬間、俺の脳裏に最後の希望が閃いた。
「むむ、大丈夫ですか!? 今助けます! 怪我はないです……か……? これっ、血……? 出血してるんですか!? 待ってくださいね!!! 大丈夫ですから! 今救護騎士団に連絡して――」
「――宇沢、レイサ……! 待って、くれ、どうせ間に合わない……! 頼みを、聞いてくれないか?」
「っそんなことないです!!! このくらいの出血なら――ひっ、!? ぅそ、まさか……このスーツ、全部が、血で――っ!?」
俺の抱き起そうとしたレイサの手が、反射的に離れる。そうだろうな……ただのスーツかと思って触ると、実際は血液で重くなった生温いスーツなんだからな……。
手にべっとりとこびりついた大量の血を見て、レイサの顔から血の気が引くのがわかった。
「……すまない、な。触りたくないだろうが、頼む……俺を、あの扉の、向こうへ……! 連れて、行ってくれ……げほっ」
俺は壁に生み出した扉を指差し、レイサに懇願した。
「あっ、ああのっ、扉ですか!? 連れて行けばいいんですね!? 連れて行けば、あなたは助かるんですね!?」
「ああ……頼む、君だけが頼りなんだ……」
「わかり、ましたっ!!! 大丈夫ですから、私が傍にいますから! だから、気をしっかり持っていてくださいね!?」
レイサの小さな体が俺を懸命に支え、引きずるようにして扉の向こうへと運んでいく。
彼女の肩に伝わる重み。流れる血。
それでも、彼女は逃げなかった。
……レイサ。お前カッコ良すぎ。
――――TT2 保存プロセス開始…
――――セ■■ラプロトコル更新…
――――Endo Box展開…
――――TT2コンポーネントにアサイン…
――――エンケファリン活性化…
――――記憶貯蔵庫刻印 DAY???
「ここは……ここに、何か道具が!?」
「いや、十分だ……ありがとう、レイサ。もう、帰っていい。君の、お陰で――」
意識が遠のいていく。調整したプロトコルが、きちんと動いてくれればいいんだが……。
――――ああ、これが死なのか。思ったより、あっけない。
「大丈夫ですか!? あ、あの!? 大丈夫なんですよね!? 返事を、返事をしてください――ねぇっ!? ……ぁ、あぁ……あぁぁぁぁあ!!!!! たっ、助かるって、言ったじゃないですかぁっ!」
「しっかりして、しっかりしてくださいっ!!! ……もう、し、死んで――いや、まだです! レイサは諦めません!!! 絶対、諦めませんから!!! まずは救護騎士団に連絡して……!? 電波が通じない!? この建物のせい!? なら出れば――待っていてくださいね! 絶対、絶対に死なせませんからね!!!!」
――――端末の垂直同期実行…
――――優先順位の決定…
――――施設の電圧チェック…
――――TT2コンポーネントにアサイン…
――――エネルギー抽出及び精製工程再開…
――――クリフォト抑止力を縮小…
――――すべての職員を配備…
――――エラー が 発生しました。
――――セ■ィ■プロトコル が 起動していません。
――――ANGELA が 起動していません。
――――シナリオの続行 が 不可能です。
――――緊急リブートを実行…
――――同期中…
――――同期完了
「こんにちは、X」
「ロボトミー社への入社を心より歓迎します」
……ここは……? 死んだ、のか。それに、こいつは。
待て、どうして……!?
「アンジェラ……!?」
どうしてアンジェラが起きてるんだぁぁあああああ!!!!!!
あああああああブリブリブリブリュリュリュリュリュリュブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッwwwww
閉じていた目が開かれ、黄金に輝く月のような視線が俺を貫いた。
不味い。
何も考えずに付けていたアンチヘイトタグが役に立った瞬間なのかもしれない。
今までシッテムの箱もないまま、なぜか奇跡的に何とか生き延びていましたが……それもおしめぇよ。キヴォトスは一般人からするとオワタ式FPSなのだ。
ミカ……露悪的に書きたいわけじゃないんだけど、筆者の筆が君をそう書いてしまったんだ。
やるかやらないかで言えば、絶対やるんだ! そんな考えなしなところも可愛い♡
そして筆者の推しでもあります。通常ミカは精神的に結構危うかった印象がありましたが、水着ミカは精神的に自分が幸せになってもいいと、自分を赦せるように成長してましたね。尊い……思わず口角が天井に刺さりました。ちなみに通常ミカしか持ってません。は?
そして死亡フラグ(実践済み)から連鎖召喚されてしまったどの時間軸かによって危険度が変わるアンジェラさん……
不味い(ガチ焦り)
TT2プロトコルを利用した不死性もこの女が本気出せばちょちょいのちょいですよぉw
ちなみになんかAは死んでるけど今日が先生着任日だったりする。読んでる最中に気付いた人居るのかしら。チュートリアルのメンバーを覚えてるとわかったかもしれないですね。
本当はアリスクに殺されるはずだったのですがペラ回しによって何とかなってしまいました。
しかし安心してください。
ここに、ペラ回し族の天敵が居るのですから!!!
なんかこの主人公お労しいな……お労しくない?
原作知ってるかアンケート
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ブルアカは知っているがロボトミは知らない
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ロボトミは知っているがブルアカは知らない
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どちらも知らない
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どちらも知っている