L社の技術を持っただけの擬態型一般人Aがキヴォトスで生き残るためにできること。   作:D-T45-45-1919JP

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レイサマジで可哀そうだと思いました。まる。







誤った祈り

 

 

 

 

 

「もしもし騎士団ですか!? け、怪我人が居るんです!!! 血が、血がいっぱい出ててっ! 早く来てください!!!!」

『っわかりました。場所は?』

「ぇっと、13区画のっ、仕立て屋さんの向かいの裏路地で!」

『怪我の様子を詳しくお願いします!』

「血が凄い止まらなくて、全身血でびっしょり重くなってて、あ、あと……脈が、止まって……ました」

『――っ、本当ですか?』

 

 

「はっ、はい――」

 

 

 その通報、待ったぁぁぁぁぁ!!!!!

 

 

 スマホを耳に当て、必死に頷いて結構な声量で話し込んでいるレイサに渾身の待ったを掛ける。

 

「待てっ大丈夫だ、俺の脈は正常だし出血も治った」

 

 来るのがセリナとかハナエなら良いがミネ団長に来られてしまったら俺は復活もできずに粉砕骨折してしまう!!!! いやそんなこともないのかもしれないけども!!!

 

 その結果ティーパーティーに連絡が行った後トリニティで病養するってなったら今度こそ確実に死んでしまう!!!

 

「――えっ、!? え、えええええええ!!!!!????? 本当に大丈夫だったんですか!? あの部屋にどんな秘密が!? 服も綺麗になってますし……あっ、ちょっ!?」

「すまない! 誤通報だ!!! では!」

 

 驚いて口をパクパクと動かし、信じられないものを見たかのような顔をしたレイサの手元からスマホをするりと盗み、電話を切った。今時期はクソ忙しいのに誤った通報で救護騎士団のリソースを削ぐわけにもいかないし俺は死にたくない!!!

 

 背後からヌッと現れた俺を見て、文字通り目を疑っているのか目を擦ろうとしている。咄嗟にその腕を掴み、止めた。

 

 こら! ばっちぃでしょ!

 

「やめろ、血が目に入るぞ」

「あっ、そうでした……じゃなくて! 本当に大丈夫だったんですか!? どうやって!?」

 

 方法的にはTime track社のTT2プロトコルで記録した俺の時間を、死んだ俺の時間に上書きして死ぬ前の状態に戻したわけである。実質俺は死んでるようなものだが……図書館のセフィラたちの様子を見るに、そんな重要なことじゃないと考えることにした。

 

 テセウスの船ならぬ人間を構成するのは、その意志、人格だろう。少なくとも、都市のテクスチャでは。

 

「あの部屋には……そう、特別な……ミレニアムの……医療機器があったからな」

「そっ、そんな急に言われても……信じられません! お兄さん、さっきまで心臓止まってたんですよ……!? や、やっぱり救護騎士団に見て貰った方が……!」

 

 レイサの大きな瞳が、俺の身体の隅々を食い入るように見つめる。

 

「本当に大丈夫なんだ。君のお陰でな」

「……本当なんですか? 嘘じゃないですか?」

「ああ。信じてくれ。見ての通りだ。なんなら君の方が怪我人に見えるぞ」

 

 俺の血でべちょべちょだし。普通に嫌だよね、ごめんね。

 

「…………わかりました、信じます! でもお兄さんが帰るまで、護衛しますからね! 絶対送りますから覚悟してくださいね!!!」

「そこまで強く言わなくても拒否するつもりはない。何ならお願いしたいくらいだった。ありがとう、君は本当に優しい子だな」

「――べ、別にそういうのじゃないですから! むしろ私なんか……い、いえ! 何でもないです! 早く行きましょう!!! 凶悪殺人犯は現場を確認しに戻ってくると聞いたことがありますし!!!」

 

 すっごい良い子。原作の時点で猪突猛進なとこはあるけど、それは必ずしも欠点になるわけではないし。むしろ美点にもなるし。

 

 レイサ……うちのシャーレにどうして来てくれなかったんだ、俺、悲しくなっちゃうよ……。

 

「さ、行きましょう! どちらまでですか!!」

 

 ……何とかなって良かったなぁ……いや、なってないのかもしれないけど。アンジェラ起きちゃったし? 最悪ではないが良くはないよな、わざわざ寝てたところを起こすことになっちゃったわけだし。

 

 ま、生き残れて良かったと考えよう……。

 

 

 こちらを見据えるレイサの瞳には薄い疑問のような色と強い覚悟、そして何かに追われているような焦燥感が滲んでいた。

 

 ほんとすまん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖園ミカは取り上げたその拳銃を、プラプラと揺らして眺めていた。

 

 ゲヘナの大人が持っていた、デコレーションだらけの拳銃。

 

「……ほんと、ダサいよね」

 

 ボロボロのステッカー、下手くそな手書きのペイント。めちゃくちゃに飾られたそれは誰かに大切にされ、何度も手入れされてきたことがわかる生活感があった。触っているだけでこの拳銃が誰かの理想を詰め込んだ夢のようなものだとわかってしまう。

 

 セイアちゃんにバレるかもしれないから、早めに処分しようと思っていた。押収した違法武器は丸ごと処理することもあるから、別にそこに一つ拳銃を混ぜ込むくらい簡単にできた。

 

 でも、どうしてもこれを捨てる気にはなれなくて、仕方なくミカはそれを眺めていた。

 

「…………返しに、行こっかな。大切な、もの……だよね」

 

 あんまりあの冷たい顔した大人が使ってそうな見た目じゃないけど、それでも。この銃には熱が灯っている。誰かの願いが込められた、思い出なんだ。

 

 でも、相手はゲヘナの大人だよ。ゲヘナの奴らにそんな気を遣ってあげる必要なんかあるの?

 

「どう、しよう……」

 

 

「……」

 

 

 

「…」

 

 

 

 

「……気分転換。ナギちゃんにでも会いに行こっかな」

 

 

 ――気分転換が終わったら、セイアちゃんからあの大人に返してもらおう。

 

 いくらゲヘナが嫌いだからって、ゴミみたいに捨てる気にはなれないし……きっと、思い出の詰まった大切なものだと思うから。

 

 それに、多分私の言いたいこともわかってくれたと思うし! それなら別に返したって、いいよね。私だって言うことさえ聞いてくれたらそれでいいんだしさ! わざわざ酷いことしたくないし!

 

 懐に拳銃をしまって歩き出す。ティーパーティーの執務室へと向かう廊下。

 

 その途中で、慌ただしく動き回る正義実現委員会やシスターフッド、自警団や救護騎士団が動いているのがわかった。

 

 こんなに忙しいのにどうしてセイアちゃんは……私のことを気分屋みたいに言うけど、セイアちゃんだって結構そういうとこあるよね。

 

 少し考え事をしていると、ふと耳に入った、明らかに雰囲気が違うその会話。

 

『血が、血がいっぱい出ててっ! 早く来てください!!!!』

「っわかりました。場所は?」

 

 うわー、電話越しなのに凄いうるさい。対応してる子も耳痛そうにしてるし、救護騎士団も大変だ。でも真剣な顔してる。私も色々頑張らないと―― 

 

『ぇっと、13区画のっ、仕立て屋さんの向かいの裏路地で!』

 

「――ぇ? 今、」

 

 ――13区画の、仕立て屋さん……? あれ、待って。嘘、さっきまで居た場所ってっ。

 

 懐にしまった拳銃が、嫌な熱を持った気がした。

 

「怪我の様子を詳しくお願いします!」

『っ血が凄い止まらなくて、全身血でびっしょり重たくなってて、あ、あとっ! ……脈が、止まって……ました』

 

 ――――嘘、だ。

 

 心臓が嫌な音を立てて、飛び跳ねる。思わず胸を押さえて、立ちすくむことしかできなかった。

 

 

「――っ、本当ですか? ……セリナちゃん居る!? お願い! 急いでミネ団長に連絡を! まだ間に合うかもしれないから!」

 

 走り去る必死な救護騎士団の声も、どこか遠くの出来事のように感じてしまう。

 

 

 脈が止まったって……死んだってこと……? あの大人のこと? それとも別? もしそうなら、私は、違う、違う! そんなことをしたかったわけじゃ――!

 

 へたり込みそうになる身体を壁に預け、膝の力が抜けそうになるのを必死に堪える。

 

 だって、平気そうな顔してたし。ゲヘナの、不気味な大人だったし……。あれくらいで、死ぬわけ……。

 

 そうだよ、ちょっと撃ったくらいで、そんな重傷になるわけない。

 

 必死に言い訳を頭の中で並べるけど、その考えを頭から消し去ることはできなかった。

 

 でも本当に()()だったら? 私の脅しで撃った弾が、たまたま命を奪っていたら? 思えば表情は変わらなかったけど、確かに声は辛そうだったし……。

 

 もし、そうだとしたら、私は……どうすればいいの……? 

 

 殺すつもりなんて微塵もなかった。

 

 少しだけ、お仕置きをして。セイアちゃんに近づかないように、釘を刺したかっただけ。ゲヘナの存在がトリニティに近づくってだけで不快だったことは本当だけど、でも殺したいほど憎んでたわけじゃない。

 

 謝ることはできない。だって死んじゃったから。

 償うことはできない。私に殺されたから。

 

 最期に何を想ったのか、知ることはできない。

 

 私を恨んでいたのかな。それとも、殺したいほど憎んでた?

 

 聞きたいし聞きたくない。生きてて欲しい、でもそのまま眠っていて欲しい気持ちもあった。

 

 怖い、怖い、怖い怖い怖い! そんなつもりじゃなかったのに! なんで!? なんで急にそんなっ! もっと痛そうにしてよ! もっと苦しいって伝えてくれたら、私だってすぐっ!

 

「ぁ……」

 

 ――聞かなかったのは、私か。

 

「ごめん、なさい……」

 

 こぼれた言葉は、誰にも届かない。届くべき宛先を失っているから。もし、宛先がまだあったとしても、果たしてこの言葉を受け取ってもらえるのかな。人殺しの、言葉を――

 

「ぉぇ……」

 

 込みあがった何かを必死に堪える。

 

 ずっしり。

 

 軽かった懐の拳銃が重たくなった気がした。それはまるで罪の重さを証明しているみたいで、呪いのように解けない。返す先があったら、この呪いは解けるのかな。

 

「……そんなわけ、ないよね」

 

 震える身体。暖かいはずのトリニティで、酷い寒気に襲われていた。

 

 祈るしかない。それが誤報であることを、ただ。

 

 

 

 

 





凄い曇ってて草。あぁ、ミカ……。俺、悲しいよ……。

ちなみにこの後、その誤通報を信用しなかった救護騎士団が急行し、現場で凄惨な血痕が発見されたらしい。しかし同じく血まみれだったレイサからの証言で、その人物は生きているという情報が入ったとか。

当然そんな重大事件がティーパーティであるミカの耳に入らないわけもなく、実際現場まで見に行ってその血痕を確認したらしいよ。その後? 自室で泣いてるんだって……。

呪いの象徴である拳銃を返し、本人に赦しを貰うまで、ずっと責めるでしょう。

でも大丈夫だ! そいつ馬鹿だから! ぶっちゃけちょっと頭回るだけでミカと同じような感じだからさ!!! 恨むどころか最期までミカのこと気にしてたよ!

それをミカが知ったらどうなるかって?

さぁ……()



まぁでも先生が居るなら大丈夫だよ! だってあの先生なんだから!!!!

これ曇らせタグ要るかな?





あと筆者は実家ぬくぬく生活が消えバイト&自活生活が戻ってきたのでこの作品は亀更新あるいは1万円以下の罰金あるいはエターナルフォースブリザードになるかもしれません。誰か代わりに書いてもらっても、私は一向に構わんッ!!!!!

でもブルアカもプロムンもおもしれーからよ……まだヒフミ覚醒とか『夢の続き』とか絶望!!!とかチェックポイント戻りとかゴルコンダ生き残りルートとかミサキと血の風呂共鳴とかやるかわかんないけどやりてーネタがあるからよ……

止まるんじゃねぇぞ……止まんねぇ限り、道は続くからよ……

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