L社の技術を持っただけの擬態型一般人Aがキヴォトスで生き残るためにできること。   作:D-T45-45-1919JP

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やること尽くしじゃないか……!? しかもそのうちゴルコンダとかからのお誘いもあるぞ多分。






帰路の途中。展望。

 

 

 

 トリニティからの帰路。ガタゴトと揺れるアビドス外郭行きの車内で、俺は窓の外を流れる久しぶりな砂色の景色を眺めていた。

 

 ……やるべきことも大体終わったなぁ。

 

 聖園ミカとの件は恐らくこれ以上ない形で着地したはずだ。思ってたよりだいぶ思いつめてて、聞いてるこっちまで泣きそうになったけど、それでもちゃんと謝罪できたんだから。きっとミカは大丈夫だと思う。

 

 E.G.O拳銃も無事に回収したし、あとは連邦捜査部「シャーレ」の顧問である“先生”が持ち前の完璧先生パワーで教え導いてくれるだろう。

 

 この世界の異物である俺の役目は、異物によって歪んだ物語を何とか修正することくらいだ。尤も、完璧に修正できているとは口が裂けても言えないが……アリウスとかゲマトリアとか特に。

 

 まぁ、俺も死にたくなかったからな……多少は多めに見てもらいたい。

 

 これからはアビドスの拠点で、アンジェラの淹れたコーヒーでも飲みながら、悠々自適に零細企業の社長として過ごすつもりだ。贅沢はしたいから取引は続けるが。

 

「……ようやく、一息つけるな」

 

 俺の呟きに、隣に座るアンジェラが冷ややかな視線を向けてきた。

 

「一息つける、ですか。Aの楽観主義には驚かされますね。……Aがホテルで病養を貪っている間に、今後のLogos Companyの基盤を整理しておきました」

 

 アンジェラは手元の端末を流れるような手付きで操作し、こちらに見せた。

 

「まず、ミレニアムのセミナー……会計の早瀬ユウカとの電力取引ですが、交渉日は三日後です。これ以上遅らせれば、彼女たちのリソースで電力問題が自己解決されてしまうでしょう。機会損失は許されません。この交渉は私が代行します」

「ああ、頼む。彼女は数字にうるさいが、論理的な話は通じるはずだ」

「承知いたしました。そして、今後の計画ですが……これが本題です。先日のAが黒服との取引で得たクレジット、その7割を投じてL社周辺一帯の土地を買い取ります」

「……7割か。もう結構使ってるからな……残るのは雀の涙になりそうだ」

 

 アンジェラは俺とは比べ物にならないほどこういった類の計画に精通している。それくらい必要なんだろうなぁ……。

 

「カイザー・コンストラクション側とは既に接触済みです。鉄道網からも外れたあのエリアは彼らにとって維持費だけがかさむ『不良債権』。二つ返事で売却に応じるでしょう。……施設を隠蔽し、かつ外部からの干渉を物理的に遮断するには周囲の『所有権』を握ることが最優先事項です。エンケファリンの精製プロセスもTT2プロトコルを無暗に使用できない以上、時間が掛かりますから。一度L社の根を下ろした方が良いでしょう」

 

 エンケファリンの精製はすぐにできるわけじゃないからな……。そんな大規模な施設要るかな? とは少し思うが、継続的に精製プロセスを続けることができる施設は後々必要になってくるのかもしれない。

 

 セミナーとの取引でどれだけの電力を扱うかで、変わる気が――――

 

 セミナー、ミレニアム……

 

 あぁ、そっか。

 

 調月リオの要塞都市エリドゥか。アンジェラには俺が持つ大体の知識を伝えてあるため、その存在についても知っている。

 

 要塞都市エリドゥに継続的に電力を供給するとなると、俺が逐一E.G.Oの扉を開いているだけではエンケファリンの精製プロセスが足りなくなるとアンジェラは考えたわけだな。そしてそれはおそらく正しい。

 

 調月リオと取引したいという展望も伝えたけど、そこまで見越した上でか。

 

 流石アンジェラ。

 

「……確かに、一理あるな。だが、財布が空になるんだが……」

「セミナーとの契約が成立すれば、キャッシュフローは改善されます。それに、アビドス自治区における既存企業との折衝も元々の目的に含まれていたと記憶していますが」

 

 そこで小さく稼げってことね。新陳代謝が激しい都会とは異なり、アビドス自治区は根強い地元愛で残っている企業も多いからな……そこで好感度を稼ぐというのも、以前考えてたなそういえば。

 

 アンジェラに任せっきりで腑抜けてるんじゃないか俺。あれ?

 

「その通りだ……やるしかなさそうだな」

 

 ……アビドス。そう言えば戻ったら、やらなければならないことが他にもあったな……。

 

「……小鳥遊ホシノに、一度挨拶に行くって伝えてたな」

 

 忘れてた……。

 

 小鳥遊ホシノ。あの子にこちらから土産を持って出向くと約束してしまっていたな……。

 

 先生がアビドスに到着し、対策委員会との関係が構築される前に、俺はただの善良な近所の社長としての地位を確立しておかなければならない。

 

 もし、先生に生徒を唆す悪い大人だと認定されれば、その瞬間に俺の平穏は爆発四散し、PMC理事のようにボコボコにされるだろう。怖すぎて草。

 

「土地の購入手続き、セミナーとの交渉、対策委員会への挨拶、アビドスの企業への提案……」

 

 ……あれ? 全然忙しくね???

 

 しかも、これらをこなして一息ついた頃には、あの黒服から『合同研究』という不穏な招待が届く予定だっけ。

 

 あれ???? マジで休む時間ある? これ。

 

「アンジェラ。俺はアビドスに戻ったら寝る暇はあると思うか」

「しばらくは忙しい日々が続くでしょう。しかしAの健康管理もまた私の職務に含まれます。倒れて働けない、なんて事態は絶対に起こりません。良かったですね、私が秘書で。……挨拶用の菓子折りは、トリニティで最高級のものを既に手配済みです。代金はAの私物購入費から差し引いておきました。感謝していただいても構いませんよ」

「……ありがとう、アンジェラ」

 

 こやつめ。

 

 まぁ、やるべきことを纏めておいてくれたのは凄いありがたいことだ。アンジェラが居なかったら面倒くさすぎて発狂するところだったぜ。まぁAボディであれば何とかなりはしたんだろうが。

 

 全部やるべきタスクだからなぁ……。なんだかんだ、俺一人なら先延ばしにしていた気がする。アンジェラが居て助かったと見るべきか、休めないことに苦しむべきか。

 

 たまったタスクにぼーっとしていると、窓の外にアビドスの廃墟が見えてきた。日光で熱を含み、ゆらゆらとぼやける景色。

 

 俺の早期FIRE計画が砂漠の熱気に煽られて、早くも蜃気楼のように揺らぎ始めている気がした。

 

 隣に座っているアンジェラは、薄く目を細めて世界を眺めている。その表情は余り変わっているようには見えないが、楽しんでくれている……と、思う。

 

「なんでしょうか?」

「……いや、なんでもない。アンジェラが居て良かったと思ってな」

「……そうですか。それは、何よりです」

 

 この子にも、色々と世界を見せてあげないとな。L社以外を見たことがなかっただろうし。

 

「行くか。対策委員会」

 

 早めに行かないと連邦捜査部の業務に慣れて、“先生”が来てしまうし……。おそらく2週間くらいは猶予があると思うが、まぁ早めに行くことに越したことはない。

 

 俺は重い腰を上げ、駅のホームへと降り立った。

 

 

 

 








Aのやることが多いンゴねぇ……!

ちなみにここから数日したらセイアから謝罪の連絡と、ミカから勝手に追加しちゃった☆ と挨拶のモモトークが飛んでくるらしいよ。

現在のモモトーク:陸八魔アル 百合園セイア(予定 聖園ミカ)

ミカからのモモトークが追加されたら、きっと夜に連絡とか来るんでしょうね……。

ミカとイチャイチャパラダイス小説書きたい欲求。でもこの主人公何らかの事情がないときにトリニティ行かねぇんだよなぁ!!!


そう、特別な事情がない限り。


あとアニメ版の黒服……後ろからの視点だと、後頭部反射して光ってるのシュール過ぎない? 質感まんまハゲじゃん? もっとカッコよく表現してほしかったな……。

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