L社の技術を持っただけの擬態型一般人Aがキヴォトスで生き残るためにできること。 作:D-T45-45-1919JP
こいつ、ノリと勢いで行動してるせいで問題が発生し続けるんだよな。
あと久しぶりに書いたので初投稿です。
トリニティの白亜の街並みから一転、視界を埋め尽くすのは見慣れた、そしていっそ清々しいほどの砂に呑まれ、倒壊した建物たちが佇んでいる場所――アビドスの砂漠だった。
他の自治区と同じ……どころか、治めている土地の範囲で言えばキヴォトスでもトップクラスの広さだろう。しかしその大半が砂に呑まれていることで、何とか少人数で回している現状だ。
これ、砂の問題が一挙に解決されたとしても、多分アビドス対策委員会では手が回らないだろうな。だって範囲的にはトリニティよりもデカいもの。
今、諸々の雑事を終えて俺はアビドス対策委員会に向かっている。
この前ここで足を太ももから全損した記憶がある分、緊張しているのか少しだけ息がしずらかった。まぁ足取りが遅くなるなんてことはないんだが。
そうそう、雑事の内容だ。アンジェラという最強の助っ人が加わったことで、ロゴス・カンパニーの事務処理速度は爆発的に向上した。既に早瀬ユウカとの交渉も済ませている。
価格設定はミレニアムの市場相場から見れば驚くほど良心的にしてある。その分、条件は付けさせてもらったが……あの計算高い早瀬ユウカが眉根を寄せつつも「……条件次第では、受け入れざるを得ませんね」と折れるほど良心的な価格だ。
元々都市においても、ロボトミーコーポレーションはそういうやり方で翼にまで成り上がってきたからな。
もちろん、ただ安く電力を供給するボランティアではない。
極めて安価な代わりに、「供給インフラの独立性保持」「ミレニアムによる技術査察の永久拒否」、そして「ミレニアムデータベースへの優先接続権」の三つの条件を飲んでもらった。
大人と子供が交わす契約。それはキヴォトスにおいて極めて強力な概念だ。おそらく反故にはできないだろう。
黒服がホシノ相手に利用したそれを、俺が今度はセミナーに利用させてもらう。
この三つの条件の目的はL社の技術を知られないようにすること……だけではない。もちろんそれも含まれるが、他にも目的がある。
ミレニアムのビッグシスターによって秘密裏に建造されている要塞都市エリドゥ。そこと契約を結ぶにあたって、この条件は力を発揮するわけだ。アレは秘匿されているため、通常の電力網から盗電のように少しずつ電力を引っ張ってくることしかできない。
だが、今回俺が交わした契約は「供給インフラの独立性保持」及び「ミレニアムによる技術査定の永久拒否」。要塞都市エリドゥへと繋がる電力網の存在について、セミナーは関知する正当な権利を失っているわけだ。
目先の安さに釣られたセミナー側はそれが後に要塞都市エリドゥのライフラインを握られる首輪になるとも知らずに、契約書に判を突いた。まぁエリドゥの存在を知らないセミナーからすれば、多少怪しいところはあれど問題はないと判断したんだろう。
調月リオがこの条件を見て、俺に連絡を取ってくれることを祈ろう。
餌とわかっていても、きっと彼女は来るはずだ。
同時にカイザー・コンストラクションからの土地買収も完了した。
旧アビドス生徒会から切り捨てられた廃墟一帯の地権を、彼らは二つ返事で売却した。多少何のためにと勘繰られることはあったが、秘匿技術の一つや二つはキヴォトスにおいても珍しいことではない。隠し事の多いカイザーコーポの職員だからこそ、俺の土地購入にも理解を示してくれた。
何よりアビドスの土地は大半が彼らにとっての不良債権。宝物を探すにあたって必要なのは未調査の部分のみ。まぁ多少黒服がカイザーを通してウトナピシュテムの本船を探していたりもするみたいだが、既に調査が終わっている場所ならば問題ないということだろう。
これでL社の施設周辺一帯は、名実ともに俺の所有物になったわけだ。
……警戒されないかなぁ。俺。ホシノとか覚悟ガンギマリだから殺される可能性全然あるんだよな……。いや、ユメ先輩との思い出を忘れない限り暴力で解決なんてことはないと思いたいけども。
自身の姿を思い返す。
手にはアンジェラが私物費から差し引いて用意した、トリニティ最高級の菓子折り。そして頭には陸八魔アルとお揃いの禍々しい角がこれでもかと光り輝いている無表情な大人。
……怪しすぎて草ぁ!
そんなこんなで駅前のバス停に辿り着き、時間を潰しているとアビドス高校前に着くバスが来た。
流石にもう死にたくはないなぁ……。
☆
チャイムを鳴らし、静かに待つ。
「先日訪問のアポイントメントを取ったロゴスのAだ。早めに開けて貰えると助かる」
シュポガキのように連打したらどうなるんだろう、なんてくだらないことを考えること十数秒。案内に奥空アヤネが急いで職員玄関側から現れる姿が見えた。
「どっ、どうぞ! 遅れてしまい申し訳ありません! 私は奥空アヤネと言います! 清掃が行き届いておらず砂だらけなので、気を付けてくださいね!」
「ああ、ありがとう。そう急がずとも大丈夫だ」
原作生徒と会うと、やっぱり結構感動する。
案内されるがまま、奥空アヤネについていく。ゲーム内でも、アニメでも見た通り、やはり随所に砂が吹きだまっている。掃除してもどこからともなく入ってくるんだろうな。一度校舎全体を補修した方がいいんじゃないか?
お、見えてきた。
うわー! 見たことあるー! 『アビドス廃校対策委員会』って書いてあるー!!!
元々アビドス生徒会って書かれてたんだったか。うわ、めっちゃいいなーこれ! 懐かしさすら覚える!
「こちらの部屋になります! みんな、こちらがロゴスカンパニー社の社長であるAさんです!」
中に入ると、席についたシロコ、セリカ、ノノミ、そして机にべっとりへばりついたホシノがこちらを見ていた。
「近所に会社を構えたロゴス・カンパニーのAだ。以前、小鳥遊ホシノには助けてもらったからな。約束通り菓子折りを持って挨拶に来た」
「うへぇ~……ホントに来たの? てっきりおじさん、嘘でも吐かれたんじゃないかと思ってたよ~」
「ちょっ、ホシノ先輩!」
ホシノの言葉に内心苦笑いしつつ、俺が菓子折りをテーブルに置いた。
「トリニティで買ってきたものでな。お偉いさんからも覚えがいい菓子らしい。是非とも君たちで食べてほしい」
アンジェラが選んだヤツで、それとなくモモトークでセイアに聞いたら非常に美味であるとのこと。
普通に十万以上した。普通にビビった。これがトリニティ価格……!
「えっと、まずは自己紹介でも――」
「……要らないと思うな~。Aは私のことも、アビドス対策委員会についても、よーく知ってるみたいだったし。ね? A」
蒼と琥珀の瞳が、冷めた色で俺を見つめる。顔はふにゃりと、眠そうにしているが……その目だけは笑っていない。目と目が合うと、一瞬目を細めて、曖昧に笑った。
怖すぎ!!!!! でもカッコいい!!!! ホシノも推しなの俺の!!! 髪ピンク族ってみんないいよね!
「まぁな。アビドスで企業を構える以上、君たちを知っておく必要がある。君が砂狼シロコで、」
「ん」
「そしてこっちの猫耳の君が黒見セリカだろう? とあるバイトをしていて、たしか柴――」
「えっ!? っと、そうよ!!! 私が黒見セリカです!」
焦ったような顔で俺の言葉を遮るセリカ。……そういえば、バイトを隠しているんだったか? 意を汲んで、これ以上は言わないでおこう。
「そして、最後の君が十六夜ノノミだな」
「はい! 私が十六夜ノノミです~☆」
うおっ……デッッッッ……いや、何も言うまい。
心頭滅却すれば火もまた涼しく、またデッッッに惑わされることもなし……!
「さて、顔合わせは済んだことだ。何か聞きたいことはあるだろうか。君たちが忙しいことは百も承知だ。貴重な時間を浪費させるわけにもいかない。何もなければ俺は早急に帰らせてもらうが」
「……質問してもいいですか?」
アヤネが震える手で資料をまとめながら、真っ直ぐに俺を見た。
「あらゆる資源が不足し、砂に埋もれかけているこのアビドスに、Aさんはどうして会社を立てようと思ったんですか……? ビジネスとしては、あまりに合理的ではない気がするのですが」
……正直に連邦生徒会の目が届かない廃墟の下に、都市の地獄(L社の技術)を隠すのに最適だったからなんて言えば、その瞬間にショットガンが火を噴くだろうな。
「……ここの立地が我々の会社にとって、都合がいいからだ。人が少なく、また土地が広範にある。隠密性が高く、他校の干渉も受けにくい。……詳しくは言えないが、我々の技術による発電は、水や鉱物といった既存の資源の多寡に影響されにくいのでな」
「……そう、なんですね」
アヤネは納得したような、していないような複雑な表情を浮かべた。まぁ当然っちゃ当然だ。アビドスに「メリットがあるから来た」と言う大人は、大抵がカイザーや私募ファンドのようなろくでもない連中なのだから。
「アビドスに会社を構える上で、君たちから顔を覚えられていて損はないからな。……それに、良き隣人でありたいと思っている。こうして挨拶しに来たというわけだ」
沈黙が流れる。
セリカは相変わらず緊張したような顔でこっちを見ているし、シロコは俺の角を凝視して不思議そうに首を傾げている。
そんな重い空気を切り裂いたのはやはり、小鳥遊ホシノだった。
「うへ~、おじさんビジネスとか、難しいことはよくわかんないけどさ~」
ホシノは菓子折りの箱を眺め、ふにゃりと、だがどこか底の見えない笑みを浮かべた。
「美味しいお菓子をくれる隣人さんは大歓迎だよ~。ね、みんな?」
「それはっ、そうだけど……」
「……わお☆ これ、トリニティの限定品ですね! 結構な値段をしたような気が……確か、十万以上?」
「じゅっ、十万……!? このお菓子だけで!? やっぱりトリニティは違うわね……」
「ん。私も食べる」
「折角ですし、Aさんも一緒に食べちゃいましょう☆ 食事はみんなで食べた方が、きっと美味しいです!」
ノノミのフォローに、セリカが「……た、高すぎて震えが」と呟き、空気が和らいだ。
良い子すぎるぞ! ノノミィ!!! 大天使ノノミエルだぞ!!!
正直そこまで仲良くなるつもりはなかった。アビドスの一企業として、それなりに友好関係を築くことさえできれば俺のFIRE計画に支障はないからだ。
「それもそうだね~。Aはこの後、時間はある?」
「それは問題ないが……いいのか?」
「うん。今はちょっと事情があって……お仕事に出るわけにもいかないからね~……」
事情? 借金の話だろうか。しかし……。
少しだけ思考を巡らせるが、そんな時間すらもなかった。
銃撃の音。それは校舎を取り囲むように聞こえた。
「――銃声! また性懲りもなく! みんな、行くわよ!」
「ええ☆ Aさんはここで待っていてくださいね~☆」
アビドス対策委員会が一気に緊張感のある顔つきになった。
……そうだった……アビドス対策委員会編って、カタカタヘルメット団から攻撃され続けて、ついに弾薬やそのほかの補給がなくなってから連邦捜査部シャーレの先生にお手紙を送ったんだった……!!!
ヤバい時期に来てしまったのではないのか!? 毎回ポカをやらかさないと俺は死ぬ病にでも掛かっているのかあああああ!!!!!
「ま、安心して。Aのことは私とアヤネちゃんが守るからさ。みんな~頼んだよ~!」
ホシノが俺の護衛に残ってくれるらしい。以前、俺が血まみれで走っている姿を見たことがあるからだろう。俺が、簡単に負傷することを知っているのだ。
ホシノがあったかすぎるぅ!!!
流石に勝ったな。風呂食ってくる。
展開に少し悩んでいます。
まさに阿鼻叫喚、気が付いたときには既に取り返しがつかなくなった希望が「何もない」ルートか、
変態クソ無能の代わりにどうにかするルートか。
前者の場合だと強制的にチェックポイント使用が確定するという地獄。まぁ筆者の脳みそに蒙が開けたらまた新たにルートが増えるんですけどね!
……書くとしたらIFになるのかなぁ、あまねく呪いの始発点。
あとロボトミーを40日目まで進めました。くっ、面白い……っ!!!!
中層のコア抑制も全て終わらせましたが、ゲブラーアレフの大半のEGO持ってて草。黄金狂の魔法陣でテレポートはまだわかるし、地中の天国の壁貫通槍なげもわかるけども……! あの即死ダッシュ強すぎて草が生えますよォ! 規制済みとピンク着て体力と精神力130ある職員死んだが!?
この小説を読んでる物好きな読者たちはロボトミーとブルアカ、どっちも知ってるのかしら。アンケートでもしてみましょう。
始めての試み。
原作知ってるかアンケート
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ブルアカは知っているがロボトミは知らない
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ロボトミは知っているがブルアカは知らない
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どちらも知らない
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どちらも知っている