L社の技術を持っただけの擬態型一般人Aがキヴォトスで生き残るためにできること。   作:D-T45-45-1919JP

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うんちが出そうだ。ブリ。


企業設立、ロゴスカンパニー

 

 

 

 砂塵が舞う。

 

 かつてキヴォトス最大の自治区を誇ったアビドス高等学校。その成れの果てであるこの土地は、今や住民よりも砂の方が多い。

 

 俺は半分砂に埋もれた雑居ビルの地下室で、旧式のノートパソコンを叩いていた。画面に映っているのは、連邦生徒会の法人設立オンライン申請システムだ。

 

「……資本金、50万クレジット。事業内容は『非定型エネルギーの精製』。……こんなものか」

 

 資本金の出所はブラックマーケットで流した希釈精神汚染中和ガスだ。パッケージ化した精製エンケファリンであるが、ちゃんと処理してあるので内臓が溶けたり幻覚を見たりはしない。

 

 指向性を持たないただの精神回復剤として使えるアレは、生徒相手だと若干力が湧いて元気になるくらいの効果しかない。アレ単体を使うより、美味しい食べ物を食べるとかの方がよっぽど精神が回復するだろう。

 

 それくらいの効き目に調整した。重度のうつ病とか、精神的にかなり落ち込んでおり、自力での回復が望めない人間になら有効だろう。

 

 我ながらいい具合の効果に調整できたと褒めたやりたいところだった。

 

 申請ボタンをクリックする。

 本来なら身分証の提示や所属の照会が必要だが……まぁ、この程度の改竄ならばバレないだろう。今のキヴォトスは連邦生徒会長が失踪して、大混乱の最中であるのだから。

 

 大忙しで確認する暇もあるまい。

 

 Aボディの学習性能のすさまじさに戦慄しつつ、半ば自動で脳内で処理されていく情報の流れを指に載せた。

 

 指が止まるのは決まってPCの処理がおぼつかないときだ。

 

「……もう少しマシな性能PCを買うべきだったか?」

 

 そのうち買わないとな。

 

 数分後、画面に「登録完了」の文字が踊る。

 

 

法人名:Logos Company(ロゴス・カンパニー)

代表取締役:A

所在地:アビドス自治区 第7区 画22

事業:非定型エネルギーの精製

 

 

「誰がどう見ても、租税回避かマネーロンダリング用のペーパーカンパニーだな……」

 

 

 自嘲気味に呟く。従業員ゼロ。事務所は廃墟。だが、これで俺は何者でもない不審者から零細企業の社長という社会的テクスチャを手に入れた。

 

 なぜアビドスなのかは、他の消去法で選んだと言わざるを得ない。

 

 ミレニアムサイエンススクール。

 

 あそこはマジで爆弾なのだ。調月リオとの取引の利便性をかなぐり捨ててもお釣りが来るくらいリスクの塊である。

 

 あそこのハッカー集団――特に『ヴェリタス』や、あの『黒崎コユキ』なんて怪物に目を付けられればどうなるかわからない。個人的に黒崎コユキの電子機器のハッキング能力に関してはF社の特異点に匹敵するのではないかすら思う。

 

 L社のデータベース、即ち『井戸』や『コギト』の理論が抜かれれば、それは都市の苦痛が暴かれるのと同じだ。複数の実験や今までのレポートも多くあるから、それらを見られてしまえばどうなるか……。

 

 下手な映像や画像を見られれば即座に発狂する可能性も多いにあるくらいだ。

 

 L社におけるデータは基本的に認知フィルターを通してみるのが前提であるが、フィルターはデータそのものではなく、見る側に掛けられる。外部の精神力が弱い人間が勝手に見れば脳がぶっ壊れる、ある種のカウンター機構になっているのだ。ちなみに偶然。

 

 そんなこんなでミレニアムは論外である。目を付けられるだけで嫌だ。

 

 ゲヘナは論外。あそこは会社を建てた翌日に爆破されるリスクがある。

 トリニティもエデン条約という爆弾が控えている。

 

 消去法で残ったのが、このアビドスだ。

 ここなら地価はタダ同然。連邦生徒会の目も届きにくい。何より、流れ弾を飛ばしてくる元気な生徒が物理的に少ない。

 

 できるならこの閑静なままで有ってほしいところだな。ま、アビドスの子たちのことを考えると、そんなことも言ってられないんだが。

 

「……さて」

 

 俺は立ち上がり、壁際に手を掛けた。

 にょき、と。

 コンクリートの壁に重厚な金属製の扉が生える。

 

 扉を開け、精神中和ガスの匂いが漂う管理室へと足を踏み入れる。

 現在、確保できているエンケファリンは、あの少女から得た133 E-BOX。これを施設内の変換機に通し、小型の蓄電池に充填していく。

 

 俺の計画はこうだ。

 

 電力供給: 精製した電力をアビドスに残る数少ない商店や、近隣の自治区の業者へ格安の独立電源として売り払う。

 土地の買収: 稼いだ金で、このビルの周囲の土地を正式に買い取る。

 本社のフェイクの構築: 表面上は最新のクリーンエネルギー研究所を装ったハリボテの施設を地上に建て、そこで警備員として生徒を雇う。

 

 金のない生徒に給料を与えつつ、武力を蓄えることができるこの計画……実にビューティフルだ。あくまで使い潰すつもりはないから安心してほしい。

 

「……まずは、この電力を買ってくれる太い客が必要だな」

 

 再び砂嵐の吹く外へと出た。

 

 背後にあるのは砂に埋もれた廃墟。金が入れば、ダミーとして違和感がないくらいには環境を整えないとな。それに俺もE.G.Oの中であまり長いこと過ごしたくないし。

 

 Logos Company。

 

 俺がこの世界で生き抜くための、最初の一歩は踏み出された。

 

「……ミレニアムの適当な部活でいいか」

 

 最初は大物が相手じゃなくていい。アビドスの方は膨大な電力を必要とする顧客も少ないだろうから、並行して進めても大丈夫だろう。

 

ミレニアムの部活の予算は限られており、そんな予算の中で明らかに電力消費量に対しての出費が減った部活があれば、間違いなくセミナーの目に留まるはずだ。

 

 そこから口コミで広まっていけば、いずれ調月リオの下にも届くはずだ。まずは小口取引を積み立てて信用を得る。あくまで試験的な技術によって得られた結果だということに念を押して、継続的に成功できるかを濁しておけば生徒を捕まえられなくても時間稼ぎはできるだろう。

 

 取引先として、調月リオと仲良くなることができれば……技術提供の一環として、要塞都市エリドゥという超ド級の施設を誰にもバレずに建設した彼女の管理能力の一端を借りることもできるはずだ。

 

 俺としても色々実験したいことがあるから、ダミーのダミーとしての研究にもなるし丁度いいだろう。

 

 今は捕らぬ狸の皮算用だけどね!

 

 

 

 金が集まり、一定以上の武力が手に入れば……今度はゲマトリアとの接触を図るべきかな。

 

 それにしても、原作が始まるちょっと前だったのは喜んでいいのか、悪いのか。少なくとも、迫る運命に怯える夜の回数が減ったことは確かだ。

 

 

 頼むからアロナ居てくれよ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










これ本当にアロナちゃん居なかったらどうするんでしょうね。作者も知らない世界。


【嘘バレ】

アハハ、Aさんの社長さんごっこ、楽しかったですよ。

宝生Aェ! なぜ貴様が記憶貯蔵庫を使いチェックポイントに戻れば微妙に世界が変わるのかァ、なぜキヴォトスが滅んだあとの世界線の生徒が収容室に現れたのかァ! なぜ変身後に頭が痛むのクァ! その答えはただ一つ……!

おまえが、世界で初めて!

バグスターウイルスに、感染した男だからだぁぁぁぁ!!!!


ま、嘘なんですけどね。(ニンテンドーダイレクト並感)


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