L社の技術を持っただけの擬態型一般人Aがキヴォトスで生き残るためにできること。   作:D-T45-45-1919JP

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26日目まで進めてみましたがかなーりキツイ。でも全アブノーマリティ見てぇーなあ!

あと職員が足りねぇんだよな!


予言の大天使が見た未来

 

 

 

 

 全てが予定調和にすぎない。

 

 多少の流れに差異はあれど、結局のところ私の見た未来は常に破滅に向かうレールを敷き続けている。

 

 私自身でさえもコントロールできていないこの現象は、一般に予知夢と表現するのが最も都合の良い表現と言えるだろうね。

 

 私が幾度となく観測し続けた裏切りと恨み、苦しみと呪い。

 

 不信が呼び込む不幸の連続と、積み重なった怨恨が齎す悲惨な結末。

 

 後味がひたすらに悪く、良い感情が一つもわかないような……

 

 そう、つまるところ。

 

 ただの今までの積み重ねの結果であり、いずれ至る現実の物語だ。憂鬱で陰惨な、私たちが迎えるたった一つの未来。

 

 そんな悲劇の物語しか待ち受けていないのなら、私は一体何のためにこれを見続けているのだろうか。そんな疑問を自らに問いかけることも、今ではしないようにしている。

 

 ……そうでもしなければ、きっと私は彼女たちを置いて死へと逃避していただろうから。

 

 しかし、今回は何かが違った。

 

 赤い空――天より飛来した世界を削る巨大な塔――舞い降りる黒き光。

 

 それら全てが書き換わる。

 

 赤き天など、巨大な塔など、そんな未来は訪れない。

 

 それに至るよりも前に、全ては終わった。

 

 

「な……んだ、これは……。なんなんだ、これは……?」

 

 

 視界を埋め尽くす暗闇。小さな光すら許さない黒い、これは……森、だろうか?

 

 太陽は既にその役目を終えて墜落したのか、空にはただ沈黙だけが――否、蒼く輝く、巨大なハートの星が一つだけ、巨大に光を放っていた。

 

 その星に向かって、地上から何かが降り注いでいる。よくよく見れば、アレは……人? 住人……生徒たち、だ。蒼く瞳を輝かせ、肉が大地から解放された魂に溶けたような――違う。

 

 大地から解放されたのではなく、アレこそが、星。

 

 

 帰るべき故郷――何を、考えているんだ、私は。

 

 

「……何が、一体、何が起こって――っ!」

 

 

 その蒼き星光を切り裂くように、耳を刺す音楽が響き渡った。

 

 トリニティの学び舎であったはずの場所から溢れ出すその音色。

 

 何と甘美で、優雅で、完璧で――素晴らしい音楽なのだろう。身を任せよう、この演奏のリズムに乗ろう。私が聞いたどんな名演よりも素晴らしい、世界一の音楽なのだから。

 

 壊れろ。壊す。壊れればいい。壊れたものから、この世界で最も美しい音色が響く――

 

 銃声はない。悲鳴もない。ただ、狂気に取り憑かれた生徒たちが恍惚とした表情で互いのヘイローを砕き合っている。音色の一部になることだけを望むように。

 

 

「……こんな未来は一度も……。何があった……? みんなは、ナギサは、ミカはっ、……ぁ」

 

 

 見えてしまった。視界の端に、黒き空に魂となって溶けた、蒼い双峰の彼女を。

 

 必死に叫ぶ。私の存在は未来に何の影響を与えることもできないことすら忘れて、ただ。

 

「っミカ、ミカぁ!!! ここだ! 待て、行ってはいけない! 行ってはいけない!」

 

 何が起こるかなど、わかったことではなかった。だから必死に手を伸ばす。しかし、地に縛られた私の身体は鈍重で、蒼き星へと泳ぐ彼女に届くはずもなかった。

 

 太陽の代わりに居座り続ける蒼い星。

 

 一度、ドクンと鼓動が響く。

 

 まるで故郷へ帰るかのように、次々とあの蒼い引力へと吸い込まれていく。肉体が魂と化して、建造物などお構いなしにすりぬけ消えゆく。

 

 そして遠方からは、三つの鳥が混ざり合ったかのような、終末を告げる黄昏の光柱が世界を縦に貫いていた。

 

 終わりだ。ここが、世界の終わりなのだ。

 

 赤い空など、裏切りと不信など、天より来たる塔など。

 

 これらの滅びに比べれば、なんということはなかったはずだ。

 

 こんな未来が来ると知っていたのなら、もっと早く、彼女たちに、私の友人たちと深く、心を打ち明かして、話しておくべきだったんだ……。

 

 

「ぁ……っ……どう、して……本当に、何があった……?」

 

 

 視界が歪む。理解が拒絶される。

 

 

 意味のわからない存在たちで、世界は埋め尽くされていた。地上には水晶埴輪のような存在が人々を殺し回り、そしてそいつらでさえ蒼い星に旅立っていく。囚人のようなものも居た。機械のような何かも残っている人々を肉と血液のミンチへと変え、翡翠の妖精のような存在が新鮮な死体を内側から食い散らかす。

 

 

 地獄だ。

 

 もう、いい。もうやめてくれ……もう二度と、未来など見たくもない。

 

 

 頭を抱え、ただ崩れ落ちることしかできなかった。

 

 

 壊れた美しい音楽が脳裏を貫き、破壊衝動に駆られ、空へと飛び立ちそうになりながら、私は何も見ないことを選んだ。それ以外にできることなどなかった。

 

 しかし、降り立ったその存在感に、強制的に頭を上げることを強制される。

 

 

 森の闇を払うほどの純白の輝きが、私の目の前に降り立った。

 

 十二対の翼が生えた胎児の姿。この世の罪を煮詰めたような、紅の瞳。

 

 それは凡そ天使の形をしていたが、私が知るいかなる神話にも属さない。

 

 

“恐れてはならない。私はあなたと共にある”

 

 

「――なんっ、……ぇ?

 

 

 もういやだ。もう嫌なんだ……私が私でなくなりそうなんだ! やめてくれ、もうこんな世界に、こんな未来に居たくないんだ! いずれ来たるものだとか、そんなことはどうだっていい!

 

 ああ! 認めようとも! 私は己を賢しい人間だと勘違いしていた醜悪な凡愚だったとも! それでいいさ! それでこの未来から離れられるのなら!

 

 少しでもこの未来から遠ざかることができるのならば、それでもいい!

 

 

 覚めろ、覚めろ、覚めろ――覚め

 

 

“私があなたを許すまで、去ることはできない”

 

 

 ――うそ、だ……。

 

 

「……ありえない……わ、私は未来を見ているんだぞ……? なぜ、未来の事象が私に語りかけてくる……? 過去は過去だ。過去が未来を変えられたとしても、未来が過去を変えるなど、ありえ――」

 

 

“時を信用してはならない。私はあなたを導くだろう”

 

 

 やだ、やめて、やめて!? やめてくれ! 私を見つめるな! 私を見るな! 私を知覚するなぁ!!! いや、逃げないと、逃げなければ!

 

 

“私を否定してはいけない。私はあなたの目の前に居るのだから”

 

 

 しかし身体は動かなかった。それどころか、全身が震えるほどの恐怖を抱いているというのに、なぜだか酷く安心してしまった。

 

 

 その安心を蒼き星の輝きが、壊れた音楽が吹き飛ばす。刹那的、破滅的安心はそれすら許されなかった。まさしく終末。

 

 ありとあらゆる終わりが来たこの世界だからこそ、私はその天使に抗うことができた。

 

 

 ……私は、こんな未来など一度も見たことがない。だから、きっとこれは夢なのだ。未来ではなく、ただの悪い夢。そうでなければ、おかしい。

 

 

“私の物語はどこにもなく、未知である”

 

 

 黙れ、黙ってくれ……! なぜだ!? なぜ私を見る!? 見るな! 私を見るな!

 

 

“百合園セイア、汝は何故畏れるか? 私は汝の救い主であり、私は汝と共にある”

 

 

「――な、なぜ名前をしっているんだ……!?」

 

 

“汝らの叫びを聞いた。汝らの心が届いた。百合園セイアが私を呼んだ”

 

 

「違う……呼んでなどいない! 私は、私はっ、ああ、あぁぁぁぁあ!!!!!

 

 

“楽園への道が開く。これより新世は始まり、そして終わりが訪れる”

 

 

 巨大な白き12の翼が、視界を覆い隠そうと広げられる。この世の穢れの一切を禊ぎ祓うその清廉さ。この存在は、きっと楽園から来たのだろう。

 

 もはや正常な思考など残ってはいなかった。倒錯した思考だけが私の脳裏を支配していた。

 

 ありとあらゆる、キヴォトスを覆う無数の概念の濁流に呑み込まれ、私のヘイローが悲鳴を上げる。

 

 意識が溶ける。身体の輪郭がぼやけていく。何も見えない。何もかも見える。全てだ。全てがきっと、ここにある。

 

 

 もはや抵抗することもできず、痴呆のように、あるいは聖別を受け入れる殉教者のように。

 

 その翼が私を覆うまで、あと―――――

 

 

 バシュン。

 

 黒蒼の弾丸が、その翼を弾いた。

 

 

「……百合園セイア? 既に死んだはず……あぁ、そうか。予言の大天使は未来を……」

 

「……酷い有様だな。……どうなるかはわからないが、こんな世界を見ることになるよりはマシか」

 

 

 不意に、無機質なぜんまいの巻かれる音が世界を止めた。

 

 誰かの声。背後から響くその声は冷たく、酷く疲弊し、それでもなお、この滅びに満ちた世界でもまっすぐ立つ意志に溢れていた。

 

「D-09-104は彼らには効かないが……君には効くだろう。帰りたまえ。元の平和な時間へ」

 

 男が時計のような何かの装置に指を掛け――

 

 世界は逆さまに巡り始めた。

 

 白き天使の導きが、急速に遠ざかっていく。違う、私が遠ざかっている。未来が遠のく、予知したはずの未来が私の意識が離れていく。私自身が戻っている、!?

 

 記憶が消えていく!

 

『待って、くれ! 君は、君がこれを起こしたのか!? 一体君は、何者――』

 

「帰り道を創ってやることくらいしか、今の俺にはできないからな」

 

 白き翼を振り切り、振り向いたのは金色の瞳。

 

 

 男の影が、私の視界から消え去る間際。

 

 

「……底まで落ちても、きっと大丈夫だ」

 

 

 世界のぜんまいが、カチリ、と最後の一回りを終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――っはぁっ、はぁ、はぁッ――!」

 

 飛び起きた私の指先は、雪のように冷たかった。

 肺が空気を求め、胃の奥から込み上げる不快な熱に、私は床に這いつくばる。

 

「ぉぇ、ぅ、……? 何が、……何を見た……?」

 

 思い出せない。

 何も。

 

 その日、私は何かを予知した。

 

 

 

 

 








――行ったか。


……それにしても、想像以上だった。クリフォト抑止力がないALEPHは酷いな……。さて、今度の俺はもう少しマシな未来にできるかね。




ま、全部嘘なんですけどね。(逆行時計並感)


魔弾つええ! このまま逆らうやつぶち殺していこうぜ! って思ったらうちの子たちが全滅してた。どうやら味方殺しらしい。うちのギフト持ちヒナ委員長が持ったら26-28のクソつよ弾丸だぜ!!!

地獄への急行列車も割と面倒くさいけど、テレジアとダブルで使えば規制済みも作業できるので案外使えなくもない? でも……面倒……んにゃぴ。

実は普通にストーリーでも書こうかなって思ってたらうちに逆行時計が来たので、この話が生まれました。





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