正義実現委員会独立検察官【JIP】は実はその権力が誕生して間もない立場だ
その話し合いによる内部抗争の解決を目的とした組織は元々正義実現委員会が担当していたが、とあるティーパーティーと正義実現委員会間での揉め事により新たな中立機関の必要性が生じた
だが、正義実現委員会でその役目を負っていた生徒はかなり優秀だったため、いきなり新しい委員会を発足するにも正義実現委員会からの反発を招くだけだった
ティーパーティーが干渉しにくく、正義実現委員会との協力もしやすい形が理想的
そこで正義実現委員会から独立したという体で作られた
きちんとした機関として発足し公表たため、正義実現委員会が何となくで行ってきた内部治安維持にも公平性を担保するにはいくつかの課題があった
幾つもの学校が統合されたことによりできたトリニティ総合学園の校則は、数々の学校の体制や伝統を引き継いだ100を優に超えるため【JIP】はそれらを正しく理解している必要があるということだ
学力至上主義が強かった発足時期は、その難易度の高さから入った者は後輩のそのまた後輩の後輩にも語り継がれるほどの名誉を手に入れるとされていた
今こそ落ち着いているが【第1回目 JIP検定】での応募者数は約█万人だったにも関わらず、合格者はたったの2人だった
それもそのはず JIP検定 はトリニティ総合学園校則のことだけでなく、事件が起こった際<加害者・校則違反者>に対してどのような量刑を科すかも考え抜ければならない
だが1番騒ぎを起こしたのはたった1枚の紙
受験者生徒に渡された事前通告書はたった1枚であり以下のことだけが書かれていた
受験者番号と受験場所、それと出題範囲
それはたった一言【全域】
この全域とは、改善に改善を重ねた結果総ページ数123ページにもなる【トリニティ総合学園基本規定校則書】である
しかも持ち込めるのはペンと消しゴムだけ、試験時間は各60分で章数12分を3日かけて書き切るというものだ
つまり己の記憶力と判断力だけでなく精神力や忍耐力が段違いどころか神がかっていないと合格できないのだ
ここまで聞くと合格できた2人は一体どんな勉強をしたのか気になるところだ
さて、話は変わるがJIPである日車ヒロミはもちろんこの試験をクリアしている
それも一発でだ
そもそもJIP検定はその多すぎる試験範囲から2年生になってからに取ることが推奨されていて、1年のうちに勉強して2年せいになってから臨むのが普通だ
それに【JIP検定】は年2回でしか行われず、3年生は卒業前になると引き継ぎがあるため、JIPとして活躍できるチャンスは2年生の前期と後期+3年の前期しかない
そのため受けても落ちるというのが大半だ
しかし、日車はそうではなかった
【第11回目JIP検定】後期一発合格
日車ヒロミはこの時1年生である
日車ヒロミはトリニティ総合学園に入る前の中等部でも勉強ができることで有名で、首席まで行かなくとも次席は2回ほど取り、常に上位にくい込んでいた
その他の難関試験を突破し、次期ティーパーティー補佐候補とまでも言われていたが、本人は政治に興味がなくその身をJIPに置くことになった
そんな日車ヒロミもついに2年生になる
日車はまるで雪がごとく振り続ける美しい桜の雨を前に、数々の卒業生を送り出す
トリニティの卒業生は黒い筒を持ち、涙を流す者もいれば笑顔で後輩と抱き合ったりしている所もある
日車は卒業する先輩達をただ見るだけでその場に立っているだけ、しばらくすると人混みの中から抜け出していた
日車は桜の花弁が美しい舞い散る並木道ではなく、スマホを見ながら卒業式のため殆どが校舎外に出て人の気配が無くなっているトリニティ校舎で窓際にもたれかかっていた
スマホの画面にはモモトークで誰かと会話しているように見て取れたが、日車は上から下にスワイプして時間を確認する
時刻は14:15を表していた
何故卒業式なのに日車1人だけ抜け出して校舎にいるのは、先日トリニティ総合学園事務から、してされた場所に行くように言われたからである
詳細は聞かされていないがかなり重要なことらしいので、指定された時間の15分も前から待っている
「(さて、どんな重役が来るんだか)」
日車はその頭脳から、様々な部活や委員会に引っ張りだこであり、今回もその件かと思ったのだが……
「あら、案外早く来ているのですね」
待ち合わせ場所に来たのは、トリニティ総合学園の制服を着た生徒ではなくかと言ってミレニアムのような感じでもない
それは水ように柔らかくも芯のある水色の長髪で、その上に白い円環に青い十字のヘイローが浮かんでいる
その服は、連邦生徒会のものであることが、日車には一瞬で理解できた
その有名な人相も
「……どうしました?ハトが豆鉄砲食らったような顔して」
彼女は首と体を少し傾けてこちらの顔を覗き込む、その姿はまるでこちらをからかう子供のようだ
「流石に連邦生徒会長が直々に来ることは予想外でした」
廊下の窓から暖かい日が冷たい床を照らしている
日車は直ぐに窓際から体を引き、連邦生徒会が対面に来るように移動する
「それはごめんなさい、一度驚かしてみようと思ったもので」
相手の柔らかい物腰に対して、日車は動じていない見た目よりもずっと緊張していた
それもそうだ、補佐官もつけずに国を纏めあげるいわば大統領が一般人に会いに来ているようなものである
「失礼ですが、そこまで重要なことなのですか?」
額に汗をかきながら、日車は目の前の存在を警戒し続けている
敵とかそういうのではなく、相手の所作一つ一つから情報を読み取ろうとしている感じだ
「そこまで警戒なさらないでもいいですよ、今回は渡したい物があるだけなので」
「渡したい…物ですか……」
どんな物が来るのかと身構えていると、彼女は胸ポケットから何かを取り出す
どうやら小さいものらしい
静かに、しかし確かに床を踏みしめコツコツと音を鳴らしながら彼女は日車に近く
「これは……」
開けられた手の中にあったのは……【鍵】
所々錆びてはいるがおそらく昔に原始的な技術で防錆塗装を施した鍵だろう
その表面からは科学的な要素は一切なく、見た目も中世の宝箱の鍵のように持ち手にはシンプルながらに幾何学的な装飾がある
「何故私に?それにこの鍵はどこの……?」
連邦生徒会長は日車に鍵を渡し終えると1歩だけ下がり、顔が少し変わる
変わる……と言っても、何かを思い出すような、懐かしむような、それでいて言語化できない何かが喉で突っかかっているような表情だ
「うーん…前者に関しては詳しくは話せませんが……貴方が持っている1番安全だからとだけ、後者は【
日車はその言葉を聞くと、日の中にあるその古びた鍵をまじまじと見つめると、少し顔も顰める
「リフィウト……拒絶された物……ね」
その顔を見た彼女は少し焦ったように言葉を口から出す
「ああ、勘違いなさらないでください。ただ要らないものを押し付けてる訳ではありません」
「でしたら、何故……」
日車は次の言葉を選ぼうとして連邦生徒会長の顔を見ると少し考え込んだあと、答えを出す
「……言えませんか」
彼女は俯き、申し訳なさそうにする
「…申し訳ありません」
「いいんです、そちらにも事情があるのでしょうし……超人の考えることは凡人には分かりませんよ」
彼女は少しムスッとしたが、直ぐに笑顔になり目を合わせて向き直る
「今日はありがとうございました、色々言えなくてほんとに申し訳ないです」
彼女は軽くお辞儀をすると、長い廊下をまだコツコツと音を立てながら背を向けて離れていく
だが、数歩歩くとすぐに止まった
少し俯き何か考え込んだあと、背を向けたまま口を開いた
「負けないでくださいね」
日車は少し困った表情を見せたが、直ぐに返事をする
「……なんのことを言っているのかは分かりませんが、任せてください」
「貴方はいつもそう言った」
彼女は
日車ヒロミはJIPとしての活動を本格的に始める、ポケットに鍵を入れたまま……
キャラ崩壊もあるかもしれない
口調ってムズいな