その日トリニティ総合学園郊外西区
ここにはデパートや飲食店が立ち並び、トリニティ生徒が学校帰りでよく立ち寄るスポットとして有名で、交通量も人通りも多い
いつもは静かに風が流れ、風に乗って鳥たちが往来する広場で黒煙が上がっていた
抗争とは無縁のトリニティでは異色の銃声やら爆発がそこら中で発生し、多くの人が逃げ惑っている
「フフフフフフ、楽しいですねぇ!」
その騒ぎの中心にいたのは狐面と和装をベースに、黒と赤を基調としたアシンメトリーなゴシック風アレンジが特徴の着物を着ている人物
その人物は、このキヴォトスでも相当厄介な被害を被る奴らの総称である七囚人が1人、厄災の狐「狐坂ワカモ」であった
彼女が起こしてきた事件の数は数十件にも上り、インフラの破壊などの損失で数々の組織の頭を悩ませている
しかも彼女が積極的に色々な所で破壊活動を行っているので尚のことタチが悪い
彼女の破壊活動は大胆かつ大規模で、現れたと思ったらすぐに姿を消す
その神出鬼没の性質から多くの被害者から恐れられており、ヴァルキューレもかなり手を焼いている
ここまで来ると破壊活動の理由が聞きたいところだが、彼女と相対したこたのある実力者から聞いた話によると
戦いではなく破壊活動自体を、ただ純粋に楽しんでいるようだった……とのこと
突然嵐のように現れて壊すだけ壊して去っていく、彼女を恨んでいるものはかなり多いだろう
だが、ただ周りも黙って見ているわけではない
狐坂ワカモほ七囚人の中でも活動頻度が高く、破壊行為が確認された時点で近くの鎮圧組織が向かう決まりになりつつある
今回はトリニティ郊外であるが、周辺に位置するところでの襲撃のため、正義実現委員会が対応することになるだろう
おっと噂をすればなんとやら、
「きぃえええぇぇぇああぁあ!」
もはや人では無い化け物の金切り声を上げて登場したのは、正義実現委員副委員長「剣先ツルギ」である
剣先ツルギはキヴォトスでもかなりトップに入る実力者であり、トリニティでは2年生にも関わらず最強と言われるほどだ
その狂気の戦闘スタイルは、強靭な身体能力による被弾も諸共しない高速移動で接近し、ショットガンを至近距離でぶちかますというシンプルなもの
だがその顔面と奇声から相対したほとんどの生徒は萎縮しまるで戦闘にならない
その姿から様々な呼び名がつき、先程も言った【トリニティ最強】、【
両者共に仰々しい異名を持つが、その戦いはなんとも呆気なく、殆ど一方的なものだった
狐坂ワカモが連れてきた多数の不良は、実力が正義実現委員会の中でも中辺りの委員の連携攻撃により僅か5分で全制圧され
狐坂ワカモは剣先ツルギとバディの羽川ハスミの連携によって数分で鎮圧され、矯正局へと連行された
「──────で、暴動に出たと」
「ええ、なんだかむしゃくしゃしてしまったので」
手錠と足に鉄球を繋がれた狐坂ワカモは剣先ツルギの監視の元、日車ヒロミによって事情聴取を受けていた
窓と扉が一つずつの正方形の一室で、真ん中に机がありその左右で対面し、ツルギは扉にもたれかかっているような形になっていた
狐坂ワカモは相変わらず余裕の雰囲気を見せており、手錠を煩わしく思っているようだ
「これ、外してくださらないでしょうか?私、我慢できずに暴れてしまいます」
ジャラ と手錠で繋がれた両手を見せつけ、目を細めて煩わしさを露わにする
しかし、日車の姿勢は断固としたものだった
「貴方からの十分な聴取が終わり、牢屋の中に入るまで手錠はつけてもらいます。少しキツいと思いますがご了承ください
それと、この聴取室でのあらゆる暴力行為は禁止されています。もちろんそちら側から仕掛けてきた場合は相応の措置を取らざる負えませんが」
ツルギがその言葉の後にワカモを少し睨む
ワカモはその視線に気づきムッとすると、相手が狼狽えないと分かったのか背もたれに体重をかける
「こんなに拘束しなくても、彼女が居れば暴れませんよ」
「貴方の危険性を鑑みてです。さて、聴取を続けましょう」
「もう結構話したと思うのですが、まだ何かあるのですか?」
「はい 最後にひとつ、審判に関してはもう済んでいるので、その判決について伝える事が義務となっていますので
えー…計32回目の犯行、これで6回目の拘束、5回の脱走……これらの危険性を鑑みて矯正局での矯正期間は4ヶ月とし、その間は社会奉仕作業をすること、それと百鬼夜行連合学院からの停学処置となります」
「はぁ、まあ良いでしょう。今回は少し大人しく連行られて差し上げましょう」
その時、コンコンコンとツルギの背中の扉がノックされる
「誰だ」
「ヴァルキューレ警察学校 公安局副局長2年生、尾刃カンナです。厄災の狐の身柄を連行しに参りました」
「……入れ」
ドアがガチャりと音お立てて開かれ、外からベージュ色の髪を持つ三白眼の尾刃カンナであろう生徒と、その後ろから彼女の部下のような生徒が2人入ってくる
タイミンクがいいと思ったのか、日車ヒロミはメモを取っていた右手のペンを机に置き、資料をファイルへと丁寧に入れ、トントンと中の紙束を整列させ、閉じる
椅子を軽く引いて立ち上がり、扉の方へと向けていた視線をワカモの方へと戻す
「これにて聴取は終了とさせていただきます。審判の判決が不服の場合は、自身の弁護士を通じて2週間以内に控訴を申し立ててください」
日車は連れていかれるワカモとそれについて行くツルギを横目に眩い光を放つ鉄格子の外の太陽を見る
その眩しさゆえに僅かながら目を閉じ、手を目の前にかざす
いつもよりどこか緊張感がなく、かと言って楽に望む聴取でもなかったという矛盾どころの聴取室だったが
日車の心の隅には、は今日の聴取をいつもより楽だと感じた感覚があった
こうゆうのって本編終わったあとに出した方がいいのかな?
やり直しだ まではもう少し時間がかかりそうですね