魔法少女ぜんぶのせ☆ ~マジカルハーレム、進行中!~ 作:夏目八尋
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暴れ出した葉子(観葉植物)、陸人たちは対処できるのか……!?
「なんでどうしてどういうワケよーー!」
「助手くん! これは、マズい!」
「モモモーーー!!」
御伽守家の玄関。
結構広めのこの空間は、今――戦場だった。
「モモモーーー!!」
「ひゃっ」
ビュンッ! パリーンッ!!
突如として意思を持ち、なんならサイズもアップして、伸びた枝葉やつるを鞭のように振るう葉子(観葉植物・俺のお気に入り)。
その一撃をビビッて尻もちついたことで辛うじて回避した、元凶たる少女リリー(仮称)。
そこそこ高かった覚えのある壺が派手に割れた音を合図に、俺は行動を開始する。
「なんっ、助手くん!?」
「ひゃあっ、ちょ、何!?」
「ひとまず撤退!」
最初に隣に立ってた同期を、次いでへたり込んでた元凶を。
左右に抱きかかえて全力ダッシュ。
目指すは父さんがぶっ飛んでったリビングルーム!
(本当は直で外に出たかったが、悠長にドア開ける時間はくれないだろうからな!)
リビングルームには庭が見えるようでっかいガラス窓が設置されている。
そこから外に脱出すれば、逃げ延びることもできるはずだ!
「父さん!」
「はらほろひれはれ~☆」
リビングに飛び込むと、アトリエに繋がる増設されたドアの近くでぶっ倒れてる父さんの姿を確認できた。
頭に星を飛ばして気絶してるみたいだが、上手く回収して逃げられるだろうか。
「今はとにかく、外へ!」
とにもかくにも抱えている二人を何とかしなきゃいけない。
俺は最短距離で駆け抜けるため、置かれてるローテーブルを蹴り除けて、大窓へ向かって足を――。
「ひぁっ!?」
「きゃあ!!」
「!?」
――瞬間。強烈な力に引っ張られ、強制的に仰け反らされる。
「モモモ!」
「しまった!」
伸ばしたつるで器用に追ってきた葉子が、別のつるを使ってつむぎたちの足首を絡めとっていた。
※ ※ ※
「モモモーーーー!!」
すかさず数を増やしたつるの群れがつむぎたちへと絡みつき、俺から強引に二人を奪う!
「こ、これが魔法の力!」
「ちょっ、やめ! やめて! 離して! 離しなさい!!」
当初の命令通りにあれよあれよと拘束を強め、葉子は二人を捕縛する。
「くっ、これは……いささか、辱めが過ぎる……!」
背の高いつむぎには複数のつるが絡みつき、手足だけでなく太ももや胸元、腰などにも入念に巻きついて、ガッチリと縛り上げるように。
「や、ちょ、なんで!?」
やや小柄なリリーには、太めのつるが胴周りを中心に、腕を振るえないよう巻き込むようにぐるぐる巻きにしている。自由な足をジタバタさせているが、ビクともしていないようだった。
「ひぁっ!?」
「んぎゅっ!?」
締め付けが強くなったのか、二人の口から声が漏れる。
「ん……く……ぁっ」
より強く縛り上げようと、つむぎの体を新たなつるが這いずって。
「こ、の! 離して、はなっいっだぁぁーーーーー!?!?」
バチーンッ!
リリーの方は、なぜかお尻を叩かれていた。
妙に恨みのこもった一撃に見えたが、無理矢理操られたのを怒っているのかもしれない。
「くそっ、どうしたら……!」
葉子の意識が二人に向いている間、俺は父さんを回収し、アトリエへ続くドアの向こうへ押しやっていた。
が、ここから先、打つ手は一切浮かばない。
(二人を放って逃げるワケにはいかない……!)
同期のことはもちろん、あの不審者美少女のことだって見捨ててはおけない。
だいたいが彼女の自業自得でやらかしだったとしても、それが悪戯に痛めつけられていい理由にはならないのだから。
……放っておいたら放っておいたで余計に状況が悪化しそうな気もするし。真面目に。
「あ、ちょっと、待ちたまえ! それじゃ服が!!」
「ふ、ぎぎぎっ! 魔法、集中、マジカルマジックまぎアイターーーー!!!」
こうしている間にも、二人の状況はどんどんとマズい方へと進んでいる。
すぐにでも助け出さないと、色々とダメにされそうだ。尊厳とか。
一刻を争う時だと、確信する。
(こうなったら破れかぶれだ!)
案ずるより産むが易し。バカの考え休むに似たり。
魔法だなんだ門外漢な俺があれこれ考えたってしょうがない!
俺は俺にできる、全力を果たす!!
「うおおおおーーーー!!」
「!?」
声を張り上げ、突進する。
目指すは葉子の本体! 鉢植えから伸びてる大本の部分!!
「葉子ーーーーーー!!」
「モモモー?!」
飛びかかり、抱き締める!
太くて大きくなった葉子の幹の部分に、全身を押しつける!!
「助手くん!? なにを……!?」
「そ、そんなことしても無駄」
「無駄なんかじゃない! 俺と葉子のあいだには
「「!?」」
そう。
俺と葉子はもう何年も共に過ごした間柄。
俺が小学4年生の時から、御伽守家の一員として共に育ってきたんだ!
「葉子! 海外に出てた母さんが買ってきた、どこ由来かもわからない観葉植物! それでも俺は、お前を丹精込めて世話してきた!」
「モッ!」
「楽しい時も、辛い時も、傍で話を聞いてくれたり、隣にそっと寄り添ってくれていた! そんなお前が……こんなことをするはずない!!」
今、こいつに意思があるというのなら。
俺の言葉だって、きっと伝わるはず!
「葉子。いい子だ、いい子だから……心を落ち着けて、あの二人を開放してやってくれ」
「モ、モ……」
努めて優しく、幹を撫で続ける。
するとなんだか、葉子の奥底にある温かなものと繋がった気がして。
「あ……」
「へ?」
シュルシュル……。
俺の背後でつるのほどける音が……二人が解放される音がした。
「嘘……魔法も使わずに魔法でできた物を制御した?」
「助手くん、キミってやつは……」
二人が何か言っているが、今は、それより。
「よーしよし、いい子だ。葉子。いつも一緒にいてくれてありがとうな」
「モ、モ……!」
「お前の気持ちと今、触れ合ってるんだな。これからも仲良くしてくれな」
「モ、モ!」
きっと2度はないだろう、葉子との心の触れ合いに集中する。
シュルルッ。
「はは、なんだ? くすぐったいぞ。こらこら、絡みつくな」
甘えて、じゃれついてきている葉子のつるを優しく撫でると、さらに手首を絡めとるように引っついてきて。
「そうだな。こうやって触れ合えることなんてもうないかもしれないもんな……ん?」
気づけばそれが、足や腰、なんなら首にまで絡んできて。
「んー、葉子? さすがにこれだと、俺、動けないんだが?」
「モ、モ、モッ!」
うんうん。嬉しそうだな。
葉子が嬉しそうだと俺も嬉しい。でも……。
「モッモッモー!!」
「……これはちょっとばかし、愛情表現が過剰だと思うんだよなーーーー!?!?」
体が宙に浮く。
謎の安定感とともに、俺の全身は葉子のつるに持ち上げられて、絡めとられた。
※ ※ ※
「じょ、助手くーーーーーん!?」
「そんな! もう魔力は暴走してないのに! なんで!?」
なるほど。
これは魔法の暴走じゃない、と。
ってことは……。
「葉子。これは自分の意志でやってるってワケだな?」
「モモモー!」
肯定されたのを感じる。
心が通ってるって、いいね!
りくとはもうおしまいです。
「つむぎ。今までありがとう。どうやら俺はここまでみたいだ」
「待ちたまえ助手くん。運命を受け入れるのがちょっと早すぎやしないかい!?」
とはいえ、それなりに鍛えた体で抵抗してもビクともしない。
すぐさまどうこうなるとも思わないし、今は二人に逃げてもらう方が先決だろう。
「リリーくん! 助手くんが危ない! 何とかしてくれ!!」
「はっ! わ、わかったわ!」
と、考えてる間につむぎが動いて、リリーが身構える。
が。
シュバババッ!
「ひぇっ」
大量の、これまでとは比べ物にならない速度で伸びたつるが、先端を鋭くしてリリーたちへと突きつけられる。
明らかな敵意と攻撃の意思に、つむぎもリリーも動けない。
「葉子! めっ!」
「モッ!」
葉子にやめる気はないらしい。
俺が叱ってもつるの一本を左右にブンブン、拒否を示した。
「「………」」
絶体絶命、一触即発の雰囲気が両者の動きを封じ込め、静寂を生む。
さっきまでの騒がしさとは一転して、強い緊張感にリビングが包まれていた……と。
次の瞬間!
「今助けますっ! 陸人さん!!」
「!?」
この場にいた誰のものでもない、新しい声がして。
「ごめんなさい!!」
バリーンッ!!
続く謝罪の言葉と破砕音。
音がしたのは、庭に通じる大窓の方。
「な、なんだ!?」
「モモッ!」
「今度はなんだい!?」
「この魔力は……!?」
全員の意識が、闖入者へと向けられる。
そこにいたのはスケートのように宙を滑ってやってきた、一人の少女。
「みはり!」
「うん! ……星の力を秘めし輝石よ! 我が導きに従い、その力を解き放て! ――“
傍に同じく宙を舞う、一匹の喋る黒猫を伴った――大きな杖を手に持つ小さな女の子だった。
魔法少女、独自のルビ振りがち。
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