(前回からの続きです)
「待ちやがれ〜!!」
「ねえ?勇儀?……なんだか他の天狗を追いかけたほうが良いいと思うような気ががするんだけど、どう思うかしら?」
「なんだい華扇?ここで引き上げるのかい?クスクス……こんな所で諦めるなんて…………ひょっとして弱虫なのかい?」
「…ッ!?あ〜!怒った!!そういうならやってよろうじゃねえかっこの野郎!!!……はっ!?」
「………また素が出てるね。華扇。まあ、その意気だ!!」
「というかいい加減しつこいなぁ〜〜!!二人ともいい加減諦めようよ?私達も洞窟中を駆け巡りまくっていい加減疲れてるんだからさ!」
「「なんか嫌だ(よ)!!」」
「子供か!!」
何なんだろう。別に諦めてさっさと他の天狗を捕まえたほうがいいんじゃないの?だって、今、萃香さんは今頃他の天狗達の分を独り占めしてるんだよ?
「後少しで洞窟の出口です!それで相手を煙に巻きましょう。こういうことがあろうかと一応事前に煙玉を用意しておきましたから。飛燕様、これをよろしくお願いします。」
「おお〜!流石椛ちゃん!!相変わらず準備がいいね〜!!オッケー分かったよ!!」
私が椛ちゃんが差し出してきたその煙玉を握りしめて煙玉を『飛ば』そうとした瞬間、勇儀さんが雄たけびをあげだして洞窟内を震わせきた。
「がぁ〜〜〜!!もう私はキレたよ!ここまで来たんだ!絶対に逃がしたくない!もう、いっそシンプルに洞窟を上手い具合にぶっ壊せばいいだろ!!」
「なっ!?ちょっ勇儀!?」
隣にいた華扇さんが止める間もなく勇儀さんがいきなり壁を殴って洞窟内を大きく振動させていく。
―ガラガラ―
「ゆ、勇儀さん?………の、脳筋すぎるでしょ……………というかなんかデジャブを感じるな………洞窟…揺れ……落石。」
「そうですね。そう。あれは皆で…………初めて冒険をしに行って勢いで洞窟に行った日を思い出しますね。ねぇ文様?はたて様?」
「うん!……凄く懐かしいね〜………。」
「………辞めてよ。二人共。黒歴史を掘り起こさないで頂戴。」
「ふふふ………あの頃のまだ大きくなかった文様を思い出しますね。泣いていた私をやんわりと撫でてくれて。とても懐かしくて嬉しかった記憶ですよ?………あれ?やはり、思い出したくなかったことでしたか?文様?」
「ッ!……そ、そうよ!!凄く恥ずかしいのよ!……2度も言わせないで!!」
「……それにしてもあの瞬間のあやぁは可愛いかったね〜?」
「あら?そうですかはたて様?今の文様も、十分可愛らしいと私は思いますよ?」
「ふふふ………そうだね〜。あやぁは今も可愛いよね。ね〜?あやぁ〜?」
「ふ、ふんっ!!う、うっさいわよ!」
空気が急にほっこりし始めてるけど、今その話をするの!?ねぇ!?結構ヤバい状況だよ?呑気にもほどがあるよ!!場違いすぎでしょ!!ねぇ!?
「ねぇ!皆そんな呑気なことを言ってる暇ないよ!!今、たくさん洞窟が崩れてきてるから!!ヤバ―あっ!?」
その時、私達が向かっている目の前の洞窟の道が崩れてしまい、ついにはその瓦礫の山は道を塞いでしまう。
― ガラガラガッシャーン ―
これでは、私達の逃げ道は無くなってしまった。もう前には逃げられないだろう。
そして、必然的に私達は立ち止まって後ろへと振り向くことになる。
そのことを悟って急ぎ、逃げ道を探そうとする私達が振り向くのと同時に、もう十メートルもない距離で勇儀さんと華扇さんも立ち止まって、2人は勝ち誇った顔をこちらに向けたままジリジリと近づいてくる。
そんな2人には、周りから爛々と光っている様々な色の鉱石の光が背後から差してきている。その光が作りだす深みの増した恐ろしい2人の影が段々と大きくなりながら私達にしていき、その影が段々と大きくなるにつれて私達の恐怖感を増していった。
「さぁ………追い詰めたよ。たくっ。こんな所まで追いかけさせられるとは思わなかったよ。最初からこうするべきだったんじゃないのか?」
「まあ?結果的には正解だったわね…………急に馬鹿なことし始めるかと思ったけど、確かに、力技でも意外となんとか出来るのね勇儀。やっぱりあんたの能力はおかしいわよ?」
「ははっ、お褒めの預かり光栄だよ。その通り、私がこの身に宿している怪力乱神は本当に不可解で不思議な力さ。けどね?だからこそ、使い方や想像次第で何にでも化けるのさ。」
「………本当、あんたの能力は羨ましい能力ね。…………さて、貴方達、無駄な抵抗は辞めときなさい。ここで直ぐに降伏すれば痛みなく気絶させてあげるわ。」
「そうさ。今ならそこの化けガラスを少しの間だけだが奴隷にするだけに留めておいてやるからさ。痛いようにはしないからさ?……いい加減降伏しなって?な?」
そう言って、私に向かって欲望の目を向けて舌なめずりをしてくる勇儀さん。雰囲気も相まって正直めっちゃ怖いです。でも今になって思ったんけど意外といいね………大きなお姉さんに容赦なく責められまくるのって……想像すると………グヘヘへ。
……………はっ!?文の嫉妬?
ひ、ヒェ〜〜!というかまだ、私を奴隷にすること諦めてなかったの?いい加減、諦めてよぉ〜〜〜!!
「ひえん………うしろはひえんの能力で吹っ飛ばせないのかな?」コソコソ
はたてがそんなことを言ってくるけど、恐らく無理だ。後ろの瓦礫は仕組みが脆くなってるんだから。
「出来たらとっくにやってるよ。今すぐに私の能力で吹き『飛ばし』てもいいけど、さっきの揺れで唯でさえ不安定になってる洞窟がこれ以上不安定になれば洞窟の地盤事崩れ落ちちゃうよ?だったら辞めといた方がいいかも。最悪生き埋めになっちゃうかもね。」
せめて、私の『飛ばす程度の能力』が微調整出来たら大きく崩せないで済むだろうけどそこまで器用に扱えることは今の所出来ていない。特にこうして物理演算や化学が大きく関わる使い方は匙加減が難しいのだ。
………もしも出来るのなら凄く有難い話だろうけれど、今はそんなのタラレバの話だ。今更後悔しても遅い。
というか、魑魅魍魎にここまで好かれるなんて聞いてないよ?龍さん、てゐ。ここまで占いや運勢が当たるのはどうなんですかね?宝くじの五等でももう少し当たらないよ?
くっ……ここまでなのかな?……………私はこのまま奴隷にされちゃうの?いやだよ?私?……まあ?気持ちとしては体験くらいなれまだ前向きな気分だけど、旅が好きに出来ないのは嫌だからね?いやっ、一度体験してみたいとは思うけど嫌だからね?ね?でも…………これは、一度奴隷にされそうで嫌だなぁ〜………。
そうして、私がよく分からないことを脳内でいいながら諦めようとしたその瞬間、文は私の手を震える手でギュッ握ってくれる。私が文の方を見ると真っ直ぐと、当の文は鬼二人に向かって腕を向けてその手に持っていた天狗の扇子を取り出して、私にこう言い放った。
「飛燕……まだ諦めるべき時じゃないわよ?だって今だって『風』は私達側にまだ傾いているんだから。」
「……文…ん?風?」
「なんて辛気臭い顔してるの?愛宕山大天狗の時だって同じよ。私は『諦めない』ってね。だから飛燕、機運が来るのを待つのよ。だって―」
―ドッカーン―
その瞬間、耳を劈く轟音が鳴り響いて、私達の道を阻んでいた崩れた瓦礫の山の内側からツルハシをもった百々夜さんが瓦礫の壁を器用に突き破って現れてきた。
「オラ〜〜〜!!テメェら!!長い宴の宴冷ましにでも、気分転換に少し掘りにここに来てみれば、オメェらオレの縄張りで何をしてやがったんだ!!唯でさえ空洞は崩れやすいんだ!!気をつけやがれ!!
………ん?なんだ?オレの獲物に天狗の娘達か?なんでここにいるんだよ?」
そして、彼女はキョトンとした顔で私と文達の姿を眺めてきた。
彼女は姫虫百々夜。彼女は中国大陸で美鈴さんと共に旅をしていた時に私達を獲物としてつけ狙っていた大百足の大妖怪。
今はここ妖怪の山で鉱山長として尽きることのなく掘れる鉱石や魔力を報酬に食べる代わりに働いている龍さんの新しい友人だ。なんでも、青雅さん達と龍さんと戦っているうちに戦友意識が芽生えてしまったらしくそのまま妖怪の山へと移り住むことになったらしい。龍さんお疲れ様です。
今ではまだ数日くらいしか経っていないのに、最近出された龍さんの政策で妖怪の山に次々と移り住み始めるようなった多種多様の妖怪や賭博や宴を楽しむための軍資金集めとして、幻想達が賃金を得るために働くことの多くなったこの鉱山で、お世話になる頼れる姉貴分としての地位を確立していた。
でも、偶に私のことを舌なめずりして涎を垂らしながら見てくることがある。気に入った相手は全部食べたくなる癖があるらしく、龍さんも私と同じ犠牲者である。正直、そういう目線で見られると毎回背筋が震えるので辞めて欲しい。
それにしても滅茶苦茶怒ってるな。
やっぱり百々夜さんは縄張り意識が高いらしく自分の庭が荒らされて怒り心頭の様子だ。
そんな百々夜さんの姿に、文は悪くも頼もしい顔をし始めて、私にそっと口ずさんだ。
「―ね?飛燕。だから『風はまだ私達に傾いてる』のよ。ね?…言ったでしょ?私達はまだ諦めなくて良いのよ…………そうね。百々夜は私達の催しの内容については知らされてないのはあの様子から分かる…………なら、後は分かるわよね?飛燕?」
…………あ〜…成る程ね?
「………うん!」
強く頷いた後、私は百々夜さんのいる方向に振り向いて、嘘ではないけど結構ゲスなことを、まだ状況が読み込めていない彼女に吹き込むことにした。
「百々夜さん!!丁度良かった!!今この2人に追われててね!この2人は私を捕まえるためにここで暴れてるんだ!!」
「あ?…………なんだと?そうなのか飛燕?コイツラがか?」
嘘じゃないよ。ホントダヨ。
「「えっ??」」
百々夜さんが怒りの目線を向ける先にいた鬼の二人がイマイチピンと来ていなさそうな驚き声をあげる。
「飛燕様の言う通り!百々夜様!あそこにいる2人が犯人です!!」
「そうだよ!!百々夜!!この2人が全部悪いよ!!」
何かを察したはたてと椛ちゃんが私の必死な舌先三寸に付き合ってくれる。皆必死なのだ。少し悪い気がするけど今回はルール無用の鬼ごっこだ。これは仕方がないよね?
すると、百々夜さんは自らのその膨大な妖力と魔力を解放してツルハシを地面に勢いよく突きつけて、思いっきり2人を睨みつけた。まさにケンカ番長の如く。
「そうか…そうか…………テメェら2人がオレの縄張りを荒らしたんだな?………あ〜わかったよ!……喧嘩を売ってんなら買ってやるよ……一片も残らずに食い殺してやろうか!!!オレの縄張りを荒らすなんていい度胸なんだなぁ〜〜〜!!!!ギャハハハハハッ!!!」
「え?確かに嘘じゃないけど、語弊がっ!?グッ!?」
「そ、そうよ!確かに悪いとは思ってるけど、今は『鬼ごっこっ!?」
今は大事な催し物の途中だからか、戦って足溜めをさせると今も妖力の山で天狗を狩っている萃香さんに負けてしまうのは必然になるのを恐れて、戦闘狂だと聞いている2人が鬼らしくない少しだけ冷や汗を描きながら弁明しようとしている様子だった。けどね?残念だけど、二人とも?戦闘狂には言葉は通じないのは知ってるでしょ?二人共戦闘好きなんだからさ?
「はっ!!認めたな?流石正直者の鬼だ!!その度胸だけは認めてやろう!!…なら………いっちょ!一緒に落とし前つけるためにもオレと殺し合おうじゃねぇか!!!」
そうなのだ。……彼女は妖怪の山ではイチニを争うほどの戦闘狂である。
それが鬼の四天王と言われている程の強力な存在に出会えばこうやって暴れ出すのは必然。
私達はそのきっかけとなる火種を文が考案し、それを私がそっと蒔いただけなのだ。キヒヒヒヒ!(ゲス顔)
そして、百々夜さんはシャベルとツルハシを左右の手に待ち、2人の鬼に向かって高速で駆けていってその両手に持つ武器で2人に殴りかかっていった。
そんな百々夜さんの表情は怒りよりも、どっちかというと戦闘狂の恍惚な表情だった。
………私を食べようとする時も毎回そんな表情をしてくるけど、………にしても相変わらずエッチな表情だね。グフフフ……はっ!?
「くっ!?急に何をするんだい!!だけど…………ふふふ♪いいなぁ〜〜?コイツ?………この星熊勇儀様と真正面からタメを張ってきやがる……………アハハハッ!なら、良いよ?その気ならやってやる!!こっちも戦意が昂ぶってきた所だよ!!いっちょヤリあってやんよ!!」
「わかってんじゃねえか!!オレは同類は好きだぜ!お前もそうなんだろ?そういうタチなんだろ?」
「ああ!その通りさ!アハハハハッ!!お前とは良い
「同感だぜ!!」
「アハハハッ!!」「ギャハハハハハッ」
勇儀さんの片腕と百々夜さんの腕が交差する。勇儀さんは百々夜さんの底力に戦慄するが、その後にまだ隠れていた戦闘狂の顔が目に映った。
よし、良い感じに相乗効果が乗ってるね?ハッハッハッ!!ヤバいヤツにはそれ相応のヤバいヤツをぶつけるのさ!!(二度目のゲス顔)
「よし、今のうちだね!丁度、道も拓けたし、皆でとんずらしよう皆!!」
私の掛け声に皆が一斉に、百々夜さんが掘ってくれたことで、瓦礫の中に出来たトンネルに入って全速力で跳んで行く。
やがて、走り続けていく内に意外と地上までの出口は近かったのか、段々と光が見えてきた。その光を元に私達は希望を見つけて勢いを増していく。
その私達の背後からは、激突していると思われる三人の楽しそうな怒号の声がいくつもの戦闘音と共に反響して、聞こえてくる。
『ギャハハハ〜〜〜!!お〜!流石鬼だ!!いい力を持ってるんだな〜〜?その力、オレにも食わせろ!!』
『アハハハ〜〜!あんた、いい度胸じゃないか!!この勇儀様にそんな大口叩けるなんてね?逆に私からお前の腸を食い破ってやっても良いんだよ?』
『ずるいわね!!勇儀!!私にも戦わせなさいよ!!』
『はっ!これは私の獲物だよ華扇!!まさか横取りするつもりかい?』
『ッ!?その言い方は卑怯ない!!結局は独り占めしたいだけなんでしょう?そうはいかせないわよ!!勇儀!!』
『は?なにゴチャゴチャ言ってんだよぉ〜〜!!二人ともぉ〜〜〜!? どうせヤるなら二人纏めて掛かってこいよ!!そうでもしないとオレが楽しめねぇだろ?』
『『………あ?てめぇこそいい度胸じゃねえか?鬼舐めんなよ?その大口がいつまで続くかいい度胸じゃねえか!!』』
『い〜ね〜〜!!お前らのその殺気!!本当に身体が火照ってくるなぁ〜〜〜?』
オレの身体もいい加減、熱くなってきたぜ〜!!本当にここに住みついてみて、本当に良かったなぁ〜〜〜!!!
めぐむと人間との戦闘で満足出来たと思えば、今度は思わぬ鬼のデザートがあるんだもんなぁ〜〜〜〜?本当に最高だぜぇぇぇぇ〜!!なら、お望み通り全てオレが食らい尽くしてやるぜ!!』
「「やってみな!!大百足風情が!!」」
その瞬間、妖怪の山全体が震える程の轟音が言いようもないほどの威力の衝撃波と共に鳴り響いていった。
― ダダーン ドッカーン ドドドド ―
「「「「…………………………。」」」」
その様子を妖怪の山の麓の森へと繋がっていたらしい鉱山洞窟の出入り口で、立ち止まっていた私達はそれぞれの顔を見合わせていた。
「ねぇ。文。実はあの3人組を戦わせちゃダメだったかもしれないよね?」
「………そうかも知れないわね。」
「ヒェ………妖怪の山が更地になっちゃう〜〜……………どうしよ…………。」
「いえ、そこまではないかと思いますが…………………怪しいですね…………。」
「ま、まあ……なんとかなるわよ…………うん。取り敢えず知らんぷりしときましょうか?」
そんな全員の顔の表情ら皆、完全な引きつり顔だった。…………本当に大丈夫かな?妖怪の山が崩れそうで怖いんだけど?
* * *
『アハハハハ〜!!ここで番狂わせの乱入者だね!!皆の頼れる姉貴分がまさかの2人の鬼を戦う形で足止めするとは……中々この催し物も燃えてきたね〜〜!!!』
『…はぁ〜〜……百々夜め。あいつにこの催し物があると一言でも良いから伝えるべきだったな………。
よもや………早朝から宴を途中で抜け出して一人採掘をしに行くとは…思いもよらなんだ…昨夜の私はぬかっていたな…………。』
『アハハハッ〜〜!彼女も大妖怪らしいわね〜〜!!やっぱこうでなくちゃ!!ねぇ?龍さん♪』
『いや………紫殿。そなたは外部者だから他人事だろうが、私達にとっては一大事なんだ。今だって私たちの足元が揺れているんだが?』
『まあ良いじゃないか。大天狗達が結界で防いでくれてるんだ。それに他にも待機してくれているんだろ?
それに、私がいた地域を治めてる大山大天狗の旦那が控えてくれてるって聞いたから大丈夫だと思うよ。彼女の力は強大だしね。』
『そんなことを言われても私としては胃が痛く感じるがなぁ…。はぁ〜〜〜今にでも、あの阿呆な奴等を止めに行きたいんだが?駒草殿?』
『アハハハ………まぁまぁ。落ち着きなさいよ龍さん?…ま、まあ……な、なんとかなるわよ?多分』
『そんな慰め方で落ち着けるか!!紫殿!!』
そんな漫才のような実況を聞きながら、鞍馬夏沙丸は呆れの溜息を吐いていた。その膝下にはなぜか頭を乗せてうつ伏せになり不貞腐れている凛楓の姿。
数分前、実況とかいうモノをしている部屋からすっ飛んできてから凛楓はずっとこの調子だった。
そして、最初は凛楓を慰めていたが酔っているせいで凛楓の存在よりも他の同僚である五大英傑達と一緒に『鬼ごっこ』なる催し物を観ながら楽しそうに酒を飲む方に意識を向けてしまった愛宕山大天狗。
酔いとは恐ろしいものである。あれ程可愛がっている愛娘が泣いているのに存在を忘れるとはな、幻炎。お主もいい歳だろう。もう少し落ち着きを持つべきだろうに。まあ、妖怪というものに年齢などで差をつけるべきではないのはそうだが………。
夏沙丸は、この揺れなどものともしないで他の顔なじみ達と共に背中に垂らした鳶の仮面を揺らしながら踊っている彼女の姿をそっと見やる。
責任感の強い大山大天狗の奴はこの騒ぎに対して即座に対応に向かったが、そこまで大事態にはならないのは私の『流れを読み取り操る程度の能力』で確認をとってはいるのは確かだが……………平気で呑気に飲んで遊び続けるとは………お主らはそれでいいのか?
夏沙丸は二度目の溜息を吐きながら、凛楓のその白く美しい髪を優しく撫でてやる。そして、その後一拍置いた後に、未だに夏沙丸の膝枕にうずくまってぐずっている凛楓に、普段の堅物を練り込んだような彼女の堅物ぶった声からは思いつかない程の珍しく優しい音色で声をかけた。
その夏沙丸の表情は良くしのぎを削って京で争っている悪友の愛宕山大天狗が驚いて腰を抜かすほどの母のような慈しみと娘を見るような優しい笑みだった。
「はぁ……凛楓………。いい加減機嫌を直せ。お前は……正真正銘の天魔になったのだろう?……正直みっともないぞ。」
「ふんっ……龍の馬鹿。私は馬鹿じゃないもん。ちょっとだけポンコツなだけだもん。だからってそんなにきつく当たらないで欲しいわよ。ふんっ。でも……………龍に嫌われたらどうしよう。」
震える声で心配そうに言う凛楓。そんな心配せずともお主らは十分気心を知り合えている仲だろうに。
「凛楓。龍は今は役目があって手を離せないのだ。それを邪魔されれば邪険に扱われるのは仕方がないだろう?」
「……うん。それは私も悪いと思った。」
「なら、後で謝るのだ。龍はお前のことは嫌うことはない。あやつは我と同じで不器用なだけなのだ。
本当はお前のことが好きで好きしょうがない。ただ気恥ずかしくて態度に出せていないだけだ。だから、凛楓。お主が謝ればあやつも謝ってくる筈だ。」
「グスッ……………本当?夏沙丸?」
顔をゆっくりとあげる凛楓の赤くなった目元を布地で拭ってやりながら夏沙丸は普段は見せない優しい笑みで微笑んでやる。
「ああ。本当だ。なにせ私の愛娘弟子だ。あやつのことは手に取るように分かる。」
「………夏沙丸と幻炎のように?」
「……顔を合わせれば喧嘩ばっかりしているが。そう思うか?」
「だって夏沙丸は幻炎と話している時が一番楽しそうだもん。幻炎もなんだかんだ言って、夏沙丸と一緒にいる時が一番元気そうだし。」
「……ふっ……そうか?あやつがか?」
なんだか、気恥ずかしな。別に否定するつもりでもないが、何処かこそばゆい気がする。
元々鞍馬夏沙丸は誰もが認めるだろう凛とした美女だ。幻炎の燃えるような魅力のある美しさはないが、流れるような川のような静かで強かな美しさがある。
そんな彼女が照れるように微笑むと目の前の凛楓が悲しそうにしていた顔を一変させて目を見開いて笑う程だった。
「ふふ……夏沙丸。笑うと凄く綺麗なのね。」
「………む?そうか?我はお前以上に美しい顔の奴は見たことがないが?」
「あっ。いつもの厳しげな顔に戻っちゃった………。ねぇ。夏沙丸。幻炎にさっきの顔で笑いかけてみなさいよ。」
「断る。」
「え〜!なんでなのよ〜!!夏沙丸〜〜!!」
「だから我は断ると言っている。そう言うお前こそ、偶にはお前を支えている龍を労え。お主が笑顔で微笑むだけでも龍ならば上機嫌になるだろうに。同期であるの早霧や小茂呂には出来て何故龍には出来んのだ?」
ある意味だが、龍と凛楓、愛宕山大天狗と鞍馬大天狗の関係性はそれぞれ共通して似通っている部分があった。
それはお互いに素直になれない所だった。
「龍に?今更、恥ずかしくて出来ないわよ〜!!!」
「ならば、我も出来ぬな。同じ理由だ。」
「むぅ〜〜!夏沙丸の意地悪ぅ〜〜〜!!」
地面が揺れ続く中、そんなことを気にすることもなくじゃれ合う2人の様子は、他の五大豪族からは親戚の娘とその叔母のように見えていたとかなんとか。
てぇてぇ。殆どオリキャラ同然のキャラ同士が勝手に乳繰り合ってるだけの筈ですのに……なんでこんなにてぇてぇと感じるのでしょうか?
なんだか不思議に感じますね。もしかしたら私だけなのかも知れませんが…………。
因みに次回が、第二章のエピローグの最後の回です。本当に長かったようで短かった章でしたね。でも、次回まではしっかり続くので次回もお楽しみにしててくださいね?
読者の皆様にとっての女オリ主のイメージを教えてください!
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可愛い! ここに皆入れてね!
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格好いい! そう?まあそれもありだね?
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美しいね! エヘヘー分かってんじゃん!
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変態! でも変態なお姉さんは好きでしょ?
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人情姉さん! 私についてきな!君達!
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大人なお姉さん! 妥当だよねー!うふふ♪
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乙女だよ! 分かってるねー!
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人妻最高! 良い子の皆は入れないでね?
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未亡人最高! なんか投票欄が怪しくない?
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もっと強くなれよ! あっはい、頑張ります
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ポンコツだね。 ん?これは褒め言葉?