化けガラスってマジっすか……。   作:SOGEKIKUN

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 少し蛇足気味でしたが、この回でやっとエピローグは終わりですね。

 今回は少し長くなりますが、第二章は長かった影響でその分エピローグも長くなりますのでご了承お願いします。
 まあ、ここまで読んでくださった読者さん達は恐らく気にしないでしょうが…………?

 兎に角、この回で第二章でのエピローグは終了です。





68羽:エピローグ終「三日目の最後の宴は盛り上げよう!!え?この回で章が終わるの?」

 

 

 

(前回からの続きです。)

 

 

 

 百々夜さんに足止めをしてもらってなんとか、勇儀さんと華扇さんの追跡を脱がれた私達は、妖怪の山の麓でありえない光景を見ていた。

 

 

 

「「「「「ハッハッハッ!!乱獲だぁ〜〜〜!!!これで私の勝ちは確定だねぇ〜〜!!」」」」」

 

 

 

 そう、数十体の萃香さんが高笑いしながらこの広い妖怪の山に散らばっていた『疾風諜報隊』の天狗を近いものから次々と捕らえていく光景だった。

 

 巨人の姿の大きい萃香さから手のひらサイズの小さな萃香さんまでよりどりみどりだ。地獄かな?

 

 

 そんな萃香さん達によって、知り合いの天狗達が謎の引力に悲鳴あげながら吸われていく一方で、幾らかの天狗達はなんとか食らいついていけているが、萃香さんの分身達に各個撃破されて悲鳴をあげてから気絶してしまう。

 

 

 その光景を眺めながら私達は顔を見合わせる。背後の洞窟の入り口からは轟音。目の前には逃げ場が少ない修羅場。

 

 

 

「………一難去ってまた一難だね?もう勇儀さんと華扇さんとの追いかけっこでお腹いっぱいなんだけど?」

 

「……………あやや、や。」

 

「どうしよう。萃香っていう鬼は何処にもいるようだよ?」

 

「………兎に角隠れましょう。」

 

「そうだね。まだ気がつかれてないようだし。」

 

 

 

 

「「何を言ってるんだい?ずっとあんたらの動きは私達には筒抜けだったよ?」」

 

 

 

「「「ッ!?」」」

 

 

 急に近くから聞こえてきた萃香さんの分身達の声に皆で背中を合わせながら警戒するが辺りに萃香さんらしき姿は見当たらない。

 

 

 彼女の能力のせいか、私の能力で探ってみても萃香さんの居場所は分からない。いったい何処にいるんだ?

 

 

 声だけは聞こえるけど姿は見せないまま喋り続けてくる萃香さん。近くにいるようで遠くにいるような不思議な声があちこちから聞こえてくる。

 

 

「「知ってるかい?私の能力。」」

 

「「それは知らないよね。だって私はそこまで自分の能力を喋らないからねぇ。けど、今回は教えてあげるよ。」」

 

「「私の能力は、『密度を操る程度の能力』さ。別名『密と疎を操る程度の能力』。なら、私の体を霧にでもなんでもできるし、あんたらの周りの空気としていられることも出来る。わかるかい?今、あんたらの周りにある空気は全て、私の領内な訳だ。」」

 

 

 その瞬間、私の周りに沢山の萃香さんが現れて気がつけば私達は囲われていた。

 

 

「どうしたんだい?尻尾を蒔いて逃げれば良いじゃないか?怖気付いたのかい?」

 

「いやいや、そんなことを言ってもかわいそうだろう?私?」

 

「それを言ったらどうしようもなくないかい?私?」

 

「彼女らの服の中に私の分身を入れておいたのがバレたらどうするんだい?」

 

「「「何バラしてるんだい!!私!?」」」

 

「……あっ。ごめんって。」

 

 

 

 …………沢山の萃香さんが会話するって凄くシュールだな。

 

 

「「「「はぁ……取り敢えず、本体に出てもらおうかな?お〜いほんた〜い?」」」」

 

 

 すると、私達の服の裾からポンっと出てきたミニ萃香さん達が、一番目の前にいる萃香さんに駆け寄っていって、ポンっと煙になって消えていくが、幾らかの萃香さんの分身は反抗期なのか消えていかない。

 

 

「他の天狗をあらかた捕まえ終わったからそろそろ分身は終わりでいいんだよ。ほら、そろそろお役目御免だ。解散だよ。…いや?集まってくれないかい?」

 

「ちぃ〜。久し振りに楽しめたのに。早くない?」

 

「もう少し良いだろう?」

 

「何言ってんだい。私に戻ったらあんたらの記憶は再構築されて私の記憶になるんだから楽しさも何もないだろうに。ほらほら。散った散った。」

 

「「へいへい。」」

 

 

 そして、萃香さんの分身達はポンっと煙となって消えていった。それと同時にあれ程騒がしかった森が静かになる。

 

 それが、天狗達の内の殆ど気絶されたのを物語っていた。そのことに私達は戦慄した。

 

 

 まさか?………もう誰も残ってないの?たったの数十分で?

 

 

 

「と、まあ、あんまり分身しすぎちゃうとこんな感じで、馬鹿な私が現れちゃうから嫌なんだよなぁ〜。」

 

 

 そう言って額を汗を拭う萃香さんのようすに、私達が驚愕して動けないでいると、近くにあった岩に萃香さんはよっこらせっと言って座って萃香瓢を口に流し込んでから私達に告げた。

 

 

「ゴクゴク、ぷっはっぁ〜!………ふぃ〜。さて、仕事もあらかた終わったし、一緒に酒でも飲まないかい?あんたら?それともまだ降参しないで逃げるかい?今の光景であらかた分かっただろう?鬼には逆らわないほうがいいってことは?」

 

「いや、……………萃香さん。捕まえないの?」

 

「いいよ。私はもう沢山捕まえたからね。あの馬鹿な鬼2人を化かした後は酒をかっ食らうだけさ。本当に単純な奴等だよな?あの2人は。そうは思わないかい?お嬢さん方?」

 

「……返す言葉に困りますね。あやややや。」

 

「まっそうかい。……言いにくい仕方ないか。今日から私らの部下になるもんなあんたら。なら、仕方ないか。にしても、私が本気で特定のやつだけを狙うとか信じるとか彼奴等も馬鹿だな〜?普通にお楽しみは最後に取っておくってのが乙なのにな。」

 

「「「「………………。」」」」

 

 

 な、なるほど?あの二人に私達を狙わせるようなことをそそのかして私達に2人を誘導させ、その内に萃香さんが残りの天狗を捕まえたっていう算段だったのかもしれない。

 

 流石萃香さん。中々に頭が切れるね。

 

 

「けど、まさか勇儀と華扇2人の追跡を振り切るとはこれまた随分と策士なもんだね?いくつかは運もあっただろうに、人間これを考えついたのは確か…文だったな?凄いじゃないか。」

 

「ええ。そうですよ?萃香さん。私の『風を操る程度の能力』なら勝負の風向きなら読もうとすれば読めますからね。」

 

 

 そう言って丁寧語を使う文は私の手にキスをした後、私の腕を組みながら繋いで前に出てくる。えっ?なんで急に『一心同体』契約の手順を踏んだの?文?どゆこと?このままゆっくりするんじゃないの?え?なんで?

 

 

「はっ。やっぱり気に入ったよ。これまた随分と頭のいいヤツだ。元々目をつけていたが予想以上だ。これから部下として使えそうで嬉しいねぇ。」

 

 そう上機嫌に萃香瓢を煽る萃香さん。その様子に文は普段は見せない媚顔で両手をこ招きながらニコニコと笑顔になる。

 

 

「なら、今、見逃してくれてもよろしいですよ?萃香さん?まっ、本気になりたくないなら私達は今からでも逃げ出しますけど?貴方はどうしますか?」

 

「え?………ちょ!文!辞めときなって。」

 

 

 私の静止なんてお構えなしに前に出て挑戦的に見つめる文。そんな文にリッラクスしながら萃香さんは、文は挑発的なことを言ったことに顎を擦りながら思考する。

 

 

「でも?生意気な部下も乙か……有能だけど、活きが良い部下はもっといいな?でも?どうしたんだい?文?鬼に喧嘩を売るなんてあんたらしくないね?」

 

「………………。」

 

 

 その間、誰も喋らない緊張の空気に包まれていた。椛ちゃんは刀を抜く直前の構えに、はたてに関してはなぜかキラキラとした視線で文と萃香さんに顔を交互に見やっていた。一人だけ肝が据わり過ぎである。

 

 そして、少しの間考え事をしていた萃香さんは理解できたのか納得したように頷いた。

 

 

「………あ〜?成る程ね?面白い。腕試しとして、鬼に挑戦するのかい?逃げるんじゃなくて?」

 

「そう捉えてくれてよろしいですよ。……萃香さん?」

 

「そうかいそうかい。骨があるのはいいことだ。まあ?無謀と勇猛をはき違えるのだけは辞めてくれよ?私としてはハエにたかられる気分なんだからね?だから…………がっかりさせないでくれよ?"二人共"?」

 

 

 そして、意外そうな目線を文に返す萃香さん。頬に手を置いて寝転んでいた姿勢から上半身を起こしてドシンとその小さな身体からは想像できない程の地響きと共に岩から降り立った。

 

 …………ん?二人共?文は分かるけどもう一人は誰なのさ?

 

 

「さあ?このあとの勝負の結果で言って貰えると嬉しいですね〜?萃香さん?」

 

「……………どうやら逃げる気分どころかは生意気言う余裕もあるんだね?

 さっきの光景を見れば自ずと分かるだろうに。それにしても若いってのはいいねぇ。本当に身の程知らずは見ていて爽快だ。そして、それを懇切丁寧にぶっ叩くこともね?」

 

「言っててください。私は結果で示してあげますよ。大口はそこまでにしててください。ロリババアさん?」

 

 

 その瞬間、萃香瓢を傾けていたいた萃香さんの口元がピクリと動いた。

 

 

「ロリ?はっ?」

 

 

 そして、その一言を言い放った萃香さんは、山一つを覆うほどの莫大な妖力を解放してきた。

 

 そして、その山一つぶんあるその莫大な妖力は私達のいる地面にまで一瞬で迫ってきて、突風と共に私達を飲み込んでしまう。

 

 

 ― ヒュウ ―

 

 

 

「「「ヒッ!?」」」

 

 

 

 その余りにも恐ろしい気迫と威圧感に、状況が読み取れていなかったはたてな椛ちゃん。そして、私は揃って小さな悲鳴を上げてしまった。

 

 

 …………あ、文!?な、なんてことを!!完全に地雷を踏んでるよ?なんなら地雷原だよ!!

 

 

 内心焦りまくる私は、文の横顔を見る。そんな文の様子は文は余裕そうに斜に構えている。萃香さんがキレている事実に対してどこ吹く風のようだった。

 

 対して、萃香さんは額には血管が浮き出ていて、喧嘩を売った文に向かってゆっくりと爆発していく低い声と共に殺気を飛ばしだした。

 

 

「おい?……いい加減舐めてると潰すぞ?小鬼だからって舐めてないだろうね?」

 

 

 

 ひ、ひぇ〜〜〜〜〜〜!?ちょっ!!文〜!!なんで喧嘩うるのさ〜〜〜〜!!

 

 

 私は未だに私の腕を組んだまま離さない文に向き直って、こっそり耳打ちする。

 

 

「文?今からでも遅くないよ?謝ろう?ね?」ひそひそ

 

「あら?飛燕。まさか逃げ腰なのかしら?」

 

「文!?」

 

「分かってないわね〜。ただ正気を失わせるために怒らせただけよ。これも作戦の内だし、今は鬼ごっこなんだから催しが終われば、勝負事の内だと相手も許してくれるわよ。だから、大丈夫。それに、彼女は私達の練習の腕試しには丁度良いでしょ?、はい飛燕?……さっさと契約をするわよ?」

 

「今ここで!?えっ!さっきの契約の手順はこのためにやってたの!?」   

 

 

 だから文は私に身体を密接させて、私の腕にキスをしたの!?

 

 

 私と文との新たな契約。この契約は継続的ではなく一度契約を結んでから一定時間だけ出来る。これは私と文がこの数日間で隙間時間を縫って練習しておいたものである程度特徴は掴んでいた。  

 

 今文は、私を巻き込んで練習の成果をここで試すつもりなんだ。もう〜〜!!なんでいつも文は私達を振り回すんだよ〜〜〜!!一言言ってよ〜!!!

 

 

「分かったよ!!もうヤケクソだ〜〜〜!!『我な名は黒柳飛燕』」

 

「我な名は射命丸文。」

 

 

 条件は簡単だ。お互いの名を名乗り、ある合言葉を一斉に話すだけ。

 

 

 

「「私は貴方、貴方は私!!」」

 

 

 

 本当に文はずるい。一件自分勝手で狡猾で自分本位に見える。けど、文の突拍子のない行動はいつも私達の利益に最終的に繋がってる。それはこの270年間どころか、初めてあったあの夕日の日から分かりきっていたことだったわ。はぁ…。

 

 

 ふふっ………でも、まあ…私は文のそういう所がが好きなんだけどね。

 

 この退屈しないくらい、生意気でどこか可愛いくて愛おしい文の真っ直ぐに風のように自由気ままに貪欲にしたいことのためにガンガンびゅうびゅう突き進んでいくその姿が。

 

 それが、私には眩しくて眩しくて仕方がない。

 

 

 そして、私達の周りに光が包まれていって文の力が使えるようになった。

 

 そして、文と私の世界観が広まっていった。文字通り、風のように私達の世界は駆け巡るように分かるようになる。

 

 

 

「さて?これで心置きなく戦えるね?鳥共!!これで負けて泣いても言い訳だけは出来ないよ?いやっなんなら殺すからな?覚悟しろよ?」

 

 

 

 その瞬間、私達の契約を敢えて待っていた優しい萃香さんは、怒声をあげながら向かって来る。

 

 その姿に、やっぱり私は怖いので、思わず心の中で文に向かっても愚痴を吐いてしまう。

 

 

 

 もう!!なんでいつも文は突発的なんだよ!!鬼ごっこじゃん!なんで急に鬼の大将と戦闘しようとか、どう言う神経してんのさ!!足腰がブルブルなんだけど!!

 

 

 

(アハハハっ!!もう遅いわよ!!いつも通り振り回されなさい!!さぁ!!いい加減覚悟はできたかしら飛燕?)

 

 

 

 楽しそうに笑いながら文が心の中で問いかけてくる。ふん!!そんなの当たり前だ。

 

 

 もうとっくに出来てるよっ!!文と出会ってからとっくにね!!

 

 

 そして、私と文は血管を浮かばせて拳を振るってくる萃香さんに向かって、扇子と黒妖と白幻のそれぞれの武器を構えて萃香さんに返事を返した。

 

 

 

「「上等だ!!掛かってこい!!小鬼!!」」

 

 

 

 そうして私達は空中に風よりも速いスピードで飛び出して後を追ってくる萃香さんと空中戦を起こし始めた。

 

 

 

 

 

 

 一方で、完全に置いてかれてしまって、完全に固まってしまったいた、はたてと椛は肩の力を抜きながら、地べたに据わって、力の抜けた様子で会話をし始めた。

 

 

 はたては鏡を通して、椛は片目を瞑りながら、彼女らの輝かしいそして自由奔放なその姿を呆れながらもどこか嬉しそうにしながら。

 

 

 

「はぁ………文様……飛燕様…………最近暴走し過ぎだと私は思いますが、どう思いますか?はたて様。」

 

「アハハ………ま、まあね〜?……………でもさ、もみじぃ〜。」

 

「はい?………何ですかはたて様?」

 

「今の2人、特に文かな?凄く…………楽しそうだね。本当に………昔の文とは段違いに。」

 

 

 私は不思議に思って、能力を使っていて使えない片目を閉じながらまだ開いている方のもう片方の目で、はたて様を見ると、はたて様はコチラをニコリと笑いかけて見つめ返してくださいながら、私に鏡を見せて下さった。

 

 

 

 そこには…………凄く楽しそうに大笑いを決めながら、本当にいい笑顔で悪戯顔で大弾幕を張るお二人の姿。まるで、それは子供のような幼稚な姿だったが。見ていて気持ちがいいくらいには楽しそうだった。

 

 

 

「…ふふ……確かに成る程………そういことですか。確かに、そう見えますね。なんなら、私の能力からでもそう見えるようになりましたよ。」

 

「…………うん。すごくいい笑顔を沢山見せるようになってきたなぁ〜って。思って。やっと、文は心から自由に慣れたんだな〜って思ってさ。」

 

 

 必死そうに怯えながらも援護をし続ける飛燕様と肩を並べて、怒れる萃香様と戦っている文様のその素顔は太陽のような子供のような可愛らしい純粋な笑顔だった。

 

 

 私は………文様のこの笑顔を守りたかった。でも、私一人では叶わなかったその素朴な願いだったモノは、今では皆で勝ち取ることが出来たモノでもあった。

 

 

 

「ふふ……………確かにそうですね。今の文様はとても楽しそうです。………本当に…………。」

 

 

「そうだね。」

 

 

 

 

 私とはたて様は萃香様が座っていた岩に歩みを進めて、そこに腰を落ち着かせながら、のんびりとその激しい空中戦を眺めていく。

 

 

 のんびりと、ゆっくりと。それでも時間は緩やかに進んでいく。

 

 

 

 辛い時も悲しい時もあるが、誰かに頼りながらでもいい。立ち止まったり後進してもいい。

 

 自らの足でこうして立ち上がり、進める足を止めないことでいつか幸せは来るかもしれないのだから。この風景を見れば分かる。だって、幸せは風のように、突拍子なく、突然と『飛んで』くるのかもしれないのだから。

 

 

 

 

 文様…………本当に良かったですね。

 

 

 

 

 

 

 そう、椛は心の中でそう独りごちた。穏やかな表情で、彼女等を守ってきたいつも通りの表情で。

 

 

 

 

 そして、これからも私は貴方のその笑顔を守りっていきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 尚、時間制限が切れてしまい、その隙を突いた怒れる小鬼にボコボコにされてしまい、結局は泣き顔になって謝り倒すことになった二羽の鴉(天狗)がいたのは言うまでもないないことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『皆ぁ〜〜盛り上がってるかぁぁぁぁい!!!!!?』

 

 

 

 

 

『『『ワァーーーーー!!』』』

 

 

 

 

『結構結構〜!!今夜で3日間続いたこの大宴は終わりなんだ!!なら沢山飲もう!!沢山楽しもう!!!今日の分の酒代は私、星熊勇儀が全て奢ってやる!!だから、酒は無限にあると思って沢山楽しみな!!!』

 

 

『『『フゥゥ〜フゥゥゥ〜〜!!』』』

 

『姉さぁ〜〜ん!!』

 

『愛してるぜぇ〜〜〜〜〜!!』

 

 

 

『さぁ!!楽しみなぁっ!!!!三日目の最後の宴は私、星熊勇儀が主催だぁ〜〜〜〜〜!!!』

 

 

 

『『『『ワァァァァァ〜〜〜〜!!?』』』』

 

 

 

 

 ― ワイワイ ガヤガヤ ―

 

 

 

 

 萃香さんに捕まえた天狗の数を負けてお酒を百杯分奢らされたのにも関わらず、上機嫌そうな萃香さんや、うって分かって不貞腐れている華扇さんのそれぞれの肩を組みながら隣で楽しそうに飲んでいる勇儀さん。

 そんな彼女の掛け声に妖怪の山に移り住んできた妖怪達や天狗達、河童や山童達などや鬼達が、種族関係なく楽しそうに、この修理されて更に大きくなった大宴会場で、お互いの肩抱きしめあいながら、酒を飲み交わしている。

 勇儀さん達を中心に飲み交わしている大宴会の中心にある大広場には、百々世さんや五大豪傑達も混ざって鬼達と楽しそうに飲み交わしており、その熱狂が宴の盛り上がりを波のように広めていく。

 

 ………凄く楽しそうだけどそこにいるメンバーの全員が半端ない量の酒を飲む酒豪だからか、それぞれのお偉いさん達を護衛していた天狗達やら妖怪やらが、彼らの酒の相手という名の犠牲者となって、そこらじゅうで死屍累々となって転がっている。

 

 うわぁ…………あの大広場の中央付近は絶対に近づかんとこ。

 

 

 そして、そんな酒豪な大妖怪達の相手をしている今日の炊事棟番の沢山の鎌鼬達や睦月の狼天狗達が、頑張ってお酒や料理を運んでいる光景を遠目に、無事萃香さんとの戦闘を生き残ることが出来た私と文はシクシクと涙目になりながら呆れている様子の椛ちゃんやはたて、そしてヤケにイチャイチャしている龍さんと天魔様に慰められていた。

 

 私達は三日目の最後の夜に行われた宴に一部屋の個人用の部屋を借りることにして間接的にこの宴に参加することにしているので、結構いい部屋でお酒やおつまみを飲み食い出来ているという訳だ。

 

 それにしても、因みにこの部屋眺めが凄いね。流石龍さん。この組織の最重要の重役だからか、半端ないね。この部屋を借りるのにどのくらい掛かるんだろう?

 

 

「シクシク………シクシク………鬼コワイ。」

 

「うゔう〜二度と鬼に逆らうもんですか!!萃香さん怖い…怖い……うゔぅ〜。」

 

 

「…………あやぁ〜?別にひっつくのはいいけど、そこまで引っ付かれると今やってるお化粧が出来ないよ〜?」

 

「うう〜。いつも私に引っ付いてたんだから良いじゃない。はたて!!」

 

「いつの話をしてるの〜!!それは私とあやぁが小さい頃の話じゃ〜ん!!」

 

「うるさい!!黙って泣きつかせろ!!」

 

「えぇ〜!理不尽だよ〜!!」

 

 

 

「はぁ………成長してきたと思っていましたが、まだまだお二人は伸びしろがありそうですね。ね?飛燕様?よしよし。」

 

「うん。グスッ。私は巻き込まれただけなのに………。それを知ってたんだから別に手加減してくれてもいいじゃん。萃香さんの馬鹿。」

 

「で、ですが……………とても素晴らしい大立ち回りでしたよ?萃香さんも最初は怒っていましたが、文様と飛燕様の奮闘ぶりに終始、満足そうにしておいででしたし………ご無礼も笑って許してくださいましたから………。」

 

「鬼コワイ。鬼コワイ………。」

 

「駄目ですねこれ………はぁ……よしよし。」

 

「もっと慰めてぇ〜。椛さ〜ん。」

 

 

 何なんスか。あの小鬼。めっちゃ強いんですけど。天狗並に高速で動き回る増えたミニ萃香さんからビック萃香さんから様々な大きさな萃香さんが、ワラワラと私と文に向かって殴りかかってくる場面を思い浮かべてほしい。

 

 それも、一人一人が一線級の強さを誇る分身達の百鬼夜行だ。

 

 

 その光景を特等席というか、目の前で襲われた私と文は最初は何とかしのげてたけど、その内裁ききれなくて思わず引きつった顔で悲鳴をあげるほどだったからね?うゔ〜…本当に思い出したくない。

 

 

「飛燕様。怯えすぎですが、今日はめいいっぱい私に甘えてください。文様に振り回されて疲れているでしょうし。」

 

「うん。やっぱり椛ちゃんのモフモフは気持ちがいいなぁ。」

 

 

 はぁ〜〜椛ちゃんの尻尾もふもふだぁ。耳も柔らきゃい。最高だよ椛ちゃん。

 

 

「………飛燕様?」

 

「もみじさん、ゴメンナサイ。」

 

 

 椛ちゃんの揺れる尻尾を取り上げられてしまって落ち込む姿を私が見せるとと、椛ちゃんは仕方がないと言いたげに苦笑いをしなごらフルフルと尻尾を揺らして椛ちゃんのお腹あたりに泣きついていた私の顔の前に持ってきてくれて、触れと言われんばかりにフリフリと揺らしてくれる。

 

 

「はぁ………今日は良いですよ。沢山触らせてあげます。」

 

「ありがとう。はぁ……癒される〜〜。」

 

 

 私が椛ちゃんに甘えさせてもらってるいる傍らでは、天魔様に引っ付かられた龍さんは私をちらりと見ながら、天魔様からお酌を貰っていた。

 

 

「これでは化けガラス殿も文も暫くはこのままだな。凛楓。文を慰めに行かないで良いのか?先ほどから文の目線がこっちに向いているぞ?折角の機会だ。文のことを名いっぱい甘えさせたらどうだ?」

 

「………分かったわよ。でも、龍。どうせ貴方ははたてと楽しくお酌を注ぎたいだけでしょ?こんなに私がお酌をしてあげてるのに、文に泣きつかれているはたての方をチラチラと見て………。」

 

 

 珍しく妖艶な様子で微笑む天魔様に図星を突かれた龍さんがいつもとは違う天魔様の様子とその図星の指摘に狼狽える。

 

 

「うぐっ。それは……な?ほら、お前が娘を心配するように私もはたての成長を見守りたいからな。所でどうしたんだ凛楓?今日は珍しくしおらしいとかいうかなんというか………。」

 

「……別に……偶に龍を労ってあげようと思って…………でも、そう言う私はお嫌い?」

 

「いや……な?……ただ珍しくいつもより可愛らしいと思ってな…………で?…どういう心境の変化なんだ?凛楓?」

 

「ここ数百年間は天狗の里の為に頑張ってくれたから、私なりの労いよ。」ニコ

 

「ッ〜〜〜〜!!……はぁ…悪知恵ばかり働かせおって…どうせ、鞍馬大天狗殿の入れ知恵か?」

 

「そうよ。どう?今の私は?」

 

「うゔん……まあ、悪くはないな。続けてくれ。凛風。」

 

「ふふ……ええ。言われにくともそうするつもりよ。」ニコ

 

「………ふ、ふん。もう、好きにしろ。」

 

 

 嬉しそうにニコリと笑いかけてくる天魔様に、言葉も出ずに照れてしまい顔を赤らめて大宴会場の方へとそっぽを向いてしまう龍さんだった。

 

 意外と天魔様から責められるのは慣れていないんだね。

 

 

 

「でも…………龍も立派な母親なのね。私も龍を見習って、親としてちゃんと文と向き合わないとね。」

 

「…………そうだな。」

 

 

 そう言って何かしらの覚悟を決めた顔を様子を見せた天魔様は引っ付いていた龍さんの腕に組んでいた自分の腕を離して、未だにギャーギャーと騒ぎながらはたてに泣きついて文の所にトコトコと不慣れそうに近づいていって、ちょこんと文の前に座った。

 

 すると、キョトンとした顔で化粧道具をしまったはたてが天魔様に向き直るのと同時に、その合間も文は恥ずかしいのかはたてのお腹に顔を当てたままジッとしていた。

 

 

「ん?どうしたの〜?天魔様?」

 

「そうね。はたて。実は文に用があるんだけど、少しの間、私と代わって貰える?」

 

 

 はたては無駄に勘がいいのでチラリと天魔様と、ちょうど酌をあげるジェスチャーをしている龍さんの仕草を、交互に見たあとに何かを察したようで膝上の文に向き直る。

 

 

「………分ったよ〜?天魔様。ほら、文?私はおかあさんとお酌をしに行くからさ。その間は文のお母さんの相手してあげて?」

 

「う、うん………分かったわ。はたて。」

 

 

 そう言って、はたてはいつの間にか私の隣に移ってきた龍さんの隣に座った。なんでだろう?聞いてみるか?

 

 

「あれ?龍さん?はたて?お酌は仕合わないの?」

 

「うんうん。おかあさんと私は普段から二人きりのときにしてるからね。今日はしないよ。」

 

「化けガラス殿。私達のお酌の話しはただの詭弁だ。方便でもあるな。」

 

「そうだよ〜?ひえん〜?」

 

 

「…………。」

 

 

 …………成る程ね。文と天魔様はまだ喧嘩したっきり仲直りしてなかったから、はたてと龍そんはそんな2人に気を使って、2人っきりで触れ合う機会を挙げたかったんだ。

 

 

「………天魔様と文様。仲直りできると良いですね。」

 

「そうだね。椛さん。」

 

 

 

 文は…………今、すごく緊張してるということが契約から分かるけど、その一方で幾らか気分が良さそうなのは、文と天魔様が良い関係を気づけていることのいい兆候なんだろう。そんなことを私が考えていると、飲み終わらせたお酒の盃を足して私に渡してくる龍さんが話題を変える為に話しかけて来る。

 

 

 

 

「それにしても化けガラス殿。此度は随分と長い旅路ではなかったのではないのか?」

 

「そうだね。色々巡ったよ。そうだ。最近は色々と珍しかったモノが多かったし、まだ話してなかった旅先の話を色々と話そうかな?」

 

「やった〜!!飛燕の旅の話はいつも面白いんだよね〜!!」

 

「そうですね。はたて様。」

 

「ああ。そうしてくれ。私も実は化けガラス殿の話を楽しみにしているのだ。」

 

「へぇ〜?ここには私の冒険話の隠れファンがいたんだね?いいよ?沢山話してあげるよ?」ニコ

 

 

 私達は少しずつ仲直りしていく不器用な2人の、少しずつ距離を縮めていって遂に笑いながら話し合い身体を寄せ合う姿を皆で遠巻きに見ながら、ゆっくりと一つの盃を回しながら他愛のない話に話を咲かせていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……………え?これでこの章の私の出番は終わりなの?私一応主人公なんだよ?

 

 

 

 

 ………………マジっすか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 妖怪の山総出で宴会を開いているのを遠目に、少し遠くから八雲紫は霍青娥、常闇の妖怪と共にワイワイとしながら生酒を嗜んでいた。

 

 三人とも大騒ぎはどちらかと言うと、言うまでもなく大好きだったが、どうせ酒を楽しむなら静かに優雅に味覚と香りを楽しみながらゆっくりと飲みたいタイプだった。

だったが、どうせ酒を楽しむなら静かに優雅に味覚と香りを楽しみながらゆっくりと飲みたいタイプだった。

 

 

 

「ふぅ〜〜♪いやぁ〜いい仕事したわぁ〜〜!!」

 

「ふふふ♪随分とスッキリした様子ですのね?紫さん?」

 

「ええ。そうね。なにせ数百年間かけてた下準備が終わったんですもの。脈を広げ駒を探し、それを動かす。ほんと、大変なのよねぇ。我の強い大妖怪をどうにかして間接的に操るのは。」

 

「はっ、その物言いだと私までその駒に入っているように聞こえるな?なんだかクソアマに操られるていると思うと腹が立つ。よしっ!殺し合いだ。」

 

「いやよ。今日はそんな気分じゃないのよ。………それに、操る云々については、常闇の妖怪は元から諦めてますから。

 元からじゃじゃ馬を操るなんて不可能なのよ。…………まさか飛燕ちゃんに手綱をつけられる日が来るとは思わなかったわ。」

 

「……んだとぉ〜〜!?誰がじゃじゃ馬じゃあ〜オラァァ〜〜!!」

 

「あらあら、そんなにムキになって怒っちゃってぇ〜?怖いい顔だわ〜?常闇の妖怪ったら♪」

 

 

「ルーミアさんも中々大変ですわね。もう十分仲は親密なんですから、そろそろ飛燕さんにその愛らしい本当の姿を見せてあげたら良いじゃないんですの?はい芳香ちゃん。あ〜ん♪」

 

 

「ん〜♪本当の飛燕の手作りプリンってて美味しいんだぞ〜〜せいがぁ〜!!」

 

「確かにそうだぞ〜〜!芳香ちゃ〜ん♪」

 

 

「………ヒラヒラ…それは言わねえ約束だぜ?」

 

「約束?あら残念。私、契約じゃないと約束は必要なら破り捨てるんですの〜♪」

 

「チッ。まあいいや。弁えてる限りは食うつもりもねえからな。―ガブガブ―……まあまあ上手いな。飛燕の方が美味えけど。モグモグ」

 

 そう言いながら、目の前の飯を愚痴を零しながら食べ始める常闇の妖怪。既に、彼女は胃袋をあの化けガラスににぎられていることは確実である。

 

 

「そういえばそうね。それ私も気になってたのよ。どうして飛燕ちゃんにその姿を見せないの?

 彼女ならどんな姿でも受け入れてくれると思うんだけど?どう思うかしら?常闇の妖怪?」

 

 

「……………………。」

 

 

 八雲紫の質問に、突然と食べていた口と手を止めてそのまま固まったように黙りこくって顔を赤らめてうつむいてしまう常闇の妖怪。

 

 その姿を見た瞬間、2人の妖艶な美女のスキマ妖怪と邪悪なる仙人の貴婦人は色々と理解した。いや、察してしまった。

 

 

 

 ((あ〜?そういうことですか。))ニヤリ

 

 

 

 そして、ニヤリと彼女達らしいその悪巧みの顔で、お互いの顔を見合わせて、すぐさま対常闇の妖怪戦線を結成し、そのまま楽しそうに常闇の妖怪を弄り始めだした。

 

 

「成る程?貴方は最初は彼女の身体を食べることを目的にしてたいたけど、飛燕さんに甘やかされる生活を過ごしているうちに、気がつけば気に入ってしまったということですのね?ルーミアさん♪」

 

「それどころか、飛燕ちゃんの甘やかしプレイに嵌って抜け出せなくなってしまった訳ね〜?相変わらず可愛いわね〜?常闇の妖怪♪」

 

 

 2人に明かされる羞恥心を擽られてしまっているという事実に、常闇の妖怪は黙って顔を手に填めることしか出来ない。いや、それよりも彼女への自覚していなかった思いやらなんやらを自覚しきってしまい、常闇の妖怪は乙女の顔になることしかできなかった。

 

 

 

「アハハハッ!駄目!笑っちゃう!!彼女の恐ろしい昔の人食い時代を思い出すほど乙女な姿を見て笑っちゃう!!アハハハッ〜〜!!」

 

「だ、黙れ!!クソアマぁ〜!!!」

 

 

 大笑いを決めてしまう隙間妖怪に、常闇の妖怪はそれは真っ赤に染まった頬と半分泣き目の状態で闇を飛ばしてくるが、全て彼女が笑いながら生み出したスキマの中に入っていき、全てがスキマの彼方へと消えていってしまう。

 

 いつもの流れを繰り返している常闇の妖怪と隙間妖怪のコミカルな喧嘩の横では、邪悪なる仙人が化けガラスの作ったプリンを美味しそうに頬張っている動くキョンシーのことを撫で回しながらニコニコとしながら話を続けた。

 

 

「まあ?確かにルーミアさんったら…………その子供姿だと可愛がられる末っ子属性がありますものね〜?    だとしたら、可愛いものならなんでも可愛がりたい飛燕さんとの相性は抜群ですものね。ふふふ♪毎回いい景色を見させて頂き有難うございますね?ルーミアさん♪」

 

「ルーミア〜?一体どうしんだ〜?そんなに顔を赤くさせて〜?」

 

 

 常闇の妖怪がスキマ妖怪と邪仙を睨らみつけて、二人を黙らせようとしても、顔を赤らめながらでは二人の前では全く意味がない。というか、そもそもその表情では2人には逆効果だ。

 

 それどころかさっきまでそこらをボーとしていた筈の芳香にまで、不思議そうにそのことを指摘されてしまうという始末。

 

 これでは大妖怪としての威厳の『い』の字までないだろう。しかし、それと同時に常闇の妖怪は静かに焦りながらも黒柳飛燕から受けた数々の愛に、自らの心が満たされていることに満更でもないことを自覚していたことに気がついて更に顔を沸騰させてしまった。

 

 

 ― シュウ〜 ―

 

 

「ヒッ〜!ヒッ〜!!笑いたくなくてもそれじゃあ笑っちゃうわ!!腹が捩れる!!アハハハッ!!」

 

「いつまで笑ってんだよ〜!!クソアマァァ〜!!」

 

「ご、ごめんなさい!アハハハッ。………ス〜ハァ〜ス〜ハァ〜。ふぅ。いやぁ〜息切れで死にかけたぁ〜〜。酒が美味しいわ〜〜♪」

 

「それで、この後はどうするのかしら?紫さん?」

 

「そうねぇ。取り敢えず情報収集は続けることにして、もう少し妖怪が集まったら次の段階に移ろうかしら?」

 

「あら?そう。なら私も1枚噛んでもよろしくて?」

 

「そう言うと思ったわ。霍青娥。なら、貴方には妖怪の勧誘を引き続きしてくださるかしら?」

 

「良いですわよ。ルーミアさん?どうせなら共に行動致しますか?このままずるずると飛燕さんに引きずられて依存するよりはマシかと思いますわ。なら?どうかしら?」

 

「………ああ…そうだな。そろそろ潮時だろう。それにこの1年近くで黒柳飛燕から数百年分の闇を食らったんだ。節約すれば、暫くは人間も食う必要もないだろう。良いだろう。同行してやる。」

 

「あら、嬉しい♪」

 

 

「では、霍青娥。報酬は後で話し合いで決めることにしましょ。それにしても本当に随分と丸くなったものね〜。常闇の妖怪。」

 

「ん?そうか?クソアマ。」

 

「だって以前の貴方なら出会う者の中で、特に歯向かったり生意気言ってしていた奴は、その底なしの闇で全て飲み込んでいってたじゃない?…………当時の貴方なら、今みたいにそんなに朗らかに笑わいもしなかったんじゃないかしら?」

 

「………ふっ、………そうかもな。」

 

 

 その時の、彼女の笑顔はまるで天使かと思うほどの誰もがうっとりするだろう純粋で美しい笑顔だった。

 

 

 

 

「「…………………うわっ…可愛い笑顔。似合わな。」」」

 

「な、なんだよ!しちゃ駄目かよ!この顔をしちゃぁ!!」

 

 

「ほら、今もかわいらしく乙女の顔をしてるわ。………いやぁ〜本当に世界が滅んだかと思ってびっくりしたわ〜!怖いわねぇ〜。ゾゾゾってしたわよ?」

 

「ルーミアさんって………実は萌系でしたよね……ふふ……何でしょうか?後で寝具の上で食べちゃいましょうかしら♪」

 

「……………。」

 

「ふふふ♪そんなに睨見つけないでちょうだいなルーミアさん?ほら、折角ご一緒するんですから、お酒を飲みましょ?……………ん?あら?お客さんですわね?」

 

 

 

 

 

 その時、八雲紫達がいるスキマの空間と妖怪の山の出入り口を兼ねたスキマを潜って、誰かの影が彼女等の上空から現れた。

 

 

 そう。その影の正体は初代の博麗の巫女だった。彼女は少しだけ不機嫌そうに両手を腰において、彼女達から月に重なるように浮遊している。

 

 

「あら?霊無?遅かったじゃない?待ちくたびれたわよ?」

 

「こんな夜更けに急に呼び出してくる貴方が悪いわよユカリ。こっちは風呂上がりにゆったりと縁側でお酒を飲んでたってのに。 これでも急いで身支度してから、あうんや玄爺に戸締まりやら何やら任せてもらってたのよ。たったの数十分くらいの遅れは良いじゃない。」

 

「あら?巫女さんじゃない。貴方も呼ばれたのかしら?」

 

「……青雅。そういえばあんたも呼ばれて来たのね。」

 

「私もいるが?」「私もいるぞ〜〜!人間〜〜〜!!」

 

「ルーミアと芳香もね。それにしても、あんたら?ここらの妖怪で、一番面倒な奴と絡んでるこねぇ〜。そこのスキマ妖怪なんて信頼はできるけど別な意味で信頼のおける奴なのよ?あんたら、正気?」

 

「不服ね。私はこの幻想郷で最も、困った可愛い子ちゃんよ?霊無。」

 

「………言い直しただけじゃないの?それ?……まあいいわ。兎に角、貴方には言いたいことが色々あるのよ?紫。今回の異変だって無駄に働かされたのは納得いかないわ。なんせ、朝から夜更けの遅くまで、文字通り本当に夜通し戦わされたんだから。全て終わらせて博麗神社に帰ってきた時は疲労でぶっ倒れたんだし………………その時は、あうんや亀の玄爺に心配かけさせちゃったし、…面倒事は大体あんたが原因なのは今までで嫌でも思い知ってるんだから、いい加減こうやって面倒事を押し付けるのはやめなさい。

 はぁ……所で………、飛燕は何処にいるの?あの強かった大天狗二人組の時に一度顔を見合わせてからそれっきり会って無かったんだけど?」

 

 

「あ〜?確かぁ〜……飛燕ちゃんは、あっちの大宴会場の一室で今頃、萃香に泣かされちゃってから、凛楓や龍さんや射命丸文と一緒にぐったりしてるんじゃないかしらね?」

 

「そう。少し料理で聞きたいことがあったんだけど。ならいいわ。後でそのこと言っておいて。」

 

「わかりましたわ。ではお隣をどうぞ?巫女さん?」

 

「……………。」

 

 

 

 そういって、隣の空いていた椅子をボボンと叩いて博麗の巫女をお酒に誘う青娥だったが、対して博麗の巫女は両腕を自分の身体に巻きつけて、猫のように警戒して近づこうとはしなかった。

 

 

「そんなに両腕を抱きながら警戒しないでくださいまし霊無さん。さすがにこの場では手を出しませんわ。お風呂の時は好きにさせてもらいますけど♪」

 

「………まあ…いいわ。お風呂の時も勘弁願いたいけど。…キャッ!…もう!青娥!やめなさいよ!」

 

「ふふふ♪いい反応ですわね〜♪」

 

 

 そう言いながらも、渋々青娥の隣に座る博麗の巫女だったが、結局、油断してしまうこの生娘は邪仙に身体を弄られるのは何時ものことだった。その様子を隙間妖怪は少しつまんなさそうに尺をくるくると回しながら、2人に話しかけた。

 

 

「…………青雅さんも随分と物好きね?こんなズボラな女の何がいいのかしら?」

 

「フッフッフッ〜〜〜。紫。私はもうズボラじゃないわよ?私は家事全般を飛燕から叩き込まれたのよ?

 だから、料理が出来ない貴方は差し置いて………完全なズボラ女子は卒業したのよ?ザマァないわね!」

 

 

 しかし、今回の博麗の巫女はひと味もふた味も違かった。博麗の巫女は化けガラスと邪仙に少し前に揉まれまくったせいか、それとも栄養をちゃんと摂るようになったからか、少しだけ成長していた小さな胸を張りながらドヤ顔で隙間妖怪に自信満々に家事料理についての自慢をしてくる。

 

 その事実にゆかりんはショックを受けた。

 

 

 

「う、嘘よっ!?い、いやっ!………ゆ、ゆかりんだって!料理が出来るもん!!そんなの認めないわ!!」

 

「うそよ………いつも何処からか盗んできた食べ物を我が物顔で子供だった私に振る舞ってたのは知ってるもの。子供だった時はともかく、今の私に誤魔化しても無駄よ。」

 

 

「………………今度…………飛燕さんに頼んで朝食を作って貰いましょうか?紫さん?」

 

「うゔう〜…………あ、大丈夫よ。時々飛燕ちゃんから料理は作ってもらってるから平気よ。」

 

「アッハッハッハッ!!いい気味だ!!クソアマ!!私を笑ったツケを払わされたな〜〜!!!」

 

「チッ………いつもからかってる常闇の妖怪に笑われるのは無性にムカつくわね。……はぁ〜!今日はやけ酒ね!!……最近多い気がするわ。はい!霊無も来たしもう一回乾杯しましょ!!」

 

「誤魔化しても無駄よ。…………けど、折角なら乾杯しましょうか。私の初めての異変解決祝いに。」

 

「そうね。霊無の初めての異変解決祝いに!それじゃあ改めて乾杯いたしましょうか?」

 

「はぁ……何度やるのやら。」

 

「良いじゃない。常闇の妖怪。ね?しましょしましょ。せ〜の。」

 

 

 

 

「「「カンパ〜イ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今宵も妖怪達は夜闇に負けず劣らず騒ぎだす。

 

 

 闇を喰い、代わりに人々を魅了させるような煌びやかな姿を周りに見せつけながら。

 

 

 

 それぞれが腹に暗い過去を宿しながらも妖怪達は今日の楽しさを存分に味わって未来に向かって笑った。まるで過去を笑い『飛ばす』ように。未来を笑い『飛ばす』ように。

 

 

 

 

 

 

 眩しくも暗く、そして美しくも儚い花のように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 つ、遂に第二章のエピローグが終了しましたね。

 新生活で慣れないことや忙しい中、なんとか頑張ったー!!長かった第二章を走り抜けることが出来たのもこれも全て私の拙い文章に付き合ってくれた読者さん達のおかげです。本当にありがとうございます!
 
 まあ、これからも投稿していくんですがね。

 ここまで定期的に読んでくださった皆さん!!本当に有難う御座います!!最新話を投稿後直ぐに読んでくれるだけでも励みになりましたし、東方紅魔郷のリメイクの件で東方ブームの再来のお陰か、読者さん達も戻ってきたようで沢山読んで下さる方が増えて有難い限りです。

 繰り返しになっちゃいますが、この小説を面白いと思ってくれた方はお気に入り登録、または高評価してくださると光栄です。


 では、スビンオフ(←これ重要)やら閑話休題(←これも重要)を何やらの後は、そのまま物語は陸続きで第三章に移りたいと思います。

 次回の章では飛鳥時代後期に移りますのでー!!第三章でまた会いましょう!!それではーー!お楽しみにーーー!!



 



読者の皆様にとっての女オリ主のイメージを教えてください!

  • 可愛い! ここに皆入れてね!
  • 格好いい! そう?まあそれもありだね?
  • 美しいね! エヘヘー分かってんじゃん!
  • 変態! でも変態なお姉さんは好きでしょ?
  • 人情姉さん! 私についてきな!君達!
  • 大人なお姉さん! 妥当だよねー!うふふ♪
  • 乙女だよ! 分かってるねー!
  • 人妻最高! 良い子の皆は入れないでね?
  • 未亡人最高! なんか投票欄が怪しくない?
  • もっと強くなれよ! あっはい、頑張ります
  • ポンコツだね。 ん?これは褒め言葉?
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